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  • 2024年11月29日

電気図面の見方・書き方、実務で活用するためのノウハウを解説

電気工事に関する知識
電気図面の見方・書き方、実務で活用するためのノウハウを解説

電気図面は、電気工事の概要を示す図面で、建物に設置する電気部品と配線を回路記号で記載しています。電気図面には複数のの種類があり、工事現場で作業するためには、図面を正しく読み取る必要があります。

 

本記事では、電気図面の種類や主な記載事項、図面を見る際のポイントや作図に使えるツールなどについて解説します。電気図面の基礎知識を踏まえ、作図における効率化を促すためにもぜひご覧ください。

電気図面とは?

電気図面とは、建物に設置する電気機器や設備、配線を示した図面です。どこで何のために電気が使われ、どのように配線されているかが具体的に記載されており、図面を元に電気工事が行われます。
 

建物で電気を使用するためには、壁や天井の中、床の下に配線を通す必要があります。電気図面には、照明や空調、スイッチ、コンセント、防災機器などの位置や接続方法などについて詳しく記されており、図面の通りに施工することで設備が正しく機能します。
 

また、将来的なリフォームやメンテナンスの際にも電気図面が活用されるため、適切に保管しておくことが重要です。
 

電気図面の主な記載事項

電気図面には、主に以下の項目が記載されます。
 
  • 照明やスイッチ、コンセントの位置
  • 配線のルート
  • 電線の太さ
  • 各機器の種類
  • 電気容量
 

建物によって使われる設備の種類や数は異なりますが、施設の規模が増えるほど電気機器の数は多くなり、配線も複雑になります。そのため、電気図面では施工時に判別しやすいように、多くの図記号やアルファベットが用いられます。
 

電気図面を作成するためには、図記号を理解する必要があります。しかし、電気図面で使われる図記号が膨大な上、似たようなものも多いため、すべてを完璧に覚えるのは難しいでしょう。まずは配線などの意味を理解した上で、使用頻度の高い基本の図記号を覚えておくと便利です。
 

設計図と施工図の違い

電気図面には、主に「電気設備設計図」と「電気設備施工図」の2つがあり、いずれも電気工事で欠かせない図面です。ここでは、2つの図面の違いについて解説します。
 

電気設備設計図とは?
電気設備設計図とは、スイッチやコンセントなどの電気設備と、それぞれをつなぐ電線を回路記号を用いてまとめた図面です。各部品や配線の位置、建物の高さなどが詳しく記されています。
 

電気設備設計図の情報を正しく読み取るためには、回路記号を理解する必要があります。また、定期的なメンテナンスや修繕を見据えて、電気設備設計図は適切に保存しておきましょう。
 

電気設備施工図とは?
電気設備施工図とは、電気工事のスケジュールや施工方法を図面としてまとめたものです。前述の電気設備設計図には記載されないような、施工の方法や工程などの情報が図面化されています。
 

電気設備設計図には、電気機器や設備の情報が記載されているものの、どのように施工するのかについては記載されていません。現場の作業員は、電気設備設計図と電気設備施工図の両方を参照しながら工事を進めます。
 

 

電気工事図面の4つの種類

電気図面は、電気の流れや配線の複雑さを踏まえると、1枚の図面にすべての情報をまとめて表現することは不可能です。そこで、使用目的に合った図面を作成する必要があります。
 

電気工事で用いられる図面には、前述した2つ以外にもいくつかの種類があります。代表的なものは、下記の4つです。
 
  • 単線接続図
  • 複線接続図
  • 内部接続図
  • 屋内配線図
 

ここでは、各図面の特徴を見ていきます。 
 

単線接続図

「単線接続図」とは、電気機器や設備の接続情報を、1本の線でわかりやすく記した電気図面のことです。一般的な配線図は、往路と復路を2本の電線で表しますが、単線接続図ではシンプルに表現するために1本にしています。
 

単線接続図を見ることで、電気を引き込んだ建物の中で、電気がどのようなルートで流れていくのかを明確に把握することが可能です。また、図面には分電盤の接続方法や電気容量なども注記されており、メンテナンス時など全体を把握したい場合にも役立ちます。なお、オフィスの場合、より詳細な情報を記載するケースも見られます。
 

電線の流れを直感的に理解できて便利な図面ですが、電気機器や設備同士のつながりや配線の本数といった詳細までは把握しづらい可能性があります。そこで、実際の施工では、次に紹介する複線接続図も併用するのが一般的です。
 

