- 2026年10月30日
建設業の月次管理のやり方とは?確認すべき数字と利益改善につなげる手順を解説
原価管理・工事管理

建設会社の経営では、売上が順調に伸びていても、工事原価の増加や入金の遅れによって利益や資金繰りが悪化することがあります。
こうした問題を早期に把握するために重要なのが、売上や原価、利益、資金繰りなどを毎月確認する「月次管理」です。
本記事では、建設業における月次管理のやり方をはじめ、確認すべき数字や具体的な管理手順、経営改善につなげるポイントを解説します。
監修:室田茂樹
株式会社プラスバイプラス 代表取締役
コンテンツ
建設業における月次管理とは
建設業における月次管理とは、会社の売上や原価、利益、資金繰りなどの経営情報を月単位で集計し、経営状況を把握する取り組みです。工事ごとの採算状況と会社全体の経営状況を定期的に確認することで、問題の早期発見や経営判断に役立てられます。
月次管理の基本的な役割
月次管理の基本的な役割は、毎月の経営状況を数字で把握し、問題が発生していないかを確認することです。例えば、売上高が前月より増加していても、材料費や外注費が大幅に増えていれば、利益が減少している可能性があります。
また、売上が計上されていても、顧客からの入金が遅れている場合は、資金繰りに影響することがあります。
月次管理では、こうした売上や原価、利益、入金状況などを毎月確認し、会社の経営状態を把握します。
さらに、当初の予算と実績を比較することで、目標に対する進捗状況を確認することも可能です。
単に数字を集計するだけでなく、その結果をもとに改善策を検討することが月次管理の重要な役割です。
月次管理と月次決算の違い
月次管理と月次決算は、どちらも月単位で経営状況を把握するための取り組みですが、目的や確認する内容に違いがあります。月次決算は、毎月の売上や費用を会計上のルールに基づいて集計し、損益計算書などを作成する取り組みです。
一方、月次管理は、月次決算の数字に加えて、工事ごとの採算状況や受注残高、資金繰りなどを確認し、経営判断に活用することを目的としています。
例えば、月次決算で会社全体の利益が減少していることが分かった場合、月次管理ではどの工事の原価が増加したのかを確認します。
つまり、月次決算が経営成績を数字として整理する取り組みであるのに対し、月次管理はその数字を分析し、具体的な改善行動につなげる取り組みといえます。
建設業で月次管理が重要な理由
建設業で月次管理が重要な理由は、工事の進捗状況や原価の発生状況によって、売上や利益が変動しやすいためです。例えば、工事期間が数か月に及ぶ場合、材料費や外注費の支払いが先行し、売上の計上や入金が後になることがあります。
また、施工途中に追加工事や仕様変更が発生すると、当初の予算より原価が増加する可能性もあります。
こうした変化を決算時にまとめて確認するだけでは、問題への対応が遅れることがあります。
月次管理を行えば、工事の採算状況や会社全体の利益、資金繰りなどを定期的に確認できます。
問題が小さいうちに原因を把握し、発注方法や施工体制、資金計画などを見直せることが、建設業における月次管理の大きなメリットです。
工事単位の管理と会社全体の管理の関係
建設業の月次管理では、工事単位の管理と会社全体の管理を組み合わせることが重要です。工事単位の管理では、それぞれの工事について売上や原価、利益を確認し、採算が確保できているかを把握します。
一方、会社全体の管理では、各工事の損益に加えて、事務所の維持費や管理部門の人件費なども考慮し、会社として利益を確保できているかを確認します。
例えば、複数の工事で利益が出ていても、会社全体の経費が大きければ、最終的な営業利益は少なくなる可能性があります。
また、会社全体の利益が減少している場合、特定の工事で原価が増加していることが原因になっているケースもあります。
工事ごとの数字と会社全体の数字を関連付けて確認することで、経営上の課題を具体的に把握しやすくなります。
月次管理が経営判断に役立つ仕組み
月次管理を継続すると、経営判断に必要な情報を定期的に把握できるようになります。例えば、毎月の売上高や受注残高を確認することで、今後の工事量を予測し、人員配置や外注先の確保を検討できます。
また、材料費や外注費の増加によって利益率が低下している場合は、仕入条件や見積り単価の見直しを判断する材料になります。
