- 2026年10月16日
電気設計に資格は必要?電気設備設計に役立つ資格を解説
仕事・資格・キャリア

電気設計では、仕事内容によって必要になる資格、役立つ資格が異なります。電気設計という仕事全体に「これがなければ設計できない」という単一の資格はありません。一方で、建築物の設備設計、電気工事、設備の保安、通信設備といった業務ごとに、法律で資格が関わる場面があります。
この記事では、電気設計・電気設備設計に携わる方に向けて、関係する資格が「電気設計とどう結びつくのか」を軸に整理します。
監修:室田茂樹
株式会社プラスバイプラス 代表取締役
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電気設計に資格は必要?
電気設計全般に共通して一律に必要となる資格はありません。ただし、担当する業務・建物の規模・立場によって、資格が必要または重要になる場合があります。「電気設計」という言葉は、実際には次のように幅広い業務を指して使われています。
| 電気設計の領域 | 主な業務 | 関係しやすい資格・制度 |
|---|---|---|
| 建築物の電気設備設計 | ビルや住宅の受変電、照明、コンセント、弱電などの設計 | 建築設備士、建築士、設備設計一級建築士 |
| 電気工事に伴う設計・施工図 | 工事のための配線計画、施工図の作成 | 電気工事士、電気工事施工管理技士 |
| 電気設備の保安・管理 | 受変電設備などの運用・保守を前提とした設備計画 | 電気主任技術者 |
| 電気通信設備 | 通信ネットワーク設備の設計・維持管理 | 電気通信主任技術者 |
| 回路・制御などの設計 | 機器内部の電気回路、制御盤の設計 | 業務内容によるため、法令上必須の国家資格が定められている場面は一般的ではありません |
ここで押さえておきたいのは、電気工事の施工に関する資格と、設計業務に関係する資格は同じではないという点です。たとえば電気工事士は電気工事の作業に従事するための資格であり、設計を行うための資格ではありません。
なお、「電気設備設計士」という言葉で検索されることがありますが、国家資格の名称としては一般的ではありません。電気設備の設計に関する公的な資格を探す場合は、後述する建築設備士などが該当します。
電気設計・電気設備設計に関係する資格一覧
電気設計・電気設備設計に関係する代表的な資格・制度として、電気工事士、電気主任技術者、電気工事施工管理技士、建築士、建築設備士、設備設計一級建築士、電気通信主任技術者などがあります。ただし、これらはすべて「電気設計をするための資格」というわけではありません。施工、施工管理、建築物の設計、設備設計、保安、通信設備など、それぞれ役割が異なります。
そのため、資格名だけで選ぶのではなく、「自分がどの業務を担当するのか」を基準に整理することが大切です。
| 資格名 | 主な役割 | 電気設計との関係 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 電気工事士 | 電気工事の作業に従事する | 施工方法や電気設備の知識を身につけるうえで役立つ。設計に必須の資格ではない | 設計と施工の両方を理解したい人 |
| 電気主任技術者 | 事業用電気工作物の保安を監督する | 受変電設備など、保安を前提とした設備計画と関係する | 受変電設備・保守・管理に関わる人 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気工事の施工を管理する | 設計図書や施工図をもとに現場を管理する。設計資格そのものではない | 施工側で設計図書を扱う人 |
| 建築士 | 建築物の設計・工事監理を行う | 建築物の電気設備を含む設計図書を扱う際に関係する | 建築物の設計そのものに携わる人 |
| 建築設備士 | 建築設備の設計・工事監理について建築士に助言する | 電気・空調・給排水など建築設備設計との関係が深い | 建築設備設計を専門にしたい人 |
