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  • 2026年09月02日

建設業で設定すべきKPIとは?経営・工事管理に役立つ指標と設定方法を解説

現場管理・業務管理
建設業で設定すべきKPIとは?経営・工事管理に役立つ指標と設定方法を解説

建設会社の経営を改善するためには、売上や利益といった最終的な結果だけを見るのではなく、その結果に至るまでの状況を継続的に把握することが重要です。そこで役立つのが「KPI」です。

建設業では、受注状況や工事ごとの利益率、原価率、工期など、経営や現場の状況を判断するためのさまざまな数字が存在します。適切なKPIを設定することで、感覚や経験だけに頼らず、自社の課題を数字から把握しやすくなります。

この記事では、建設業で設定したいKPIの具体例から、自社に適した指標の設定方法、経営改善へつなげるポイントまで詳しく解説します。

執筆:プラスバイプラス編集部

建設業向けCADや原価管理システムの開発・提供を通じて、現場の業務効率化を支援しています。 日々の業務の中で出会うお客様の声をもとに、図面作成・申請業務・積算・見積り・原価管理などに 関する実務知識を蓄積し、正確で実践的な情報発信を行っています。

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監修:室田茂樹
株式会社プラスバイプラス 代表取締役

2000年の創業以来26年にわたり、建設業・設備工事業者向けの専門ソフト開発・普及を牽引し、電気工事・水道工事・施工管理・原価管理の各領域に特化したソフトウェアとサポート体制を全国に展開し、業界のDXを支援し続けている専門家。

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コンテンツ

建設業におけるKPIとは

KPIは、企業が目標を達成するまでの進捗状況を確認するための指標です。建設業でも、経営状況だけでなく、受注や工事、原価などの管理に活用できます。
重要なのは、単に多くの数字を管理することではありません。自社が達成したい目標を明確にしたうえで、その達成状況を判断するために必要なKPIを選ぶことが大切です。

KPIの基本的な意味

KPIは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。
企業が最終的な目標へどの程度近づいているかを判断するために、途中経過を数値で確認する役割があります。
例えば、「年間の利益を増やす」という目標だけを掲げても、期末になるまで達成できるかどうか分からない状態では、途中で適切な対策を取ることが難しくなります。
そこで、月ごとの受注高や工事ごとの利益率、原価率などをKPIとして設定します。定期的に数字を確認すれば、目標から離れている場合にも早い段階で問題を発見し、改善策を検討できます。
建設業 KPIを考える際も、数字そのものを管理することが目的ではなく、経営や現場の改善につなげるための判断材料として活用することが重要です。

KGIとの違い

KPIと混同されやすい言葉に「KGI」があります。KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。
KGIが最終的に達成したいゴールを表すのに対して、KPIはそのゴールを達成するまでの過程を確認する指標です。
例えば、建設会社が「年間営業利益5,000万円」をKGIとして設定したとします。その達成に必要な売上高や受注件数、工事利益率などをKPIとして設定すれば、目標達成までの進捗を確認できます。
つまり、KGIが「どこへ到達したいのか」を示すものであるのに対し、KPIは「そこへ向かって順調に進んでいるか」を判断するための数字です。
KPIだけを単独で設定するのではなく、最終的な経営目標とのつながりを明確にすることで、管理する意味が分かりやすくなります。

建設業でKPIが重要な理由

建設業では、同じ売上金額の工事でも利益が大きく異なることがあります。
例えば、1,000万円で受注した工事でも、材料費や外注費、労務費が想定以上に増えれば利益は少なくなります。一方、原価を適切に管理できれば、同じ受注金額でも高い利益を確保できる可能性があります。
そのため、会社全体の売上だけを確認していても、経営状態を正確に把握できるとは限りません。
受注高や工事ごとの利益率、原価率、予算との差異などをKPIとして継続的に確認することで、「売上は増えているが利益率が低下している」「特定の工種だけ原価率が高い」といった変化に気付きやすくなります。
工事単位で収益構造が異なる建設業だからこそ、複数のKPIを用いて経営と現場の状態を把握することが重要です。

