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  • 2025年02月04日

一人親方の常用単価とは?職種別の相場や変動要因を徹底解説

案件管理
一人親方の常用単価とは?職種別の相場や変動要因を徹底解説

一人親方の1日の仕事にかかる単価は「常用単価」と呼ばれ、業種や地域などによって金額が異なります。一人親方に業務を依頼する際に常用単価を把握しておくことで、見積もりの精度向上や委託先の確保に役立ちます。

 

本記事では、一人親方の常用単価について、職種別の金額や変動要因などを詳しく解説します。一人親方の常用単価を把握する方法や発注時の注意点についても紹介しますので、一人親方との協働を成功させるために、ぜひお役立てください。

常用単価とは

「常用単価」とは、1日の仕事に対する報酬の目安となる金額です。建設業における現場作業員や溶接工、運転手などさまざまな職種の作業者が1日働いたときの賃金を意味します。常用単価は、職種や地域に加え、経験やスキルなどの要因に左右され、年々変わる可能性があります。
 

雇われの職人は会社員と同じように、役職が上がらない限り、単価の上限が決まっています。一方、一人親方の場合は、元請けとの交渉次第で単価をアップできる可能性があります。また、スキルが向上し、責任が増すほど、常用単価も高くなります。
 

一人親方に仕事を依頼したい場合、常用単価を把握した上で見積もりを作成すれば、より正確な金額を提示でき、交渉や契約締結をスムーズに進められます。
 

 

職種別、一人親方の常用単価の相場

一人親方の常用単価は、職種や地域、現場などによって異なり、全体的な相場としては約15,000〜30,000円です。ここでは、「全建総連東京都連2023年賃金調査報告書」を基に、代表的な職種の一人親方の常用単価を紹介します。
 

大工の常用単価

一人親方をしている大工の場合、常用単価の平均は21,223円です。全国的には、約20,000円〜30,000円が相場です。大工の主な仕事は、建築士が作成した設計図に従って、建築材料を加工し、木造住宅の建設や内装工事を行います。
 

大工は職人技術が必要ですが、専門性が高く、安定的なニーズが見込めます。また、近年は、新築に加えてリフォーム工事の受注も増えており、一人親方でも安定収入を得られる可能性があるでしょう。
 

また、発注者と直接やり取りする元請けとして受注できることが多く、単価交渉により常用単価をアップしやすいため、雇われの大工と比べて高年収が期待できます。
 

電気工事の常用単価

電気工事を受注している一人親方の常用単価は、約21,728円です。電気工事士は国家資格であり、工事には漏電による火事などのリスクが高いことから有資格者のみが工事を受注できます。
 

仕事内容は現場によってさまざまで、屋内や屋外の配線、スイッチやコンセントの設置、冷暖房設備の取り付けなどがあります。電気は人々の生活に欠かせないものであるため、電気工事士のニーズは安定しています。
 

特に、エアコン設備の工事のように単価の高い工事を集中的にこなすことで、高収入が期待できます。ただ、閑散期と繁忙期の差が大きいため注意が必要です。
 

内装工事の常用単価

内装工事を担っている一人親方の常用単価は、約22,321円です。内装工事の主な内容は、壁や天井のクロスの貼り付け、床や間仕切り壁の設置などです。現場によっては大工が行う場合もあります。
 

ビルや大型施設の場合、テナントが入れ替わる度に工事が発生するため、需要は比較的高いでしょう。また、経年劣化のメンテナンスも必要になり、需要が増える可能性もあります。建設業界の他の職種に比べて、一人前として独立しやすく、起業直後からある程度の年収が見込めます。
 

塗装工事の常用単価

塗装工事を行う一人親方の目安常用単価は、約21,845円です。相場としては、約18,000円〜28,000円ほどと言われます。住宅や建物の屋内外、道路、家具などにペンキなどを塗装するのが主な仕事です。
 

建物や素材の見た目をよくするだけでなく、防水や紫外線対策なども考慮して多様な塗料を使い分ける必要があります。また、近年は中古物件のリフォームも増加しており、リフォーム工事はなくなることはないため、今後も安定した受注が期待できるでしょう。
 

配管工事の常用単価

配管工事を担う一人親方の常用単価は、約22,730円です。配管工事とは、給水管や排水管、ガス管などの設備工事全般を指します。配管の交換や接続などの作業では、接合部分からの水やガスの漏れを防ぐ必要があり、精密で正確な作業が求められます。
 

住宅や工場、病院など施工が必要な建物が多く、老朽化によるリフォームも増加していることから、継続的なニーズが期待できます。ただ、一人親方として受注できる案件には限界がある上、大規模な工事で元請けとなり、価格を交渉することは難しい可能性があります。
 

 