資金繰りの面でも、今後の入金予定と支払い予定を確認することで、資金不足が発生する可能性を早めに把握できます。
こうした数字を毎月同じ基準で確認することで、経営者の経験や感覚だけに頼らず、実績に基づいた判断がしやすくなります。
月次管理は、経営状況を確認するだけでなく、将来の問題を予測し、適切な対策を講じるための仕組みです。
建設業の月次管理で確認すべき数字
建設業の月次管理では、売上高だけでなく、工事原価や利益率、請求・入金状況、資金繰りなど、複数の数字を確認する必要があります。それぞれの数字を関連付けて把握することで、会社の経営状態をより正確に判断できます。
ここでは、月次管理で特に確認しておきたい項目を解説します。
月次売上高と受注状況
月次管理でまず確認したいのが、毎月の売上高と受注状況です。月次売上高を把握することで、会社がどの程度の売上を確保できているのかを確認できます。
ただし、売上高だけでは将来の経営状況を判断できません。今後施工する工事がどれだけ確保されているのかを示す受注残高も重要な指標です。
例えば、今月の売上高が好調でも、翌月以降の受注が少なければ、将来的に売上が減少する可能性があります。
反対に、受注残高が十分にあっても、施工できる人員や協力会社を確保できなければ、工事の進行に支障が生じることがあります。
月次売上高と受注状況を合わせて確認し、今後の工事量や人員配置、営業活動の必要性を判断することが重要です。
工事ごとの原価と利益
建設業の月次管理では、工事ごとの原価と利益を確認することが欠かせません。工事原価には、材料費や労務費、外注費など、施工に必要な費用が含まれます。
例えば、受注金額が1,000万円の工事で、当初の実行予算を800万円に設定していた場合、予定している工事利益は200万円です。
しかし、材料費や外注費が増加して完成時の原価が900万円になる見込みであれば、利益は100万円まで減少します。
このような変化を把握するためには、工事ごとに実行予算と実際原価を比較することが重要です。
また、施工中の工事については、現時点で発生した原価だけでなく、今後発生する予定の費用も考慮する必要があります。
工事単位の採算状況を確認することで、利益を圧迫している案件を早期に発見しやすくなります。
売上総利益率と営業利益率
月次管理では、売上高や利益の金額だけでなく、利益率も確認することが重要です。売上総利益率は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益が、売上高に占める割合を示す指標です。
例えば、売上高が1,000万円、売上原価が800万円の場合、売上総利益は200万円、売上総利益率は20%となります。
一方、営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示す指標です。営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて算出します。
売上総利益率を確認することで工事の採算性を把握しやすくなり、営業利益率を確認することで会社全体の収益性を判断できます。
両方の利益率を継続して確認し、前月や前年同月と比較することで、利益構造の変化を把握しやすくなります。
請求額・入金額・未入金額
建設業では、売上が発生していても、顧客からの入金が後になることがあります。そのため、月次管理では請求額や入金額、未入金額を確認することが重要です。
例えば、月末時点で1,000万円の請求を行っていても、実際に入金された金額が600万円であれば、残りの400万円について入金予定を確認する必要があります。
また、未入金額の中に支払期限を過ぎたものが含まれていないかも確認しましょう。
請求書の発行漏れや入金確認の遅れがあると、売掛金の回収状況を正確に把握できなくなる可能性があります。
特に、複数の工事を同時に進めている場合は、工事ごとに請求状況と入金状況を整理することが大切です。
請求額と入金額を毎月確認することで、未回収金の早期発見や資金繰りの安定化につながります。
資金繰りと今後の支払い予定
月次管理では、会社の利益だけでなく、資金繰りの状況を確認することも重要です。建設業では、材料の購入費や外注費、人件費などの支払いが、顧客からの入金より先に発生する場合があります。
例えば、翌月に材料費300万円と外注費400万円の支払いを予定している一方で、顧客からの入金予定が500万円しかない場合、不足する資金をどのように確保するか検討する必要があります。
