- 2025年12月03日
PDFをCAD変換する方法とは？無料のオンラインフリーソフトも紹介
水道工事に関する知識電気工事に関する知識
CADファイルと紙ベースの図面やPDFファイルの互換性は、図面データを扱う上で重要なポイントです。特に、多くの資料やデータのやり取りで使われるPDFのデータを、CADファイルへと変換する効率的な手段を探している人もいるでしょう。
本記事では、PDFをCAD変換できるおすすめのフリーソフトや、PDFからCADへ変換する際に気をつけたい注意点について解説します。より簡単かつ効率的にCAD用ファイルへ変換するために、ぜひお役立てください。
コンテンツ
PDFデータをCAD変換する必要性
PDFは、ビジネスでよく用いられるファイル形式の1つです。建設業界では、図面の作成や編集、管理にはCADが一般的に用いられます。ただ、PDFをそのままCADソフトで開くと、図面の線や形状が認識されず、直接編集ができません。そこで、CADソフトウェアに対応した形式への変換が必要です。
PDFをCADデータに変換することで、迅速に修正が行えるため、突然の変更にも柔軟に対応できます。また、編集や閲覧の際に最初の縮尺をそのまま反映させられるため、面積や寸法の追加修正が発生しない点も便利です。
PDFをCADデータに変換する方法とは？
CADにPDFファイルの図面を取り込み、データ化する方法はいくつかあります。ここでは、代表的な方法を紹介します。紙の図面をスキャンしてCADに取り込む
紙図面をスキャンしてCADデータに取り込む場合、まず図面をスキャナで読み取り、モノクロ2値のラスターデータ（TIFFやJPEGなどの画像データ）として変換用のデータとして取り込みます。このラスターデータは点と線の集合体であり、CAD上ではそのまま編集できません。
そのため、取り込んだ画像データに加筆修正が必要な場合は、CAD画面上にDWFやDGN、PDFなどのファイルを下敷きとして配置する「アンダーレイ」という機能を使うことになります。
さらに、スキャンしたデータをCAD上でトレースして別のレイヤーで清書する必要があるため、多くの時間がかかることも想定されます。
CADデータ変換の専用ソフトを使う
スキャンした画像データをCADデータに変換する専用のシステムやソフトウェアを使用する方法もあります。これにより、スキャナーで読み取ったラスターデータを、文字や線として認識・表現されるベクターデータへと変換できます。
変換されたベクターデータは、CADデータとして活用でき、DXFやDWGなどのファイル形式で出力可能です。PDFデータをCADデータに変換できるシステムもあり、多様なニーズに対応できる環境が整っています。
専用のシステムやソフトウェアを用いることで、多様なジオメトリオブジェクトの作成に加え、元データの誤差修正や傾き・角度の補正、不要な箇所の削除なども行えます。
また、複数の画層を組み合わせてデータの再利用ができる点も大きなメリットです。
手軽に変換したい場合には、PDFをDWGやDXF、JWWなどのフォーマットへオンラインで変換できる無料サービスも存在します。
PDFの読み込み可能なCADを利用する
PDFファイルを直接読み込めるCADソフトを利用すれば、変換作業の手間を省くことができます。これにより、中間変換ステップが不要となり、作業効率の向上やデータ損失の最小化につながります。
多くの主要CADソフトウェアでは、PDFの構造を解析し、ベクターデータをCADオブジェクトとして自動的に変換する機能を備えています。
この方法の大きなメリットは、PDFファイルに含まれるベクターデータを直接活用できる点です。
線や基本的な図形の変換精度が向上し、PDFに埋め込まれたフォント情報も保持されるため、テキストの再現性も高まります。
ただし、PDFファイルの作成方法によっては、すべての情報が正確に変換されない場合があるため、注意が必要です。
特にラスター画像として埋め込まれた図形や複雑なグラデーションは、追加の編集作業が必要になることがあります。
PDFをCADに変換するときの注意点
PDFからCADへの変換作業では、いくつかの注意点があります。以下の項目を踏まえることで、円滑な変換と編集作業が実現するでしょう。編集可能なPDFデータに変換されない場合がある
PDFからCADへデータを変換する際に、編集可能なジオメトリに変換されない可能性があります。PDFデータには、ベクターデータとラスターデータという2種類の形式が存在します。ファイルによっては2つが混在している場合もあります。ベクターデータは、CADで修正や編集ができる形式で変換されるため問題ありません。一方、ラスターデータは点で構成されており、変換時に画像として認識されてしまう場合があります。
