弱電工事の資格一覧｜仕事内容や種類、強電との違いも解説

そもそも弱電工事とは？強電工事との違いを解説

電気工事は、扱う電圧によって「弱電工事」と「強電工事」に大別されます。
一般的に、弱電工事は48ボルト以下の電圧を扱う工事を指し、電話線やLANケーブル、テレビアンテナ線といった情報通信に関連する設備が対象です。

一方、強電工事は一般的に48ボルト以上の電圧を扱い、電力会社から送られてくる電気をコンセントや照明、大型機械などで使えるようにする配線工事や設備設置を指します。強電は、低圧（交流600V以下、直流750V以下）、高圧（交流600V超7,000V以下、直流750V超7,000V以下）、特別高圧（7,000V超）に分類されます。
感電のリスクが低い弱電に対し、強電は生命に関わる危険を伴うため、より厳格な安全管理が求められます。

弱電工事に資格は必要？

弱電工事は通信機器や情報設備を扱うため、一見すると資格が不要に思えるかもしれません。しかし、工事の内容によっては法律で定められた国家資格が必須となる場合があります。
特に、電話回線や光ファイバーといった電気通信回線に端末設備を接続する工事では「工事担任者」の資格が必要です。また、防犯カメラやテレビアンテナのブースターなど、電源を必要とする機器の設置作業を行う際には「電気工事士」の資格が求められます。
このように、弱電工事と一口に言っても、関連する電気工作物の範囲や電圧によって必要な資格が異なります。ただし、資格が不要な軽微な作業も存在します。

弱電工事の具体的な仕事内容とは

弱電工事は、情報通信インフラを支える重要な役割を担っており、その仕事内容は多岐にわたります。
具体的には、インターネットや電話などの通信環境を整備する配線工事から、テレビの視聴環境を整えるアンテナ設置、建物の安全を守る防犯・防災設備の導入まで、様々な弱電設備工事が含まれます。

これらの設備は現代社会において不可欠なものであり、弱電工事の技術者は、社会の基盤を支える専門家として幅広い現場で活躍しています。

LANケーブルや電話回線の配線工事

オフィスビルや商業施設、一般家庭において、インターネットや電話を使用するための環境を構築する工事です。
壁の中や天井裏などに配管を通し、そこへLANケーブルや電話線を敷設していきます。
最終的に、モジュラージャックや情報コンセントを設置し、専用の測定器で通信が正常に行えるかを確認して作業は完了します。

建物の構造やお客様の要望に応じて最適な配線ルートを設計する必要があり、現場によっては作業の難易度が大きく変動します。
情報通信ネットワークの根幹を支えるため、正確かつ丁寧な作業が不可欠です。

テレビアンテナや共聴設備の設置

テレビ放送を視聴可能にするための工事で、戸建て住宅の屋根上へのアンテナ設置や、マンション・アパートなどの集合住宅におけるテレビ共聴設備の構築を行います。
アンテナ本体の設置に加え、電波を増幅させるブースターや、電波を各部屋に分配する分配器の取り付けも作業に含まれます。

ブースターの設置には電源が必要となる場合があります。新たに電源コンセントを設けたり、既存の電気回路から電源を分岐させたりする作業は、感電や漏電、火災などの危険を伴うため、第二種電気工事士のような国家資格が求められることがあります。ただし、アンテナ本体の設置やブースターの設置（電源工事を伴わない場合）、ケーブルの接続など、資格がなくても行える作業もあります。一般的に、ブースターを設置する際は、専門業者への依頼が推奨されており、個人での設置作業には注意が必要です。地域の電波状況を考慮し、安定した受信レベルを確保するために、専門的な知識と技術を要する作業です。

防犯カメラやインターホンの設置工事

住宅や店舗、オフィスのセキュリティを向上させるための設備を設置する工事です。
防犯カメラや録画機、モニター、インターホンといった機器を取り付け、それぞれをケーブルで接続します。

機器の性能を最大限に発揮させるためには、設置場所の選定や画角の調整が重要になります。
近年では、ネットワークに接続して遠隔監視が可能なシステムも増えており、通信設定に関する知識も必要です。
大規模な工事では、電気通信工事施工管理技士の資格保有者が、全体の施工計画や安全管理を担うことで、工事の品質と信頼性を高めます。