また、工事が順調に進んでいても、入金の遅れによって一時的に資金が不足する可能性があります。
こうした問題を防ぐためには、毎月の現預金残高に加えて、今後の入金予定と支払い予定を整理することが大切です。
資金繰り表などを活用し、数か月先までの資金の動きを予測することで、必要な資金対策を早めに検討できます。
建設業で月次管理が難しい理由
建設業では、工事期間が複数月にまたがることや、売上と原価が発生するタイミングの違いなどによって、月次管理が複雑になりやすい傾向があります。また、現場ごとに管理している情報が分散している場合、正確な数字を集計するまでに時間がかかることもあります。
ここでは、建設業で月次管理が難しくなる主な理由を解説します。
工事期間が複数月にまたがる
建設業で月次管理が難しい理由の一つが、工事期間が複数月にまたがることです。例えば、4月に着工して7月に完成する工事では、材料費や労務費、外注費などが数か月にわたって発生します。そのため、各月に発生した原価だけを確認しても、工事全体の採算状況を正確に把握できるとは限りません。
また、工事の進捗状況によって原価の発生額が変動するため、月ごとの数字だけでは利益が増減した原因を判断しにくい場合があります。
こうした問題を防ぐためには、月次の原価と工事開始からの累計原価を区別して管理することが重要です。
さらに、実行予算に対してどの程度の原価が発生しているのか、完成までにどれだけの費用が必要になるのかも確認する必要があります。
工事ごとの累計情報と月次の実績を組み合わせることで、長期間にわたる工事でも採算状況を把握しやすくなります。
工事の進捗と売上計上のタイミングが異なる
建設業では、工事の進捗状況と売上を計上するタイミングが必ずしも一致しないため、月次管理が複雑になることがあります。例えば、施工が進んで材料費や労務費が発生していても、売上の計上時期によっては、その月の会計上の利益が実際の工事の進捗状況と異なって見える場合があります。
また、工事の進捗度に応じて売上を計上する場合は、進捗度や完成までに必要な原価を適切に見積もることが重要です。
一方、一定の要件に基づいて完成時に売上を計上する工事では、施工中の管理上の採算見込みと会計上の売上を区別して確認する必要があります。
こうした違いを理解せずに月次の売上高だけを比較すると、経営状況を誤って判断する可能性があります。
月次管理では、自社が採用している会計処理を踏まえたうえで、工事の進捗状況や原価の発生状況も合わせて確認することが大切です。
材料費や外注費の計上が遅れやすい
材料費や外注費の計上が遅れやすいことも、建設業の月次管理を難しくする原因です。例えば、月末までに材料を使用していても、仕入先から請求書が届くのが翌月になる場合があります。また、協力会社への外注費についても、作業完了後に請求金額が確定するケースがあります。
こうした費用を請求書が届いた月にまとめて計上していると、実際に費用が発生した月と会計上の計上月がずれ、月次の利益を正確に把握できなくなる可能性があります。
特に、月末時点で未請求の材料費や外注費が多い場合は、原価が実際より少なく見え、利益を過大に評価してしまうおそれがあります。
そのため、請求書の到着状況だけでなく、納品書や発注書、作業完了報告なども確認することが重要です。
月末時点で発生している費用を適切に把握し、必要な計上処理を行うことで、月次の原価と利益の精度を高められます。
現場ごとの原価情報が分散している
建設業では、複数の現場が同時に進行することが多く、原価情報が分散しやすい傾向があります。例えば、材料の発注情報は現場責任者、外注費の請求情報は経理担当者、作業員の労務費は総務担当者が管理している場合、工事ごとの原価を把握するためには、それぞれの情報を集める必要があります。
また、現場担当者が独自のExcelや紙の管理表を使用している場合、事務所で管理している数字と一致しないこともあります。
こうした状態では、月末に原価を集計する際に確認作業が増え、月次管理に時間がかかる原因となります。
さらに、追加工事や仕様変更などの情報が事務所へ伝わっていなければ、売上や原価の計上漏れにつながる可能性もあります。
工事ごとの情報を正確に集計するためには、現場と事務所で管理項目や記録方法を統一し、必要な情報を共有できる仕組みを整えることが重要です。
月末の集計作業に時間がかかる