複線接続図

単線接続図に対して、電気機器や設備同士をつなぐ配線を実際の本数の通りに書いた図面を「複線接続図」と言います。単線接続図よりも詳細な情報が記されますが、端子番号や器具番号などを用いることで電線の接続関係がわかりやすくまとめられています。
 

複線接続図は、設計・施工やメンテナンスにあたって、細かな接続関係を的確に把握するために使われます。 ただし、あくまでも簡易的であり、照明やスイッチ、ジョイントボックスなどの設置位置は記載されないため、全体像の把握よりも、実際に配線を行うシーンで活用されています。
 

内部接続図

「内部接続図」とは、実際の電気機器の配置や設備相互の接続について、実位置と各機器の端子の結線まで詳しく書かれた図面のことです。裏面接続図とも呼ばれ、配電盤(外から引き込んだ電気を変換する設備)や分電盤(電気を分ける設備)、制御盤(電気機器を制御するもの)の内部における機器の配置や接続関係も網羅しています。
 

電気設備設計図に沿って正しく施工するためには、実際の機器の配置や接続方法について具体的に把握できる図面が必要です。内部接続図は、複雑になりがちな配電盤や制御盤などの内部の接続関係もわかりやすく書かれています。
 

屋内配線図

「屋内配線図」とは、建物に設置する電気機器や設備の位置を示した設計図のことで、電気設備図とも呼ばれます。照明やスイッチ、コンセントの位置からキッチン、お風呂、洗面所の換気扇、空調、通信設備などの位置が記号で記載されます。屋内配線図を見ることで、どこにどの機器を取り付けるかを確認することが可能です。
 

なお、屋内配線図は、各種電気設備の種別で細かく分けられ、以下のような図面として作成される場合もあります。
 
  • 電力引き込み設備図
  • 受変電設備図
  • 自家発電設備図
  • 蓄電池設備図
  • UPS設備図
  • 動力設備図
  • 舞台照明・音響設備図
  • 電話設備図
  • インターホン設備図
  • テレビ共同受信設備図 など
 

 

電気図面を見るときのポイント

電気図面に記載される情報は多様で、一見すると複雑ですが、ポイントを押さえることで図面をスムーズに読み取ることができます。電気図面で見るべき主なポイントは、「図記号」と「電気のルート」の2点です。それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
 

図記号を理解する

電気図面の図記号や線種は、電気工事に必要な情報を効率的かつわかりやすく記載するために用いられます。電気図面に使われる図記号は多数あり、図面を読み解くにあたって最低限の図記号は把握しておく必要があります。
 

図面の枚数が多くなると、現場で作業する際に不便なため、図記号で簡素化されているのです。ただし、点線や実線といった細かな書き方や形の違いによって指すものが異なります。間違った内容で読み取ってしまうと、正しく施工が行われず、電気機器が動かない、ショートしてしまうといったトラブルの原因となるため注意が必要です。
 

代表的な図記号を以下に示します。
 
  • 配線の図記号(電線の種類)
  • 照明の図記号
  • コンセントの図記号
  • スイッチの図記号
  • 機器・器具の図記号
 

案件や企業によっては、図記号が統一されている場合もあるため、事前に確認しておくと無難です。
 

電気のルートを把握する

電気図面では、電気が流れるルートにも注目しましょう。図面における電気の流れは、一般的な「左から右」と決まっています。特記のある場合を除き、電気図面では電気が左から右へ流れるように記載されているため、流れに沿って情報を読み取るとスムーズでしょう。
 

 

電気図面の作成方法

電気図面を作成する際には、施工を行う作業員にとってわかりやすく、正確に記載されていることが大切です。一般的な電気図面の作成手順は、以下の通りです。
 
  1. 電気の流れを簡易的に表示する「単線接続図」を作成する
  2. 配線関係をを示す「複線接続図」を作成する
  3. 機器の配置や機器相互の接続の詳細を示す「内部接続図」を作成する
  4. 電気設備の配置を示す「屋内配線図」を作成する
 

建物全体の電気の流れを理解できるよう、単線配線図を最初に作成します。続いて、外部電源からの電気の取り込みやスイッチ、照明、換気扇の接続などの具体的な情報を、複線接続図に落とし込みます。
 

複線接続図では、電気系統ごとの接続形態はわかっても、実際の電線の通り道やつながりなどの詳細がわかりません。そこで、個々の接続を具体化する内部接続図を作成します。最後に、電気機器や設備の設置場所を示す屋内配線図を作成するという流れです。
 