| 設備設計一級建築士 | 一定規模以上の建築物の設備設計を行う、または法適合確認を行う | 大規模建築物の設備設計に直接関係する | 大規模建築の設備設計を担いたい人 |
| 電気通信主任技術者 | 事業用電気通信設備の工事・維持・運用を監督する | 通信ネットワーク設備を扱う設計・設備業務に関係する | 通信設備分野に携わる人 |
電気工事士
電気工事士とは、一般住宅や店舗、工場、ビルなどの電気設備の工事に従事するための国家資格です。感電や漏電火災など、電気工事の欠陥による災害を防ぐため、電気工事士法では一定範囲の電気工事について、資格を持つ人が作業に従事することを定めています。電気設計との関係:
電気工事士は工事の「作業」に関する資格であり、電気設計をするために必須の資格ではありません。ただし、設計した内容が現場でどのように施工されるかを理解しておくことは、施工しやすく安全な設計図を描くうえで役立ちます。設計と施工の距離が近い会社では、設計担当者が電気工事士を取得しているケースもあります。
第一種と第二種の違い:
第二種電気工事士は、一般住宅や小規模な店舗など、600ボルト以下で受電する設備の工事に従事できます。第一種電気工事士は、これに加えて、最大電力500キロワット未満の工場やビルなどの電気設備の工事にも従事できます。
試験内容や仕事内容について詳しく知りたい方は、電気工事士の仕事内容や第一種・第二種の違いもあわせて確認してください。
電気主任技術者
電気主任技術者とは、電気事業法に基づき、事業用電気工作物の工事、維持、運用に関する保安の監督を行う国家資格です。 一般に「電験」と呼ばれ、取り扱える電圧によって第一種から第三種までの区分があります。| 区分 | 保安を監督できる範囲 |
|---|---|
| 第一種 | すべての事業用電気工作物 |
| 第二種 | 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
| 第三種 | 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000キロワット以上の発電所を除く) |
電気設計との関係:
高圧で受電するビルや工場などの設備(自家用電気工作物)では、設置者が電気主任技術者を選任し、保安の監督をさせる必要があります(小規模事業用電気工作物を除く)。つまり、設計した受変電設備は、完成後に電気主任技術者の保安監督のもとで運用されることになります。
電気主任技術者は設計そのものを独占する資格ではありませんが、設備の安全な運用や点検のしやすさを見据えた設計をするうえで、保安の考え方を理解していると役立ちます。電気設備の設計・保安・管理を一体で考えたい方にとって、関わりの深い資格です。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士とは、電気工事の施工管理に必要な技術を認定する国家資格です。 設計の資格ではなく、工事の工程・品質・安全・原価を管理する立場の資格にあたります。電気設計との関係:
施工管理の担当者は、設計図書を読み取り、施工計画を立て、必要に応じて施工図を作成します。設計者が描いた図面を現場で実現する立場にあたるため、設計と施工の橋渡しをする場面で接点が生まれます。試験でも、設計図書の内容を正確に理解する力や、電気設備の施工図を適正に作成する力が問われます。
1級は監理技術者、2級は主任技術者として現場に配置される資格でもあり、役割は設計ではなく施工の管理にあります。資格取得を検討している方は、電気工事施工管理技士の試験内容や受験資格も確認しておくとよいでしょう。
建築士
建築士とは、建築物の設計や工事監理を行うための資格です。 一級建築士、二級建築士、木造建築士があり、建築物の規模や構造などによって、それぞれ設計できる範囲が定められています。電気設計との関係:
建築物の設計では、意匠や構造だけでなく、電気・空調・給排水などの設備も設計図書の一部として扱われます。そのため、建築物の電気設備設計を考える場合には、建築士の資格や建築士法上の設計業務との関係を理解しておくことが重要です。
ただし、電気設備の図面作成や設計補助に携わるすべての人が建築士資格を必要とするわけではありません。どの資格が必要になるかは、自ら設計の責任を負うのか、設計者の指示のもとで作図や補助業務を行うのかによって異なります。
建築設備の専門知識を生かして建築士を支援する資格としては「建築設備士」、一定規模以上の建築物の設備設計に関わる資格としては「設備設計一級建築士」があります。
建築設備士
建築設備士とは、建築士法に基づき、建築設備の設計・工事監理について建築士に専門的な助言を行う資格です。対象となる建築設備には、電気設備のほか、空調・換気設備、給排水衛生設備などが含まれます。電気設計との関係:
建築設備士は、建築物の電気設備を含む設備全般について専門的な知識を持ち、建築士の設計や工事監理を支援する立場です。そのため、「電気設備設計に関係する資格」を考えるうえで代表的な資格のひとつといえます。
ここで注意したいのは、建築設備士でなければ電気設備の設計ができない、という制度ではない点です。あくまで、建築士が設備について専門的な助言を受ける仕組みの中で位置づけられた資格です。
建築設備士は、建築設備全般について専門性を高めたい人や、建築物の電気設備設計を専門分野としていきたい人に関係の深い資格です。
設備設計一級建築士
設備設計一級建築士とは、一定規模以上の建築物の設備設計について、自ら設計を行う、または他の一級建築士が行った設計の法適合確認を行う資格者です。 対象となるのは、階数が3以上で、床面積の合計が5,000平方メートルを超える建築物です。電気設計との関係:
対象となる大規模な建築物では、電気設備を含む設備設計について、設備設計一級建築士が自ら設計するか、設備設計一級建築士以外の一級建築士が設計した場合に設備設計一級建築士による法適合確認を受ける必要があります。大規模建築物の電気設備設計に責任を持つ立場を目指す場合に関わる制度です。
建築設備士との違いは、次の表のとおりです。
| 項目 | 建築設備士 | 設備設計一級建築士 |
|---|---|---|
| 役割 | 建築士に設備設計・工事監理の助言を行う | 一定規模以上の建築物の設備設計を自ら行う、または法適合確認を行う |
| 対象 | 建築設備全般(延べ面積2,000㎡超の建築物で建築士が意見を聴くよう努める) | 階数3以上かつ床面積5,000㎡超の建築物 |
| 取得の流れ | 所定の受験資格を満たし、建築設備士試験に合格する | 一級建築士として所定の業務経験を積み、登録講習を修了する |
設備設計一級建築士になるには、一級建築士として一定期間、設備設計など対象となる業務を経験したうえで、登録講習を修了する必要があります。
対象となる業務経験や講習の受講要件は細かく定められているため、取得を検討する場合は建築技術教育普及センターが公表する最新の要件を確認しましょう。
電気通信主任技術者
電気通信主任技術者とは、電気通信事業者が選任し、事業用電気通信設備の工事、維持、運用を監督させるための国家資格です。 電気通信事業法に基づく資格で、「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2つの区分があります。電気設計との関係:
この資格が関わるのは、主に通信事業者のネットワーク設備に携わる設計・設備業務です。ビル内の電気設備に付随する情報通信設備を設計するだけであれば、この資格が直接必要になる場面は限られます。通信設備の設計・維持管理を専門にする場合に検討する資格と考えるとわかりやすいでしょう。
なお、端末設備などを電気通信回線設備に接続する工事については、別に「工事担任者」という資格が関わる場合があります。通信設備を扱う業務では、どの設備を対象にするのかによって必要な資格が変わります。
電気図面を作成するのに資格は必要?
