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  • 2026年07月21日

施工管理における原価管理とは?役割・管理項目・進め方を解説

原価管理・利益管理
施工管理における原価管理とは?役割・管理項目・進め方を解説


施工管理者として現場を担当するようになると、上司や経営層から原価管理を求められる場面が増えてきます。

ただ実際には、「数字の管理は経理の仕事では?」「どこまで把握していればいいのか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

施工管理者が行う原価管理は、経理処理や会社全体の収支分析ではありません。担当工事について、実行予算・発生した原価・工事の進捗・今後かかる見込み原価を確認しながら、工事完了前に予算超過や利益減少の兆候に気づき、現場の対応につなげることが中心です。

本記事では、施工管理者が担当工事で行う原価管理の役割・管理項目・進め方を、具体的な確認ポイントとあわせて解説します。

監修:プラスバイプラス編集部

建設業向けCADや原価管理システムの開発・提供を通じて、現場の業務効率化を支援しています。 日々の業務の中で出会うお客様の声をもとに、図面作成・申請業務・積算・見積り・原価管理などに 関する実務知識を蓄積し、正確で実践的な情報発信を行っています。

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施工管理における原価管理とは

施工管理における原価管理とは、担当工事を進める中で発生する費用を把握し、実行予算・実績原価・今後発生する見込み原価を確認しながら、完工時に予算を超える可能性がないかを判断する業務です。

施工管理者の役割は、経理担当者のように会計処理を行うことではなく、工事の進捗と原価の変化を確認し、予算超過の兆候を工事中に把握することです。

工事が完成してから「赤字だった」と分かっても、その時点では取れる対策が限られます。施工管理者が工事の途中で原価の変化に気づき、必要に応じて、発注内容や作業工程の見直しを関係者と検討することが、原価管理の重要な役割です。

なお、会社全体の利益管理や複数工事を含めた収益分析は、主に経営者が行う原価管理の領域です。本記事では、「施工管理者が担当工事で行う原価管理」に絞って説明します。

関連記事:原価管理とは?目的やメリット、管理方法の全体の流れを分かりやすく解説
 

施工管理で原価管理が必要な理由

工事中に予算超過へ気づくため

施工管理者が原価管理を行う最も直接的な理由は、工事中に予算超過の兆候へ気づくためです。

工事が完了してから原価を集計しても、その時点ではすでに費用は確定しています。外注作業の追加発注、材料の廃棄、作業のやり直しなど、原価が増える要因は工事の途中で発生します。進行中の段階で「予定よりも費用が膨らんでいる」と気づければ、発注量の見直しや作業手順の変更を検討できます。

 

工事ごとの利益を確保するため

建設業では、同じ工事種別でも工事ごとに現場条件・施工難易度・外注先が異なります。見積段階で想定した利益率が、現場の実態にそのまま当てはまるとは限りません。

施工管理者が工事ごとの原価を確認することで、どの費用が想定を超えているか、あるいはどの費用が予定内に収まっているかを把握でき、利益確保に向けた判断材料を持てます。

 

現場判断に根拠を持つため

材料の追加発注や職人の増員、外注工事の範囲変更など、現場では日々さまざまな判断が求められます。原価の状況を把握していれば、「この追加発注は予算内か」「外注費がこれ以上増えると予算を超えるか」という判断に数字の根拠を持てます。

感覚だけで判断するより、原価の裏付けがある判断のほうが上司や経営層への説明もしやすくなります。

 

次の見積りや実行予算へ反映するため

工事ごとに原価の実績を確認することで、次の工事の見積りや実行予算に活かせるデータが蓄積されます。「前回この作業では外注費がこのくらいかかった」「この材料は廃材が出やすいので数量を多めに見ておく必要がある」といった気づきが、次の工事の精度を高めます。

 

施工管理で確認する4つの工事原価

工事原価は、主に「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の4つに分類されます。施工管理者がどの費用のどこを確認するかを、それぞれ整理します。

 

材料費

材料費は、木材・鉄筋・コンクリート・配管資材など、工事に使用する資材の購入費用です。

施工管理者が確認するポイントとしては、発注量と実際の使用量のバランスが挙げられます。設計変更や施工ミスによるやり直しが発生すると、材料が余分に必要になります。また、資材の価格変動により、見積り時と実際の購入単価がずれることもあります。

「当初の発注量で足りているか」「廃材や余剰材料が多くなっていないか」を工事の節目ごとに確認することが基本です。

 