火災報知器など防災設備の設置

建物内で火災が発生した際に、それを検知して報知するための設備を設置する、人命に関わる重要な工事です。
消防法に基づいて設置が義務付けられており、熱や煙を感知する感知器、警報を発するベルやスピーカー、そしてシステム全体を制御する受信機などを、設計図に従って正確に取り付けていきます。

これらの機器が正しく連動するように配線し、万が一の際に確実に作動するかを試験する作業も含まれます。
この工事を専門に行うには、国家資格である「消防設備士」の取得が必須となります。

放送設備や音響設備の工事

学校や商業施設、イベントホールなどで、構内放送やBGM、アナウンスを流すための設備を構築する工事です。
スピーカーやアンプ、ミキサーといった音響機器を適切な場所に設置し、それらをケーブルで接続します。

設置場所や機器の選定、配線ルートの設計によって音の聞こえ方が大きく変わるため、音響に関する専門知識が求められます。
利用目的に応じて最適な音響空間を創り出す、専門性の高い分野であり、利用者が快適に過ごせる環境づくりに貢献する仕事です。
クリアな音声を隅々まで届けるための調整作業も重要な工程となります。

弱電工事で役立つ主要な資格一覧

弱電工事の分野で活躍するためには、専門知識と技術を証明する資格の取得が非常に有効です。
資格には、特定の工事を行うために法律で定められた必須のものから、自身のスキルアップやキャリア形成に有利に働くものまで様々です。
ここでは、弱電工事に関連する主要な資格をいくつか取り上げ、それぞれの概要や役割について解説します。

これらの資格を取得することで、担当できる業務の幅が広がり、より専門性の高い技術者として評価されるでしょう。

電気工事士｜基本的な電気工事に必須の国家資格

電気工事士は、建物の電気設備の工事・取扱いに必要な国家資格です。弱電工事においても、防犯カメラやアンテナのブースターなど、電源を必要とする機器の設置作業が発生するため、取得しておくと業務範囲が大幅に広がります。

資格は第一種と第二種に分かれており、第二種は一般住宅や小規模店舗など600V以下で受電する設備の工事が可能です。第一種は、第二種の範囲に加えてビルや工場などの大規模な施設の工事にも従事できます。弱電工事を主としつつも、関連する電源工事まで一貫して対応できるため、市場価値の高い技術者を目指せます。

工事担任者｜端末設備の接続工事に必要

工事担任者は、電話回線や光ファイバーなどの電気通信回線に、電話機やモデム、ルーターといった端末設備を接続する工事を行うために必須となる国家資格です。資格はアナログ通信を扱うAI種とデジタル通信を扱うDD種に分かれ、両方を扱える総合通信など複数の区分が存在します。

情報通信インフラの構築に直接関わるため、弱電工事における特定の業務では重要な資格であり、専門家としてキャリアを積む上で役立つ場合があります。情報通信業界では電気通信工事のニーズが増加しており、工事担任者の資格はスキルを証明するものとして有利に働く可能性があります。新しい通信技術が登場するたびに需要が高まるとされています。また、他の電気工事士などと合わせて取得することで、より幅広い業務に対応できるメリットがあるでしょう。

電気通信主任技術者｜電気通信設備の監督・管理を行う

電気通信主任技術者は、電気通信事業者が管理するネットワーク設備の工事、維持、運用を監督するための国家資格です。現場で直接作業を行うというよりは、事業用電気通信設備が技術基準に適合するよう監督する、管理・責任者向けの資格と位置づけられています。資格には「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2種類があります。

この資格を取得することで、電気通信ネットワーク全体に関する高度な専門知識を持つ技術者として認められます。通信事業者への就職や、管理職へのキャリアアップを目指す際に有用な資格です。

電気通信工事施工管理技士｜施工計画や安全管理を担当

電気通信工事施工管理技士は、電気通信工事の現場において、施工計画の策定から工程管理、品質管理、安全管理まで、工事全体を統括するために必要な国家資格です。
資格は1級と2級に分かれており、1級を取得すると特定建設業の営業所に置かれる専任技術者や、大規模工事の監理技術者になることが可能です。