KPIによって把握できる経営課題

KPIを設定すると、それまで感覚的に捉えていた経営課題を数字で確認しやすくなります。
例えば、「最近あまり利益が残らない」と感じている場合でも、売上高だけを見ていては原因が分かりません。
工事ごとの利益率や原価率を確認すれば、材料費や外注費の増加によって利益が圧迫されている可能性を把握できます。受注高が減っているのであれば、営業活動や案件獲得に課題があると考えられるでしょう。
また、実行予算と実際原価の差が大きい状態が続いている場合は、見積りや予算設定の精度を見直す必要があります。
このようにKPIを活用すると、「何となく経営状態が悪い」という認識から一歩進み、どこに問題があるのかを具体的に絞り込めるようになります。

KPI管理とデータ活用の関係

KPIを経営改善に役立てるためには、その根拠となるデータを正確に蓄積する必要があります。
例えば、工事利益率をKPIとして設定しても、材料費や外注費、労務費などの原価情報が正しく記録されていなければ、算出した利益率の信頼性も低くなります。
また、工事情報が紙やExcel、複数のシステムなどに分散していると、KPIを確認するたびにデータを集計しなければならず、管理業務そのものが負担になる可能性があります。
重要なのは、日々の業務で発生する売上や原価などの情報を蓄積し、それをKPIの確認に活用できる仕組みを作ることです。
データを継続的に蓄積すれば、前年との比較や工事ごとの比較も行いやすくなり、より客観的な経営判断につながります。

建設業の経営管理で重要なKPI

建設業のKPIにはさまざまな種類がありますが、経営管理では「会社がどの程度仕事を獲得し、そこからどれだけ利益を残せているか」を把握できる指標が重要です。
売上だけではなく、受注状況や利益率、資金の流れまで複数の視点から確認することで、会社の経営状態をより正確に判断できます。

売上高

売上高は、建設会社の事業規模や成長状況を把握するうえで基本となるKPIです。
月次や四半期、年度ごとに売上高を確認し、前年同期や目標値と比較することで、事業が計画どおりに推移しているかを判断できます。
ただし、売上高が増えているからといって、必ずしも経営状態が良くなっているとは限りません。売上を増やすために利益率の低い工事を多く受注していれば、売上高は伸びていても会社に残る利益が減っている可能性があります。
そのため、売上高は単独で評価するのではなく、売上総利益率や営業利益率などと組み合わせて確認することが重要です。
「いくら売ったか」だけでなく「その売上からいくら利益を残したか」という視点を持つことで、売上の質まで判断できるようになります。

受注高・受注件数

受注高や受注件数は、今後の売上を予測するために重要なKPIです。
建設業では、工事を受注してから完成・売上計上まで一定の期間が必要になるケースがあります。そのため、現在の売上高だけでは、数か月先の経営状況まで判断できません。
受注高や受注件数を継続的に確認しておけば、「現在は売上が確保できているものの、今後施工する案件が少ない」といった状況にも早めに気付けます。
また、単純な件数だけではなく、工事の規模や利益率もあわせて確認することが大切です。
受注件数が増えていても小規模案件ばかりであれば、受注高は伸びていない可能性があります。反対に、大型案件を受注していても採算性が低ければ、利益への貢献は限定的です。
受注量と案件の質をあわせて管理することで、将来の売上と利益をより具体的に予測できます。

売上総利益率

売上総利益率は、売上高に対してどれだけ粗利益を確保できているかを示す指標です。
建設業では、売上から材料費や外注費、労務費などの工事原価を差し引いた金額が粗利益となります。その粗利益が売上に占める割合を見ることで、工事からどの程度利益を生み出せているかを確認できます。
例えば、売上高が増えているにもかかわらず売上総利益率が下がっている場合は、材料価格の上昇や外注費の増加、低採算工事の増加などが考えられます。
売上総利益率の推移を確認することで、売上高だけでは分からない収益性の変化を把握できます。
また、工種や部門ごとに比較すれば、どの事業が会社の利益に貢献しているのかを分析する材料にもなります。