一人親方の常用単価の変動要因

常用単価は、市場や季節、地域などの要因によって大きく変わります。一人親方の場合、以下のような条件が常用単価に影響します。
 
  • スキル・経験・実績
  • 資格・許認可
  • 繁忙期・閑散期
  • 地域
  • 仕事内容
  • 元請けとの関係性
  • 経済・市場の状況
 

各要因について詳しく解説します。
 

スキル・経験・実績

一人親方の場合、高いスキルがあり、経験が豊富な職人ほど、常用単価を高く設定できます。また、過去の工事実績が多く、難易度の高い工事を成功させた経験がある場合は、顧客からの信頼を得やすく、より高い常用単価が期待できるでしょう。
 

資格・許認可

資格や許認可も、常用単価に影響する要因です。特に、国家資格や特殊な資格を保有している場合、資格手当が常用単価に加算される場合があります。 
 

繁忙期・閑散期

繁忙期は、工事の需要が高まり、一人親方の常用単価も上がりやすい傾向があります。一方、閑散期は仕事が少なくなるため、常用単価も低くなりがちです。
 

地域

場所によって物価や人件費が変わるため、常用単価も地域ごとに異なります。都市部では常用単価も高くなり、地方では常用単価が下がる傾向があります。
 

仕事内容

仕事内容によって、必要なスキルや労働時間が異なります。難易度の高い業務や、特殊な技術を要する案件では、原則として常用単価が高くなります。
 

元請けとの関係性

元請けとの関係性によっては、交渉で常用単価を挙げられる場合もあります。また、信頼関係を構築できれば、より高い常用単価で契約できる可能性があります。
 

経済状況

市場や経済の状況も、常用単価に影響します。景気が良いときは、工事の需要が増えるため、一人親方の常用単価も上がりやすいでしょう。反対に、景気が悪くなれば工事が減って、常用単価は下がる傾向があります。
 

 

一人親方の常用単価を抑えるポイント

一人親方に仕事を依頼する際に、常用単価を抑えることで予算内での業務委託が可能になります。ここでは、発注側の視点から、一人親方の常用単価を抑えるためのポイントを解説します。
 

職務範囲の明確化

依頼する業務の範囲を明確にすることで、余計なコストの発生を防げます。工事の作業工程を細分化し、必要な部分のみを依頼すれば、費用を抑えられ、円滑な工程の進行にもつながります。また、作業手順や仕様を標準化し、無駄を省くことも大切です。
 

長期的な関係構築

一人親方と長期的に付き合える関係性を築くことで、価格交渉や条件面で有利になることが考えられます。継続的な取引により、信頼関係を構築するとともに、双方が納得できる条件で契約することが重要です。
 

また、情報共有やコミュニケーションを丁寧に行い、効率的な連携を図ることで依頼しやすい関係性が生まれます。
 

閑散期の依頼

繁忙期はどの現場でも人手が必要になるため、常用単価が高くなる傾向にあります。そこで、年末年始や夏季休暇明けなどの閑散期に依頼することで、一人親方の稼働率が上がるため、低い単価で受注できる可能性が高まります。
 

また、閑散期割引や長期契約割引といった条件で、価格交渉を進める方法も有用です。案件について早めに相談すれば、工期に余裕を持たせることができ、価格交渉で有利になる場合があります。
 

仲介業者を通さない直接交渉

一人親方と直接契約する場合、仲介料を省けるため、コストを最適化できます。インターネットの案件募集やマッチングサイトを利用する一人親方も増えていますが、システム利用料などの手数料を取られる可能性があります。
 

しかし、直に契約できれば、仲介料はかかりません。また、知り合いの職人や知人から紹介を受ける方法でも、紹介料を節約できる場合があります。
 

支払い条件の見直し

一人親方への支払い条件を見直すことで、資金繰りが改善され、実質的な費用削減につながる場合があります。例えば、支払い時期を調整する、工事代金を分割で支払うといった方法です。
 

ただし、契約条件によっては後から支払いに関する条項を変更できないこともあるため、事前に確認が必要です。
 

常用単価の調査

常用単価は、年度ごとに変動する可能性があります。最新の常用単価を調査し、反映させることが重要です。
 

常用単価の調査方法には、以下があります。
 
  • 国土交通省が発表するデータ
  • インターネット上の情報
  • 建設業者に直接問い合わせて確認する
 

国土交通省のデータでは、国土交通省が公表する「公共工事の労務単価」を参照しましょう。
 

 

一人親方に工事を依頼する場合の注意点

一人親方に工事を依頼する場合の注意点を解説します。
 

一人親方と常用契約を締結しない

一人親方が常用契約書を締結することは法律で禁止されています。常用契約とは、1人の作業員が1日働く労働量(一人工)で労務費相当を支払うことです。
 

一人親方は、一般的に請負や業務委託といった形式で契約し、業務を受注します。ただ、会社と雇用関係を結ばない請負や委任による仕事であっても、派遣社員のような労働者と同じ働き方であると判断された場合、違法となるため注意が必要です。
 

