- 2024年08月02日
下水道工事の流れや工法、工期を解説
水道工事に関する知識
下水道工事は、私たちの日常生活に欠かせないインフラを、正常に機能させるための重要な工事です。トイレや洗濯などの生活排水や浄化槽の汚れた水は、下水道を通して集められ、浄化されてキレイな水となり、川や海へと戻っていきます。
本記事では、下水道工事の流れや工法の種類、工期や費用などについて詳しく解説します。下水道工事について理解を深め、工事業者の作業効率化を進めるためにぜひご覧ください。
コンテンツ
下水道工事の流れ
下水道工事のおおまかな流れを紹介します。下水道工事の範囲や規模によっては、事前調査だけでなく、近隣住民への説明会が必要なケースもあります。全体の流れを見ていきましょう。1. 現地調査・家屋調査と設計
工事前には現地調査や家屋調査を行い、現場の状況を確認します。現地調査では、設計業者がレーダー探査などにより、水道管やガス管、通信管など地下埋設物の有無を調べます。調査結果をもとに、下水道管の経済性や安全性を考慮し、埋設位置や工事方法を決定して図面を設計します。また、工事に関わる住宅の塀や外壁などもあわせて調査しておきます。
2. 説明会やお知らせ文の配布
場合によっては、現場周辺の住民を招いた工事の説明会やお知らせの配布を通して、工事内容や注意点などを説明する必要があります。下水道沿道の住民に対して工事を周知しておくことで、より円滑な工事の進行が実現します。3. 工事着手
事前準備が整ったら、下水道工事に取り掛かります。現地調査で把握した地下埋設物がある場合、仮設や防護、移設を行った上で着工します。また、下水道管の埋設工事と並行して住宅や事業所などの汚水桝を設置します。公共汚水桝を設置する場合は、事前に設置申請書の提出が必要です。
4. 完了検査
工事が完了したら、法令などの技術基準に適合しているかを客観的に判断する完了検査を実施します。検査は通常、発注者・検査員・工事業者の三者が現地で実施します。仮設や防護、移設した地下埋設物は元の状態に復旧し、道路の舗装復旧工事を行います。
5. 供用開始
完了検査に通過したら、正式に下水道工事の完了です。下水道法第9条に規定される「共用開始の告示」を行います。6. 排水設備の接続工事
下水道と接続する排水設備には、住宅や事業所などの敷地内に設置する排水管や桝などがあります。トイレやお風呂などの生活排水や、雨樋に流れる雨水などを適切に流すために、下水道本管と接続する工事が必要です。下水道工事の工法
下水道工事には、主に下記3つの施工方法があります。- 開削工法
- 推進工法
- シールド工法
それぞれについて詳しく解説します。
開削工法
開削工法は、ショベルカーなどの重機で土を掘り、下水道管を並べてから土で埋め戻す工事で、下水道工事で最も主流な方法です。汚水が流れる勾配になるよう、土の中に下水道管を調整しながら設置し、土砂で埋め戻します。主な工事手順は、以下の通りです。
- 道路表層のアスファルトを取り壊し、重機や人力で掘削する
- 基礎を造り、下水道本管を敷設する
- 埋め戻しを行う
- 歩行者や自動車が通れるよう舗装部分を仮復旧する
- 1〜5を期間中、毎日繰り返す
- すべての下水道管を設置したら、舗装工事を行って完了
推進工法
推進工法は、下水道管の埋設が難しい場所や、川や通信ケーブル管などの障害物があり、下から下水道管をくぐらせたい場合などに採用される工法です。下水道管を埋設する位置が、地表面からかなり深い場所でも用いられます。推進工法の手順は以下の通りです。
- 推進工法を行うための立坑(立穴)を造る
- 推進機により下水道管を水平方向へ推し出し、下水道管を設計通りに設置する
- 立坑から推進機を取り出し、上部にマンホールを設置する
- 立坑内を埋め戻し、仮復旧工事を行う
- 1〜5を期間中、毎日繰り返す
- すべての下水道管の埋設が完了したら舗装工事を行って完了
