水道屋が独立開業を目指すうえで必要な許可・準備・資金を解説

水道施設工事業でやることは？

水道施設工事業とは、工業用水道や上水道に浄水や配水、取水などを行う施設を作る仕事です。上下水施設における設置工事も含まれます。一方、家屋または施設など屋内での配管や設置は管工事、屋外の下水道に関わる配管工事などは土木一式工事に分けられます。
 

求人募集では、水道工事との関わりから管工事と水道施設工事の従業員を同時に募集していることもあります。
 


 

 

土木一式事業や管工事とはどう違うのか？

水道施設工事と土木一式工事、管工事はそれぞれ工事内容が違います。まず、水道施設工事では上水道などの取水、浄水、配水などの施設の築造を行います。下水処理場内での処理設備の築造やその設置工事も、水道施設工事の管轄です。 
 

管工事は、家屋など施設の敷地内での配管工事の他、上水道などに伴う配水小管を設置する工事です。土木一式工事は、家屋など施設の敷地外での作業のことで、公道の下を通る下水道工事の配管工事に、農業用水道やかんがい用の排水施設などを建設します。
 

水道施設工事には取水施設工事、浄水施設工事、そして配水施設工事に下水処理施設工事などの種類があり、工事を行うには許可が必要です。
 

 

水道屋として独立するメリット

水道屋として独立して活動するメリットを紹介します。
 

仕事を取りやすい

水道は住人の生活に欠かせない重要なインフラであり、水道配管や水道設備に関する工事はなくなることはありません。また、水道業や建設業における職人や事業者の高齢化が進んでおり、受注できる人が減っていることもあって、仕事量も増えていくと予想されています。
 

加えて、社会全体でIT化が進んでいるものの、水道業は今すぐに機械に置き換わることはないと言われており、安定的に仕事を確保しやすい点がメリットです。
 

経験が浅くても独立できる

水道配管工は未経験や初心者でも請け負いやすい仕事が多く、経験によらず独立しやすい傾向があります。実際に、未経験で水道屋に入社し数年経験を積んだ後、すぐに独立するケースも珍しくありません。
 

溶接工など技術が必要な職種は、独立までに数十年かかることもありますが、水道配管工であれば経験が浅くても独立しやすいでしょう。
 

一人親方や個人事業主など個人で活動できる

独立した水道屋が請け負う仕事は、主に給水管引込工事や屋内配管工事、下水道配管設備工事などです。個人で作業できる工事が多く、一人親方や個人事業主として活動できます。
 

公共事業のような規模の大きな水道工事を受注するためには従業員が必要ですが、小回りが利く点を活かして個人に適した仕事を確保しやすいでしょう。会社組織を育てる必要がないため、小規模で安定した経営を目指したい場合にも有利です。
 

年収の上限がない

独立後は、基本的に仕事量や報酬を自由に決められるため、収入の上限がなくなります。一般的には独立すると収入が不安定になると言われますが、仕事量に比例して収入は増えるため、働き方次第では高収入を目指せます。
 

働き方や仕事のペースを調節できる

独立後は、休日や働く時間を自分で決められるため、自由度の高い働き方が実現します。正社員の場合、勤務時間や仕事量が決まっており、希望に応じて休みを変えることは難しいですが、個人だと自己都合でコントロールできます。
 

 

水道屋として独立した場合の年収

水道業者の一般的な年収は、約400万円と言われます。独立開業した場合、約500万円〜1,000万円以上と高額な傾向があります。
 

水道工事の案件は公共工事が多い一方で、規模の大きな水道会社はさほど多くありません。そのため、中小企業であっても地域の水道業者として実績と信頼を確立することで、継続的に多くの仕事を受注して収入を安定させることも可能です。
 

ただ、一人親方の場合、自分ひとりで動ける範囲で仕事を受ける必要があるため、数千万円を超えるケースは少ないかもしれません。それでも、1,000万円を超える可能性は十分にあり、社員から独立開業することで年収が上がりやすいでしょう。
 