特に、紙の図面をスキャンしてPDFにしたデータは、通常ラスターデータであるため、CADデータへの変換時に精度が低下します。PDFからCADへの変換では精度が重要であり、PDFをベクターデータ形式にしておくとスムーズです。
取り込んだデータに補正が必要な場合がある
PDFからCADへ変換する元データの品質や、変換プロセスによっては補正作業が必要です。CADでは、レイヤー（層）を使って、多くの情報をわかりやすく図面に落とし込みます。PDFは主に印刷や表示用の形式であるため、通常は単一レイヤーで構成されています。これに対し、CADでは複数のレイヤーを用いて情報を整理するため、変換後にレイヤー分けが必要になることがあります。
また、変換後に寸法やスケールが正しく表示されない場合もあるため、CADデータの状態で正確な寸法やスケールを再確認して補正しましょう。線の太さや色などの要素が変わっていれば、元データに合わせて調整することも必要です。
変換直後のデータは編集作業の土台であり、高品質なCADデータを得るためにも不備のないように準備しましょう。
変換ソフトのファイル形式に注意する
データ変換ソフトを使う場合、対応しているファイル形式に注意が必要です。適切なファイル形式を選ぶことで、変換精度の向上と後続の作業効率化につながります。出力するCADファイルは、使用するCADソフトと互換性のある形式を選択しましょう。具体的には、AutoCADなら「DWG」「DXF」、JWCADなら「JWW」です。レイヤー構造やブロック、テキストスタイルなどがどの程度保持されるかは、ファイル形式によっても変わります。重要な要素が含まれる場合は、できるだけ元データを保持できるものが望ましいでしょう。
なお、中間ファイル形式（SVGやDXFなど）を経由することで、変換精度が向上する場合があります。ただし、この方法では変換プロセスが増えるため、効率性とのバランスを考える必要があります。
PDFをCADデータに変換できるフリーソフト5選
PDFをCADデータに変換できるフリーソフトを5つ紹介していきます。中には、ダウンロードやインストール不要ですぐに使い始められるツールもあるので、それぞれの特徴を参考にしてご活用ください。AnyConv
AnyConvは、無料のオンラインファイル変換ツールです。PDFファイルからdxfファイルを含むCADデータへの変換だけでなく、ドキュメントや画像、オーディオ、動画など、300以上の出力ファイル形式の組み合わせに対応しています。使い方は簡単で、AnyConvのサイト上でPDFファイルをアップロードし、変換したいファイルの種類を選ぶだけです。変換自体は、ほとんどの場合数秒で完了します。パソコンはもちろん、スマホやタブレットなどモバイル端末からも利用可能です。
DARE
DAREは、CADやPDFのデータを、他のファイル形式へ変換できる無料のクラウドサービスです。DXFやJWWなど7種類のCADデータ形式に対応しています。AutoCADの互換CADソフトであるインテリジャパン社の「IJCAD」の変換エンジンを内部で利用しており、IJCADで一旦PDFデータを読み込んでからCADデータとして保存することで、高精度な変換結果を実現しています。また、ページ指定や矢印塗りつぶし、テキスト結合、重複テキスト削除などの機能が搭載されており、1つずつ指定できます。
2PDF.com
2PDF.comは、PDFファイルから直接CADファイルに変換できるフリーソフトです。変換後のCADデータには、PDFファイルでのページ要素やレイアウトが高い精度で引き継がれています。オンラインテキスト認識機能を使えば、PDFや画像内のテキストの認識も可能です。AnyConv同様に、クリックまたはドラッグ&ドロップといった簡単な操作でファイルを選択し「Start」をクリックするだけで、変換ファイルが作成され、すぐにダウンロードできます。変換されたファイルは24時間後に自動消去され、高いセキュリティを確保しています。
AnyPDF
AnyPDFは、PDFからDXFファイルへとスピーディに変換するための高速アプリケーションです。オンライン上でファイルをアップロードし、「変換する」を選択するだけで変換が完了します。WindowsやMACなどのパソコンや、Android、iOSなどのスマホ端末から完全無料で使えます。すべてのファイルは1時間以内にサーバー上から完全削除されるため、セキュリティ面も安心でしょう。
OnlineConvertFree