労務費

労務費は、自社で雇用している職人や現場作業員に支払う賃金・手当などです。外部の協力会社に作業を依頼する費用は「外注費」に分類されます。

確認ポイントは、作業日数・人員数・稼働時間が当初の計画と比べてどう推移しているかです。作業が計画より遅れると、その分の人件費が増えます。工程に遅延が出始めたときは、労務費への影響も同時に確認しておく必要があります。

 

外注費

外注費は、鳶工事・電気工事・設備工事など、専門的な作業を協力会社や下請け業者に依頼した際に支払う費用です。建設工事では多くの専門工事が外注されるため、工事原価の中でも特に大きな割合を占めることがあります。

確認ポイントは、発注金額と当初の実行予算との比較、および追加発注の有無です。設計変更や追加工事が発生すると外注費も増加します。発注書・請求書・実行予算を照合し、「どの外注先に、いくら払っているか」を把握しておくことが基本です。

 

経費

工事現場で発生する費用は多岐にわたりますが、会計上は材料費、労務費、外注費、経費などに分類されます。このうち経費は、材料費、労務費、外注費とは異なる性質を持つ費用を指し、現場事務所の賃料、水道光熱費、重機や車両のリース代、保険料、交通費などが含まれることがあります。

個々の経費は少額に見えることがありますが、工事が長期化すると総額が積み上がることがあります。特に、重機のリース期間の延長や仮設設備の利用期間の長期化は、当初の計画を超える可能性があるため、注意深い管理が求められます。

工事原価の内訳や計算方法については、「工事原価とは?内訳・計算方法・原価管理のポイント」で詳しく解説しています。

 

施工管理における原価管理の進め方

工事前|見積りと実行予算を確認する

工事を開始する前に、見積書と実行予算の内容を確認し、「何にいくらかかる想定か」を把握しておきます。

見積書と実行予算は別物です。見積書は受注を目的とした顧客への提示金額であり、利益が含まれています。実行予算は実際に工事を完遂するために必要な原価の目標値であり、現場を管理するうえでの基準となります。

実行予算が手元にある場合は、材料費・労務費・外注費・経費がそれぞれいくらに設定されているかを確認しておきます。実行予算がない状態では予算との差を判断しにくいため、少なくとも費目ごとの原価目安を工事前に整理しておくことが必要です。

実行予算の意味や見積りとの違いについては、「建設業の実行予算とは?作成目的や内訳、原価との違い」で詳しく解説しています。

 

工事中|発生した原価を記録する

工事を進めながら、発生した原価を記録・収集します。具体的には、材料の発注書・受領書、外注先への発注書・請求書、日報・出面帳などが対象です。

これらの情報が担当者ごとに手元に散らばっていると、工事中に「今いくら使っているか」を把握するのが難しくなります。発注情報や費用記録を一定のルールでまとめておくことが、後の集計・確認を楽にします。

 

工事中|進捗と予算・実績の差を確認する

発生した原価の記録だけでは不十分です。工事の進捗状況とあわせて確認することが重要です。

たとえば、工事の50%が完了した時点で、外注費の実績が実行予算の70%を超えていた場合、このままでは完工時に外注費が予算を超過する可能性があります。進捗があまり進んでいない段階で原価だけが増えていれば、後工程でさらに費用が発生することも見込まれます。

ただし、材料費や外注費は工事の前半に集中して発生する場合もあります。単純な割合だけで判断せず、残りの工程で発生する見込み原価もあわせて確認することが重要です。

工事の進み具合に対して原価がどの程度発生しているかを確認し、今後の見込み原価まで含めて判断することが、予算超過の早期発見につながります。

 

予算超過が見込まれる場合は原因を確認する

進捗と原価を照合した結果、予算超過が見込まれる場合は、原因を確認します。主な確認ポイントは以下のとおりです。
  • どの費用項目(材料費・労務費・外注費・経費)で超過しているか
  • いつ、どの作業・工程で費用が増えたか
  • 設計変更・追加工事・やり直しが発生したか
  • 当初の実行予算の想定が甘かったのか、現場の事情によるものか
原因を確認したうえで、残りの工程で調整できる余地があるか、追加の発注を抑制できるか、発注先と費用の見直しが必要かを判断します。対応が必要であれば、早めに上司や経営層と情報を共有します。

 

完工後|予算と実績を振り返る

工事が完了したら、実行予算と実績原価を項目ごとに照合し、差異の原因を振り返ります。

「どの項目でどのくらいの差が出たか」「その原因は何か」を整理しておくことで、次の見積りや実行予算に活かせるデータになります。完工後の振り返りを積み重ねることが、工事ごとの精度向上につながります。