CADを使って電気図面を作成する「作図」と、法令上の責任を負って行う「設計」は分けて考える必要があります。設計者の指示に基づいてCADへ図面を入力したり、既存の設計内容をもとに図面作成を補助したりする作業そのものについて、一般に特定の資格が必要になるわけではありません。
一方で、建築物について自らの責任で設計図書を作成する場合や、電気工事の施工、施工管理、設備の保安監督などを行う場合には、それぞれの業務に応じた資格や法令上の要件が関係します。
そのため、「電気図面を描くのに資格が必要か」を考える際は、単にCADを操作するかどうかではなく、誰が設計の責任を負い、どの業務として図面を作成するのかを確認することが重要です。
| 立場・場面 | 関係する資格・制度 |
|---|---|
| 設計者の指示に基づき、CAD入力や図面作成を補助する | 作図補助そのものと、自らの責任で行う「設計」は区別して考える必要があります |
| 建築物の設計図書を自らの責任で作成する | 建築士法により、建築物の用途・規模・構造などに応じて、建築士の資格が必要になる場合があります。電気設備を含む建築設備の設計図書も関係します |
| 一定規模以上の建築物の設備設計を行う | 対象となる建築物では、設備設計一級建築士による設計または法適合確認が必要になります |
| 電気工事のための施工図を作成する | 施工図は設計図書をもとに施工方法や納まりを具体化する図面です。施工管理を担当する場合は、電気工事施工管理技士などの資格が関係します |
| 実際に電気工事の作業を行う | 電気工事士法により、対象となる電気工事には電気工事士の資格が必要です |
| 電気設備の保安を監督する | 事業用電気工作物などでは、電気事業法に基づき電気主任技術者が関係します |
このように、「電気図面を作成する=必ず資格が必要」というわけではありません。
ただし、図面を作成する行為が建築士法上の「設計」にあたる場合や、その図面をもとに施工・施工管理・保安監督まで担当する場合には、それぞれの業務に応じた資格が必要になることがあります。
電気図面を扱う仕事を目指す場合は、「図面を描けるか」だけでなく、設計・施工・施工管理・保安のどの立場まで担当するのかを確認したうえで、必要な資格を検討するとよいでしょう。
資格だけでなく、実際の設計・作図業務では使用するCADも作業効率に影響します。配線図や電気設備図面の作成に使える機能については、電気工事向けCADでできることも確認できます。
電気設計に関する資格は仕事内容に合わせて選ぶ
電気設計に関する資格は、「有名な資格を取ればよい」のではなく、自分が担当する業務に合わせて選ぶことが大切です。- 施工を担当する場合:電気工事士
- 施工管理を担当する場合:電気工事施工管理技士
- 建築物の設備設計を担当する場合:建築設備士、設備設計一級建築士(建築士)
- 保安・管理を担当する場合:電気主任技術者
- 通信設備を扱う場合:電気通信主任技術者
建設業での仕事や資格、今後のキャリアを広く考えたい場合は、建設業の仕事・資格・キャリアの考え方も参考になります。
また、施工・施工管理・保安なども含めて電気工事に関する資格を整理したい方は、電気工事に関係する資格の種類とそれぞれの役割もあわせてご覧ください。
よくある質問
電気設計は資格がなくてもできますか?
電気設計全般に一律で必要な資格はなく、資格がなくても従事できる業務はあります。ただし、建築物の設計図書を自らの責任で作成する場合などは、建築士法により建築士の資格が必要になることがあります。担当する業務によって異なります。電気設備設計士という資格はありますか?
「電気設備設計士」という名称は検索などでよく使われますが、国家資格の名称としては一般的ではありません。建築物の電気設備設計に関わる公的な資格としては、建築設備士や設備設計一級建築士があります。電気工事士がないと電気設計はできませんか?
電気工事士は電気工事の作業に従事するための資格であり、設計をするために必須の資格ではありません。ただし、施工を理解するうえで役立つため、取得する設計担当者もいます。電気図面を描くのに資格は必要ですか?
CADで図面を作成する作業そのものに、特定の資格を求める定めは一般にありません。ただし、図面を設計図書として自らの責任で作成する場合や、工事・施工管理・保安に関わる場合は、立場に応じた資格が関係します。電気設備設計を目指すなら、最初にどの資格を検討すべきですか?
担当したい業務によって異なります。建築物の電気設備設計を専門にする場合は、建築士や建築設備士などが関係します。施工に近い立場で設計や図面を扱う場合は電気工事士や電気工事施工管理技士、保安・管理に近い領域であれば電気主任技術者が候補になります。資格ごとに受験資格や取得条件が異なるため、まずは将来担当したい業務を整理し、その業務に必要・役立つ資格から検討するとよいでしょう。