OnlineConvertFreeは、PDFファイルからCADを含む多くのファイル形式へと変換するためのクラウドサービスです。パソコン上だけでなく、GoogleドライブやDropboxなどにあるファイルを、希望するフォーマットへ変換できます。ファイルコンバーター機能以外にも、サイズ調整やトリミング、圧縮、回転といった多彩な機能を備えており、さまざまな用途で利用できるでしょう。
CADデータ変換ソフトの比較ポイント
PDFからCADへの変換するソフトを選ぶ際には、以下のポイントに注目して、目的に合ったものを選ぶことが大切です。- 変換の精度
- 機能性
- サポート
- コスト
変換の精度
変換後のCADデータの精度は、その後の作業効率や負担の大きさに影響します。CADデータの精度が低いと、線種や色などの補正作業が多く発生します。また、正しい寸法が反映されない、図形が正しく認識されない、といった場合には再確認と修正に時間を取られるでしょう。変換精度が高ければ、スムーズにCADでの編集作業を開始できます。トレース代行サービスのように、手動で図面をトレースしたような精度が理想的ですが、自動認識技術を用いるソフトでも適切に読み込みができるものは少なくありません。
機能性
自社で必要な機能を備えた変換ソフトを導入することが大切です。既存のCADに対応したファイル形式で出力できないと、別のファイル形式にしてから再度変換し直す手間がかかるため、事前に確認しましょう。多くのソフトでは、代表的なCADソフトであるAutoCAD、そして汎用性の高いJWCADで扱えるファイル形式に対応しています。中には、矢印塗りつぶしやテキスト結合、重複テキストの削除など機能性の高いものもあるので、使いたい機能を比較して選びましょう。
サポート
CAD変換ソフトを初めて使う場合など、導入や運用の各段階でサポートが受けられるかどうかも確認が必要です。ベンダーによっては、専門の担当者が導入からアフターフォローまで一貫してサポートしてくれます。また、24時間対応や遠隔支援など、ソフトによって利用できるサポート内容は異なるため、詳細について問い合わせておくと無難です。
コスト
PDFからCADデータへ変換できるソフトには、フリーソフトから有料ソフトまでさまざまなものがあります。フリーソフトは、導入から利用まで完全無料で、初期コストを抑えたい場合におすすめです。ただ、機能面で制約があり、変換精度が落ちる可能性があります。一方、有料ソフトでは初期費用や月額料金が発生しますが、高精度な変換や手厚いサポートが得られる点が特徴です。変換で重要になる精度をはじめ、機能性やサポートなどを総合的に考慮すると、品質を求めるなら有料ソフトが望ましいでしょう。
PDFを読み込みできるCADを使う
PDFファイルを読み込みできるCADソフトがあれば、PDFからCADへの変換不要で図面データを取り込み、編集に使うことが可能です。ただし、PDFデータを保存する際に、作成したソフトの機能があわせて引き継がれていることを確認する必要があります。テキストや線などがデータとして保存されていない場合、受け取ったPDFファイル自体はplusCADのようなCADソフトで開けても、編集できない可能性が高いです。PDFファイルが単なる画像としてのPDFファイルなのか、それともテキストデータを残して保存されたものか、という点も事前に確認が必要です。
plusCADは、PDFファイルの読み取り機能が標準装備されています。また、水道や電気など各分野の図面に必要な材料が揃っており、図面をゼロから作る場合にも効率的に作業できます。また、マウス操作だけで作図から見積もり作成までほとんどの作業を完結できる「plusCAD総合α」など種類も豊富ですので、下記より詳細をご覧ください。
まとめ
CAD図面を作成、編集する際にPDFファイルのデータが必要となる場面は多く見られます。CADファイル形式へ変換できるツールの中には、完全無料かつインストール不要で使えるクラウドサービスやソフトウェアも多数あります。最適なツールを見つけるために、今回紹介したおすすめツール一覧をぜひ参考にしましょう。plusCADのように、PDFファイルを直接CADで読み込めるソフトもあります。
plusCADは、PDFやDXFなど、多くのデータ形式に対応しており、スムーズな読み込みや書き込みが可能です。また、紙図面のスキャンもできるため、作図作業の効率化を促します。併せてご検討ください。
PDFのCAD変換についてよくある質問
Q：PDFをCAD変換する際の注意点は何ですか？
