- 2026年11月05日
完成工事原価とは?内訳・計算方法や未成工事支出金との違いを解説
原価管理・工事管理

建設業特有の会計処理において、一般会計の売上原価との違いが分からず、どの費用をどの勘定科目に仕訳すればよいか迷っていませんか。
この記事を読めば、完成工事原価とは何か、その内訳から計算方法、未成工事支出金との違いまでを正しく理解できます。
そして、現場で発生する諸費用を適切な勘定科目に仕分け、正確な損益計算書を作成できるようになります。
監修:室田茂樹
株式会社プラスバイプラス 代表取締役
コンテンツ
完成工事原価とは?
完成工事原価とは、建設業会計で用いられる勘定科目の一つで、その会計期間に完成し、引き渡しが完了した工事にかかった費用の総額を指します。一般会計における「売上原価」に相当するもので、損益計算書において売上である「完成工事高」から差し引かれ、工事の粗利益(完成工事総利益)を算出するために使用されます。
完成工事原価を正確に把握することは、建設業の経営状況を正しく理解する上で不可欠です。
この原価は、後述する4つの主要な費用に分類されます。
完成工事原価の意味と基本的な考え方
完成工事原価の基本的な考え方は、一般会計の売上原価と同様です。つまり、収益(売上)に対応する費用のみを計上するという「費用収益対応の原則」に基づいています。
建設業では、収益である「完成工事高」が計上された工事に直接かかった費用だけが、完成工事原価となります。
例えば、ある期に複数の工事を手掛けていても、その期に完成・引き渡しが完了した工事の原価のみが集計され、損益計算に反映されます。
まだ完成していない工事にかかった費用は、完成工事原価には含めません。
ただし、すべての工事で完成・引き渡し時に売上と原価を一括計上するわけではありません。
適用する会計基準や契約内容によっては、工事の進捗に応じて売上(完成工事高)と、それに対応する原価を計上する場合があります。
そのため、完成工事原価を把握する際は、工事の完成状況だけでなく、収益を認識するタイミングにも注意が必要です。
完成工事原価と工事原価の違い
「完成工事原価」と「工事原価」は似ていますが、会計処理上のタイミングが異なります。「工事原価」とは、工事の完成・未完成にかかわらず、工事の施工段階で発生した原価全般を指す言葉です。
一方、「完成工事原価」は、工事が完成し、顧客に引き渡された時点で初めて費用として計上される勘定科目です。
従来の建設業会計では、工事の進捗に応じて収益と原価を計上する「工事進行基準」と、工事完成時にまとめて計上する「工事完成基準」が用いられてきました。
現在は、原則として収益認識に関する会計基準に基づき、契約内容などに応じて、一定の期間にわたって収益を認識するか、一時点で収益を認識するかを判断します。
なお、中小企業では適用する会計基準などによって取り扱いが異なる場合があります。
どちらの基準を採用する場合でも、最終的に損益計算書に費用として計上されるのが完成工事原価であり、収益である完成工事高と対応させる形で処理されます。
完成工事原価に含まれる4つの費用
完成工事原価は、その内訳となる4つの費用から構成されています。具体的には「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の4つです。
これらの費用を正確に集計し、合計することで完成工事原価の計算が行われます。
工事ごとにこれらの内訳を正しく把握することが、適切な原価管理の第一歩です。
工事の利益を正確に知るためには、発生した費用をこの4つのいずれかに正しく分類し、計上する必要があります。
| 費用項目 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 材料費 | 工事に使用・消費する材料の費用 | 電線、配管、鋼材、セメントなど |
| 労務費 | 自社の現場作業員などの直接的な人件費 | 現場作業員の賃金、賞与、手当など |
| 外注費 | 下請業者に工事を発注する費用 | 電気工事や配管工事などの施工委託費 |
| 経費 | 材料費・労務費・外注費以外の工事関連費用 | 現場事務所費、重機使用料、法定福利費など |
現場へ直接投入される資材や仮設材などの材料費
材料費とは、工事を施工するために直接購入し、消費した物品の費用を指します。具体的には、木材、鋼材、セメントといった工事の主要部分を構成する「主要材料費」や、釘、塗料などの「補助材料費」が含まれます。
