- 2026年08月31日
予実管理システムとは?Excelとの違いやメリット・選び方を解説
現場管理・業務管理

複数部門から集まるExcelファイルの集計に追われ、リアルタイムな経営判断が難しいと感じていませんか。
予実管理システムとは、予算と実績のデータを一元管理し、その差異を分析することで迅速な意思決定を支援するツールです。
この記事を読めば、自社の規模や予算、既存の会計ソフトとの親和性に合った最適なシステムを比較・選定し、データの自動集約とリアルタイムな予実分析ができる環境を構築できます。
おすすめの選び方から具体的なメリットまで詳しく解説します。
監修:室田茂樹
株式会社プラスバイプラス 代表取締役
コンテンツ
予実管理システムとは
予実管理システムとは、企業や部門、プロジェクト単位で策定した予算と、実際の活動によって生まれた実績のデータを一元的に管理・分析するためのITツールです。従来Excelなどで行われていた煩雑な集計作業を自動化し、経営状況をリアルタイムに可視化することで、迅速かつ正確な意思決定を支援します。
データの収集から分析、レポーティングまでを効率化し、経営のPDCAサイクルを高速で回す基盤となります。
予算と実績を一元管理するシステム
予実管理システムは、各部門や拠点からバラバラに報告される予算データと、会計システムなどから出力される実績データを一つのプラットフォームに集約します。これにより、全社の数字を横断的に把握できるだけでなく、データの整合性を保ち、バージョン管理も容易になります。
手作業によるデータの転記や統合が不要になるため、ヒューマンエラーを防ぎ、常に正確な情報に基づいた管理が可能です。
Excelによる予実管理との違い
Excelでの予実管理は、ファイルの集計・統合に膨大な時間がかかる、関数やマクロが属人化しやすい、データの同時編集が難しいといった課題があります。一方、予実管理システムは、データが自動で集約され、リアルタイムに経営状況を把握できます。
また、複数人での同時アクセスや権限設定も可能なため、属人化を防ぎ、組織全体で効率的な予実管理を実現します。
分析機能やレポーティング機能も標準搭載されており、専門的な知識がなくても高度な分析が可能です。
予実管理システムでできること
予実管理システムは、単に数字を集計するだけでなく、経営判断に役立つ多様な機能を提供するサービスです。データの一元管理から高度な分析、レポート作成まで、予実管理業務全体を効率化し、精度を高めることができます。
予算・実績データの一元管理
各部門で作成された予算データや、会計ソフトから出力される実績データをシステム上に自動で集約し、一元的に管理します。これにより、データが分散することなく、いつでも最新の正しい情報にアクセスできる環境を構築します。
バージョン管理も容易になり、「どのファイルが最新か分からない」といった混乱を防ぎます。
予算と実績の差異分析
システムが予算と実績の数値を自動で比較し、差異を算出します。なぜ差異が発生したのか、ドリルダウン機能を使って勘定科目や部門、プロジェクトといった詳細な階層まで掘り下げて原因を特定できます。
これにより、問題の早期発見と迅速な対策立案が可能になります。
売上・原価・利益の可視化
集約されたデータを基に、ダッシュボード機能で売上や原価、利益などの経営指標をグラフや表で分かりやすく可視化します。複雑な数値データを視覚的に捉えることで、経営層や各部門の責任者が直感的に状況を把握し、次のアクションを検討しやすくなります。
データの自動集計
予実管理における最も時間のかかる作業の一つが、各所から集めたデータの集計です。予実管理システムでは、あらかじめ設定したルールに基づいて、これらのデータを自動で集計します。
手作業による集計業務から解放されることで、担当者は分析や戦略立案といった、より付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。
レポート・グラフの作成
経営会議などで使用する定型レポートや各種グラフを、ボタン一つで自動作成できます。毎回手作業で資料を作成する必要がなくなり、報告業務の工数を大幅に削減します。
フォーマットが統一されるため、報告の質が安定し、議論もスムーズに進みます。
会計ソフトなど外部システムとの連携
会計ソフトや販売管理システム、SFA(営業支援システム)など、社内で利用している様々な外部システムと連携できます。実績データを自動で取り込むことで、二重入力の手間を省き、入力ミスを防止します。
これにより、データの鮮度と正確性が向上し、リアルタイム性の高い予実管理が実現します。
予実管理システムを導入するメリット
予実管理システムを導入することは、単なる業務効率化に留まりません。Excelでの管理と比較して、データの精度向上や経営判断の迅速化など、企業経営そのものに大きなメリットをもたらします。
