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  • 2026年10月30日

建設業の経営ダッシュボードとは?経営判断に必要な指標と活用方法を解説

原価管理・工事管理
建設業の経営ダッシュボードとは?経営判断に必要な指標と活用方法を解説

建設会社の経営では、売上や利益、工事原価、受注残高、資金繰りなど、さまざまな数字を確認する必要があります。しかし、必要な情報が複数のExcelや帳票に分散していると、経営状況を把握するだけでも時間がかかります。

こうした課題の解決に役立つのが、重要な経営指標を一覧で確認できる「経営ダッシュボード」です。

本記事では、建設業の経営ダッシュボードの基本的な役割から、設定すべき重要指標、具体的な作り方、経営判断への活用方法まで解説します。

執筆:プラスバイプラス編集部

建設業向けCADや原価管理システムの開発・提供を通じて、現場の業務効率化を支援しています。 日々の業務の中で出会うお客様の声をもとに、図面作成・申請業務・積算・見積り・原価管理などに 関する実務知識を蓄積し、正確で実践的な情報発信を行っています。

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監修:室田茂樹
株式会社プラスバイプラス 代表取締役

2000年の創業以来26年にわたり、建設業・設備工事業者向けの専門ソフト開発・普及を牽引し、電気工事・水道工事・施工管理・原価管理の各領域に特化したソフトウェアとサポート体制を全国に展開し、業界のDXを支援し続けている専門家。

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建設業の経営ダッシュボードとは

建設業の経営ダッシュボードとは、売上高や利益率、工事原価、受注残高、資金繰りなどの重要な経営指標を一つの画面にまとめ、会社の経営状況を把握しやすくする仕組みです。
複数の数字を関連付けて確認することで、経営上の課題を早期に発見し、適切な判断につなげられます。

経営ダッシュボードの基本的な役割

経営ダッシュボードの基本的な役割は、経営判断に必要な数字を整理し、会社の現状を短時間で把握できるようにすることです。
例えば、売上高や営業利益、受注残高、現預金残高などを別々の資料で管理している場合、経営者はそれぞれの数字を確認し、会社全体の状況を判断する必要があります。
経営ダッシュボードでは、こうした重要指標を一つの画面にまとめ、数値やグラフなどで表示します。
その結果、売上が増加している一方で利益率が低下していることや、受注残高が減少していることなどを把握しやすくなります。
また、目標値と実績を比較することで、経営計画に対する進捗状況を確認することも可能です。
経営ダッシュボードは、数字を集計するためだけでなく、経営状況の変化を把握し、具体的な判断を支援するための仕組みです。

一般的な業務ダッシュボードとの違い

経営ダッシュボードと一般的な業務ダッシュボードは、どちらも重要な情報を一覧で確認するための仕組みですが、主な目的や利用者が異なります。
業務ダッシュボードは、現場担当者や管理者が日々の業務を進めるために必要な情報を確認するものです。
例えば、工事の進捗状況や作業予定、材料の発注状況、担当者ごとの業務量などを表示します。
一方、経営ダッシュボードは、経営者や役員が会社全体の状況を把握し、経営判断を行うことを目的としています。
そのため、売上高や営業利益率、受注残高、資金繰りなど、会社全体の収益性や将来の経営に関わる指標を中心に表示します。
ただし、両者は完全に独立したものではありません。現場の進捗や原価の情報が、経営ダッシュボードの数字を構成する重要なデータになります。
業務上の数字と経営上の数字を関連付けて確認することが、建設業では特に重要です。

建設業で経営ダッシュボードが必要な理由

建設業で経営ダッシュボードが必要とされる理由は、工事ごとに売上や原価、利益率が異なり、会社全体の経営状況を把握することが難しいためです。
例えば、複数の工事が同時に進行している場合、ある工事では十分な利益を確保できていても、別の工事では材料費や外注費の増加によって採算が悪化している可能性があります。
また、工事期間が複数月にまたがる場合、原価の発生時期と売上の計上時期が異なることもあります。
さらに、建設業では材料費や外注費の支払いが先行し、顧客からの入金が後になるケースも少なくありません。
こうした状況を把握するためには、工事ごとの採算情報と会社全体の経営数字を組み合わせて確認する必要があります。
経営ダッシュボードを活用することで、売上や利益、原価、資金繰りなどの情報を整理し、経営上の問題を早期に発見しやすくなります。