シールド工法
シールド工法は、下水道管が大口径な場合、または長距離なケースに用いられる工法です。幹線下水道と呼ばれる下水道や、トンネル、地下鉄などを作る際にも採用されています。下水道工事の工期
下水道工事の工期は、工事内容や規模などによって異なりますが、単純な工事は約3~5日、大規模な工事では7〜10日程度が目安です。下水道管への接続工事は、配管状態や工事の種類、浄化槽の撤去工事の有無などによっても変わります。下水道工事の費用
下水道工事の費用は、工事箇所や工事内容によって変わります。代表的な工事の費用相場を紹介します。- 住宅新築時など下水道管への接続工事:公共汚水桝が近い場合は30~50万円ほど、公共汚水桝が遠い場合は50~80万円ほど
- 合併浄化槽の撤去工事:5~7人槽は3~7万円ほど、浄化槽の清掃費用は2~4万円ほど
- 汲み取り式トイレを水洗へ替える工事:60~100万円ほど
下水道の引き込み工事を行う際には、工事費用の他に設計手数料や分岐管理手数料などがかかる場合もあります。自治体に支払う加入金や基本工事費についても、事前に調べておくと安心です。
まとめ
下水道工事は、日常生活に不可欠な下水道を新設、修繕するための重要な工事です。住宅やビルなどを建てる際にも必ず工事が必要ですが、地中に埋まっている下水道本管へと接続するために、道路や土地を掘り返すことになります。工事前には入念な現地調査や地域住民への説明会を実施し、周知を徹底した上で工事準備に取り掛かります。下水道工事の工法は主に3つあり、工事箇所によって異なる手法が使われます。
下水道工事の業務を効率化し、スムーズに完工するためには管理ソフトの活用がおすすめです。
plusCAD機械αは、水道工事の図面作成に役立つ機能を搭載したCADソフトです。作図機能に加えて、見積り書や申請書類の作成にも対応しており、現場で使う資料を一元管理できます。
充実のサポート体制でスムーズな導入を支援いたしますので、下記より詳細をご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。
plusCAD機械αの詳細をみる
下水道工事についてよくある質問
下水道工事の流れは?
下水道工事は、以下の流れで行われます。- 現地調査・家屋調査と設計
- 説明会やお知らせ文の配布
- 着工
- 完了検査
- 供用開始
- 排水設備の接続工事
下水道工事の工法にはどのような種類がありますか?
下水道工事は主に次の3つの施工方法に大別されます。- 開削工法
- 推進工法
- シールド工法
最も一般的な開削工法は、ショベルカーなどで土を掘り、下水道管を並べて土で埋め戻す工事です。下水道管の埋設が難しい場所や、川や通信ケーブル管などの障害物の下から下水道管をくぐらせる場合には、推進工法で行われます。
下水道管が大口径、もしくは長距離な場合には、シールド工法が用いられます。幹線下水道やトンネル、地下鉄、アクアラインなど大規模な工事にも採用されています。
下水道工事のメリットは?
下水道工事を行うメリットとして、以下の点が挙げられます。- 汚水処理水が道路側溝に流れなくなるため衛生的
- 汲み取り不要で排水の臭いを抑えられる
- 水洗トイレを設置できれば年配者や幼児なども使用しやすい
- 浄化槽が不要になれば清掃などの維持管理費やブロアーの電気代を削減できる
一般的な住宅において、和式トイレから水洗トイレへと交換する工事も下水道工事に該当します。
下水道工事の予算はいくらですか?
下水道工事の費用は、工事箇所や工事内容によって異なりますが、一般的な工事相場は以下の通りです。- 住宅新築時など下水道管への接続工事:30~80万円ほど
- 合併浄化槽の撤去工事:2~7万円ほど
- 汲み取り式トイレを水洗トイレへ替える工事:60~100万円ほど
下水道の引き込み工事では、上記に加えて設計手数料や分岐管理手数料などがかかる場合があります。