月末の集計作業に時間がかかることも、建設業における月次管理の課題です。例えば、工事ごとの材料費や外注費、労務費を複数のExcelから集計し、会計データと照合する場合、多くの確認作業が必要になります。
また、現場から作業日報や発注情報が提出されるタイミングが遅れると、月次の数字を確定できないこともあります。
こうした状況では、月次の経営状況を把握できるのが翌月の後半になり、問題が発生していても改善策を講じるタイミングが遅れてしまいます。
月次管理を経営判断に活用するためには、数字の正確性だけでなく、集計の早さも重要です。
日々の業務の中で必要な情報を記録し、月末にまとめて入力する作業を減らすことで、集計にかかる負担を軽減できます。
また、担当者ごとに情報の提出期限を設定し、毎月同じ手順で集計できる体制を整えることも効果的です。
建設業の月次管理のやり方
建設業の月次管理を適切に行うためには、必要なデータを整理し、工事ごとの売上や原価を集計したうえで、会社全体の利益や資金繰りを確認することが重要です。また、集計した数字を確認するだけでなく、予算との差異を分析し、翌月以降の経営計画へ反映する必要があります。
ここでは、建設業の月次管理のやり方を5つの手順に分けて解説します。
月次管理に必要なデータを整理する
月次管理を始める際は、まず毎月確認するデータを整理することが重要です。建設業では、売上高や受注金額、工事原価、利益、請求額、入金額、支払い予定など、複数の情報を管理する必要があります。
例えば、売上高や利益は会計データ、工事ごとの原価は工事台帳、請求額や入金額は請求管理表というように、情報が異なる資料に保存されている場合があります。
こうした状態では、月末に必要なデータを集めるだけでも時間がかかります。
そのため、月次管理で使用する項目をあらかじめ決め、それぞれの情報を誰が、いつまでに、どのような方法で記録するのかを明確にしましょう。
また、工事ごとに管理番号を設定し、売上や原価などの情報を紐付けることも有効です。
毎月同じ項目を継続して確認できる仕組みを整えることが、効率的な月次管理の第一歩となります。
工事ごとの売上と原価を集計する
必要なデータを整理したら、工事ごとの売上と原価を集計します。建設業では、会社全体の売上高や原価だけを確認しても、どの工事が利益に貢献しているのかを把握することは困難です。
そのため、工事台帳などを活用し、案件ごとに売上や材料費、労務費、外注費などを整理する必要があります。
例えば、受注金額が1,000万円の工事で、月末時点までに材料費300万円、労務費150万円、外注費200万円が発生している場合、累計原価は650万円となります。
ただし、工事が完了していない場合は、この650万円だけで最終的な利益を判断することはできません。
残りの工程で必要となる費用を見積もり、完成時の原価と利益を予測することが重要です。
また、会計上の売上計上額と工事管理上の受注金額を区別し、月次の数字と工事全体の採算状況を確認しましょう。
月次の利益と利益率を確認する
工事ごとの売上と原価を集計したら、会社全体の月次利益と利益率を確認します。月次管理では、売上総利益と営業利益を把握し、それぞれの利益率を算出することが重要です。
売上総利益は売上高から売上原価を差し引いた金額で、営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた金額です。
例えば、月次売上高が3,000万円、売上原価が2,400万円、販売費及び一般管理費が400万円の場合、売上総利益は600万円、営業利益は200万円となります。
この場合、売上総利益率は20%、営業利益率は約6.7%です。
こうした利益率を毎月確認することで、売上規模に対して十分な利益を確保できているか判断しやすくなります。
また、前月や前年同月と比較し、利益率が低下している場合は、原価や経費の増加など、その原因を確認することが大切です。
予算と実績の差異を分析する
月次の利益を確認したら、当初の予算と実績を比較し、差異が発生している項目を分析します。例えば、月次売上高の予算が3,000万円であるのに対し、実績が2,500万円だった場合、500万円の未達となります。
この場合、受注件数の減少や工事の進捗遅れ、売上計上時期の変更など、さまざまな原因が考えられます。
また、売上高が予算どおりでも、材料費や外注費が増加していれば、利益が計画を下回る可能性があります。