経営者がダッシュボードで確認したい情報

建設会社の経営者がダッシュボードで確認したい情報は、会社の収益性、将来の売上見込み、資金繰りなどに関わる数字です。
例えば、売上高や営業利益、利益率などを確認することで、会社が十分な利益を確保できているか判断できます。
また、工事ごとの原価率や利益率を把握すれば、採算が悪化している工事を特定しやすくなります。
受注高や受注残高は、今後の売上見込みや必要な施工体制を検討するための重要な指標です。
さらに、売掛金や未入金額、現預金残高などを確認することで、資金繰りの状況を把握できます。
これらの数字をすべて細かく表示する必要はありません。経営者が日常的に確認する指標を絞り、異常が見つかった場合に詳細なデータを確認できる構成が効果的です。

経営ダッシュボードと経営判断の関係

経営ダッシュボードは、経営数字を確認するだけでなく、具体的な経営判断につなげるために活用することが重要です。
例えば、売上高が増加しているにもかかわらず営業利益率が低下している場合、材料費や外注費、会社全体の経費などを見直す必要があります。
また、受注残高が減少している場合は、今後の売上不足を防ぐために営業活動を強化することが考えられます。
資金繰りの面でも、今後の支払い予定が入金予定を上回っている場合は、資金確保や支払い条件の調整などを検討する必要があります。
このように、経営ダッシュボードで数字の変化を把握することで、問題が大きくなる前に対策を検討できます。
ただし、数字を表示するだけで経営が改善するわけではありません。経営者が指標の意味を理解し、原因を分析したうえで行動につなげることが大切です。

経営ダッシュボードに設定すべき重要指標

建設業の経営ダッシュボードでは、売上高や利益率、工事原価、資金繰りなど、経営判断に必要な指標を設定することが重要です。
ただし、多くの数字を表示すればよいわけではありません。自社の経営課題に応じて指標を選び、それぞれの数字を関連付けて確認できるようにする必要があります。
ここでは、建設会社の経営ダッシュボードに設定したい5つの重要指標を解説します。

売上高・受注高・受注残高

売上高は、一定期間に計上された売上の金額を示す指標です。一方、受注高は、その期間に新たに受注した工事の契約金額を指します。
受注残高は、受注済みの工事のうち、まだ売上として計上されていない部分の金額を示します。
例えば、今月の売上高が3,000万円であっても、新たな受注が500万円しかなければ、今後の売上が減少する可能性があります。
反対に、受注残高が十分にあっても、施工できる人員や協力会社を確保できなければ、予定どおりに工事を進められないことがあります。
そのため、経営ダッシュボードでは、売上高と受注高、受注残高を合わせて確認することが重要です。
月別の推移をグラフで表示すれば、売上や受注状況の変化を把握しやすくなり、今後の営業活動や人員配置を検討する際にも役立ちます。

売上総利益率・営業利益率

経営ダッシュボードでは、売上高だけでなく、売上総利益率や営業利益率を確認することが重要です。
売上総利益率は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益が、売上高に占める割合を示す指標です。
例えば、売上高が1,000万円、売上原価が800万円の場合、売上総利益は200万円、売上総利益率は20%となります。
一方、営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示します。営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて算出します。
売上総利益率を確認することで、工事の採算性や原価の増加による影響を把握しやすくなります。
また、営業利益率を確認することで、会社全体としてどの程度の利益を確保できているのか判断できます。
両方の利益率を継続して表示し、前月や前年同月と比較することで、収益性の変化を早期に把握しやすくなります。