 

水道屋の独立の進め方

水道屋として独立する方法は、ケースバイケースで変わりますが、一例として主な流れを紹介します。
 

開業資金・業務で使う工具・資格の準備

まず、独立開業には「開業資金」「業務で使う工具」などが必要です。作業内容によっては「資格」も取得しておく必要があります。 
 

独立後に収入がない状態が続く可能性も考慮して、生活費などある程度の資金を開業資金に含めておくと無難です。独立後すぐに法人化する場合には、会社設立の費用や事務所の家賃、従業員の給与なども必要になります。 
 

現場作業に必要な工具は、一通り自分で用意しておきましょう。同業者などに必要な工具について聞いておくと、無駄なく揃えられる上、初期コストの節約にもつながります。
 

水道屋として独立する際に有利になる資格には、以下があります。 
 

• 土木工事施工管理技士
• 排水設備工事責任技術者
• 管工事施工管理技士
• 給水装置工事主任技術者

 

上記は水道業者として独立開業するために必須ではありませんが、取得することで受注できる工事の範囲が広がる上、社会的な信用の向上に役立ちます。資格取得には時間がかかる場合もあるので、計画的に準備しましょう。 
 

開業手続き

個人事業主の場合、一般的に「開廃業等届出書」を所轄の税務署に提出します。「青色申告承認申請書」や「所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書」もまとめて提出しておくと良いでしょう。
 

また、事業所所在地の都道府県税事務所へ「個人事業開始申告書」を提出します。
 

仕事の獲得

独立後の仕事を受注する方法は多数ありますが、代表的な方法を紹介します。 
 

• 人の紹介を受ける
• 協力会社として提携する
• マッチングサイトに登録する 

 

過去の人脈で紹介を受けられるよう、先輩や取引先などと人間関係を築いておくことも大切です。また、協力会社同士で依頼し合える状況を作っておくと、仕事の安定につながるでしょう。
 

 

水道施設工事業者として許可を得るには何年必要？

許可を得るには、まず「専任技術者」を置く必要があります。専任技術者になることができる人は、1級土木施工管理技士または2級土木施工管理技士のいずれかの資格保有者、または上下水道・総合技術監理、衛生工学などの資格を有している人です。 
 

その他、規定の学歴や実務経験を持つ人や、水道工事業で10年以上の実務経験がある人も専任技術者になることができます。
 

もう1つ重要なのが「経営業務管理責任者」です。経営業務管理責任者になるためには、水道工事業を営む会社で5年以上の役員経験、または個人事業主として7年以上経営している必要があります。 
 

水道事業以外の工事業であれば7年以上の役員経験、または個人事業主として7年以上の経営経験により要件を満たせます。法人の場合は常勤役員から専任技術者を選出できますが、個人経営だと事業主本人が担うことができます。 
 

 

水道施設工事業者の許可には資金も必要

水道施設業者として許可を得るには資本金も必要です。会社の資本金として500万円、または銀行の預貯金として500万円を用意しましょう。水道施設事業を行う場合、上記以上の資本金の法人が多い傾向があります。 
 

個人経営として独立を考える場合、会社に従事しながら資金を少しずつ準備している人もいるでしょう。 
 

勤務先によっては退職金や財形貯蓄など起業資金に充当できるものは見込めます。しかし自己資金だけでは心細いという場合は、銀行や公庫など起業の促進を目的とした貸し付けを利用するのも1つの手段です。 
 

 

社内業務を円滑にするために揃えるものは？

水道施設工事業の仕事をするには必要な許可を得ることが先決です。将来、会社を興すなら「どれくらいの規模にするか」「どのように安定した仕事を得るか」といったことも考えておくと良いでしょう。
 

事業を行ううえで協力者として良いと思える人材がいれば、事前に相談しておくと安心です。事業を安定させるには良い人材と余裕のある資金の確保は欠かせません。水道工事の仕事を円滑に進めるための準備も必要です。
 