ただし、実際の電気工事は使用区画が重視されます。住宅では、玄関やLDK、寝室、お風呂などの使用区画ごとに、外から取り込まれた電気が各所へ配分されます。屋内配線図を作成する際には、使用区画の送電を図面化するイメージで書いていくとわかりやすいでしょう。
 

 

まとめ

電気図面とは、建物の電気機器や設備の配置、接続方法などを記した図面のことです。使用する建物の電気機器や設備について記した「電気設備設計図」と、施工方法や工程を記載した「電気設備施工図」の2つがあり、さらに「単線接続図」「複線接続図」「内部接続図」「屋内配線図」といった細かい図面に分けられます。
 

電気図面では、多くの電気機器や電線の情報をわかりやすくまとめるために、図記号を用います。作図や現場施工において、最低限の図記号だけは把握しておく必要があります。また、電気図面は原則として左から右へと電気が流れるように記載される点も覚えておくと良いでしょう。
 

電気図面を正確かつ効率的に仕上げるためには、電気工事に特化したCADソフトが有用です。「plusCAD電気α」は、施工図の作成から見積りまで、多くの作業が自動化された電気工事専用CADソフトです。図記号や線種を簡単に使用でき、作図から書類作成までマウス1つで完結できます。充実のサポート体制で円滑な導入が可能ですので、業務効率化を実現するためにぜひご活用ください。
 

 

電気図面についてよくある質問


電気工事に使用する図面の種類は?


電気図面には、設計図と施工図の他にもいくつかの種類があります。電気機器や電線などの複雑な関係をわかりやすく図面化するために、複数枚の図面にまとめるのが一般的です。よく使用される電気図面には、以下の4つがあります。

 

  • 単線接続図:電気機器の接続を簡易的に1本で記した設計図

  • 複線接続図:実際に用いられる電線の本数を反映し、具体的な接続方法を示した図面

  • 内部接続図:配電盤や分電盤、制御盤の内部、実位置と各機器の端子の結線まで詳細に描いた図面

  • 屋内配線図:電気機器や設備の取り付け位置をまとめた設計図


 

電気図面を作成するメリットは?


電気図面は、建物の電気工事を適切に行い、電気機器や設備を正常に使用できる状態にするための図面です。電気図面は建物全体における電気設備の配置や電気のルートを把握するために役に立ちます。

 

電気図面がない場合、どこにどのような電気機器や設備があり、どのように配線されているかがわかりません。建物で使われる電気の情報を知らない状態で工事しようとしても、強引に工事を進めてしまったために電力容量が不足してしまう、配線経路が確保できない、などのリスクが出てくるでしょう。

 

また、漏電などのトラブルが発生した際に、電気図面を見ることで迅速に原因を追求し、解決できる可能性が高まります。将来のメンテナンスや修繕、リフォームの際にも電気図面が必要なため、最新の電気図面を適切に保管しましょう。

 

電気図面の作成で大切なことは?


電気図面は、以下のポイントを意識して作成しましょう。

 

  • 配線ルートや機器、配電盤の位置などを正確に記載する

  • 電気設備技術基準やJIS規格などの準拠する

  • 誰でも読み取れるようにわかりやすく記載する

  • CADデータの形式に留意する


 

作図が終わったら、必要な情報が漏れなく記載されているか確認しましょう。また、取引先や外注先にCADデータのファイル形式を確認し、合わせることも大切です。

 

汎用CADと電気専用CADの違いは?


CADには、汎用CADと電気工事などの専用CADの2種類があります。汎用CADは、建築設計で用いられる一般的なCADのことです。多くの分野でも使える基本機能を装備しており、フリーソフトも提供されています。

 

一方、電気専用CADは、電気工事向けの専用ツールです。電気図面の作成を効率的に行うための専門機能やコマンドがあり、図記号の入力や複雑な配線設計にも対応可能です。

 

電気図面の作成効率を上げるためには?


電気図面は、工事に必要な多くの詳細情報をわかりやすく表示する必要があります。電気図面の作成効率を高めるためには、以下のような点を意識すると良いでしょう。

 

  • 図面フォーマットや図記号などの標準化を行う

  • 図面のデータベースを構築し、類似案件の作図に活かす

  • タスクの分割やチーム分担など作業プロセスを見直す

  • 電気工事に特化したCADソフトを活用する


 

上記に加えて、最新技術の導入やスキルアップに向けた教育研修の実施、作業環境の整備といった施策も有用です。

 

 

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