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経営事項審査とは?流れや審査項目・期間・評価点数を上げるためのポイントを解説

  • 公開日:2021年11月19日
建設業に関する知識
経営事項審査とは?流れや審査項目・期間・評価点数を上げるためのポイントを解説

国や自治体から公共工事を請け負う場合、経営審査事項という審査を受けなければなりません。「まだ経営事項審査を受けたことがない」「初めて経営事項審査を受ける」といった場合は、審査項目や流れを事前に把握しておきましょう。この記事では、経営事項審査について詳しく解説します。令和3年4月に施行された経営事項審査の改正内容や、評価点数を上げるためのポイントなども紹介するので、チェックしてみてください。

経営事項審査とは

経営事項審査とは、建設業者の経営規模や技術力、経営状況などを審査するもので、審査結果は客観的な指標として点数化されます。平成6年に建設業法の改正があり、公共工事の入札に参加するためには経営事項審査を受けることが必須となりました。経営事項審査の点数は、公共工事の競争入札で建設業者の資格審査をする際に用いられます。
経営事項審査は公共工事の入札以外の目的でも使われることがあり、公共工事への入札予定がなくても経営事項審査を受ける建設業者も増えています。例えば、下請業者の選定や、取引を継続している下請業者の経営状態の確認などに利用するケースです。このように、元請業者からの指示で、経営事項審査を受ける建設業者もあります。
 

経営事項審査を受けるメリット

経営事項審査を受けるためには、申請手続きや費用がかかりますが、公共工事の入札への参加や経営状態の明確化、社会的な信頼性の向上といったさまざまなメリットが期待できます。ここでは、経営事項審査を受けるメリットについて解説します。

公共工事の入札に参加できるようになる

経営事項審査を受ける最大のメリットとして、公共工事の入札に参加できることが挙げられます。国や自治体が発注する公共工事は、民間企業が発注する工事よりも一般的に規模が大きく、受注が長期的に発生します。大きな工事をまとめて請け負えるため、自社の売上が安定しやすい傾向にあります。
 

また、貸し倒れのリスクがなく、安心して契約できる点も魅力です。さらに、経営事項審査を受けて公共工事を受注できれば、1つの大きな実績として評価されます。信頼や実績が重視される傾向にある建設業界において、その後の受注に有利に働く可能性が高いでしょう。

国土交通省令に基づき自社の経営状況が明確化される

経営事項審査の審査方法は全国共通で、点数を付けて評価されます。国土交通大臣や都道府県知事、および国土交通大臣の登録を受けた第三者機関である登録経営状況分析機関が、規定の項目を公正に審査・評価するので、客観的に自社の経営状況を把握できます。
 

また、審査後1ヶ月の間は、審査結果がホームページ上で公開されます。自社だけでなく他社の点数も掲載されるため、自社のレベルや現状を相対的に確認し、良い点や改善すべき課題を冷静に把握することが可能です。
 

日頃の業務のなかで、自社の経営状況を外部から冷静に判断する機会は少ないですが、企業の進展に必要な対策を考えるための重要な情報源として経営事項審査の結果を活用できます。

会社の信頼が向上する

経営事項審査を受けた結果がホームページ上で一般公開されることで、会社の信頼性が高まるというメリットもあります。レベルが明確で、経営基盤が安定している企業の方が受注先として選ばれる可能性が高まります。
 

また、経営事項審査を通して公共工事の競争入札への参加申請を行った場合、入札参加資格者登録を済ませた建設業者として、格付評点やランク、経審点数などが一般公開されます。
 

民間事業者のなかには、経営事項審査を受けていること、あるいは一定以上の経審点数を得ていること、を発注条件にしているところもあります。企業としての信頼度がアップすれば、ビジネスチャンスを拡げるきっかけとなるでしょう。

経営事項審査を受けるデメリット(注意点)

経営事項審査にはメリットが多い一方で、デメリットや注意点がない訳ではありません。ここでは、経営事項審査を受ける主な2つのデメリットについて解説します。

手続きが複雑で時間がかかる

経営事項審査では、必要な申請が何度かに分けて行われるため、手続きに時間がかかります。主な流れは後ほど説明しますが、会社の決算が終了した後、財務諸表や審査に必要な書類を作成します。
 