営業利益率

営業利益率は、本業によってどの程度の利益を確保できているかを判断するためのKPIです。
粗利益から、事務所の家賃や管理部門の人件費、通信費などの販売費・一般管理費を差し引いたものが営業利益です。その営業利益を売上高で割ることで営業利益率を算出できます。
売上総利益率が高くても、会社運営に必要な固定費や経費が大きければ、営業利益率は低くなります。
そのため、個別工事の採算を見る売上総利益率と、会社全体の収益力を見る営業利益率は分けて確認することが重要です。
営業利益率が継続して低下している場合は、工事原価だけでなく、固定費や間接業務の効率についても見直す必要があります。

キャッシュフローに関する指標

建設会社の経営では、利益だけでなく資金の流れを確認することも欠かせません。
建設業では、材料費や外注費などを先に支払い、工事代金の入金が後になるケースがあります。そのため、帳簿上は利益が出ていても、手元資金が不足する可能性があります。
入金予定額や支払予定額、売掛金の回収状況などを継続的に確認することで、将来的な資金不足を予測しやすくなります。
特に複数の大型工事が同時に進行する場合は、一時的に多額の支払いが発生することもあるため注意が必要です。
利益に関するKPIとキャッシュフローに関する指標をあわせて確認することで、「利益は出ているのに資金が足りない」といった事態を防ぎ、安定した経営につなげられます。

工事管理で設定したいKPI

建設業では、会社全体の経営指標だけでなく、工事単位でKPIを設定することも重要です。工事ごとの利益や原価、工程などを継続的に確認することで、採算悪化や工期遅延などの問題を早期に把握しやすくなります。
ここでは、工事管理で特に確認しておきたい5つのKPIについて解説します。

工事ごとの利益率

工事ごとの利益率は、それぞれの案件がどれだけ会社の利益に貢献しているかを判断するための重要なKPIです。
会社全体では十分な利益が出ているように見えても、工事単位で確認すると、高収益の工事が利益率の低い工事を補っている場合があります。この状態を放置すると、利益率の高い工事が減ったときに会社全体の収益が急激に悪化する可能性があります。
そのため、工事ごとの売上と原価を把握し、利益率を比較することが重要です。
さらに、工種や顧客、工事規模などによって利益率を比較すれば、自社が利益を確保しやすい案件の傾向も把握できます。過去の実績を受注判断や見積りへ反映することで、会社全体の収益性向上にもつなげられるでしょう。

原価率

原価率は、工事の売上に対して材料費や労務費、外注費などの原価がどの程度を占めているかを示す指標です。
利益率と密接な関係があり、原価率が想定以上に高くなれば、基本的には工事から得られる利益も減少します。
例えば、同じ種類の工事で原価率が継続して上昇している場合、材料価格や外注単価の上昇、施工効率の低下などが考えられます。原価全体を見るだけでなく、材料費や外注費などの項目別に確認すると、原因を特定しやすくなります。
また、原価率の変化を見積りへ反映することも重要です。過去の単価を使い続けるのではなく、実際に発生した原価を次回の見積り作成へ生かすことで、採算性をより正確に予測できるようになります。

実行予算と実際原価の差異

工事の採算を管理するためには、着工前に設定した実行予算と、施工中に発生している実際原価との差異もKPIとして確認しましょう。
実行予算を作成していても、工事完了後にしか実際原価と比較していなければ、予算超過が発生しても途中で対策を取ることができません。
例えば、工事が半分程度しか進んでいない段階で材料費の予算を大部分使っているのであれば、その後の施工で予算を超える可能性があります。
工事中から実行予算と実際原価を比較していれば、材料の使用量や発注方法、人員配置などを早めに見直せます。
予算との差額そのものだけでなく、「なぜ差が生じたのか」まで分析することで、現在の工事だけでなく、次回以降の実行予算や見積りの精度向上にも役立ちます。