工事ごとの原価率・利益率

建設業の経営ダッシュボードでは、工事ごとの原価率や利益率を確認することが欠かせません。
原価率は、売上高に対して売上原価が占める割合を示す指標です。また、工事利益率は、工事の売上に対して工事利益が占める割合を示します。
例えば、受注金額が1,000万円、工事原価が800万円の場合、原価率は80%、工事利益率は20%となります。
しかし、材料費や外注費が増加して工事原価が900万円になると、原価率は90%、工事利益率は10%まで低下します。
このような変化を把握するためには、工事ごとの実行予算と実際原価を比較することが重要です。
経営ダッシュボードでは、利益率の低い工事や予算超過が発生している工事を確認できるようにするとよいでしょう。
なお、施工中の工事については、現時点までの原価だけでなく、完成までに必要となる費用も考慮して採算を判断する必要があります。

売掛金・未入金額・資金繰り

建設会社の経営では、利益が出ていても資金繰りが悪化する場合があるため、売掛金や未入金額などの管理が重要です。
例えば、工事の売上として1,000万円を計上していても、顧客からの入金が2か月後になる場合があります。
その間に材料費や外注費、人件費などの支払いが発生すれば、会社の現預金が一時的に不足する可能性があります。
そのため、経営ダッシュボードでは、売掛金や未入金額、現預金残高などを確認できるようにすることが大切です。
また、今後の入金予定と支払い予定を整理し、資金の増減を予測できるようにすると、資金不足のリスクを把握しやすくなります。
特に、支払期限を過ぎた未入金額や、大きな支払いが集中する月については、注意して確認する必要があります。
利益と資金繰りを合わせて管理することで、会社の経営状態をより正確に判断できます。

予算達成率・前年同期比

経営ダッシュボードでは、現在の実績だけでなく、予算達成率や前年同期比を確認することも重要です。
予算達成率は、設定した目標に対して実績がどの程度達成できているかを示す指標です。
例えば、月次売上高の予算が3,000万円で、実績が2,700万円の場合、予算達成率は90%となります。
一方、前年同期比は、前年の同じ期間と比較して売上や利益がどの程度増減しているかを示します。
例えば、前年同月の売上高が2,500万円で、当月が2,700万円の場合、前年同月比は108%です。
こうした指標を確認することで、経営計画に対する進捗状況や業績の変化を把握しやすくなります。
ただし、建設業では大型工事の完成時期などによって月ごとの数字が大きく変動する場合があります。
そのため、予算達成率や前年同期比だけで判断せず、工事の進捗状況や受注内容なども考慮することが大切です。

建設業の経営ダッシュボードの作り方

建設業の経営ダッシュボードを作成する際は、単に売上や利益などの数字を並べるのではなく、経営課題に応じて必要な指標を選ぶことが重要です。
また、データの取得方法や更新ルールを整え、経営者が継続して活用できる画面構成にする必要があります。
ここでは、建設業の経営ダッシュボードの作り方を5つの手順に分けて解説します。

経営課題と管理目的を明確にする

経営ダッシュボードを作成する際は、まず自社の経営課題を整理し、何を把握するために使用するのかを明確にすることが重要です。
例えば、売上は順調に伸びているものの利益が残らない会社では、売上総利益率や営業利益率、工事ごとの原価率などを重点的に確認する必要があります。
一方、今後の受注状況に不安がある会社では、受注高や受注残高、月別の売上見込みなどが重要な指標になります。
また、材料費や外注費の支払いが先行し、資金繰りに課題を抱えている場合は、現預金残高や入金予定、支払い予定などを確認できるようにすることが大切です。
このように、会社によって優先すべき経営指標は異なります。
経営課題を明確にしないまま多くの数字を表示すると、何を確認すべきなのか分かりにくくなり、経営判断に活用できない可能性があります。
まずは自社の課題を整理し、経営ダッシュボードで把握したい情報と、その情報を使って判断したい内容を明確にしましょう。