建設関係の仕事に不可欠な図面は、パソコンで管理すると作業の効率化を図れます。会計処理は専門知識のある担当者を雇用するケースが多いですが、個人や少人数で事業をスタートする際には、業務負担の軽減を意識することが大切です。
 

水道工事に従事するならプラスバイプラスの「plusCAD機械α」がおすすめです。作図から材料の拾い出し、そして見積り作成がすべて連動して行えます。水道施設工事業に必要な許可を得て十分な資金を用意し、仕事をスムーズに処理するソフトの準備も考えましょう。
 

 

水道屋の独立についてよくある質問

水道屋の独立に有利な資格は？

水道屋として独立するために必須の資格は特にありませんが、以下の資格があると案件受注などの面で有利になる可能性があります。 
 

• 土木工事施工管理技士
• 排水設備工事責任技術者
• 管工事施工管理技士
• 給水装置工事主任技術者 

 

土木工事施工管理技士は、土木工事の施工管理を行うための国家資格です。1級と2級があり、1級保有者は大規模な施設の施行管理を行えます。また、公共工事を受注するために必要です。
 

排水設備工事責任技術者は、排水設備の設置や排水設備のメンテナンスなどを行うための資格で、自治体が認定します。排水設備などの設置・整備を行う下水道排水設備指定工事店の認可に必要です。
 

管工事施工管理技士は、水道管工事やダクト工事など管工事を行うために必要な資格です。1級と2級があり、それぞれで異なる受験要件が設定されています。 
 

給水装置工事主任技術者は、国家資格の位置付けで、給水設備の設置や整備を行うための資格です。給水設備の設置・整備を請け負う指定給水装置工事事業者の認可を受けるために必要です。
 

水道屋が一人親方として独立するデメリットやリスクは？

一人親方として個人で水道屋の仕事を請け負う場合、メリットが多いですが、デメリットも考えられます。主なデメリットとして、以下が挙げられます。
 

• 収入が不安定になりやすい
• 怪我や病気で収入がなくなる可能性がある
• 健康保険や国民年金を自分で支払う必要がある
• 請求書や領収書、確定申告などの事務作業が増える 

 

独立して個人で活動する場合、年収が不安定になりやすいでしょう。また、働いた分だけ収入が増える反面、怪我や病気で働けなくなった場合は収入が途絶えてしまう事も考えられます。健康保険や国民年金なども自分で払わなければならないことも重要です。 
 

さらに、請求書や領収書の作成や確定申告など現場作業以外の負担も増えます。仕事におけるスケジュール管理やタスク管理を徹底することが重要です。
 

水道屋として独立した後に安定的に工事を請けるには？

水道屋として独立し、安定的に仕事を受注するためには以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。
 

• 長期的なキャリア計画を考え早めに法人化する
• マッチングサイトなど案件獲得方法を複数用意しておく
• 対応可能な作業や工事の幅を広げる
• 社会的信用を高めるために資格を取得する

 
個人事業主や一人親方よりも法人の方が社会的な信用が高く、仕事を受注しやすい傾向があります。水道工事は需要が高く将来性はありますが、長期的に考え、場合によっては法人化を視野に入れた対策を取りましょう。
 

仕事を安定的に請け負うためには、情報収集も兼ねてマッチングサイトに登録することをおすすめします。毎日の業務だけでは活動場所が限られがちで、仕事に関する情報が入りにくくなる可能性もあります。報酬や仕事内容を相談できるサービスもあるので、有効活用しましょう。
 

また、水道施設工事だけでなく管工事にも対応できるようになれば、単価アップにもつながります。
 

水道屋が公共工事に入札する条件は？

水道屋として公共工事に入札する条件は、主に以下4つです。 
 

• 建設業許可を取得している
• 欠格事項がない
• 税金の未納がない
• 経営事項審査に通過している 

 

