- 2026年10月29日
単線結線図の書き方を初心者向けに解説!図記号・作図手順・注意点
CAD・図面作成

白紙の状態から単線結線図を作成しようとしても、どの機器から配置すればよいか分からなかったり、記載すべき情報の取捨選択に迷ったりすることがあります。
この記事を読めば、実務で通用する標準的な作図フローを理解し、記載すべき情報(記号・定格・系統)を過不足なく盛り込んだ「読みやすく、かつ正確な単線結線図」を完成させられる状態になります。
本記事では、単線結線図の基本とは何か、複線図との違い、具体的な作成手順の例を交えながら、初心者が覚えたいポイントを解説します。
監修:室田茂樹
株式会社プラスバイプラス 代表取締役
コンテンツ
単線結線図とは?
単線結線図とは、受電設備から負荷設備に至る電気回路の接続関係を、1本の線を用いて簡略的に表現した図面のことです。電気設備全体の構成や電気の流れを視覚的に把握することを目的としており、設計から施工、保守まで幅広い場面で利用されます。
この図面の見方を理解し、作図の基本を学ぶことで、電気設備に関する円滑なコミュニケーションが可能になります。
まずは、この簡単で便利な図面が持つ基本的な意味と役割について説明します。
単線結線図の基本的な意味と役割
単線結線図の最も重要な役割は、複雑な電気回路の全体像を把握しやすくすることです。実際の電路は複数の電線で構成されていますが、それをあえて1本の線で表現することで、機器同士の接続関係やシステムの構成を直感的に理解できます。
特に、多くの機器が複雑に絡み合う高圧受電設備などでは、全体のシステム構成を俯瞰するために不可欠です。
設計段階での仕様検討、施工時の配線ルートの確認、そして完成後の保守・点検時における回路の追跡など、あらゆるフェーズで基準となる図面として機能します。
単線結線図と複線結線図の違い
単線結線図と複線結線図の最大の違いは、情報の詳細度です。単線結線図がシステムの「つながり」を簡略化して示す一方、複線結線図は電線の本数や端子への接続方法など、実際の配線をありのままに描きます。
例えば、三相3線式の場合、単線結線図では1本の線で表しますが、複線結線図では3本の線を描きます。
そのため、単線結線図は高圧設備全体の構成把握に、複線結線図は盤内の配線や具体的な結線作業の指示に適しています。
単線結線図でも、斜線と数字を用いて電線の本数を示すことで、情報量を補完します。
単線結線図が使われる主な場面
単線結線図は、電気設備のライフサイクル全体にわたって様々な場面で活用される、非常に重要な図面です。設計・施工段階ではもちろん、完成後の運用・保守においてもその役割は欠かせません。
この図面があることで、関係者間の情報共有がスムーズになり、作業の安全性と正確性が向上します。
ここでは、単線結線図が具体的にどのような場面で使われるのかを解説します。
これらの役割を理解することで、なぜ正確な作図が求められるのかがより明確になるでしょう。
電気設備の設計・施工
電気設備の設計段階において、単線結線図はシステムの骨格を決定するための基本図となります。どのような機器を、どのようにつなぎ合わせるかを図示し、全体の構成を検討します。
この図をもとに、機器の容量計算や保護協調の検討が行われます。
施工段階では、作業員が配線や機器の設置場所を理解するための指示書として機能します。
回路全体のつながりが一目でわかるため、作業の段取りを組んだり、潜在的な問題点を発見したりするのに役立ちます。
設備の点検・保守・改修
完成した電気設備の点検や保守作業を行う際、単線結線図は設備の全体像を把握するための「地図」となります。点検対象の回路がどの系統に属しているのか、電源はどこから来ているのかを迅速に確認できるため、安全な作業手順の確立に不可欠です。
また、設備の改修や増設を計画する際にも、既存のシステム構成を正確に理解し、変更箇所を検討するための基本資料として利用されます。
図面と実際の設備を照合する際のルールを説明する上でも重要な役割を果たします。
単線結線図で使われる主な図記号一覧
単線結線図を正確に読み書きするためには、電気設備を構成する機器を表す「図記号(シンボル)」を覚えることが不可欠です。これらの記号は、JIS(日本産業規格)などで標準化されており、誰が見ても同じ機器を指し示すことができる共通言語の役割を果たします。
作図の際には、これらの標準記号を正しく使用することで、誤解のない図面を作成できます。