集計作業を効率化できる
システムが自動でデータを収集・集計するため、担当者が各部門のExcelファイルを開いてコピー&ペーストを繰り返すといった手作業が不要になります。これまで数日かかっていた月次の集計作業が数時間、あるいは数分で完了することもあり、業務時間を大幅に短縮できます。
入力・転記ミスを減らせる
手作業が介在すると、どうしても入力ミスや転記ミスといったヒューマンエラーが発生しやすくなります。予実管理システムは、会計システムなどから実績データを自動で取り込むため、人為的なミスを根本から排除し、データの信頼性を高めます。
最新の予実状況を把握しやすくなる
データがシステム上でリアルタイムに更新されるため、経営層はいつでも最新の経営状況をダッシュボードなどで確認できます。月次決算を待たずに日次や週次で状況を把握できるため、市場の変化や計画とのズレに対して、迅速に対応策を打つことが可能になります。
予算と実績の差異に早く気づける
システムが常に予算と実績を監視し、差異が発生するとアラートで通知する機能を持つものもあります。これにより、問題の兆候を早期に察知し、手遅れになる前に対策を講じられます。
問題が大きくなる前に原因を特定し、軌道修正を図ることが容易になります。
経営判断に必要な数字を確認しやすくなる
全社のデータが一元化され、様々な切り口で分析できるため、経営判断に必要な情報をすぐに入手できます。例えば、「どの事業が収益に貢献しているか」「どの経費が予算を圧迫しているか」といった分析が容易になり、データに基づいた客観的で精度の高い意思決定を支援します。
データ活用経営については「データ活用経営の実践手法」で詳しく紹介しています。
予実管理システムとExcelの違い
予実管理システムとExcelの最大の違いは、その専門性にあります。| 比較項目 | Excel | 予実管理システム |
|---|---|---|
| 導入コスト | 比較的低い | 初期費用や月額費用がかかる場合がある |
| データ集計 | 手作業や関数による集計が中心 | データを自動で集計できる |
| 情報共有 | ファイル共有が中心 | システム上で複数人が情報を共有できる |
| 最新情報の把握 | ファイル更新後に確認 | 最新のデータを確認しやすい |
| 入力・転記ミス | 手入力によるミスが発生しやすい | 自動連携などによりミスを抑えやすい |
| 属人化 | 関数やマクロが担当者依存になりやすい | 管理方法を標準化しやすい |
| 分析 | 関数やグラフを自分で作成する | 差異分析やレポート機能を利用できる |
| 管理単位 | 自由に設計できる | 製品ごとに会社・部門・プロジェクト・工事など対応範囲が異なる |
一方、予実管理システムは予実管理業務に特化して設計されているため、データの一元管理、リアルタイムな情報共有、複数人での同時作業、権限設定といった機能を標準で備えています。
Excelでの管理と比較して、効率性、正確性、セキュリティの面で優れており、組織的な予実管理体制を構築する上で非常におすすめですし、工務店で原価管理ができない原因と解決策については「工務店で原価管理ができない原因と解決策」で詳しく紹介しています。
ただし、予実管理システムであればどの製品でも同じように管理できるわけではありません。製品によって、会社全体・部門・プロジェクト・工事など、得意とする管理単位が異なります。
予実管理システムは管理単位や対応範囲が異なる
予実管理システムは、製品によって管理できる範囲や得意とする単位が異なります。全社的な経営数値を管理する大規模なものから、特定のプロジェクトの収支を管理するものまで様々です。
自社の目的や組織体制に合ったタイプのシステムを選ぶことが重要です。
ここでは、代表的な4つのタイプを紹介します。
| タイプ | 主な管理単位 | 主な管理内容 | 向いている企業・業種 |
|---|---|---|---|
| 会社全体を管理するタイプ | 会社・グループ全体 | 売上、費用、利益、PL・BS・CFなど | 大企業・グループ企業 |
| 部門ごとに管理するタイプ | 事業部・部門・店舗 | 部門別の予算、実績、利益など | 中堅・中小企業、複数部門を持つ企業 |
| プロジェクトごとに管理するタイプ | 案件・プロジェクト | 売上、工数、外注費、プロジェクト利益など | IT、コンサルティング、制作会社など |
| 工事ごとに管理する建設業向けタイプ | 工事・現場 | 実行予算、材料費、労務費、外注費、売上、利益など | 建設会社、工務店、専門工事業者など |
会社全体を管理するタイプ
このタイプは、グループ会社を含む企業全体の財務諸表(PL、BS、CF)や経営指標を一元的に管理することを目的としています。連結決算や複雑な配賦処理、多角的な経営シミュレーションといった高度な機能を備えていることが多く、主に大企業や上場企業におすすめです。