この資格を持つことで、現場代理人や主任技術者として工事を指揮する立場に就くことができ、キャリアアップに直結します。
公共工事の入札に参加する企業にとっても必須の資格であり、取得者は高く評価されます。

総合無線通信士｜無線設備の操作・工事を行う

総合無線通信士は、船舶や航空機に搭載された無線設備、放送局や海岸局といった大規模な無線設備の技術的な操作を行うための国家資格です。
資格は第一級から第三級までに分かれており、上位の級ほど操作できる無線設備の範囲が広くなります。
例えば、第一級総合無線通信士は、国際通信を含むほぼ全ての無線設備の操作が可能です。

弱電工事の中でも、特に無線通信システムの構築や保守、運用に関わる分野で専門性を発揮できます。
グローバルな通信を支える役割を担う、専門性の高い資格です。

陸上無線技術士｜陸上の無線局の技術操作に従事

陸上無線技術士は、テレビ局やラジオ局、携帯電話の基地局、各種業務用の無線局など、陸上に設置された無線設備の技術操作を行うための国家資格です。
資格は第一級と第二級があり、第一級は全ての陸上無線局の操作が可能で、第二級は操作範囲に一部制限があります。

5Gの普及に伴う基地局の増設や、防災行政無線などの社会インフラの維持管理において、この資格を持つ技術者の需要は高まっています。
私たちの生活に身近な放送やモバイル通信の品質を支える、重要な役割を担うことができる資格です。

弱電工事に資格は必須？無資格でできる作業範囲

すべての弱電工事に資格が必須というわけではありません。
例えば、電圧が36V以下の配線や、既存のジャックにLANケーブルを差し込むといった軽微な作業は、資格がなくても行うことが可能です。

しかし、電話回線に端末を接続する工事には「工事担任者」、防災設備の設置には「消防設備士」、電源工事を伴う場合には「電気工事士」といったように、法律で有資格者による作業が義務付けられている業務が数多く存在します。
無資格者は有資格者の監督下で補助作業を行うことはできますが、一人前の技術者として活躍するためには資格取得が不可欠です。

資格取得後のキャリアパスと将来性

弱電工事関連の資格を取得すると、多様なキャリアパスが拓けます。
例えば、電気工事士や工事担任者の資格を活かして現場のスペシャリストとして技術を磨き続ける道があります。
さらに、電気通信工事施工管理技士を取得すれば、現場のリーダーやプロジェクトマネージャーとして、より大規模な工事の管理に携わることも可能です。

また、経験を積んで独立開業する選択肢もあります。
IoTや5G、AI技術の発展に伴い、社会のあらゆる場面で情報通信設備の重要性は増しており、弱電工事の需要は今後も安定して見込まれる将来性の高い分野です。

最短でキャリアアップしたい人向け「資格ロードマップ」

第二種電気工事士 or 工事担任者のどちらか

弱電工事のキャリアをスタートさせる際、まず取得を検討すべきなのは「第二種電気工事士」または「工事担任者」のどちらかです。どちらの資格も、弱電工事における基本的な作業や専門的な業務に不可欠であり、取得することで対応できる業務の範囲が大きく広がります。

例えば、LANケーブルの配線工事や、防犯カメラ、インターホンといった機器の電源工事を主に行いたい場合は、第二種電気工事士の取得が有利です。この資格があれば、住宅や小規模店舗の600V以下で受電する電気設備の工事が可能になり、弱電設備に電源を供給する作業も自ら行うことができます。

一方、電話回線や光ファイバー回線にルーターやモデムなどの端末設備を接続する工事を主な業務としたい場合は、工事担任者（特にDD種）の取得が不可欠です。
インターネット通信が普及した現代において、ネットワーク構築に関する業務は弱電工事の主流であり、この資格は高い需要があります。

どちらの資格も、実務経験がなくても受験可能であるため、未経験から弱電工事の世界に飛び込む方にとって、最初のステップとして非常に適しています。自身の目指すキャリアパスや、関心のある弱電工事の種類に合わせて、最適な資格を選択することが重要です。