ここでは、単線結線図で頻繁に使用される主要な図記号を、機器の種類ごとに分けてその名称とともに紹介します。
遮断器・開閉器の図記号
遮断器や開閉器は、電気回路を安全に開閉したり、短絡などの事故電流を遮断したりする役割を持つ重要な機器です。単線結線図では、これらの機器を区別するためにそれぞれ異なる図記号が用いられます。
代表的なものとして、高圧回路で使われる「真空遮断器(VCB)」や「高圧交流負荷開閉器(LBS)」、低圧回路で広く使われる「配線用遮断器(MCCB)」や「漏電遮断器(ELB)」などがあります。
これらの図記号の近くには、定格電流などの数字が併記されることが一般的です。
変圧器・計器類の図記号
変圧器や計器類は、電圧を変換したり、電気の状態を監視したりするための機器です。単線結線図において、電圧を降圧する「変圧器(トランス、Tr)」は2つの円を重ねた記号で表されます。
また、大電流や高電圧を測定可能なレベルに変換する「変流器(CT)」や「計器用変成器(VT)」も頻繁に登場します。
これらに接続される「電流計(A)」や「電圧計(V)」、事故を検出する「保護リレー(OCRなど)」も専用の図記号で示され、設備の監視や保護に関する情報を示します。
これらの記号を読み解くことで、システムの問題を把握できます。
図記号とあわせて覚えたい文字記号・略号
図記号とセットで、機器の種類を示すアルファベットの文字記号も頻繁に使われます。これらを覚えることで、図面の理解度が格段に向上します。
例えば、遮断器・開閉器類ではVCB、LBS、DS、MCCBなどがあります。
これらの文字記号は、JIS規格やJEM規格といったルールに基づいており、図記号だけでは判別しにくい機器の種類を明確にする役割があります。
作図の際には、これらの標準的な記号を統一して使用します。
単線結線図の基本的な読み方
単線結線図を正しく読み解くことは、電気設備の構造を理解するための第一歩です。一見すると記号の羅列に見えるかもしれませんが、いくつかの基本的なルールさえ押さえれば、誰でも電気の流れやシステムの構成を把握できます。
読み方の基本は、電気の供給源である「電源側」から、電気が使われる「負荷側」へと、順を追って見ていくことです。
この流れに沿って、機器の接続関係や仕様を確認していきます。
ここでは、高圧受電設備などの回路を読むための3つのポイントを解説します。
電源側から負荷側へ順番に確認する
単線結線図を読む最も基本的な原則は、図の上部に描かれることが多い「電源側」から、下部の「負荷側」へと視線を移していくことです。これは実際の電気の流れと一致しており、受電点から変圧器、配電盤、そして末端の負荷(モーターや照明など)へと回路を順番に辿ります。
これにより、電気がどのように供給され、分配されているかの全体像を体系的に理解できます。
途中に描かれている斜線と数字は電線の本数を示しており、回路の構成を把握する上で重要な情報となります。
機器の接続関係と回路の分岐を確認する
電気の流れを追っていく過程で、各機器がどのように接続されているか、また、どこで回路が分岐しているかを確認します。例えば、1つの主幹遮断器から複数の分岐遮断器へ回路が分かれていく様子は、単線結線図上で明確に表現されます。
どの機器がどの回路を保護しているのか、どの負荷がどの系統に属しているのかといった関係性を把握することが重要です。
この接続関係を正確に読み解くことで、万が一の事故やトラブルが発生した際の影響範囲を特定したり、問題箇所を切り分けたりするのに役立ちます。
電圧・容量・機器の定格を確認する
図記号の近くには、その機器の仕様を示す重要な情報が必ず記載されています。具体的には、電圧(V)、容量(kVA)、定格電流(A)などの数値です。
これらの定格情報を確認することで、その回路がどのくらいの電気を扱っているのか、機器の選定が適切であるかなどを判断できます。
例えば、変圧器の記号のそばには「6.6kV/210-105V」のように一次側と二次側の電圧が、遮断器には定格電流や遮断容量が記載されます。
機器の名称や端子の情報とあわせて、回路の性能を理解するために不可欠な要素です。
単線結線図を書く前に整理する5つの情報
正確で分かりやすい単線結線図を効率的に作図するためには、描き始める前の情報整理が非常に重要です。いきなり作図を始めると、途中で矛盾が生じたり、重要な情報が抜け落ちたりして、手戻りの原因となります。