経営判断に必要なKPIを選ぶ

経営課題と管理目的を明確にしたら、次に経営判断に必要なKPIを選びます。
KPIとは、目標の達成状況を確認するために設定する重要業績評価指標のことです。
例えば、利益率の改善を目標とする場合は、売上総利益率や営業利益率、工事ごとの原価率などをKPIとして設定できます。
また、受注の安定化を目指す場合は、月次受注高や受注残高、受注目標の達成率などが候補になります。
資金繰りの改善を目指す場合は、現預金残高や未入金額、今後の入金・支払い予定などを重点的に確認するとよいでしょう。
ただし、管理するKPIが多すぎると、重要な数字が埋もれてしまう可能性があります。
そのため、最初は経営課題との関連性が高い指標を5〜10項目程度に絞り、必要に応じて追加する方法が効果的です。
また、KPIを選ぶ際には、数字を確認した結果、どのような経営判断につなげるのかを意識することが重要です。

指標ごとの目標値や判断基準を設定する

経営ダッシュボードに表示するKPIを決めたら、それぞれの指標について目標値や判断基準を設定します。
例えば、売上総利益率の目標を25%に設定した場合、実績が23%であれば、目標を2%下回っていることが分かります。
また、受注残高についても、今後の施工能力や売上計画を踏まえて必要な水準を設定しておけば、受注不足の兆候を把握しやすくなります。
さらに、現預金残高や未入金額についても、自社の支払い規模や入金条件に応じた確認基準を設けることが重要です。
経営ダッシュボードでは、目標値と実績を並べて表示したり、基準を下回った項目を色分けしたりすることで、注意すべき数字を把握しやすくなります。
ただし、適切な目標値は会社の規模や工種、原価構成などによって異なります。
一般的な数値をそのまま使用するのではなく、過去の実績や経営計画をもとに、自社に適した目標値を設定しましょう。

データの取得元と更新方法を決める

経営ダッシュボードを継続して活用するためには、表示する数字の取得元と更新方法を明確にすることが重要です。
建設業では、売上や利益は会計ソフト、工事ごとの原価は工事台帳、受注情報は営業管理表、入金状況は請求管理表など、複数の資料にデータが分散している場合があります。
そのため、各KPIについて、どの資料から数字を取得するのかをあらかじめ決めておく必要があります。
また、同じ売上高でも、受注金額と会計上の売上計上額では意味が異なるため、集計基準を統一することが大切です。
例えば、月次売上高は会計上の計上額、受注残高は未計上の契約金額というように、それぞれの定義を明確にしましょう。
さらに、データを更新する担当者や期限を設定し、毎月同じ手順で集計できる体制を整えることも重要です。
データの正確性と更新の継続性を確保することが、信頼できる経営ダッシュボードの構築につながります。

経営者が確認しやすい画面構成にする

経営ダッシュボードを作成する際は、経営者が必要な情報を短時間で把握できる画面構成にすることが重要です。
例えば、画面の上部には売上高や営業利益、受注残高、現預金残高など、経営上の重要指標を配置するとよいでしょう。
その下に月別の売上・利益の推移や、工事ごとの利益率、予算達成率などをグラフで表示すれば、数字の変化を把握しやすくなります。
また、目標を下回っている指標や、予算超過が発生している工事を色分けすることで、注意すべき項目を直感的に確認できます。
ただし、画面内に多くの数字やグラフを詰め込みすぎると、かえって重要な情報が分かりにくくなる可能性があります。
そのため、経営者が最初に確認したい数字を優先して配置し、詳細な情報は別の画面や管理表で確認できる構成が効果的です。
経営会議などで実際に使用しながら、見やすさや使いやすさを改善していくことも大切です。

経営ダッシュボードを活用した経営判断の方法

経営ダッシュボードは、数字を一覧で確認するだけでなく、経営上の課題を発見し、具体的な改善策を検討するために活用することが重要です。
売上や利益の推移、工事ごとの採算状況、受注残高、資金繰りなどを分析することで、今後の経営方針を判断する材料になります。
ここでは、経営ダッシュボードを活用した具体的な経営判断の方法を解説します。

売上と利益の推移から経営状態を判断する

経営ダッシュボードでは、売上高と利益の推移を合わせて確認することで、会社の収益性が改善しているのか、悪化しているのかを判断しやすくなります。
例えば、前年同月と比較して売上高が20%増加していても、営業利益が10%減少している場合は、原価や経費の増加によって収益性が低下している可能性があります。
このような場合は、売上総利益率や営業利益率の変化を確認し、どの費用が利益を圧迫しているのか分析する必要があります。
また、売上高が減少していても、利益率が改善している場合は、利益率の高い工事の受注割合が増えている可能性があります。
そのため、売上高の増減だけで経営状態を判断するのではなく、利益の金額と利益率を合わせて確認することが重要です。
月別の推移をグラフで表示し、予算や前年同月の実績と比較することで、収益構造の変化を把握しやすくなります。