この最初の資格取得が、その後のキャリアアップの土台を築くことになります。

実務経験を積む

弱電工事の分野で着実にキャリアを築き、将来的にリーダーや管理者を目指すためには、資格取得と並行して実務経験を積むことが非常に重要です。
いくら資格を持っていても、実際の現場で知識や技術を応用できなければ、その価値を最大限に発揮することはできません。現場での実務経験は、座学だけでは得られない実践的なスキルや問題解決能力を養う絶好の機会です。

例えば、ケーブルの配線作業一つをとっても、建物の構造や既存の設備、顧客の要望に応じて最適なルートを見つけ出すといった臨機応変な対応力が求められます。
また、予期せぬトラブルが発生した際に、どのように原因を特定し、迅速かつ的確に対処するかといった判断力も、実務を通して磨かれていきます。

さらに、現場での経験は、チームでの連携やコミュニケーション能力の向上にもつながります。他の技術者や関係者との協力なしには、大規模な工事を成功させることはできません。経験を積むことで、円滑な人間関係を築き、スムーズな情報共有や意見交換ができるようになります。
これは、将来的に現場を統括する立場になった際に、非常に重要な資質となります。実務経験を積む過程で、自分自身の得意分野や興味のある領域が明確になることもあります。例えば、ネットワーク構築に特化したい、あるいは防犯システムのエキスパートになりたいといった具体的な目標が見つかるかもしれません。

このように、実務経験を積むことは、単に技術を習得するだけでなく、自身のキャリアプランを具体化し、将来の専門分野を見つける上でも不可欠なステップです。未経験からスタートする場合でも、最初は先輩技術者の指導のもとで補助的な作業から始め、徐々に責任ある業務を任されるようになることで、着実にスキルアップを図ることができます。焦らず、一歩一歩経験を積み重ねていくことが、弱電工事のエキスパートとして成長するための鍵となります。

認定電気工事従事者または上位資格へ

第二種電気工事士や工事担任者を取得し、実務経験を積んだ後は、「認定電気工事従事者」や「第一種電気工事士」といった上位資格を目指すことが、さらなるキャリアアップへの道を開きます。

認定電気工事従事者は、第二種電気工事士免状の交付を受けた方、または電気主任技術者や電気事業主任技術者の免状の交付を受けた方で、経済産業大臣が定める簡易電気工事に関する講習の課程を修了することで取得できる資格です。第二種電気工事士免状の交付を受けている場合、実務経験が3年未満であれば講習の受講が必要です。また、第二種電気工事士免状交付後3年以上の実務経験がある方、第一種電気工事士試験に合格した方、電気主任技術者、または電気事業主任技術者で免状交付後3年以上の実務経験がある場合は、講習の受講が免除され、申請のみで取得できる場合があります。この資格を取得すると、自家用電気工作物の簡易な工事（電圧600V以下で使用する最大電力500kW未満の需要設備の電気工事など）に従事できるようになり、業務の幅が大きく広がります。

一方、第一種電気工事士は、第二種電気工事士の上位資格であり、高圧受電設備を含む大規模な電気工事を行うことが可能です。ただし、第一種電気工事士として電気工事の設計から施工、検査まで全てを行うには、試験に合格後、3年以上の実務経験を積んで免状の交付を受ける必要があります。公共施設や大型商業施設などの大規模プロジェクトで活躍できるようになり、現場の責任者としての役割も期待されます。

これらの上位資格は、専門知識と技術力をさらに深めるだけでなく、顧客からの信頼性向上にも直結します。取得難易度は上がりますが、取得することで、より複雑な案件や大規模な工事にも対応できるようになり、プロジェクトの中心メンバーとして活躍する機会が増えるでしょう。技術者としての市場価値を高め、長期的なキャリア形成を見据える上で、上位資格への挑戦は非常に意義深いステップとなります。