まず、対象となる電気設備全体の構成を把握し、図面に盛り込むべき情報をリストアップすることが不可欠です。
ここでは、作図をスムーズに進めるために、事前に整理しておくべき5つの重要な情報について解説します。
これらの準備をしっかり行うことで、後の作図作業が格段に楽になります。
| 整理する情報 | 確認する内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 電源情報 | 電源の種類、電圧、相数、線数 | 単相3線式100/200V、三相3線式200Vなど |
| ② 構成機器 | 遮断器、開閉器、変圧器、計器類など | VCB、Tr、MCCBなど |
| ③ 接続順序 | 電源から負荷までの機器のつながり | 電源→主幹遮断器→分岐遮断器→負荷 |
| ④ 回路・負荷 | 分岐回路の数、接続先、負荷の用途 | 照明回路、コンセント回路、空調回路 |
| ⑤ 定格・配線 | 定格電流、容量、電線の種類・太さ | 定格電流(A)、容量(kVA)、電線サイズなど |
※必要な項目は設備の種類や図面の目的によって異なります。
① 電源の種類・電圧・相数・線数
まず最初に確認すべき最も基本的な情報は、電気が供給される電源の仕様です。具体的には、電力会社からの受電電圧(例:6.6kV)、相数(例:三相)、線数(例:3線式)などを明確にします。
これが電気回路全体の出発点となり、以降の機器選定や設計の基礎となります。
この情報が曖昧なまま作図を進めると、システム全体が成り立たなくなる可能性があります。
図面の目的を明確にし、どの範囲の電源情報が必要かを最初に確定させます。
② 電気設備を構成する機器
次に、その電気設備がどのような機器で構成されているかをすべてリストアップします。受電点から負荷に至るまで、遮断器、断路器、変圧器、保護リレー、計器類、コンデンサなど、回路に含まれるすべての機器を洗い出します。
このとき、機器の名称だけでなく、それぞれの役割や機能も併せて整理しておくと、後の接続順序の検討がスムーズに進みます。
機器のリストに漏れがあると、図面としての正確性が損なわれるため、設計仕様書などを基に慎重に確認する作業が問題を防ぎます。
③ 機器の接続順序と電気の流れ
リストアップした機器を、どの順番で接続するのかを整理します。基本は「電源側から負荷側へ」という電気の流れに沿って、論理的に矛盾がないように順序を決定します。
例えば、「断路器(DS)→遮断器(VCB)→変流器(CT)→変圧器(Tr)」といった具体的な接続ルールを明確にします。
この順序が、単線結線図における機器配置の骨格となります。
各機器の名称と接続順を数字などで整理しておくと、作図の際に迷いがなくなります。
④ 回路の分岐と負荷の構成
主幹となる回路から、どのように分岐していくのかを整理します。変圧器で低圧に変換された後、主幹配電盤から各フロアの分電盤へ、さらにそこから照明回路やコンセント回路へと分かれていく流れを明確にします。
それぞれの分岐の先に、どのような種類の負荷がいくつ接続されるのか、その構成を把握します。
この情報が、分岐回路の数や遮断器の容量を決定する基礎となります。
⑤ 機器の定格・容量・配線情報
最後に、各機器の具体的なスペック情報を整理します。変圧器の容量(kVA)、遮断器の定格電流(A)や遮断容量(kA)、保護継電器の整定値、使用する電線の種類と太さ(sq)など、図面に記載すべき詳細なデータをまとめます。
これらの情報は、設備の安全性や性能を保証する上で非常に重要であり、単線結線図に必ず盛り込む必要があります。
設計計算書や機器の仕様書を基に、正確な数値を控えておきます。
単線結線図の基本的な書き方【6ステップ】
事前の情報整理が完了したら、いよいよ単線結線図の作図に取り掛かります。基本的な書き方は、電気の流れに沿って上から下へ、主要な機器から順に配置していくのがセオリーです。
ここでは、初心者でも迷わずに作図を進められるよう、6つのステップに分けて具体的な手順を解説します。
この手順通りに進めることで、論理的で分かりやすい回路図を効率的に作成できます。
接続点を示す黒丸や電線の本数を示す斜め線なども忘れずに記入しましょう。
ステップ1.作図する設備の範囲を決める
まず、今回作成する単線結線図が、どの範囲の電気設備を示すものなのかを明確に定義します。例えば、高圧受電設備全体なのか、特定の分電盤内部だけなのか、あるいは工場の一部の動力回路なのか、作図対象の始点と終点を決めます。