赤字工事の増加を把握して対策を検討する

建設業の経営では、会社全体で利益が出ていても、一部の工事で赤字が発生している場合があります。
経営ダッシュボードで工事ごとの原価率や利益率を確認できれば、赤字工事や採算が悪化している工事を把握しやすくなります。
例えば、受注金額が1,000万円の工事で、実行予算を800万円に設定していたにもかかわらず、完成時の原価が1,050万円になる見込みであれば、50万円の赤字が予想されます。
この場合、材料費の増加や外注費の予算超過、施工の手戻り、追加工事の請求漏れなど、赤字の原因を分析する必要があります。
また、赤字工事が特定の工種や顧客に集中していないかを確認することも重要です。
同じ原因による赤字が繰り返されている場合は、見積り単価や受注条件、施工方法などを見直す必要があります。
赤字工事の件数や損失額を継続して確認することで、会社全体の利益を改善するための対策を検討しやすくなります。

受注残高から今後の売上見込みを確認する

経営ダッシュボードでは、受注残高を確認することで、今後の売上見込みや必要な施工体制を検討できます。
例えば、現在の受注残高が1億円であっても、その大部分が翌月に施工予定の工事であれば、それ以降の売上を確保するために新規受注が必要になる可能性があります。
一方、数か月先まで工事の予定が埋まっている場合は、施工能力を考慮しながら新たな受注を判断する必要があります。
そのため、受注残高は合計金額だけでなく、施工予定月や工事の進捗状況と合わせて確認することが重要です。
また、受注残高が増加していても、利益率の低い工事が多ければ、将来の利益が十分に確保できない可能性があります。
受注金額だけでなく、予定原価や利益率も確認することで、今後の収益性をより具体的に予測できます。
受注残高を継続して管理することは、営業活動の方向性や人員配置、外注先の確保を検討する際にも役立ちます。

入金・支払い予定から資金計画を見直す

建設会社の経営では、利益が確保できていても、入金と支払いのタイミングによって資金不足が発生する可能性があります。
そのため、経営ダッシュボードでは、現預金残高や今後の入金予定、支払い予定などを確認することが重要です。
例えば、翌月に顧客から800万円の入金を予定している一方で、材料費や外注費、人件費などの支払いが1,200万円発生する場合、400万円の資金差額が生じます。
この場合、現在の現預金残高を踏まえて、必要な資金を確保できるか確認する必要があります。
また、入金予定の遅れや支払いの集中が見込まれる場合は、早めに資金計画を見直すことが大切です。
必要に応じて、顧客との入金条件の調整や金融機関への相談などを検討することも考えられます。
入金と支払いの予定を月別に整理し、将来の現預金残高を予測することで、資金不足のリスクを早期に把握しやすくなります。

工種別の収益性から受注方針を検討する

経営ダッシュボードでは、工種別の売上や利益率を比較することで、今後の受注方針を検討する際の判断材料を得られます。
例えば、電気工事と空調工事の両方を手掛けている会社で、電気工事の平均利益率が25%、空調工事が15%だった場合、両者の原価構成や施工条件を分析することが重要です。
ただし、利益率の高い工種だけを優先すればよいわけではありません。
工事の規模や受注の安定性、必要な人員、設備投資、顧客との取引関係なども考慮する必要があります。
また、特定の工種で利益率が低い場合でも、材料の調達方法や施工体制を見直すことで改善できる可能性があります。
工種別の収益性を継続して比較することで、利益を確保しやすい分野や改善が必要な分野を把握しやすくなります。
こうした情報をもとに、重点的に受注する工種や営業活動の方向性、人員配置などを検討することが、経営ダッシュボードの有効な活用方法です。