これらの資格は、弱電工事の専門性を高めつつ、電気工事全般の知識も深めることで、幅広いニーズに対応できるオールラウンドな技術者への成長を後押しします。

施工管理技士 → 現場責任者へ

弱電工事の分野で着実にキャリアを積み重ね、最終的に現場の責任者を目指す場合、「電気通信工事施工管理技士」の資格取得は非常に重要なステップです。この資格は、工事現場における施工計画の策定、工程管理、品質管理、そして安全管理といった、工事全体を統括する役割を担うために不可欠な国家資格です。
特に1級電気通信工事施工管理技士を取得すると、大規模な電気通信工事において「監理技術者」として現場を指揮・監督できるようになります。これにより、現場代理人として工事全体をマネジメントする立場に就くことが可能となり、キャリアアップに大きく貢献します。

具体的には、電気通信工事施工管理技士の資格を持つことで、建設業法で定められた特定の条件を満たす工事現場において、主任技術者または監理技術者として配置されることが可能になります。2025年2月1日に施行された改正建設業法施行令では、監理技術者の配置が必要となるのは、元請けとして請け負った工事で、かつ下請契約の合計が5,000万円以上（建築一式工事の場合は8,000万円以上）の場合です。また、主任技術者の専任が必要な工事は、請負金額が4,500万円以上（建築一式工事の場合は9,000万円以上）の場合です。これらの条件を満たす公共工事の入札に参加する企業にとっても必須の資格であり、有資格者は企業内で非常に高く評価されます。
現場責任者として、予算管理やスケジュール調整、下請け業者の指導監督、そして顧客との折衝など、多岐にわたる業務を遂行する能力が求められます。
これらの業務は、それまでの実務経験で培った技術力だけでなく、マネジメント能力やリーダーシップも不可欠です。

例えば、大規模なLANケーブル敷設工事や、複数の防犯カメラ設置プロジェクトなどでは、多くの作業員が関わり、複雑な工程管理が必要となります。そのような現場で電気通信工事施工管理技士の資格を持つ現場責任者は、全体の進捗を把握し、問題が発生した際には的確な指示を出すことで、工事を円滑に進めることができます。

この資格を取得することは、技術者としての専門性を深めるだけでなく、組織内での地位向上や、より高収入なポジションへの道を開きます。将来的には、独立して自らが事業主として工事を請け負うことも可能になるなど、キャリアの選択肢が大きく広がります。
弱電工事の現場で経験を積み、技術と知識を深めた先に、この施工管理技士の資格取得という目標を設定することは、長期的なキャリアプランにおいて非常に有効な戦略と言えるでしょう。

弱電工事の図面作成をシンプルに｜plusCAD電気αで業務効率を向上

弱電工事では、LAN配線図、機器配置図、系統図など、現場ごとに多様な図面を作成する必要があります。しかし、汎用CADでは電気設備特有の記号や作図工程が多く、思うように効率化できないと悩む技術者も少なくありません。

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弱電工事の資格についてまとめ

弱電工事はLAN配線や防災設備、放送設備など現代社会の情報通信インフラを支える多岐にわたる業務を含みます。
全ての作業に資格が必要なわけではありませんが、「電気工事士」や「工事担任者」などの資格を取得することで、対応できる業務の幅が広がり、技術者としての信頼性が高まります。

さらに、「電気通信工事施工管理技士」のような上位資格を目指すことで、現場の管理者としてキャリアアップも可能です。
技術革新が進む中で弱電工事の需要は今後も高まるため、資格取得は自身の市場価値を高める有効な手段となります。

弱電工事の資格についてよくある質問

Q1. 弱電工事に資格は絶対必要ですか？

弱電工事のすべてに資格が必要というわけではありません。
36V以下の軽微な作業や、既存ジャックへの機器接続などは無資格でも可能です。
しかし、電話回線への端末接続（工事担任者が必須）、防災設備の設置（消防設備士が必須）、電源工事（電気工事士が必須）など、法律で資格が義務付けられた工事も多くあります。
長期的に技術者として活躍するためには、資格取得がほぼ必須と言えるでしょう。

Q2. 未経験から弱電工事を始める場合、どの資格を取ればいいですか？

工事担任者（AI第二種およびDD第二種）の試験は、2021年度（令和3年度）から3年間に限り実施され、2023年度（令和5年度）をもって終了しました。そのため、現在新規でこれらの資格の試験を受けることはできません。しかし、未経験から電気工事の資格取得を目指す場合、第二種電気工事士がおすすめです。第二種電気工事士の資格を取得することで、担当できる作業範囲が大きく広がります。