また、工事のために一時的に設置される足場などの仮設材も材料費として扱われることが一般的です。
重要なのは、資材を購入した時点ではなく、工事現場で実際に消費した時点で費用として計上される点です。
購入時の消費税は、税抜経理方式の場合は費用に含まれず、税込経理方式の場合は費用に含めて処理します。
自社の現場作業員や職人へ支払う労務費
労務費とは、工事現場で直接作業に従事する自社雇用の作業員や職人に対して支払われる人件費のことです。具体的には、給与や賃金、賞与、各種手当、退職給付費用などが該当します。
労務費のポイントは、あくまで「工事に直接関わる従業員」の人件費であるという点です。
例えば、本社の経理担当者や営業担当者の給与は、工事に直接関わっていないため労務費には含まれず、「販売費及び一般管理費(販管費)」として処理されます。
現場監督者の給与など、複数の現場を兼任している場合は、業務内容に応じて適切に按分して各工事の費用に振り分ける必要があります。
下請業者への工事発注にかかる外注費
外注費は、自社で行うべき工事の一部または全部を、他の専門工事業者(下請業者)に発注した際に発生する費用です。例えば、内装工事を専門業者に依頼した場合や、電気工事を別の会社に委託した場合の支払いが該当します。
建設業は多くの専門業者が協力して一つの工事を完成させるため、外注費は原価の中でも大きな割合を占めることが多い重要な科目です。
自社雇用ではないため労務費とは区別され、建設業会計では独立した費用項目として管理されます。
現場事務所の維持費や重機損料などの経費
経費とは、材料費、労務費、外注費のいずれにも分類されない、工事現場で発生するその他の費用全般を指します。その範囲は広く、現場事務所の家賃や水道光熱費、通信費、工事用車両のガソリン代、重機や機械のリース料、減価償却費、現場作業員の法定福利費、現場の駐車場代などが含まれます。
ポイントは、本社で発生する同様の費用は販管費となるのに対し、あくまで「工事現場で発生した費用」が原価としての経費になるという点です。
完成工事原価と未成工事支出金の関係
建設業会計を理解する上で、完成工事原価と並んで重要なのが「未成工事支出金」という勘定科目です。この2つの科目は、工事の完成度合いに応じて費用を正しく期間配分するために密接な関係にあります。
工事が期末時点で完成しているか、それとも未完成であるかによって、会計上の仕訳処理が大きく異なるため、両者の関係性を正しく理解することが不可欠です。
未完成の工事にかかった費用は、完成するまで一時的に未成工事支出金として処理されます。
未成工事支出金とは?
未成工事支出金とは、期末時点でまだ完成していない、あるいは顧客に引き渡されていない工事のために、すでに支出した原価を計上するための勘定科目です。これは費用ではなく、将来的に完成工事原価となる「資産」として貸借対照表に計上されます。
一般会計における「仕掛品」に相当するものです。
工事が完成するまでの間、その工事のためにかかった材料費、労務費、外注費、経費の合計額が、この未成工事支出金として一時的にプールされます。
完成工事原価と未成工事支出金の違い
完成工事原価と未成工事支出金の最も大きな違いは、「費用」か「資産」かという点です。完成工事原価は、当期に完成した工事に対応する「費用」であり、損益計算書に計上されて利益を計算するために使われます。
一方、未成工事支出金は、まだ完成していない工事にかかった原価を一時的に計上する「資産」の勘定科目で、貸借対照表に表示されます。
工事が完成したタイミングで、資産である未成工事支出金は、費用である完成工事原価に振り替えられる仕訳が行われます。
この処理によって、費用と収益が正しく対応付けられます。
工事原価の会計処理の流れ
工事の着工・施工中
材料費・労務費・外注費・経費が発生
↓
未完成工事の原価を集計
未成工事支出金
資産
貸借対照表に計上
↓
工事完成・引き渡しに伴う原価の振替
完成工事原価
費用
損益計算書に計上
※完成時に売上を計上する場合の基本的なイメージです。進捗に応じて収益・原価を認識する場合は、処理が異なります。
工事が完成したときの原価の振り替え
工事が完成し、顧客への引き渡しが完了した時点で、それまで「未成工事支出金」として資産計上されていた原価を、「完成工事原価」という費用の勘定科目に振り替える会計処理を行います。具体的な仕訳としては、借方に「完成工事原価」、貸方に「未成工事支出金」を計上します。