そのため、売上だけでなく、工事原価や利益率、経費などについても予算と実績を比較することが重要です。
差異を分析する際には、金額だけでなく、その原因が一時的なものなのか、今後も継続する可能性があるものなのかを確認しましょう。
原因を具体的に把握することで、翌月以降に必要な改善策を検討しやすくなります。
翌月の受注・原価・資金計画に反映する
月次管理では、集計した数字や分析結果を翌月以降の経営計画へ反映することが重要です。例えば、受注残高が減少している場合は、新規案件の獲得に向けた営業活動を強化する必要があります。
また、特定の工事で材料費や外注費が予算を超過している場合は、次回の見積り単価や発注条件を見直すことが考えられます。
資金繰りについても、翌月の入金予定と支払い予定を確認し、資金不足が見込まれる場合は早めに対策を検討することが大切です。
例えば、大型工事の材料費や外注費の支払いが集中する場合、顧客との入金条件の調整や金融機関への相談などを検討する必要があります。
このように、月次管理で把握した課題を具体的な行動につなげることで、数字を集計するだけの業務から、経営改善に役立つ取り組みへと発展させられます。
月次管理を経営改善につなげるポイント
月次管理は、毎月の売上や原価、利益を集計するだけでは十分な効果を発揮しません。重要なのは、数字の変化から経営上の課題を発見し、具体的な改善策を講じることです。ここでは、建設業の月次管理を継続し、利益改善や経営判断に役立てるためのポイントを解説します。
毎月同じ基準で数字を集計する
月次管理を経営改善に役立てるためには、毎月同じ基準で数字を集計することが重要です。例えば、ある月は材料費を納品日を基準に集計し、翌月は請求書の到着日を基準に集計している場合、月ごとの原価を正確に比較することが難しくなります。
また、工事ごとの原価に含める費用の範囲が担当者によって異なると、工事間の採算比較にも影響します。
こうした問題を防ぐためには、売上や原価の計上基準、集計する項目、月次管理の締め日などを統一する必要があります。
さらに、現場担当者や経理担当者など、関係者が同じルールで情報を記録できるようにすることも大切です。
毎月同じ条件で集計された数字を蓄積することで、経営状況の変化を正確に把握しやすくなります。
前月・前年同月と比較する
月次管理では、当月の数字を確認するだけでなく、前月や前年同月との比較を行うことが重要です。例えば、当月の売上高が3,000万円だった場合、その金額だけでは業績が好調なのか判断できません。
前月の売上高が2,500万円であれば増収ですが、前年同月が3,500万円であれば、前年と比較して売上が減少していることになります。
また、売上高だけでなく、売上総利益率や営業利益率、受注残高なども比較することで、経営状況の変化を把握しやすくなります。
ただし、建設業では大型工事の完成時期や売上計上のタイミングによって、月ごとの数字が大きく変動する場合があります。
そのため、単純な増減だけで判断するのではなく、工事の進捗状況や受注内容なども確認することが大切です。
前月・前年同月との比較を継続することで、売上や利益の変動傾向を把握し、早めに対策を検討できます。
工事ごとの採算状況を確認する
建設業の月次管理では、会社全体の利益だけでなく、工事ごとの採算状況を確認することが重要です。例えば、会社全体では利益を確保できていても、一部の工事で赤字が発生している場合があります。
こうした問題を放置すると、赤字工事が増えた際に会社全体の収益性が悪化する可能性があります。
そのため、工事ごとに実行予算と実際原価を比較し、当初予定していた利益を確保できているか確認する必要があります。
また、施工中の工事については、現時点までに発生した原価だけでなく、完成までに必要となる費用も考慮することが大切です。
例えば、実行予算が800万円の工事で、完成時の原価が900万円になる見込みであれば、早めに予算超過の原因を分析する必要があります。
工事ごとの採算状況を継続して確認することで、利益を圧迫している案件を把握し、改善策を検討しやすくなります。
異常値が発生した原因を分析する
月次管理で売上や原価、利益などに大きな変動が見られた場合は、その原因を分析することが重要です。例えば、前月と比較して材料費が大幅に増加している場合、材料価格の上昇や追加工事の発生、発注数量の増加などが考えられます。