 

原価が予定より増える主な原因

工事中に原価が当初の想定を上回る場合、主な原因は以下のようなケースが多くみられます。

設計変更・追加工事の発生
発注者からの設計変更や仕様追加が発生すると、材料・外注・労務のいずれかに影響します。変更内容と原価への影響を都度確認し、必要に応じて追加費用の請求対応も検討します。

作業のやり直し
施工不良や確認不足により作業のやり直しが発生すると、材料費・労務費・外注費が想定外に増えます。品質管理の徹底が原価管理にも直結します。

工程遅延による費用の長期化
天候不順・資材の納期遅延・協力会社のスケジュール変更などで工程が遅れると、現場の維持費(仮設・リース・人件費など)が長引きます。

資材の価格変動
見積や実行予算を作成した時期から資材単価が上昇していた場合、購入時の金額が当初想定を超えます。特に長期工事では注意が必要です。

外注範囲の拡大
当初の計画では自社対応を想定していた作業が、人手不足などの理由で外注に切り替わると外注費が増加します。

 

工程管理・品質管理・安全管理と原価管理の関係

施工管理の業務は、工程管理・品質管理・安全管理・原価管理の4つが基本とされます。これらは独立した業務ではなく、互いに影響しあっています。

工程管理と原価管理
工程が遅れると、人件費・リース費・仮設費などが増加します。工程の遅延を早期に把握することは、原価超過の防止にもつながります。一方、工程を早めるために追加人員や外注を投入すると、原価が増える場合があります。そのため、工程への影響と費用への影響をあわせて判断する必要があります。

品質管理と原価管理
施工不良が発生すると、やり直しの費用(材料・労務・外注)が原価に加わります。品質を確保することは、コストの余分な発生を防ぐことにもなります。

安全管理と原価管理
労働災害が発生すると、工事の一時停止・作業員の手当・補償費用などが生じます。安全な現場運営は、予期しない原価の発生を防ぐうえでも重要です。

施工管理の仕事内容や四大管理全体については、「施工管理とは?仕事内容・四大管理・現場監督との違い」で詳しく解説しています。

 

施工管理者と経営者・経理が行う原価管理の違い

同じ「原価管理」という言葉でも、担当する立場によって見ている範囲と目的が異なります。
立場 主な役割 対象範囲
施工管理者 担当工事の原価を把握・管理する 工事ごとの材料費・労務費・外注費・経費
経営者 全工事・全体の収益を管理する 会社全体の利益率・資金繰り・経営判断
経理・事務 費用の記録・仕訳・集計を行う 請求書処理・帳簿・決算対応
施工管理者の役割は、担当工事の原価状況を工事中に把握し、異常があれば現場対応・上位者への報告につなげることです。会社全体の損益を確定させることは経営者と経理の領域であり、施工管理者に求められる範囲とは異なります。

この役割の違いを理解しておくと、「何を把握すれば十分か」「どこから先は上司や経理に任せるか」の判断がしやすくなります。また、原価の状況を数字で共有できれば、経営・経理とのやり取りもスムーズになります。

 

施工管理の原価管理で起こりやすい課題

施工管理者が原価管理を行ううえで、現場でよく生じる課題を整理します。

工事中に「今いくら使っているか」が分からない
日報・出面帳・発注書・請求書がそれぞれ別の場所や担当者のもとに分散していると、工事進行中に原価の全体像をつかみにくくなります。情報が揃わないと、進捗と原価の対比もできません。

完工後に初めて問題が発覚する
工事中に原価を確認する仕組みや習慣がないと、予算超過は完工後の集計で初めて判明します。その時点では現場で取れる対策が限られ、予算超過や赤字を回避することが難しくなります。

追加・変更の費用が曖昧なままになる
口頭での追加指示や、変更内容の記録が不十分なまま工事が進むと、どの作業がどのくらいの費用を発生させたか後から追えなくなります。追加費用の請求や原価の把握が難しくなります。

Excelや手書きでの管理に限界が生じる
発注書・日報・請求書をExcelや紙で個別に管理していると、複数工事が重なったときに集計・照合に時間がかかります。入力漏れや転記ミスも起きやすく、数字の信頼性が下がります。

 