これにより、資産であった未成工事支出金が減少し、同額の費用が発生したことになります。
この振り替え処理によって、完成した工事の売上(完成工事高)と原価が同じ会計期間に計上され、正確な工事利益を算出することが可能になります。
なお、上記は工事の完成・引き渡し時に売上と原価を一括計上する場合の基本的な仕訳例です。
工事の進捗に応じて収益を認識する場合は、その進捗に対応する原価も各会計期間に計上するため、必ずしも工事完成時に原価の全額をまとめて振り替えるわけではありません。
実際の会計処理は、適用する会計基準や契約条件に応じて判断する必要があります。
完成工事原価の計算方法
完成工事原価の計算は、会計期間内にどれだけの工事費用が発生し、そのうちどれだけが完成した工事に帰属するかを明確にするために行います。計算方法は、期をまたぐ工事がない場合はシンプルですが、多くの建設業では期をまたぐ工事があるため、期首と期末の未成工事支出金を考慮した計算が必要です。
使用する勘定科目や計算基準を正しく理解し、材料費、労務費、外注費、経費の4つの要素を正確に集計することが求められます。
完成工事原価の計算式
完成工事原価を計算するための基本的な計算式は以下の通りです。完成工事原価=期首の未成工事支出金+当期の総工事費用-期末の未成工事支出金
「当期の総工事費用」とは、その会計期間中に発生した材料費、労務費、外注費、経費の合計額を指します。
この計算式は、前期から繰り越された未完成工事の原価(期首未成工事支出金)と当期に発生した原価を足し合わせ、そこから当期末時点でまだ未完成の工事の原価(期末未成工事支出金)を差し引くことで、当期に完成した工事に要した原価を算出する考え方です。
【具体例】完成工事原価の計算シミュレーション
具体的な数値を用いて完成工事原価を計算してみましょう。以下の条件でシミュレーションを行います。
期首の未成工事支出金:300万円
当期に発生した材料費:500万円
当期に発生した労務費:400万円
当期に発生した外注費:200万円
当期に発生した経費:100万円
期末の未成工事支出金:250万円
まず、当期の総工事費用を計算します。
500万円+400万円+200万円+100万円=1,200万円
次に、計算式に当てはめます。
完成工事原価=300万円+1,200万円-250万円=1,250万円
この結果、当期の完成工事原価は1,250万円となり、この金額が損益計算書に費用として計上される勘定科目となります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 期首未成工事支出金 | 300万円 |
| 材料費 | 500万円 |
| 労務費 | 400万円 |
| 外注費 | 200万円 |
| 経費 | 100万円 |
| 当期総工事費用 | 1,200万円 |
| 期末未成工事支出金 | 250万円 |
| 完成工事原価 | 1,250万円 |
完成工事原価の計算式
300万円 + 1,200万円 − 250万円
完成工事原価:1,250万円
完成工事原価報告書とは?
完成工事原価報告書とは、建設業会計において作成が義務付けられている書類の一つで、損益計算書に計上される完成工事原価の内訳を詳細に示した報告書です。損益計算書では「完成工事原価」として一括で表示される金額が、具体的にどのような費用で構成されているのかを明らかにします。
完成工事高と対比することで、工事の収益構造を分析するための重要な資料となります。
その求め方は、これまでに解説した計算方法に基づきます。
完成工事原価報告書の役割
完成工事原価報告書の主な役割は、企業の損益状況をより深く理解することにあります。損益計算書だけでは分からない原価の内訳を可視化することで、どの費用が利益を圧迫しているのか、あるいはどの費用を削減できたのかといった原価分析が可能になります。
この分析は、経営改善や次期以降の見積もり精度向上に直結します。
また、金融機関からの融資審査や、公共工事の入札に参加する際の経営事項審査においても、企業の収益性や経営の健全性を示す重要な評価資料として用いられます。
完成工事原価報告書の記載項目と計算方法の違い
### 完成工事原価報告書の記載項目と計算方法の違い完成工事原価報告書には、完成した工事にかかった原価を「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の4つに分類して記載します。
建設業法施行規則で定められた様式では、主に次の項目が記載されます。