一人親方として業務を行わせても、実体としては労働者である状態は、偽装請負と呼ばれます。偽装請負は、違法就労として法的に禁止されており、違反した場合には罰則を受けます。最悪の場合、建設業許可が取消になる可能性もあるため事前に確認しましょう。
 

保険に加入しているか確認する

一人親方は企業などの組織やチームに属さず、代わりに働く人がいないため、病気や怪我に備えておく必要があります。常用単価がアップしても、保険に加入していないと万が一の際に仕事を受けられなくなり、収入が途絶えてしまいます。
 

また、治療や通院の出費がかさみ、負担となる可能性もあるでしょう。一人親方が加入できる保険もあるため、事前に調べておくことをおすすめします。例えば、一定の要件を満たしていれば、労災保険の特別加入が認められる場合があります。
 

なお、一般的な請負契約では、事業者が一人親方の社会保険料や労災保険料を支払う必要はありません。ただ、一人親方が労働者として取り扱われる場合、事業者側に社会保険料を負担する義務が生じます。契約の際には、保険料の支払いが含まれていないか確認が必要です。
 

建設業許可のある一人親方と契約する

一人親方が、請負金額が500万円(税込)以上の工事を受注するためには、建設業許可が必要です。建設業許可がない場合、500万円未満の軽微な工事しか請け負えないため注意しましょう(建築一式工事は、1,500万円未満または150㎡未満の木造住宅工事に限られる)。
 

また、元請けが材料を提供する場合は、その費用も合算されるため、要件を満たしているか慎重に判断することが重要です。無許可の一人親方と下請け契約を結んでしまった場合、建設業法違反となり、指示処分や営業停止を命じられるケースもあるため注意が必要です。
 

 

まとめ

一人親方の常用単価は、職種や地域、市場の状況などによって変動します。一人親方に業務を委託する際には、正しい常用単価を把握するとともに、適切な業務範囲を明確に提示することが重要です。
 

また、仲介サービスや紹介業者を通さず直接発注する方法や、閑散期の依頼などで、常用単価を抑えて仕事を依頼できる可能性が高まります。常用単価を正確に把握し、一人親方との良好な関係性を構築しながら円滑に業務を進めましょう。
 

 

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一人親方の常用単価についてよくある質問

常用単価と日当の違いとは?

「常用単価」とは、1日の仕事に対する報酬の目安金額です。あらかじめ決められた1日あたりの常用単価を基準に、月間の労働日数や時間などを考慮して、最終的な報酬額を算出します。
 

一方、「日当」は、実際に働いた日数に対して支払われる金額を指す言葉です。労働日数に応じて、日払いや週払い、月払いなどの方法で支払われます。
 

一人親方の常用単価の平均は?

一人親方の単価は、職種や地域などによって変わります。国土交通省の資料「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価」によると、代表的な職種の平均常用単価は以下の通りです。
 
  • 大工:27,721円
  • 左官:27,414円
  • とび工:28,461円
  • 建具工:26,900円(東京都の場合)
 

常用単価の影響を受ける工事は?

常用単価が影響を及ぼす工事の種類には、主に以下があります。
 
  • 新築工事
  • リフォーム工事
  • 土木工事
 

新築工事は、建物の規模や設計によっても常用単価が異なります。リフォーム工事の場合、既存の建物の形状や状態、設備の有無によっても常用単価が変わります。また、土木工事は、土地の地盤状況や地形により作業内容や負担が異なるため、常用単価の影響を受けやすいでしょう。
 

上記以外でも、一人親方に業務を依頼する場合は、正確な常用単価を把握する必要があります。
 

一人親方に工事を依頼する場合の注意点は?

一人親方に工事を依頼する際には、以下の点に注意しましょう。
 
  • 常用単価を把握して見積もりを作成する
  • 見積もりや契約書をよく確認する
  • 常用契約を締結しない
  • 受注内容によっては建設業許可があるか確認する
 

一人親方に工事を依頼する場合、まずは常用単価を確認することが重要です。複数の職人から見積もりを取ると、常用単価の相場を把握しやすいでしょう。て
 

また、後でトラブルにならないためにも、見積もりの内訳や諸経費、契約書の内容も慎重に確認した上で契約を締結する必要があります。建設業では、派遣と同様の形式で一人親方と常用契約を結ぶことは違法行為であり、罰則を受ける可能性もあるため注意が必要です。
 

建設業許可を持っていない場合、税込み500万円未満の案件しか一人親方へ発注できない点も覚えておきましょう。
 

一人親方問題に対する今後の方向性は?

建設業界では、2019年に有給休暇取得が義務化された後も、2020年には社会保険加入が建設業許可・更新の要件となるなど、国の主導で処遇の改善や社会保険の加入対策が強化されてきました。
 

国土交通省は「建設業の一人親方問題に関する検討会」を設置し、一人親方の偽装請負問題や処遇改善について協議しています。2024年4月には、建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、一人親方を含む建設業界全体の労働環境改善が進められています。
 

 

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