また、売上総利益率が低下している場合は、原価の増加だけでなく、利益率の低い工事の受注割合が増えている可能性もあります。
こうした変化を確認する際には、金額の増減だけでなく、その背景にある工事内容や施工状況を把握する必要があります。
さらに、異常値が一時的なものなのか、今後も継続する可能性があるものなのかを見極めることも大切です。
例えば、大型工事の材料発注による一時的な原価増加と、複数の工事で繰り返される見積り精度の問題では、必要な対策が異なります。
数字の変化を具体的な原因まで掘り下げることで、効果的な改善策を検討できます。
月次管理を経営会議の判断材料にする
月次管理で集計した数字は、経営会議や社内の定例会議で共有し、具体的な判断につなげることが重要です。例えば、受注残高が減少している場合は、営業活動の強化や新規案件の獲得について検討できます。
また、特定の工事で利益率が低下している場合は、現場責任者と原因を確認し、施工方法や発注条件の見直しを検討することができます。
資金繰りに不安がある場合は、今後の入金予定や支払い予定を確認し、必要な資金対策を早めに判断することが大切です。
経営会議では、数字を報告するだけでなく、課題に対して誰が、いつまでに、何を実施するのかを明確にしましょう。
さらに、翌月の会議で改善策の実施状況と結果を確認することで、継続的な経営改善につなげられます。
月次管理を経営会議の判断材料として活用することが、数字に基づいた経営体制の構築につながります。
要 〜KANAME〜で月次管理の負担を軽減
建設業の月次管理では、工事ごとの売上や原価、利益、請求・入金状況など、さまざまな情報を集計する必要があります。しかし、これらの情報を複数のExcelや紙の管理表で管理している場合、毎月の集計作業に多くの時間がかかることがあります。
こうした課題の解決に役立つのが、建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」です。
工事台帳をベースに売上・原価を一元管理できる
「要 〜KANAME〜」を活用することで、工事台帳をベースとして、工事ごとの売上や原価などの情報を一元管理できます。例えば、売上情報は営業担当者のExcel、材料費や外注費は経理担当者の管理表、工事の進捗状況は現場責任者が管理している場合、月次の数字を集計するためには複数の資料を照合する必要があります。
こうした管理方法では、転記ミスや入力漏れが発生する可能性があり、集計作業にも時間がかかります。
「要 〜KANAME〜」を導入すれば、工事台帳を中心に売上や原価の情報を整理できるため、工事ごとの採算状況を確認しやすくなります。
また、複数の工事を同時に進めている場合でも、案件ごとに情報を管理することで、会社全体の数字を把握するための集計作業を効率化できます。
工事情報の一元管理は、月次管理の正確性と効率を高めるための基盤となります。
工事ごとの利益を視える化できる
建設業の月次管理では、売上高だけでなく、工事ごとにどれだけの利益を確保できているのかを把握することが重要です。「要 〜KANAME〜」では、工事ごとの売上や原価を管理することで、利益の状況を視える化できます。
例えば、受注金額が1,000万円の工事で、当初の実行予算を800万円に設定していた場合、予定している利益は200万円です。
しかし、材料費や外注費が増加して完成時の原価が900万円になる見込みであれば、利益は100万円まで減少します。
こうした変化を把握するためには、実行予算と実際原価を比較し、採算状況を確認する必要があります。
「要 〜KANAME〜」により工事ごとの情報を整理することで、利益が確保できている案件と、採算が悪化している案件を把握しやすくなります。
月次管理において工事ごとの利益を確認することは、赤字工事の早期発見や利益改善につながります。
顧客別・担当者別の売上や利益を集計できる
月次管理を経営改善に役立てるためには、会社全体の売上や利益だけでなく、顧客別や担当者別の実績を確認することも重要です。「要 〜KANAME〜」を使えば、工事情報をもとに、顧客別・担当者別の売上や利益を集計できます。
例えば、特定の顧客からの受注が売上の大きな割合を占めている場合、その顧客の発注状況が会社全体の業績に与える影響を把握する必要があります。
また、担当者別の売上や利益を確認することで、担当している工事の採算状況や業務上の課題を分析する際の参考になります。