● 電源工事も扱いたい → 第二種電気工事士

第二種電気工事士は、一般住宅や小規模店舗、オフィスなどの電圧600V以下で受電する設備の電気工事が可能です。具体的には、屋内の配線工事、コンセントの設置・増設・交換、照明器具の取り付け、エアコンやインターホンの設置工事、分電盤の据え付けなどが含まれます。

また、第二種電気工事士は未経験者でも取得しやすく、就職や転職に有利な国家資格です。 資格取得によって、電気工事会社、ビル設備管理、サービスエンジニアなど、幅広い分野で活躍が期待できます。

Q3. 弱電工事と強電工事の違いは何ですか？

電気工事は、電圧の大きさによって「弱電工事」と「強電工事」の大きく2つに分けられます。弱電工事は、主に通信や情報伝達を目的とした比較的低い電圧を扱う工事で、LAN、電話、防犯カメラなどが含まれます。弱電工事で扱われる電圧は48V以下とされることが多いですが、100V以下とされている情報もあります。

一方、強電工事は、電気をエネルギーとして利用する電気設備（コンセント、照明、動力設備など）の工事を指し、一般的に48V以上、または100Vを超える電圧を扱います。 強電工事で扱われる電圧は、低圧（交流で600V以下、直流で750V以下）、高圧（交流で600Vを超え7,000V以下、直流で750Vを超え7,000V以下）、特別高圧（7,000Vを超える）に分類され、多岐にわたります。 強電工事は感電のリスクが高いため、より厳格な安全管理と専門資格が必要とされます。

Q4. 無資格でもできる弱電工事の例は？

電気工事士の資格が不要と一般的に言われている作業であっても、作業内容によっては資格が必要になる場合があります。例えば、LANケーブルの敷設自体には資格は不要とされることが多いですが、壁内の配線やケーブルの端末処理には、**電気工事士**や**工事担任者**といった国家資格が必要なケースがあります。 既存のコンセントやジャックの差し替えも、壁内の配線を伴う場合は**電気工事士**の資格が必要です。

アンテナ本体の設置は、電源工事を伴わない場合は資格が不要とされています。 しかし、ケーブルの加工やアンテナ端子の変更、ブースターの電源設置など、付随する電気工事には**電気工事士**の資格が必要となる場合があります。

防犯カメラのネットワーク設定そのものに直接的な資格は不要ですが、防犯カメラの設置には電気配線を伴うことが多く、その場合は**電気工事士**の資格が必要になります。 また、**防犯設備士**の資格は、防犯システム全体に関する専門知識を証明するものであり、防犯カメラの選定やシステム構築、診断などに役立ちます。

これらの作業は、**電気工事士法**や**電気通信事業法**といった法律 の規制を受ける場合があり、判断を誤ると違法工事になる可能性があります。そのため、具体的な作業内容に応じて必要な資格の有無を確認し、有資格者が作業を行うことが重要です。 軽微な建設工事を除き、500万円以上の工事を請け負う場合は**建設業許可**も必要となることがあります。

Q5. どの資格から順番に取ればキャリアアップできますか？

弱電工事の基本的なキャリアパスは以下のとおりです。

第二種電気工事士 or 工事担任者（DD）
現場で実務経験を積む
認定電気工事従事者 や 第一種電気工事士 など上位資格へ
電気通信工事施工管理技士（1級/2級） を取得し現場責任者へ

この流れを実践すると、最短で技術者としての価値を高めながら、管理職までのキャリアを築けます。

Q6. 施工管理技士は弱電工事でも必要ですか？

はい。
電気通信工事施工管理技士は、特に大規模な電気通信工事において必要とされることがあります。1級の資格を取得すると「監理技術者」として工事全体を指揮できるようになります。元請の特定建設業者が総額5,000万円以上（建築一式工事の場合は8,000万円以上）の下請契約を締結した際には、監理技術者の配置が法的に義務付けられています。この資格は、管理者・責任者を目指す方にとって非常に有用なものです。