記入漏れや提出漏れがないよう、慎重に進めるには労力がかかります。もし提出書類に不備があれば、その都度対処する必要があります。また、毎日の受注や費用の計上など、日常業務と並行して準備を行わなければならず、負担に感じる可能性もあるでしょう。

申請に費用がかかる

経営事項審査には、所定の手数料を支払う必要があります。主な手数料は「経営状況分析申請」「経営規模等評価申請」「総合評定値の請求」の3つで、それぞれで算定方法が決まっています。
 

申請方法やプランによって異なるものの、手数料の合計金額は約1.8〜2.2万円が相場です。
 

経営事項審査の流れ

経営事項審査を受けるには、前提として建設業許可を受けていなければなりません。まだ建設業許可を受けていない場合は、先にそちらの対応が必要です。
経営事項審査は、次の流れで行います。
  • 1.決算報告書の作成
  • 2.経営状況分析の申請
  • 3.経営規模等評価申請
  • 4.経営規模等評価結果通知書の受領
それぞれのステップについてどのような対応が必要なのか、以下で解説します。
 

決算報告書の作成

はじめに、決算報告書を作成します。この決算日から1年7ヶ月間が、経営事項審査の有効期限になります。決算報告書を作成したら、決算終了後4ヶ月以内に事業年度終了届も提出してください。
 

経営状況分析の申請

経営事項審査を受けるには、先に経営状況分析の結果を取得しておく必要があります。経営状況分析機関に、直近1年分の財務諸表などの必要書類を添付して申請を行いましょう。分析機関での分析が完了すると、経営状況分析結果通知書が届きます。
 

経営規模等評価申請

経営状況分析の結果が届いたら、経営規模等評価申請を行います。経営状況分析結果通知書と、その他の必要書類を添付して申請し、総合評定値の請求を行います。
 

経営規模等評価結果通知書の受領

審査が完了したら、経営規模等評価結果通知書が届きます。総合評定値を請求した場合は、同一の様式で総合評定通知書も送付されます。この評価が、経営事項審査の結果です。
 

審査項目・評価の算出方法

経営事項審査には、次の4つの審査項目があります。
  • 経営規模
  • 経営状況
  • 技術力
  • その他審査項目(社会性等)
この4つを点数化し、それぞれに一定の比率をかけて総合評定値を算出します。ここでは、それぞれの審査項目と算出方法について解説します。
 

経営規模(X1、X2)

経営規模は、完成工事高(X1)と自己資本・利払前税引前償却前利益(X2)の2つを評価します。完成工事高は、審査基準日の直近2年平均もしくは3年平均の完成工事高が評価対象です。2年平均と3年平均のどちらで評価するかは、評価を受ける業者側が選べるようになっています。
自己資本・利払前税引前償却前利益は、自己資本額点数と平均利益額点数から算出します。自己資本額は純資産の合計、平均利益額点数は利払前税引前償却前利益の2期平均です。
 

経営状況(Y)

経営状況は、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4項目について、それぞれ2指標ずつの計8指標を使って算出します。この点数は、経営状況分析機関に算出してもらいます。
 

技術力(Z)

技術力は、元請完成工事高と技術職員数から算出します。元請完成工事高の年間平均に応じた点数と、「一級監理受講者」「一級技術者であって一級監理受講者以外」など指定の技術者の人数に応じた点数がそれぞれ決まっていて、その点数で技術力が審査されます。
 

その他審査項目(社会性等)(W)

その他審査項目は、上記3項目以外の項目です。具体的には、以下の9項目が審査されます。
  • 労働福祉の状況
  • 建設業の営業継続の状況
  • 防災活動への貢献の状況
  • 法令遵守の状況
  • 建設業の経理の状況
  • 研究開発の状況
  • 建設機械の保有状況
  • 国際標準化機構が定めた規格による登録の状況
  • 若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
「雇用保険や健康保険に加入しているか」「指示処分や営業停止処分の有無」「若年技術員の人数比率」など、あらゆる観点の評価を点数化して、総合点を算出します。
 

算出方法

総合評定値(P)は、上記4つの審査項目に一定の比率をかけた以下の式で計算します。
  • P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
この式によって、建設業者ごとの点数が算出されます。
 