経営ダッシュボードを定着させるポイント

経営ダッシュボードは、作成しただけでは十分な効果を発揮しません。正確なデータを継続して更新し、経営判断に活用できる仕組みを整えることが重要です。
また、経営者だけでなく、現場責任者や経理担当者などが協力し、必要な情報を適切に管理する必要があります。
ここでは、建設業の経営ダッシュボードを社内に定着させるためのポイントを解説します。

経営者が本当に必要な数字に絞る

経営ダッシュボードを継続して活用するためには、経営者が本当に必要とする数字に絞って表示することが重要です。
例えば、売上高や営業利益、受注残高、現預金残高などは、会社全体の経営状態を把握するうえで重要な指標です。一方、個々の材料の発注数量や作業員ごとの詳細な作業時間などは、日常的な経営判断に必ずしも必要とは限りません。
こうした細かな情報まで一つの画面に表示すると、重要な数字が埋もれてしまい、経営状況を把握しにくくなる可能性があります。
そのため、経営ダッシュボードでは、会社の収益性や将来の売上見込み、資金繰りなどに関わる指標を優先して表示するとよいでしょう。
また、詳細なデータが必要になった場合は、工事台帳や原価管理表などを確認できるようにすることが効果的です。
経営者が短時間で状況を把握し、必要な判断を行える構成にすることが、継続的な活用につながります。

データの入力・集計ルールを統一する

経営ダッシュボードに表示する数字の正確性を確保するためには、データの入力・集計ルールを統一することが重要です。
例えば、ある現場では材料費を発注時点で記録し、別の現場では請求書が届いた時点で記録している場合、工事ごとの原価を同じ基準で比較することが難しくなります。
また、労務費や外注費の集計方法が担当者によって異なると、工事ごとの利益率にも差が生じる可能性があります。
こうした問題を防ぐためには、売上や原価の集計基準、入力する項目、工事番号の付け方などを統一する必要があります。
さらに、現場責任者や経理担当者など、情報を入力する担当者の役割を明確にすることも大切です。
例えば、材料の発注情報は現場担当者が記録し、請求・入金情報は経理担当者が管理するなど、業務に応じて責任範囲を設定するとよいでしょう。
データの入力・集計ルールを統一することで、数字の食い違いを防ぎ、信頼性の高い経営ダッシュボードを運用しやすくなります。

数字の更新頻度を決める

経営ダッシュボードを継続して活用するためには、表示する数字の更新頻度を決めることが重要です。
例えば、売上高や営業利益などの経営指標は、月次で集計することが一般的です。一方、工事ごとの原価や進捗状況については、施工中から定期的に確認する必要があります。
また、資金繰りに関わる現預金残高や入金・支払い予定については、会社の資金状況に応じて、月次より短い間隔で確認することが望ましい場合もあります。
すべての指標を同じ頻度で更新する必要はありません。経営判断への影響が大きい数字ほど、状況の変化を早めに把握できるようにすることが大切です。
さらに、データの更新が遅れると、経営ダッシュボードに表示されている数字と実際の経営状況に差が生じる可能性があります。
そのため、指標ごとに更新担当者と期限を設定し、最終更新日も確認できるようにするとよいでしょう。
適切な更新頻度を設定することで、経営判断に必要な情報を継続して把握しやすくなります。

経営会議で継続的に活用する

経営ダッシュボードを社内に定着させるためには、経営会議などで継続的に活用することが重要です。
例えば、毎月の経営会議で売上高や営業利益率、受注残高、資金繰りなどを確認し、目標に対する進捗状況を共有します。
また、利益率が低下している場合は、どの工事で原価が増加しているのかを確認し、改善策を検討することが大切です。
受注残高が減少している場合は、営業活動の強化や新規案件の獲得に向けた取り組みを話し合うことが考えられます。
このように、経営ダッシュボードを会議の共通資料として活用することで、経営者や各部門の責任者が同じ数字をもとに議論できるようになります。
ただし、数字を報告するだけで会議を終わらせないことが重要です。
課題が見つかった場合は、改善策の内容や担当者、実施期限を明確にし、次回の会議で進捗状況を確認しましょう。
経営ダッシュボードを継続的な改善活動に組み込むことで、数字に基づいた経営判断を定着させやすくなります。