ただし、担当者ごとの利益率は、工事の規模や内容、施工条件によっても変わるため、数字だけで単純に評価することは適切ではありません。
顧客別・担当者別の実績を工事内容と合わせて確認することで、受注方針の検討や業務改善に役立てられます。
請求・入金・支払い情報をまとめて管理できる
建設業の月次管理では、売上や利益だけでなく、請求・入金・支払いの状況を把握することが欠かせません。「要 〜KANAME〜」では、工事に関する請求や入金、支払い情報をまとめて管理できます。
例えば、工事ごとの請求額や入金状況を確認することで、未入金となっている案件を把握しやすくなります。
また、材料費や外注費などの支払い情報を整理することで、今後必要となる資金を確認する際にも役立ちます。
建設業では、工事の進捗に伴って費用の支払いが先行し、顧客からの入金が後になる場合があります。
そのため、利益が出ている工事でも、一時的に資金繰りが厳しくなる可能性があります。
請求・入金・支払いの情報を整理し、会計情報や資金繰り表と合わせて確認することで、資金不足の早期発見や支払い計画の検討につなげられます。
日々のデータ蓄積を月次の経営管理に活用できる
月次管理の負担を軽減するためには、月末にまとめて情報を集計するのではなく、日々の業務の中で必要なデータを蓄積することが重要です。「要 〜KANAME〜」により、工事ごとの売上や原価などの情報を継続して管理できるため、日々蓄積したデータを月次の経営管理に活用できます。
例えば、材料費や外注費などの情報を工事ごとに整理しておけば、月末に複数の資料を集めて原価を確認する負担を軽減できます。
また、工事ごとの実績を蓄積することで、過去の工事との比較や、次回の見積り作成にも役立てられます。
月次管理では、数字を集計すること自体が目的ではありません。集計した情報を分析し、経営判断や利益改善につなげることが重要です。
日々の業務で蓄積した工事データを活用できる環境を整えることで、月次管理を継続しやすくなります。
建設業の月次管理についてよくある質問
Q1. 建設業の月次管理では何を確認すればよいですか?
建設業の月次管理では、主に売上高、受注状況、工事原価、利益、利益率、請求・入金状況、資金繰りなどを確認することが重要です。特に、建設業では工事ごとの採算状況が会社全体の利益に大きく影響するため、工事単位の売上や原価を把握する必要があります。
また、売上が順調でも材料費や外注費が増加していれば、利益が減少している可能性があります。
さらに、顧客からの入金が遅れている場合は、資金繰りに影響することもあります。
そのため、売上高だけで経営状況を判断するのではなく、原価や利益、入金状況などを関連付けて確認することが大切です。
毎月同じ項目を継続して確認することで、経営状況の変化を把握しやすくなります。
Q2. 建設業の月次管理はいつまでに行うべきですか?
月次管理は、できるだけ早い段階で前月の数字を把握できるようにすることが重要です。例えば、翌月10日頃までに前月の売上や原価、利益などを集計することを目標にすれば、経営状況を確認し、必要な対策を検討しやすくなります。
ただし、適切な集計期限は会社の規模や工事件数、請求書の到着時期などによって異なります。
建設業では、材料費や外注費の請求書が翌月に届く場合もあるため、月末時点で発生している費用を把握する仕組みが必要です。
また、月次管理を早く行うために、数字の正確性を犠牲にすることは避けなければなりません。
自社の業務体制に合わせて集計期限を設定し、毎月同じスケジュールで管理できるようにすることが大切です。
Q3. 小規模な建設会社でも月次管理は必要ですか?
小規模な建設会社でも、月次管理を行うことは重要です。工事件数が少ない会社では、一つの工事で原価が大幅に増加した場合、会社全体の利益や資金繰りに大きな影響を与える可能性があります。
例えば、少人数で複数の工事を進めている会社では、材料費や外注費の増加に気付くのが遅れると、利益の減少につながることがあります。
また、入金予定と支払い予定を把握していなければ、一時的な資金不足が発生する可能性もあります。
小規模な会社では、最初から多くの管理項目を設定する必要はありません。
まずは毎月の売上高、工事原価、利益、入金・支払い予定など、経営判断に必要な数字から管理を始めるとよいでしょう。
管理項目を絞って継続することで、無理なく月次管理を定着させられます。