申請期間

経営事項審査の有効期間は、申請直前の決算日から1年7ヶ月です。起算日が交付日ではなく申請直前の決算日である点に注意してください。「交付された日から1年7ヶ月が有効期限」だと勘違いしていると、次回の経営事項審査の申請が遅れ、有効期限切れから次の結果通知が届くまで空白期間が生じる可能性があります。経営事項審査の有効期限が切れてしまったら、次に申請して交付されるまで公共工事を請け負うことはできません。
経営事項審査の空白期間を作らないために、毎年決算が終了したら早めに決算変更届を提出し、経営事項審査を申請しておきましょう。先述の通り、経営事項審査は経営状況分析と経営規模等評価の2つを順に申請して結果を受ける必要があるので、決算後はすみやかに次回の経営事項審査のための手続きを進めなければなりません。
 

評価点を上げるためのポイント

公共工事の受注や自社の実績のアピールのためには、なるべく評価点をアップさせておきたいところです。ここでは、経営事項審査の評価点を上げるためのポイントを紹介します。
 

完成工事高を上げる

完成工事高は、2年平均か3年平均かを選ぶことが可能です。完成工事高が少しでも高くなるように、2年平均と3年平均のどちらが高くなるかを試算してから申請しましょう。また、工事完成基準ではなく工事進行基準を用いるのもひとつの方法です。年度をまたぐ工事の場合、工事進行基準なら工事の進行状況に応じて審査年度の完成工事高に計上できます。だたし、当然ながら翌年度の完成工事高に計上できる分が減る点には注意が必要です。
 

「その他の審査項目(社会性等)」の点数を上げる

「その他の審査項目(社会性等)」は審査項目が多く、他の3つの項目に比べて多くの点数アップ施策が考えられます。「加点される社会保険制度への加入」「防災協定を締結している団体への加入」「退職一時金制度等の導入」など、できる対策を進めましょう。
 

令和3年に経営事項審査の一部内容が改正

令和3年4月以降の経営事項審査では、建設業者の技術力を評価するために「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況点数(W10)」がその他審査項目に追加されました。その他にも、主に以下の内容が改正されています。
 

・技術職員数に関する改正
・労働福祉の状況に関する改正
・建設業の経理の状況に関する改正
それぞれの改正内容について解説します。
 

技術職員数に関する改正

建設業法の改正に伴い、技術職員数(Z1)の技術職員区分に監理技術者補佐が新設されました。
監理技術者補佐とは、1級施工管理技術試験の第一次試験に合格して「1級技士補」の称号を得た人や国家資格・学歴や
実務経験によって監理技術者になる資格を持っている人です。
監理技術者補佐は主任技術者より上位と位置づけられており、有資格者1名あたり4点として評価されます。

なお、監理技術者補佐として技術者加点を受けるためには、
入札日の段階で常勤の労働者として3か月以上直接雇用している実績が必要です。

 

労働福祉の状況に関する改正

法定の労災保険の上乗せ補償制度に加入している場合に、労働福祉点数(W1)が15点加点される共済制度の幅が広がりました。
従来は、民間の保険会社や全日本火災共済協同組合連合会など一部の共済事業が提供する補償制度に限り加点対象でした。
令和3年4月以降は、中小企業等協同組合法に基づいて共済事業を運営する事業者で、以下の2つの要件を満たす補償制度に加入していれば労働福祉点数の加点を受けられるようになります。

・直接雇用の従業員だけでなく、工事に携わる下請業者の従業員も給付対象であること
・労災保険の障害等級1~7級に関連する障害給付・遺族給付の基因となるすべての災害を対象とすること
 

建設業の経理の状況に関する改正

令和3年4月以降は、1級・2級の建設業経理士検定の合格者が在籍していても、5年ごとに登録経理講習を受講していなければ、建設業の経理の状況(W5)の加点を受けられなくなります。1級建設業経理士が企業の経理状況を自主監査して、監査の受審状況点数を得る場合も同様です。また、公認会計士や税理士が在籍している場合は、公認会計士・税理士として登録した上で所定の研修を受講しなければ加点対象外となるのでご注意ください。
令和5年3月までは経過措置が適用されていますが、建設業経理士に合格してから年数が経っている場合は、早めに登録経理講習を受講することをおすすめします。
 