1. **材料費**:工事に使用した資材などの費用
2. **労務費**:工事に従事する作業員の賃金など
3. **外注費**:下請業者への工事発注費用
4. **経費**:材料費・労務費・外注費以外の工事関連費用(うち人件費を内訳表示)
これら4つの費用を合計した金額が、完成工事原価報告書に記載される完成工事原価となります。
一方、完成工事原価を算出する際には、期首・期末の未成工事支出金を考慮することがあります。
**完成工事原価=期首未成工事支出金+当期総工事費用-期末未成工事支出金**
この計算式は、当期に発生した工事費用のうち、完成工事に対応する原価を求めるためのものです。
ただし、期首未成工事支出金や期末未成工事支出金は、完成工事原価報告書の法定様式に独立した項目として記載するものではありません。
つまり、**完成工事原価の計算過程と、完成工事原価報告書に記載する費用の内訳は区別して考える必要があります。**
なお、工事の進捗に応じて収益・原価を認識する場合は、適用する会計基準に応じた処理が必要です。
完成工事原価を正確に把握する重要性
完成工事原価を正確に把握することは、単に正しい決算書を作成するという会計上の要請にとどまりません。どんぶり勘定から脱却し、データに基づいた経営判断を行うための基盤となります。
個別の工事の採算性を可視化し、会社全体の収益性を向上させるためには、発生した原価を正しく計算・仕訳し、リアルタイムで管理することが極めて重要です。
これにより、経営上の課題を早期に発見し、具体的な対策を講じることが可能になります。
工事ごとの利益を正確に把握できる
完成工事原価を工事案件ごとに正確に計算することで、どの工事でどれくらいの利益が出たのかを明確に把握できます。会社全体の利益が出ていても、特定の工事が赤字になっている可能性は少なくありません。
工事ごとの採算性を可視化できれば、利益率の高い得意な工事分野や、逆に不採算になりがちな工事の傾向を掴むことができます。
これにより、受注する工事を選別したり、利益率の低い工事の改善策を検討したりするなど、戦略的な経営判断が可能になります。
原価超過や赤字工事の原因を分析できる
もし工事が予算を超過して赤字になった場合、完成工事原価の内訳を詳細に分析することで、その原因を具体的に特定できます。例えば、当初の見積もりよりも材料費が高騰したのか、想定外の追加工事で外注費が増加したのか、あるいは天候不順で工期が延びて労務費や経費がかさんだのか、といった原因究明が可能です。
原因が特定できれば、同じ失敗を繰り返さないための具体的な対策を立てられます。
正確な仕訳と勘定科目ごとのデータ蓄積が、このような分析の土台となります。
次の工事の見積もり精度を高められる
過去の工事でかかった原価の実績データは、将来の同種工事における見積もりを作成する際の貴重な資料となります。経験や勘だけに頼った見積もりは、予期せぬ原価超過を招くリスクがあります。
しかし、過去の工事の材料費、労務費、外注費、経費などの詳細な実績データを根拠にすることで、より現実に即した精度の高い見積もりを作成できます。
これにより、適正な利益を確保しつつ、競争力のある価格を提示することが可能になります。
完成工事原価を正確に管理するためのポイント
完成工事原価とは何かを理解した上で、それを正確に管理・運用していくためには、日々の業務におけるいくつかのポイントを押さえる必要があります。建設業における原価管理は、会社全体の損益を正しく把握し、経営の安定化を図るために不可欠です。
以下に、そのための具体的なポイントを3つ解説します。
これらのポイントを実践することで、原価管理の精度を向上させることができます。
工事ごとに原価を記録・集計する
最も基本的なポイントは、発生したすべての費用を必ず特定の工事案件に紐づけて記録・集計することです。材料の仕入れ伝票や作業員の日報、外注先への請求書など、原価に関連するあらゆる書類について「どの工事のための費用か」を明確に区別して管理します。
これにより、会社全体の売上原価としてまとめて処理するのではなく、工事ごとの原価を正確に算出することが可能になります。
この積み重ねが、工事ごとの損益管理の基礎となります。
未完成工事と完成工事を区別して管理する