工程・工期の達成率

工程や工期の達成状況も、建設業 KPIとして確認したい指標の一つです。
工期の遅れは、顧客への引き渡しに影響するだけでなく、工事原価の増加につながる可能性があります。予定より施工期間が長くなれば、職人の人件費や現場管理費などが増え、当初想定していた利益を圧迫するためです。
そこで、計画した工程に対して実際の進捗がどの程度進んでいるかを定期的に確認します。
遅れが発生している場合は、単に「予定より遅れている」と把握するだけでなく、人員不足なのか、資材調達が原因なのか、前工程の遅延によるものなのかを分析することが大切です。
工程の達成状況と原価をあわせて確認することで、工期と利益の両面から工事を管理しやすくなります。

手戻り・追加工事の発生状況

施工のやり直しを意味する手戻りや追加工事の発生状況も、工事管理に役立つKPIです。
手戻りが発生すると、同じ作業を再度行うための労務費が必要になり、材料を再購入する場合には材料費も増加します。件数や発生原因を記録しておけば、施工ミスや情報共有不足など、自社が改善すべき問題を把握しやすくなります。
追加工事については、発生件数だけでなく、追加した原価と請求額の双方を確認することが重要です。作業を追加しても適切に請求できていなければ、利益率が低下します。
手戻りや追加工事を記録し、工種や現場ごとに傾向を分析することで、施工品質の改善や請求漏れの防止につなげられます。

自社に適したKPIを設定する方法

KPIは、他社が利用している指標をそのまま導入すればよいわけではありません。会社によって経営課題や目標は異なるため、自社の状況に合った指標を選ぶ必要があります。

経営目標から逆算して指標を決める

KPIを設定する際は、最初に会社として達成したい経営目標を明確にします。
例えば、「年間の営業利益を前年比20%増加させる」という目標がある場合、単純に売上高だけをKPIにしても十分とはいえません。利益を増やすためには、受注高や工事利益率、原価率なども確認する必要があります。
一方、「受注件数を増やしたい」という目標であれば、商談件数や受注件数、受注率など、営業活動に関連する指標が重要になります。
このように、まず最終的に達成したい目標を設定し、「その目標を達成するためには何を改善すべきか」と逆算してKPIを決めることがポイントです。
経営目標との関係が明確であれば、従業員にとっても「なぜこの数字を管理する必要があるのか」を理解しやすくなります。

改善したい課題を明確にする

自社が抱えている課題からKPIを設定する方法もあります。
例えば、「売上は十分にあるのに利益が残らない」という課題がある場合、売上高を細かく追いかけるだけでは問題の解決にはつながりません。
この場合は、工事ごとの利益率や原価率、実行予算と実際原価の差異などをKPIとして設定することで、利益が減少している原因を分析しやすくなります。
また、工期遅延が多い会社であれば工程の達成率、施工ミスが多いのであれば手戻りの発生件数など、課題に直接関係する指標を選びます。
KPIを設定すること自体を目的にするのではなく、「何を改善するための数字なのか」を明確にすることが重要です。
課題が具体的であるほど、KPIを確認した後に取るべき行動も決めやすくなります。

現場で計測できる指標を選ぶ

KPIは、継続して数値を取得できることが前提です。
経営改善に役立ちそうな指標でも、毎回複雑な計算や大掛かりな集計作業が必要になると、次第に更新されなくなる可能性があります。
特に建設業では、現場担当者が施工業務と並行して情報を入力するケースもあります。KPIを増やすために現場の事務作業が大幅に増えてしまえば、本来の目的である生産性向上とは逆の結果になりかねません。
すでに日報や工事台帳、見積書、原価管理などで記録している情報から算出できるKPIであれば、比較的運用しやすくなります。
「確認したい数字」だけでなく、「誰が、どのデータを使って、どのように計測するか」まで考えて指標を選ぶことが、KPI管理を定着させるポイントです。