代表的な製品には、WorkdayAdaptivePlanningやOracleNetSuiteなどがあります。
部門ごとに管理するタイプ
事業部や部門、店舗といった単位での予算策定から実績管理までを行うタイプです。現場の担当者が予算を入力し、マネージャーが承認するといったワークフロー機能を持つ製品も多くあります。
中堅・中小企業において、各部門の責任と権限を明確にし、部門別の採算意識を高めるのにおすすめです。
マネーフォワードクラウド経営管理などがこのタイプに該当します。
プロジェクトごとに管理するタイプ
IT開発、コンサルティング、クリエイティブ制作など、プロジェクト単位で収益と費用を管理する業種向けのタイプです。プロジェクトごとの工数や外注費などの原価を正確に把握し、個別の採算性を可視化することに特化しています。
赤字プロジェクトの発生を未然に防ぎ、リソース配分の最適化を図るのにおすすめです。
OBPMNeoのようなプロジェクト管理ツールが代表的です。
工事ごとに管理する建設業向けタイプ
建設業特有の会計処理や原価管理に対応したタイプです。工事一件ごとに実行予算を作成し、材料費、労務費、外注費、経費といった実際原価と比較しながら進捗を管理します。
工事台帳の作成や原価管理、支払管理などを一元化し、工事ごとの利益を正確に把握することに特化しています。
建設業を黒字化する方法については「建設業を黒字化する方法と利益が残らない原因」で詳しく紹介しています。
予実管理システムを選ぶ際のポイント
自社に最適な予実管理システムを導入するためには、機能やコストだけでなく、様々な観点から製品を比較検討する必要があります。ここでは、導入後に後悔しないために押さえておくべき6つのポイントを紹介します。
これらを基準に比較することで、おすすめのシステムを見つけやすくなります。
自社が管理したい単位に対応しているか
最も重要なのは、自社が管理したい単位(会社全体、部門、プロジェクト、工事など)に対応しているかを確認することです。例えば、プロジェクト単位での収支管理が必要なのに、会社全体の管理に特化したシステムを導入しても、現場のニーズを満たせません。
まずは自社の管理目的を明確にし、それに合ったタイプのシステムを選びましょう。
必要な機能が搭載されているか
予実管理システムには、基本的な集計機能のほか、差異分析、着地見込み予測、多角的なシミュレーション機能など、様々な機能があります。自社がどのような分析を行いたいのかを事前に洗い出し、それに対応できる機能が過不足なく搭載されているかを確認します。
不要な機能が多いとコストが高くなるため、身の丈に合った製品を選ぶことが大切です。
既存システムと連携できるか
現在使用している会計ソフトや販売管理システム、SFA/CRMなどとスムーズに連携できるかは、業務効率を大きく左右するポイントです。実績データを自動で取り込めれば、二重入力の手間が省け、データの正確性も向上します。
導入を検討しているシステムの連携実績や、API連携の可否などを必ず確認しましょう。
現場や担当者が操作しやすいか
どれだけ高機能なシステムでも、実際に使う現場の担当者が操作しにくいと感じれば、定着せずに形骸化してしまいます。専門知識がなくても直感的に操作できるか、入力画面やダッシュボードは見やすいかなど、UI/UXを確認することが重要ですす。
無料トライアルやデモを活用し、複数人で使用感を試すことをおすすめします。
導入・運用コストが適切か
コストは、初期費用だけでなく、月額(または年額)のライセンス費用、サポート費用などを含めたトータルコストで比較検討する必要があります。企業の規模や利用するユーザー数によって料金プランが変動することが多いため、自社の状況に合ったプランを選びましょう。
費用対効果を見極め、予算内で無理なく運用できるシステムを選ぶことが継続利用の鍵です。
サポート体制が整っているか
システムの導入時や運用開始後に、不明点やトラブルが発生することは少なくありません。そのような際に、電話やメール、チャットなどで迅速に対応してくれるサポート体制が整っているかを確認しましょう。
導入支援コンサルティングや操作説明会など、オンボーディングを手厚く行っているベンダーを選ぶと安心です。
建設業で予実管理システムを選ぶ際の注意点
建設業の予実管理は、一般的な業種とは異なる特有の管理項目が求められます。| 比較項目 | 一般的な予実管理 | 建設業の予実管理 |
|---|---|---|
| 主な管理単位 | 会社・部門・月次 | 工事・現場 |
| 予算 | 年度予算・部門予算 | 工事ごとの実行予算・予定原価 |
| 実績 | 売上・経費など | 材料費・労務費・外注費・経費などの実際原価 |
| 確認したい数字 | 部門や会社全体の予算達成状況 | 工事ごとの原価・売上・利益 |