決算期末には、進行中の全工事について「完成しているか」「未完成か」を明確に判定し、区別して会計処理を行う必要があります。当期に完成した工事の原価は「完成工事原価」として費用計上し、未完成の工事の原価は「未成工事支出金」として資産計上します。
特に、決算月をまたいで続く工事では、労務費や外注費の計上タイミングを誤ると、期間損益が不正確になるため、厳密な管理が求めます。
工事台帳を活用して原価と利益を確認する
工事台帳(工事原価台帳)とは、工事ごとに収入、支出、利益を記録・管理する帳簿のことです。この台帳を活用し、当初の実行予算と、日々の実績原価を比較することで、工事の進捗状況や採算性をリアルタイムで把握できます。
原価が予算を上回りそうな兆候を早期に察知し、対策を講じることが可能です。
また、決算時には未成工事支出金から完成工事原価への振替仕訳を正確に行うための基礎資料にもなります。
建設業の原価管理の進め方については「建設業の原価管理フロー」で詳しく紹介しています。
工事ごとの原価・利益管理を効率化するなら「要 ~KANAME~」
完成工事原価を正確に把握するためには、工事ごとに発生する材料費・労務費・外注費・経費を日々記録し、適切に集計することが重要です。しかし、複数の工事を並行して進める場合、Excelや紙の工事台帳では原価の集計に手間がかかり、入力漏れや集計ミスが発生することもあります。
こうした工事ごとの原価・利益管理を効率化したい場合におすすめなのが、建設業向けの工事管理システム「要 ~KANAME~」です。
「要 ~KANAME~」は、工事台帳をベースに工事ごとの原価や利益を一元管理できるため、工事の採算状況を把握しやすくなります。
日々の原価管理を効率化し、利益を確保できる経営体制を目指すなら、「要 ~KANAME~」の活用をご検討ください。
完成工事原価についてよくある質問
最後に、完成工事原価に関するよくある疑問点とその回答をまとめます。完成工事原価と完成工事高の違いは何ですか?
完成工事原価は「完成した工事を造るためにかかった費用」であるのに対し、完成工事高は「完成した工事によって得られた売上」を指します。両者は費用と収益の関係にあり、損益計算書上で完成工事高から完成工事原価を差し引くことで、工事の粗利益が計算されます。
完成工事高の計算方法については「完成工事高とは?意味と計算方法」で詳しく紹介しています。
完成工事原価に人件費は含まれますか?
はい、含まれます。ただし、工事現場で直接作業に従事する自社従業員の給与、賃金、賞与、手当などが「労務費」として完成工事原価に含まれます。
本社で働く総務や経理、営業担当者など、工事に直接関わらない従業員の人件費は、完成工事原価ではなく「販売費及び一般管理費」として処理されます。
未成工事支出金はいつ完成工事原価になりますか?
工事が完成し、顧客への引き渡しが完了した会計期間の決算処理において、完成工事原価に振り替えられます。それまでは「未成工事支出金」という資産科目で計上されていたものが、工事の完成をもって「完成工事原価」という費用科目に変更されることで、その期の売上(完成工事高)に対応する費用となります。
完成工事原価と売上原価の違いは何ですか?
本質的な意味は同じですが、使われる業種が異なります。完成工事原価は建設業会計で使われる勘定科目で、「完成した工事」にかかった原価を指します。
一方、売上原価は製造業や小売業、サービス業など建設業以外の多くの業種で使われ、「販売した商品や提供したサービス」の原価を指します。
建設業の原価管理については「建設業の原価管理の基礎知識」で詳しく紹介しています。
完成工事原価報告書は何のために作成するのですか?
損益計算書に記載されている「完成工事原価」の具体的な内訳(材料費、労務費、外注費、経費)を株主や金融機関などの利害関係者に示すために作成します。これにより、どのようなコスト構造で利益を生み出しているのかが明確になり、経営分析や融資審査、経営事項審査の際の重要な判断材料となります。
まとめ
完成工事原価は、建設業の損益を正しく把握するための根幹となる勘定科目です。一般会計の売上原価に相当し、材料費、労務費、外注費、経費の4つの要素で構成されます。
期末時点で未完成の工事費用は「未成工事支出金」として資産計上し、工事が完成したタイミングで完成工事原価に振り替える処理が必要です。
完成工事原価を工事ごとに正確に管理することは、個別の採算性を可視化し、見積もり精度を高め、データに基づいた経営判断を行う上で不可欠です。