この範囲設定が曖昧だと、どこまで描けばよいか分からなくなってしまいます。
図面のタイトルにも「〇〇受電設備単線結線図」のように、範囲がわかる名称を付けると良いでしょう。
回路の範囲を示す数字なども活用します。
ステップ2.電源から負荷までの構成を整理する
作図範囲が決まったら、事前に整理した情報をもとに、電源から負荷までの機器構成と接続順序を再確認します。この段階では、まだ記号を配置するのではなく、紙やホワイトボードに大まかな配置のラフスケッチを描くと良いでしょう。
例として、「受電点→LBS→VCB→Tr→ACB→MCCB→負荷」といった機器の流れを上から下へ、分岐がある場合は左右に広がるように大まかにレイアウトします。
この骨格作りが、後の清書の質を左右する重要な問題となります。
ステップ3.主要な機器を図記号で配置する
ラフスケッチで決めたレイアウトに従い、CADソフトや作図ツール上で主要な機器をJIS規格に準拠した図記号で配置していきます。遮断器、変圧器、開閉器など、システムの中心となる大きな機器から先に配置すると、全体のバランスが取りやすくなります。
機器間のスペースも考慮し、後から文字情報などを記入する余白を確保しながら配置するのがポイントです。
電線の接続箇所には黒丸を、線の本数を示す場合は斜め線を記入する準備をしておきます。
ステップ4.機器を単線で接続して分岐を表す
配置した図記号同士を、情報整理の段階で決めた接続順序に従って1本の線で結んでいきます。電気の流れに沿って、上から下へと線を引いていくのが基本です。
主幹回路から分岐する箇所は、T字に線を分岐させて描きます。
このとき、線が単に交差しているだけなのか、電気的に接続されているのかを明確に区別することが重要です。
一般的に、接続点には黒丸を打ちます。
ステップ5.電圧・容量・機器番号などを記入する
結線が終わったら、各図記号の近傍に、その機器のスペックや名称を文字情報として記入していきます。変圧器の容量(kVA)や電圧、遮断器の定格電流(A)、電線の種類と太さ(CVT60sqなど)、機器の管理番号などを忘れずに記載します。
これらの情報がなければ、単線結線図は設計図書としての役割を果たせません。
文字の大きさや配置を工夫し、見やすい図面を心がけます。
ステップ6.設備構成と図面の内容を照合する
最後に、完成した単線結線図が、元の設計仕様書や整理した情報と完全に一致しているかを確認します。機器の記号やスペック、接続順序に間違いがないか、記載漏れがないかを慎重にチェックします。
セルフチェックだけでなく、可能であれば第三者にレビューしてもらうことで、客観的な視点でミスを発見しやすくなります。
この最終確認を怠ると、後工程で大きな手戻りが発生する可能性があるため、丁寧に行います。
【具体例】分電盤の単線結線図を書く場合
ここまでの基本的な書き方を踏まえ、より具体的な例として「分電盤」の単線結線図を作成するケースを考えてみましょう。分電盤は、建物内の照明やコンセントへ電気を分配する役割を持ち、電気設備の末端に位置するため、作図の練習としても最適な題材です。
主幹遮断器と複数の分岐回路で構成されるシンプルな構造を例に、作図の手順を追いかけます。
数字などの情報を正確に整理することが、分かりやすい作図につながります。
作図する分電盤の構成を整理する
まず、対象となる分電盤の仕様を整理します。具体的には、主幹となる配線用遮断器の定格電流と極数、分岐回路の数、各分岐回路の配線用遮断器の定格電流と極数をリストアップします。
また、それぞれの分岐回路がどの負荷につながっているのかも明確にします。
これらの数字や接続のルールを最初に確定させることが、正確な図面作成の第一歩です。
電源・主幹遮断器・分岐回路の接続順序を決める
分電盤の単線結線図では、電気の流れは非常にシンプルです。図の上部に電源を配置し、その次に主幹遮断器、そして主幹遮断器から分岐して複数の分岐遮断器が並ぶ、という順序になります。
各分岐遮断器の下に、それぞれが担当する負荷の名称を記載します。
この基本的な「上から下へ」の接続順序に間違いがなければ、構成上の大きな問題は起こりにくいでしょう。
図面に記載する情報を確認する
最後に、図面に盛り込むべき詳細情報を最終確認します。盤の正式名称、電源の仕様(例:単相3線式100/200V)、主幹および分岐遮断器の定格電流(A)、極数・素子数(例:2P2E)、各分岐回路の負荷名称と容量(VA)などを一覧にします。