経営課題の変化に合わせて指標を見直す

経営ダッシュボードに設定する指標は、一度決めたら変更しないものではありません。
会社の成長段階や経営環境の変化に合わせて、管理する指標を見直すことが重要です。
例えば、創業間もない会社では、売上高や受注高、現預金残高などを重点的に確認する必要があるかもしれません。
一方、工事件数や従業員数が増えてきた会社では、工事ごとの利益率や担当者別の収益性、労務費の状況なども重要になります。
また、材料価格の上昇が経営上の課題となっている場合は、材料費の原価率や予算超過額などを重点的に確認することが考えられます。
このように、経営課題が変化すれば、経営判断に必要な数字も変わります。
そのため、経営ダッシュボードの運用状況を定期的に振り返り、使われていない指標や新たに必要となった指標を確認することが大切です。
現在の経営課題に合った指標を維持することで、経営ダッシュボードを実用的な管理ツールとして活用し続けられます。

要 〜KANAME〜で経営判断に必要な工事データを視える化

建設業の経営ダッシュボードを活用するためには、売上や原価、利益、請求・入金状況などの情報を正確に把握できる管理体制が必要です。
しかし、これらの情報が複数のExcelや紙の帳票に分散している場合、経営判断に必要な数字を集計するまでに時間がかかることがあります。
こうした課題の解決に役立つのが、建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」です。

工事台帳をベースに経営情報を集約できる

「要 〜KANAME〜」では、工事台帳をベースとして、工事ごとの売上や原価などの情報を一元管理できます。
例えば、見積り情報は営業担当者のExcel、材料費や外注費は経理担当者の管理表、工事の進捗状況は現場責任者が管理している場合、会社全体の経営数字を確認するためには、複数の資料を集めて照合する必要があります。
こうした管理方法では、情報の更新漏れや転記ミスが発生する可能性があり、集計作業にも時間がかかります。
「要 〜KANAME〜」を活用すれば、工事台帳を中心に売上や原価などの情報を整理できるため、工事ごとの採算状況を確認しやすくなります。
また、工事情報を継続して蓄積することで、過去の案件と現在の案件を比較する際にも役立ちます。
工事台帳をベースに経営情報を集約することは、正確な数字に基づいて経営判断を行うための基盤となります。

工事ごとの売上・原価・利益を確認できる

建設会社の経営では、会社全体の売上や利益だけでなく、工事ごとの採算状況を把握することが重要です。
「要 〜KANAME〜」では、工事ごとの売上や原価を管理することで、利益の状況を確認できます。
例えば、受注金額が1,000万円の工事で、実行予算を800万円に設定していた場合、当初予定している利益は200万円です。
しかし、材料費や外注費が増加して完成時の原価が900万円になる見込みであれば、利益は100万円まで減少します。
こうした変化を把握するためには、実行予算と実際原価を比較し、工事の採算状況を確認する必要があります。
「要 〜KANAME〜」で工事ごとの売上や原価を整理することで、利益を確保できている工事と、採算が悪化している工事を把握しやすくなります。
工事単位の利益を継続して確認することは、赤字工事の早期発見や受注方針の見直しにつながります。

顧客別・担当者別の売上や利益率を集計できる

経営判断に必要な情報を把握するためには、工事ごとの採算管理に加えて、顧客別や担当者別の売上・利益率を確認することも重要です。
「要 〜KANAME〜」を使うことで、工事情報をもとに、顧客別・担当者別の売上や利益率を集計できます。
例えば、特定の顧客からの受注が会社全体の売上の大きな割合を占めている場合、その顧客の発注状況が経営に与える影響を把握する必要があります。
また、顧客別の利益率を比較することで、継続的に利益を確保できている取引先と、採算改善が必要な取引先を区別しやすくなります。
担当者別の数字についても、工事の規模や内容、施工条件などを考慮しながら確認することで、業務上の課題を分析する際の参考になります。
こうした情報を活用すれば、今後の営業方針や受注条件、人員配置などを検討するための判断材料を増やせます。