目標値と確認期間を設定する

KPIを決めたら、具体的な目標値と確認する期間も設定します。
例えば、単に「工事利益率を改善する」というだけでは、どの程度改善すれば目標達成なのか判断できません。「平均工事利益率を○%以上にする」など、具体的な数値を設定することで達成状況を評価しやすくなります。
また、KPIによって適切な確認頻度は異なります。
受注状況や資金繰りのように変化を早めに把握したい数字は短い間隔で確認し、中長期的な改善を見る指標については月次や四半期単位で評価するなど、自社の業務に合わせて設定します。
確認するタイミングをあらかじめ決めておけば、問題を放置しにくくなります。目標値と期間をセットで設定し、定期的に進捗を確認できる仕組みを作りましょう。

KPIを必要以上に増やさない

経営状況を詳しく把握しようとして、KPIを増やしすぎることには注意が必要です。
売上高、受注件数、利益率、原価率、工期、手戻り件数など、建設会社が計測できる数字は数多くあります。しかし、すべてを重要指標として管理すると、データの入力や集計に時間がかかり、どの数字を優先すべきか分からなくなる可能性があります。
まずは、自社の経営目標や現在の課題と特に関係の深いKPIへ絞ることが重要です。
例えば、利益率改善を最優先するのであれば、工事利益率や原価率、実行予算との差異などから管理を始める方法があります。
KPI管理の目的は、多くの数字を並べることではありません。重要な変化を把握し、具体的な改善行動につなげることです。管理する負担とのバランスも考えながら、本当に必要な指標を選びましょう。

KPIを経営改善につなげるポイント

KPIを設定するだけでは経営改善につながりません。重要なのは、継続的に数値を確認し、目標との差が生じた原因を分析したうえで、具体的な改善策へつなげることです。
また、一度設定したKPIが常に最適とは限りません。会社の経営状況や課題の変化に応じて、管理する指標や目標値を見直すことも必要です。

定期的に実績値を確認する

KPIは、定期的に実績値を確認することで初めて効果を発揮します。目標値を設定しても、年度末に一度だけ確認するのでは、問題が発生していることに気付くのが遅れてしまいます。
例えば、工事利益率をKPIに設定している場合は、工事完了後だけでなく施工中にも実績を確認することが重要です。想定より原価率が高くなっていることを早い段階で把握できれば、その後の材料発注や外注、人員配置などを見直せる可能性があります。
KPIによって適切な確認頻度は異なるため、週次や月次、四半期など、自社の業務に合わせて確認するタイミングを決めましょう。
継続して同じ指標を確認することで、単月の数字だけでは分からない変化や傾向も把握しやすくなります。

目標との差だけでなく原因を分析する

KPIを確認する際は、「目標を達成したか、達成していないか」だけで判断しないことが大切です。
例えば、工事利益率の目標を20%に設定していたにもかかわらず、実績が15%だったとします。このとき、単に「5ポイント不足していた」と確認するだけでは、次の改善にはつながりません。
材料価格が想定以上に上昇したのか、外注費が増加したのか、手戻りによって労務費が膨らんだのかなど、目標との差が生じた原因まで分析する必要があります。
反対に、目標を大幅に上回った場合も、その理由を分析することが重要です。利益率が高かった工事の条件を把握できれば、次回の見積りや受注判断に生かせます。
KPIを単なる成績表ではなく、改善すべきポイントを発見するための材料として活用しましょう。

