- 2024年08月08日
スケルトン工事の見積り費用の相場とは?
建設業に関する知識
スケルトン工事では建物の内装や給排水・電気設備の撤去を行うため、工事項目が多くなりがちです。工事の受注率を高めるために、費用の相場を理解したうえで適正な見積りを顧客に提示することが大切です。この記事ではスケルトン工事の概要と、工事費用の見積り相場について解説します。
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スケルトン工事とは?
スケルトン工事とは、基礎や柱といった建物の構造体を残しながら内装一式を取り除く工事です。給排水設備や電気・通信回線などの撤去も伴うため、施工にあたっては総合的な技術力が求められます。耐震性能や積載荷重など建物の性能を損ねないよう、細心の注意も必要です。スケルトン工事は主にテナント物件の原状回復のために実施しますが、耐震補強工事など建物の修繕を同時に施工する事例もみられます。最近では、マンションや一戸建て住宅のリノベーションとしてスケルトン工事が実施される場面も増えています。工数が多くなるだけでなく、廃棄物処理などスケルトン工事特有の費用が発生するため、顧客の信頼を得て受注につなげるには工事内容と費用明細をわかりやすく提示することが重要です。
スケルトン工事の種類と費用相場
スケルトン工事は、店舗の原状回復とマンション・一戸建て住宅のリノベーションに分けられます。工事費用は坪単価・平米単価で提示するのが一般的ですが、工事の明細を提示する業者も増加傾向です。スケルトン工事の内容と費用の相場を建物別に紹介します。店舗のスケルトン工事の費用相場
店舗のスケルトン工事の費用相場は、坪単価で3~5万円前後といわれています。店舗の階数や撤去する設備の量によっては、坪単価が10万円近くになることもあります。スケルトン工事では入居時にC工事で設置した内装や間仕切りなどをすべて撤去した上で、天井や床のコンクリートが見える状態にするのが基本です。B工事で増設した空調設備や電源設備も撤去する必要があるので、工事見積りを作成する際は賃貸借契約書や入居前後の図面で工事範囲を把握しておきましょう。管理会社やオーナーの要望で、夜間に店舗のスケルトン工事を行う場合も少なくありません。22時以降の工事では作業員に割増賃金の支払義務が生じるため、人件費を考慮した見積りを作成する必要があります。また、飲食店など撤去する設備が多い業態では廃棄物の分別にかかる時間も加味する必要があります。
一戸建て住宅のスケルトン工事の費用相場
一戸建て住宅のスケルトン工事の費用は坪単価が10~70万円前後、建物全体だと1,000~2,000万円前後が相場です。リノベーションまたはフルリフォームと呼ばれることもあり、建て替えより安上がりなので人気が高まっています。同じ工事面積でも、新調する設備や壁紙・床の素材によって費用は大きく変化するのが特徴です。一戸建て住宅のリノベーションでは、建物の柱・基礎を残して間取りや水回りの位置を変更する工事が主流です。築年数によっては、断熱工事や耐震補強工事などの修繕を同時に施工する場合もあります。施工時に建物の骨組みを確認できるので、部分的なリフォームとは異なり建物の耐久性を高められるメリットもあります。一方、施工中に追加費用が生じる可能性があるため、想定される工事について顧客に十分説明しておくとトラブルを防げるでしょう。
マンションのスケルトン工事の費用相場
マンションのスケルトン工事の費用は坪単価が15~55万円前後、専有部分(居室)全体だと300~1,200万円前後が相場です。建物の耐久性に影響が及ばない範囲で、複数の居室を1戸につなげる工事を実施する事例もみられます。マンションの場合、ラーメン構造であれば柔軟な間取り変更が可能ですが、壁式構造の場合は間取り変更に制約が生じるため注意が必要です。一戸建てとは異なり、共用部に面する玄関ドアや窓・ベランダの構造変更はできないため、スケルトン工事の範囲は居室内に限られます。工事前に、設計図や仕様書を管理組合に提出して承認を得る必要もあります。マンションによっては床材や塗料の種類が指定されている場合もあるため、見積段階で工事仕様を十分に確認しておくようにしましょう。