請求・入金・支払い情報を経営管理に活用できる

建設会社の経営では、売上や利益だけでなく、請求・入金・支払いの状況を把握することが重要です。
「要 〜KANAME〜」では、工事に関する請求や入金、支払い情報を管理できます。
例えば、工事ごとの請求額や入金状況を確認することで、未入金となっている案件を把握しやすくなります。
また、材料費や外注費などの支払い情報を整理することで、今後必要となる資金を確認する際にも役立ちます。
建設業では、工事の進捗に伴って費用の支払いが先行し、顧客からの入金が後になる場合があります。
そのため、利益が出ている工事でも、一時的に資金繰りが厳しくなる可能性があります。
請求・入金・支払いの情報を整理し、会計情報や資金繰り表と合わせて確認することで、資金不足の早期発見や支払い計画の検討につなげられます。

日々の工事実績を経営判断につなげられる

「要 〜KANAME〜」で蓄積した工事データは、日々の原価管理だけでなく、経営判断にも活用できます。
例えば、過去の工事で実際に発生した材料費や外注費、利益率などを確認することで、類似する工事の見積りや実行予算を作成する際の参考になります。
また、工事ごとの採算状況を継続して把握することで、利益率が低下している案件や、原価の増加が続いている工事を発見しやすくなります。
さらに、顧客別や担当者別の収益状況を比較することで、今後の受注方針や人員配置などを検討する際にも役立ちます。
ただし、過去の工事データを活用する際には、現在の材料価格や施工条件、工事規模などを考慮する必要があります。
日々の工事実績を蓄積し、その情報を経営判断へ反映することで、経験や勘だけに頼らない経営体制を構築しやすくなります。
 

建設業の経営ダッシュボードについてよくある質問

Q1. 建設業の経営ダッシュボードには何を表示すればよいですか?

建設業の経営ダッシュボードでは、売上高、受注高、受注残高、売上総利益率、営業利益率、工事ごとの原価率、現預金残高などを表示することが重要です。
特に、建設業では工事ごとに利益率が異なるため、会社全体の売上や利益だけでなく、工事単位の採算状況を確認する必要があります。
また、受注残高を確認することで、今後の売上見込みを把握しやすくなります。
資金繰りについても、未入金額や入金・支払い予定などを確認できるようにするとよいでしょう。
ただし、すべての指標を一つの画面に表示する必要はありません。自社の経営課題に応じて重要な数字を選び、経営者が短時間で状況を把握できる構成にすることが大切です。

Q2. Excelでも経営ダッシュボードを作成できますか?

Excelでも、建設業の経営ダッシュボードを作成することは可能です。
例えば、売上高や利益率、受注残高などを集計する表を作成し、グラフや条件付き書式などを活用すれば、経営状況を視覚的に確認できます。
また、予算と実績を比較する表や、月別の売上・利益の推移を示すグラフなども作成できます。
ただし、工事件数や担当者が増えると、複数のExcelからデータを集計する作業が複雑になる場合があります。
さらに、担当者ごとに異なる管理表を使用している場合、入力漏れや転記ミスが発生する可能性もあります。
そのため、工事件数が多い会社や、複数の担当者で情報を管理している会社では、原価管理システムなどの活用も検討するとよいでしょう。

Q3. 小規模な建設会社でも経営ダッシュボードは必要ですか?

小規模な建設会社でも、経営ダッシュボードを活用するメリットはあります。
工事件数が少ない会社では、一つの工事で赤字が発生した場合、会社全体の利益に大きな影響を与える可能性があります。
また、材料費や外注費の支払いが集中すると、一時的に資金繰りが厳しくなることもあります。
こうした問題を防ぐためには、売上や利益、工事原価、現預金残高などを定期的に確認することが重要です。
小規模な会社では、最初から多くの指標を管理する必要はありません。
まずは売上高や利益率、工事ごとの採算状況、資金繰りなど、経営判断に必要な数字を絞って管理するとよいでしょう。
会社の規模や工事件数に応じて管理項目を増やしていくことで、無理なく経営ダッシュボードを活用できます。

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