| 重要なポイント | 月次での予算と実績の比較 | 予定原価と実際原価を比較し、赤字の兆候を早期に把握する |
| 求められるシステム | 一般的な予算・経営管理システム | 工事単位で見積・原価・売上・利益を管理できるシステム |
建設業の原価管理については「建設業の原価管理の仕組み化」で詳しく紹介しています。
会社全体ではなく工事ごとに予実を把握できるか
建設業では、会社全体の売上や利益を把握するだけでは不十分です。利益は個々の工事案件の積み重ねによって生み出されるため、工事一件ごとの収支を正確に管理できなければなりません。
システムを選ぶ際は、工事台帳をベースとして、案件ごとの予実管理ができる機能が必須です。
建設業の実行予算については「建設業の実行予算の作成目的と内訳」で詳しく紹介しています。
予定原価と実際原価を比較できるか
工事を受注した段階で作成する「実行予算(予定原価)」と、工事の進捗に伴って日々発生する材料費、労務費、外注費、その他の経費といった「実際原価」をリアルタイムで比較できる機能が重要です。この比較により、原価の超過(赤字)の兆候を早期に発見し、追加の予算交渉やコスト削減策などの対策を迅速に打つことができます。
建設業の外注費管理については「建設業の外注費管理を強化する方法」で詳しく紹介しています。
見積・原価・売上・利益を一元管理できるか
最もおすすめなのは、見積作成から実行予算の策定、日々の原価実績の入力、請求書の発行、入金管理まで、工事に関する一連の業務フローを一元管理できるシステムです。情報が分断されず、一つのシステムで完結するため、データの二重入力や転記ミスがなくなり、工事全体の利益状況を正確かつタイムリーに把握できます。
建設業の原価管理で起きる問題と改善策については「原価管理を現場任せにすると危険?」で詳しく紹介しています。
工事ごとの予実管理を効率化するなら「要 ~KANAME~」
建設業で予実管理を行う場合、会社全体の予算と実績を見るだけでなく、工事ごとに「どれくらいの原価を予定していたか」「実際にいくらかかったか」「最終的にどれだけ利益が残ったか」を把握することが重要です。原価管理システム「要 〜KANAME〜」なら、見積から原価、売上、利益まで工事に関する情報を一元的に管理できます。Excelや複数の帳票に情報が分散するのを防ぎ、工事ごとの収支状況を確認しやすくなるため、原価超過や利益の減少にも早めに気づきやすくなります。
工事単位の予実管理を仕組み化したい場合は、建設業の業務に対応したシステムを検討してみましょう。
予実管理システムについてよくある質問
Q1. 予実管理システムでは何ができますか?
予実管理システムでは、予算と実績のデータを一元管理し、差異の集計・分析、売上や原価、利益の可視化、レポート作成などを行えます。製品によっては会計ソフトなどと連携し、実績データを自動で取り込むことも可能です。Q2. 予実管理システムとExcelはどちらがよいですか?
管理するデータ量が少なく、担当者も限られている場合はExcelでも対応できます。一方、複数部門や複数案件のデータを扱う場合や、集計・転記作業の負担、属人化を減らしたい場合は、予実管理システムの導入を検討するメリットがあります。Q3. 予実管理システムを選ぶ際に重要なポイントは何ですか?
まず、自社が会社全体・部門・プロジェクト・工事など、どの単位で予実を管理したいのかを明確にすることが重要です。そのうえで、必要な機能、既存システムとの連携性、操作性、費用、サポート体制などを比較しましょう。Q4. 建設業でも一般的な予実管理システムを利用できますか?
利用できる場合もありますが、建設業では工事ごとの実行予算や実際原価、売上、利益を管理する必要があります。そのため、会社全体や部門単位の予算管理を中心としたシステムでは、必要な管理が十分に行えない可能性があります。建設業特有の工事単位の管理に対応しているかを確認しましょう。Q5. 建設業の予実管理では何を確認すべきですか?
建設業では、工事ごとの予定原価と実際原価を比較し、売上や利益まで把握できることが重要です。材料費や労務費、外注費などの原価が予定を上回っていないかを工事途中で確認できれば、赤字の兆候を早期に発見し、対策を取りやすくなります。まとめ
予実管理システムは、Excel管理で発生しがちな工数の増大、ヒューマンエラー、属人化といった課題を解決する強力なツールです。システムを導入することで、データ集計を自動化し、リアルタイムで正確な経営状況を把握できるため、迅速な意思決定が可能になります。
システム選定の際は、自社の管理単位を明確にし、必要な機能、既存システムとの連携性、操作性、コスト、サポート体制を総合的に比較検討することが成功の鍵です。
自社の目的に合ったクラウドサービスを選び、経営の高度化を実現しましょう。