審査項目の新設

その他の審査項目(社会性等)の評点に、「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)」が新設されました。
建設業法の改正で、適正な建設工事の実施に必要な知識や技術・技能の向上が努力義務として定められたからです。
技術者個人がセミナーや講習を受講して得た単位(CPD単位)や、技能者のレベルアップの度合いなどに応じて、最大10点まで加点されます。

 

従業員が技術を高める機会を継続的に提供することで、経営事項審査の加点の獲得だけでなく工事技術の向上や将来の担い手の確保にもつなげられるでしょう。
 

まとめ

経営事項審査は、公共工事を請け負うために必須の審査です。
公共工事を請け負う予定がなくても、客観的な評価を取得しておくと企業のアピールにもなるため、申請を検討してみましょう。
申請する場合は、評価点アップのためにできる対策について、事前にチェックすることをおすすめします。

 


 

経営事項審査に関するよくある質問

経営事項審査とは?

経営事項審査とは、建設業者の経営規模や技術力、経営状況などを審査するものです。
審査結果は客観的な指標として点数化され、公共工事の競争入札で建設業者の資格審査をする際に用いられます。
経営事項審査の結果は、下請け業者の選定や、取引している下請業者の経営状況の把握など、公共工事の入札以外の目的でも使われることもあります。

 

経営事項審査の審査項目は?

経営事項審査の審査項目は、「経営規模」「経営状況」「技術力」「その他審査項目(社会性等)」の4つです。
経営規模は、完成工事高(X1)と自己資本・利払前税引前償却前利益(X2)の2つを評価します。
経営状況(Y)は、経営状況分析機関によって8指標から算出されます。
技術力(Z)は元請完成工事高と技術職員数から、その他審査項目(社会性等)は上記3項目以外の8項目から、それぞれ算出される数値です。

これらを元に、総合点(P)として以下の式で評価します。
P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
 

経営事項審査の有効期間は?

経営事項審査の有効期限は、申請直前の決算日から1年7ヶ月です。
経営事項審査の空白期間を作らないために、毎年決算が終了したら早めに決算変更届を提出し、経営事項審査を申請する必要があります。
経営事項審査の有効期限が切れてしまったら、次に申請して交付されるまで公共工事を請け負うことはできないので注意してください。

 

経営事項審査はなんのために行う?

経営事項審査では企業の経営状況・規模をはじめ、技術力や法令遵守・社会保険の加入状況などを点数化した上で、客観的な指標として工事の発注者に提示するために行われます。公共工事の競争入札に参加する資格を得るためには、経営事項審査の受審が必須です。
 

経営事項審査は何に使う?

経営事項審査の結果は、公共工事の競争入札に参加する際の資格審査に活用されます。
民間企業の取引でも、下請業者を選定したり経営状況を確認したりする目的で経営事項審査のデータを活用する場面もみられます。
なお、経営事項審査の結果は一般財団法人建設業情報管理センターのホームページで公開されます。

 

経営事項審査の申請期限はいつまで?

経営事項審査の申請期限は、決算日(審査基準日)から4ヶ月以内が目安です。
税務申告を済ませた後、都道府県知事または国土交通省の各地方整備局に経営状況分析データを添付書類を提出します。
経営事項審査の手続き前に、決算変更届の提出も必要です。
申請が遅れると公共工事を受注できない期間が発生する恐れがあるので、早めに手続きするようにしましょう。

 

経営事項審査結果通知書はいつまでに届く?

経営事項審査結果通知書は、申請書が受理されてから1ヶ月~1ヶ月半ほどで届きます。
申請者が多い時期は、申請書が届くまで2ヶ月前後かかる場合もあります。
また、申請書に不備があった場合は内容を補正するまでの日数も加わるため、申請担当者から連絡があった場合は速やかに対応しましょう。

 

経営事項審査結果通知書の点数はどこを見ればいいの?

公共工事の入札資格を確認するには、経営事項審査結果通知書(総合評定通知書)の総合評定値(P)を確認します。
建設業の許可業種ごとに点数が異なるので、見間違えないようご注意ください。
完成工事高(X1)や技術職員数・元請完成工事高(Z)で自社の経営状況を把握することも大切です。

 


 

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