500万円以上の工事を受注するためには、建設業許可が必要です。公共工事は500万円以上の案件が多いため、建設業許可を取得しておきましょう。 また、破産者で復権していないことや、成年被後見人など欠格事由に該当すると入札できないため、事前に確認が必要です。
 

さらに、経営事項審査に通過することで、公共工事の入札に必須の「経営規模等評価結果通知書・総合評価値通知書」を発行できます。
 

水道屋で独立した場合の年収はどのくらい？

水道業者の一般的な年収は約400万円前後と言われます。独立開業後の水道屋では、約500万円〜1,000万円以上と高額なケースも見られます。水道工事のうち、公共工事の割合が多い一方で、大規模な水道会社はそこまで多くありません。 
 

小規模事業者であっても、地域の水道業者として信頼を確立できれば公共工事の受注が増え、収入がアップする可能性があります。また、地域の優秀な人材を集めて多くの仕事を受注できれば、収入が安定しさらに案件が決まる、という好循環が生まれるでしょう。
 

水道屋は何年で独立できる？

水道業者として独立するために必須の資格や実務経験はないため、未経験からでも独立することは可能です。中には、未経験で水道会社に入社し、経験を通してスキルや知識を身に付けて数年で独立する人も見られます。
 

特に、作業が比較的容易な配管工事は初心者でも受けやすいと言われます。反対に、溶接工のように高い専門技術を要する作業は、独立できるまでに10年以上など長い時間がかかることもあります。
 

水道屋として独立するメリットは？

水道屋として独立する主なメリットは、以下の通りです。
 

• 需要が安定しており仕事を取りやすい
• 一人親方や個人事業主として活動できる
• 年収の上限がない
• 働き方や仕事のペースを調節できる

 

住民の生活に欠かせない水道インフラの仕事であるがゆえに、流行や時代の流れに仕事が左右される傾向が少なく、安定的に受注できる可能性があります。また、独立開業後は基本的に仕事量に応じて収入が増えるため、受注件数を増やして年収を上げることが可能です。
 

個人事業主と法人いずれも自分の裁量で仕事のペースやスケジュールを決めやすく、会社員に比べて自由度の高い働き方ができます。
 

水道屋の独立に建設業許可は必要？

取水施設工事や下水処理設備工事など、水道施設工事を行いたい場合は建設業許可が必要です。水道業者としての独立開業には建設業許可は必須ではありませんが、許可がないと公共工事へ入札できないなど、制限がかかります。
 

また、元請けによっては工事を請けられないこともあるため、取得しておくと無難です。建設業許可を取得するには、特定の専任技術者の設置や、一定以上の資金の保有といった要件をクリアする必要があります。
 

水道屋の独立後に年収をさらにアップするためのポイントは？

水道屋として独立した後、年収をさらに上げるためにはどういった工夫が必要なのでしょうか。代表的なポイントとして、以下が挙げられます。
 

• 対応できる仕事の幅を広げる
• 資格を取得する
• 集客に注力する
• 長期的に考えて法人化する

 

対応可能な仕事が多いほど、受注できる案件が増え安定的に仕事を確保できます。また、仕事に役立つスキルや知識を得る目的でも、資格取得は有用な手段の1つです。資格を保有することで、社会的な信頼度の向上にもつながります。
 

集客の方法にはさまざまなものがありますが、費用対効果を考慮して、自分の活動に合った手法を無理のない範囲で始めることが大切です。法人化することで、個人事業主よりも仕事を受けやすくなる可能性があります。
 

水道屋の独立に必要な開業資金は？

水道屋として独立するために必要な開業資金には特に決まりはありません。ただ、独立後すぐに仕事を取れるとは限らず、収入が途絶えてしまうことも考えられるため、数ヶ月分の生活資金は確保しておくと安心です。
 

また、仕事を受けてから報酬の支払いまではタイムラグがあり、その間のコストも考慮した方が良いでしょう。