PDFからDXFファイルへ変換し、CADデータを編集するにあたって、手直しが発生することがあります。変換ソフトは高精度でデータを引き継いでくれますが、データの状態やサイズなどによっては編集に入る前に調整が必要な場合があります。データの補正を最小限に抑えたい場合は、PDFを直接取り込めるCADを利用するか、データ取り込み時の不備を自動補正できるツールを選ぶと良いでしょう。
Q：PDFをCAD変換できるツールは無料ですか？
無料のツールも多く存在します。今回紹介した5つのツールはすべて無料で使えます。インストールやダウンロードの必要がなく、それぞれのWebページにアクセスしてPDFファイルをアップロードし、変換をスタートすれば短時間で完了できます。また、ファイルデータは24時間など一定時間経つと自動で削除されるため、プライバシー面も安心です。データの扱いなど利用上の注意点は事前に確認しておくことをおすすめします。
Q：CAD変換ツールはPDFファイル以外にも対応していますか？
PDFやCAD以外のファイル形式に対応しているフリーツールも多数あります。例えば、「OnlineConvertFree」は、GIFやJPEG、DOCXなど数十もの形式へ変換可能です。対応ファイル形式については、各ツールで確認しましょう。Q：PDFが編集可能なジオメトリに変換されない場合はどうしたらいいですか？
利用したいCADソフトの対応条件を確認してみましょう。AutoCADの場合、PDFIMPORT（PDF読み込み）コマンドが使えるのはAutoCAD2018移行のバージョンで作成された図面に限られます。異なるバージョンの図面でなければ正常にデータが読み込まれ、線分は編集可能なジオメトリに、文字は編集可能なテキストデータに変換されます。
Q：PDFからCADへの変換ソフトを使用するメリットは？
PDFファイルからCADデータへ変換する際に、専用システムやソフトウェアを使うメリットとして、主に操作性や効率性、そして信頼性が挙げられます。専用システムを使用せずPDFという静的データをCADへ変換するには高度なスキルが必要です。また、大量なPDFをCADデータに変換するのに労力がかかりますが、変換ソフトを使えば効率的に実行できます。さらに、専用ソフトはCAD変換に特化しており、機能そのものの信頼性が高いため、安心して導入できるでしょう。
Q：JWCADでPDFをDXFファイルに変換できますか？
JWCAD上ではPDFファイルを編集可能なDXFファイルへと直接変換することはできません。PDFからDXF形式へと変換するソフトウェアまたはオンラインサービスを使用し、データを変換してからJWCADへ取り込む必要があります。Q：PDFの図面データをCADに変換する必要はありますか？
PDFは、建設業だけでなく、多くのビジネスシーンで活用されています。ただ、PDFには大まかに2つのデータ形式があり、ラスターデータの場合、CAD上で画像として認識されてしまうため、編集はできません。そのため、使用するCADに対応したファイル形式へ変換する必要があります。また、PDFからCADへ変換すれば、図面の元データをそのまま利用できる場合があり、寸法や面積などの計測を効率的に行えます。ただ、変換ソフトや図面データの精度によっては、線種や図形、テキストなどの補正が必要です。
Q：CAD変換フリーソフトのおすすめは？
PDFからCADへ変換できるフリーソフトのおすすめは、以下の通りです。- AnyConv
- DARE
- 2PDF.com
- AnyPDF
- OnlineConvertFree
Q：PDFをCADへ変換するソフトを選ぶポイントは？
CAD変換ソフトにはさまざまな種類があります。自社に適したCAD変換ソフトを選ぶためのチェックポイントとして、以下の項目が挙げられます。- 変換の精度
- 機能性
- サポート
- コスト
Q：CADからPDFへ図面データを変換する際の注意点は？
CADデータをPDFへ変換する必要がある場合、以下の点に注意が必要です。- 図面の精度の確認
- レイヤーの統合
- フォントの埋め込み
- 色の設定
特殊なフォントなどを使いたいときは、あらかじめ埋め込みを行っておくと正確に表示できます。さらに、CADデータに色が含まれている場合、カラーモードが自動的に変わる可能性があるため、設定に注意が必要です。
Q：PDFからCADへ変換する際の読み込み精度を上げるには？
PDFからCADへ変換する際、読み込みの設定を適切に行うことで変換精度が上がり、補正作業の負担を軽減できる場合があります。注意点は、以下の通りです。- ページの指定
- 配列順序
- 矢印の塗りつぶし
- 図枠作成