工事・部門・期間ごとに比較する

KPIは、一つの数値だけを見るよりも、複数の条件で比較することで課題を発見しやすくなります。
例えば、会社全体の平均工事利益率が目標を達成していても、工事単位で確認すると大きな差があるかもしれません。特定の工種や部門だけ利益率が低ければ、施工方法や見積り、原価管理などに改善すべき点があると考えられます。
期間による比較も有効です。前年同月や前年度と比較することで、原価率や利益率がどのように変化しているかを把握できます。
さらに、利益率の高い工事と低い工事を比較すれば、自社が得意とする案件や利益を圧迫しやすい条件を分析する材料にもなります。
さまざまな角度からKPIを比較し、数字の背景にある要因を探ることが経営改善につながります。

改善施策とKPIを連動させる

KPIによって課題を発見したら、具体的な改善施策へつなげる必要があります。
例えば、外注費の増加によって工事利益率が低下しているのであれば、外注先ごとの単価や施工実績を比較する、発注条件を見直すといった施策が考えられます。
手戻りの発生率が高い場合は、施工前の確認方法や図面共有のルールを改善する必要があるでしょう。
そして、改善策を実施した後は、KPIがどのように変化したかを確認します。数字が改善していれば施策に一定の効果があったと判断でき、変化がなければ別の原因や対策を検討できます。
「KPIを確認する→原因を分析する→改善策を実施する→再びKPIを確認する」という流れを繰り返すことが重要です。

必要に応じて指標や目標値を見直す

一度決めたKPIを長期間そのまま使用する必要はありません。会社の経営目標や課題が変われば、重視すべき指標も変化します。
例えば、以前は受注件数の不足が課題だったため受注高を重視していたものの、案件数が安定した後は利益率改善が優先課題になる場合があります。その場合は、工事利益率や原価率などをより重視した方が経営改善につながります。
また、目標値が現状とかけ離れている場合も見直しが必要です。簡単に達成できる目標では改善を促せず、反対に非現実的な目標では現場の納得を得にくくなります。
KPIは固定されたものではなく、経営状況を改善するための手段です。定期的に「現在の課題を把握するために適切な指標か」を確認しましょう。

要 〜KANAME〜で工事データを経営判断に活用

建設業 KPIを継続的に管理するためには、その基礎となる工事データを正確に把握できる環境が必要です。
売上は販売管理、見積りはExcel、原価は別の管理表というように情報が分散していると、KPIを確認するたびにデータを集めて集計しなければなりません。
こうした建設業の工事・原価管理を支援するのが、建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」です。

工事台帳をベースに売上・原価情報を管理できる

建設業では、一つの工事に対して売上だけでなく、材料費や外注費、労務費などさまざまな原価が発生します。
「要 〜KANAME〜」では、工事台帳をベースに、工事に関する売上や原価などの情報を管理できます。
工事単位で情報を整理できれば、「現在どの工事にどの程度の原価が発生しているのか」を確認しやすくなります。
複数の管理表から必要な数字を探して集計する負担を減らせるため、工事利益率や原価率といったKPIを確認するためのデータ管理にも役立ちます。
日々発生する工事情報を継続的に蓄積し、経営管理へ活用できる環境を整えることで、経験や感覚だけに頼らない経営判断につなげられるでしょう。

工事ごとの原価と利益を視える化できる

建設会社全体の売上や利益だけを確認していると、個々の工事がどの程度利益へ貢献しているのか分かりにくくなります。
「要 〜KANAME〜」により、工事ごとの原価や利益を視える化できます。
例えば、想定より利益率が低い工事があれば、材料費や外注費などの原価を確認し、利益を圧迫している要因を分析しやすくなります。
反対に利益率の高い工事を把握できれば、その工事の種類や規模などを分析し、今後の営業活動や受注判断に役立てることも可能です。
会社全体の数字だけでなく、工事単位の採算を把握することは、建設業のKPI管理において重要なポイントです。