施工管理の原価管理には工事情報の一元化が重要

施工管理の原価管理を難しくする要因の一つが、必要な情報の分散です。

原価を把握するには、見積書や実行予算だけでなく、発注書・日報・出面帳・請求書など、複数の情報を照らし合わせる必要があります。しかし、これらが書類やファイルごとに分かれ、異なる担当者のもとで管理されていると、工事中の原価を集計するだけでも時間がかかります。

特に複数の工事を同時に担当している場合、情報の収集や転記に追われ、予算超過の兆候に気づくのが遅れる可能性があります。

そのため、施工管理の原価管理を機能させるには、工事ごとの予算・発注・実績・進捗をまとめて確認できる体制を整えることが重要です。

紙やExcelでも原価管理はできますが、工事数や関係者が増えるほど、入力漏れや転記ミス、更新の行き違いが起こりやすくなります。工事原価管理ソフトを活用すれば、工事ごとの情報を一元的に管理しやすくなり、工事中の予算・原価・利益を確認しながら、早めに対応を検討できるようになります。

建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」では、工事台帳をもとに工事ごとの予算・原価・利益をまとめて管理できます。工事が完了してから集計するのではなく、工事中の状況を確認しながら原価管理を行いたい場合に役立ちます。

 

まとめ

施工管理における原価管理とは、担当工事の費用の動きを把握し、予算超過や利益減少の兆候を工事中に察知して現場の対応につなげる業務です。

施工管理者が原価管理で確認する主なポイントは以下のとおりです。
  • 工事前:実行予算または見積内訳で「何にいくらかかる想定か」を把握する
  • 工事中:発生した原価(材料費・労務費・外注費・経費)を記録・収集する
  • 工事中:工事の進捗と原価の消化率をあわせて確認し、ズレの兆候を察知する
  • 予算超過が見込まれる場合:費用が増えている項目・原因を確認し、必要に応じて上司・経営層へ共有する
  • 完工後:予算と実績を振り返り、次の工事に活かす
原価管理を機能させるには、工事に関わる書類・情報を一元的に把握できる体制が重要です。発注書・日報・請求書がバラバラに管理されていると、工事中に「今いくら使っているか」を把握しにくくなります。

こうした情報の分散を解消し、予算・原価・利益の状況を工事進行中に確認しやすくするために、工事原価管理ソフトを活用する会社も増えています。担当工事の原価管理をより確実に行いたい方は、自社の管理体制に合ったツールの導入を検討してみてください。

関連記事:建設業における原価管理の難しさと、実践するメリットを詳しく解説
 

施工管理における原価管理に関するよくある質問

Q1. 施工管理者が行う原価管理とは何ですか?

担当工事で発生する費用(材料費・労務費・外注費・経費)の動きを把握し、実行予算と実績の差を工事進行中に確認する業務です。
予算超過や赤字工事の兆候を早期に察知し、現場の対応や上司への報告につなげることが中心的な役割です。会社全体の損益確定や経理処理は、経営者・経理担当の領域となります。

 

Q2. 施工管理者が工事中に確認すべき原価の項目は何ですか?

材料費・労務費・外注費・経費の4項目が基本です。
それぞれの発生状況を実行予算と照合し、工事の進捗に対して原価がどの程度発生しているかを確認します。外注費が大きな割合を占める工事では、発注金額と請求金額の差や、追加発注の有無も確認しておきましょう。

 

Q3. 予算超過が見込まれる場合、施工管理者はどう対応すればよいですか?

まず、どの費用項目で超過しているか、いつ・どの作業で費用が増えたかを確認します。
設計変更や追加工事が原因の場合は、追加費用を請求できるかも確認します。残りの工程で調整できる余地があるかを判断し、必要に応じて上司や経営層へ早めに共有しましょう。工事完了後では現場で取れる対策が限られるため、工事中に原因を把握して対応を検討することが大切です。

 

Q4. 施工管理の原価管理がうまくいかない主な原因は何ですか?

主な原因の一つが、原価管理に必要な情報の分散です。
発注書・日報・請求書・出面帳が別々の担当者や場所で管理されていると、工事中に原価の全体像をつかみにくくなります。また、工事中に進捗と原価を照合する習慣がない場合、問題が完工後に発覚しやすくなります。

 

Q5. 施工管理の原価管理にシステムを使うメリットは何ですか?

発注情報・実績・進捗を一元管理できるため、「今いくら使っているか」を工事進行中に確認しやすくなります。また、同じ情報を複数の書類へ転記する手間が減り、入力漏れや転記ミスの防止にもつながります。複数工事の集計や照合もしやすくなり、予算超過の兆候に早く気づいて対応を検討できます。

 

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