見積りから請求・入金まで一元管理できる

建設工事では、見積りを作成して受注した後も、発注や請求、入金などさまざまな業務が発生します。
これらを別々に管理すると、同じ情報を複数回入力したり、必要なデータを探したりする手間が生じやすくなります。
「要 〜KANAME〜」を活用することで、工事台帳をベースとして見積り・請求・原価・入金などを一元管理できます。
工事に関する情報をまとめて管理できるので、売上や原価だけでなく、請求や入金の状況も把握しやすくなるでしょう。
経営管理では「利益がいくら出ているか」だけでなく、「予定どおり請求・入金されているか」という視点も重要です。工事に関する情報を一連の流れとして管理することで、より幅広い経営判断に活用できます。

蓄積した工事データを経営状況の把握に役立てられる

工事データを継続的に蓄積することで、現在の状況を確認するだけでなく、過去との比較や今後の経営判断にも活用できます。
例えば、工種ごとの利益率や原価率を比較すれば、自社が利益を確保しやすい工事の傾向を分析できます。反対に、毎回実際原価が実行予算を上回る工種があれば、見積りや施工方法に改善すべき点があるかもしれません。
過去の実績を次回の見積りや実行予算へ反映すれば、計画と実績の差を小さくしていくことも可能です。
KPIは一時点の数字を見るだけではなく、継続して比較することで価値が高まります。工事データを蓄積し、経営改善の材料として活用できる仕組みを作ることが重要です。

導入後もサポートを受けながら運用を改善できる

システムを導入してKPI管理を始めても、社内で使われなければ十分なデータは蓄積されません。そのため、システム選びでは機能だけでなく、導入後のサポートも重要です。
「要 〜KANAME〜」は、建設業に特化したシステムとして実際の業務フローに合わせやすく、導入後もサポートを受けながら運用できます。
特に、これまで紙やExcelを中心に管理してきた会社では、新しい管理方法を定着させるまでに疑問や課題が生じることもあるでしょう。
導入後も相談できる環境があれば、運用上の問題を解消しながら継続的な活用を目指せます。
KPI管理は一度数字を集計すれば終わりではありません。工事データを継続して蓄積・分析できる仕組みを整えることで、数字に基づいた経営改善につなげられます。
 

建設業のKPIについてよくある質問

Q1. 建設業ではどのようなKPIを設定すればよいですか?

建設業では、売上高や受注高、売上総利益率などの経営指標に加えて、工事ごとの利益率や原価率、実行予算と実際原価の差異、工程・工期の達成率などがKPIの候補となります。
ただし、すべてを管理する必要はありません。自社の経営目標や課題によって、優先すべき指標は異なります。
例えば、売上は確保できているものの利益が残らない場合は、工事利益率や原価率を重点的に確認するとよいでしょう。
まず自社が改善したい課題を明確にし、その変化を数字で確認できるKPIを選ぶことが重要です。

Q2. KPIはどのくらいの頻度で確認すればよいですか?

KPIによって適切な確認頻度は異なります。
受注状況や工事原価など、短期間で変化する指標については、週次や月次など比較的短い間隔で確認する方法があります。一方、営業利益率など会社全体の経営状況を見る指標については、月次や四半期など一定の期間ごとに確認すると変化を把握しやすくなります。
重要なのは、数字を集計すること自体が負担にならない頻度を設定し、継続することです。
また、数値に大きな変化があった場合には、次回の定期確認を待たず、原因を調べて早めに対策を検討しましょう。

Q3. KPIを設定しても経営改善につながらない場合はどうすればよいですか?

まず、設定しているKPIが自社の経営目標や課題と結び付いているかを確認しましょう。
数字を記録するだけになっていたり、管理するKPIが多すぎたりすると、具体的な改善行動へつながりにくくなります。
また、目標との差だけを見るのではなく、その原因まで分析することが重要です。工事利益率が低下しているのであれば、材料費、外注費、労務費などを確認し、どこで原価が増えているのかを調べます。
原因が分かったら改善策を実施し、その後のKPIがどのように変化したかを再度確認します。このサイクルを繰り返すことで、KPIを実際の経営改善へ活用できるようになります。

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