これらの情報を、作図した図記号の横に正確に記入していくことで、誰が見ても仕様が理解できる、実用的な単線結線図が完成します。
テンプレートなどを用いて、記載漏れがないか簡単にチェックできるリストを作成するのも有効です。
作成自体は難しくありません。
単線結線図を書く際の注意点
単線結線図は、その見方や書き方の基本さえ押さえれば非常に便利なツールですが、いくつかの注意点を守らないと、意図が伝わらなかったり、誤解を招いたりする図面になってしまいます。正確で誰にでも理解できる図面を作成するためには、規格の遵守や表現の統一が不可欠です。
ここでは、作図の際に特に気をつけるべき4つのポイントについて解説します。
これらの注意点を意識することで、図面の質を大きく向上させることができます。
丁寧な説明を心がけましょう。
図記号や略号を統一する
単線結線図を作成する上で最も重要なことの一つが、図記号や略号の表記を統一することです。JISC0617などの規格に準拠した標準の記号を使用し、図面内で同じ機器は必ず同じ記号で表現します。
独自の記号や複数の規格を混在させると、第三者が見たときに混乱を招く原因となります。
単線結線図とは、システムの構成を伝えるという目的を持つため、複線図との違いを意識し、標準化された表現を徹底することが求められます。
機器の接続順序や分岐を正確に表す
電気の流れに沿って、機器の接続順序を論理的に正しく表現することが不可欠です。実際の電気の流れと図面上の表現が異なっていると、回路の理解に誤りが生じ、重大な事故につながる可能性もあります。
特に、回路が分岐する箇所や、保護機器と負荷の関係性を正確に作図することが重要です。
作図を簡単にするために接続関係を省略しすぎず、実際の構成に忠実に作成する必要があります。
電圧・容量・機器の定格を省略しない
図記号や接続線だけでなく、機器のスペックを示す文字情報は図面の価値を決定づける重要な要素です。電圧、電流、容量といった定格値や、機器の名称、管理番号などを省略せずに明記します。
これらの情報が欠落していると、どのような仕様の設備なのかが分からず、メンテナンスや改修の際に役立ちません。
記号だけでなく、必要な情報を一覧できるように記載することが、機能的な図面を作成する上での鍵となります。
接続点と交差点を明確に区別する
図面上で複数の線が交わる場合、それらが電気的に接続されているのか、あるいは単に立体的に交差しているだけなのかを明確に区別して表現する必要があります。一般的に、電気的な接続点には黒い丸を打ちます。
一方、単なる交差の場合は、記号を打たないか、線を跨ぐような記号を用いて表現します。
この区別が曖昧だと、配線を誤る原因となるため、ルールに従って正確に描き分けることが重要です。
単線結線図を効率よく作成するならCADソフトを活用
単線結線図を手書きや汎用の描画ソフトで作成することも可能ですが、効率と正確性を求めるなら、電気設計専用のCADソフトを活用するのが最も効果的です。専用CADには、作図を支援するための様々な機能が搭載されており、初心者でもプロ品質の図面を短時間で作成できます。
ここでは、CADソフトを利用するメリットと、さらに作業を効率化するためのテンプレート活用法について解説します。
基本を覚え、ツールを使いこなすことで、作図業務の生産性は飛躍的に向上します。
CADソフトを使って作図するメリット
電気設計用CADソフトを使用する最大のメリットは、作図作業の大幅な効率化です。あらかじめ規格に準拠した電気用図記号がライブラリとして豊富に登録されているため、記号を一つひとつ手で描く必要がありません。
また、線の接続や修正、機器の移動なども簡単に行えるため、設計変更にも柔軟に対応できます。
さらに、部品リストの自動生成や、配線番号の自動採番、図面間の整合性チェックなど、手作業ではミスが起こりやすい部分を自動化できる機能も備わっています。
盤結線図のテンプレートを活用する方法
多くのCADソフトには、一般的な受電設備や分電盤の構成に基づいたテンプレートが用意されています。これらのテンプレートを活用することで、ゼロから作図を始める手間を省き、大幅な時間短縮が可能です。
基本的な機器配置や結線がすでに行われているため、利用者は自身の設計に合わせて機器のスペックを変更したり、分岐回路を追加・削除したりするだけで、図面を完成させることができます。
特に、多くのパターンを覚えなければならない初心者にとって、標準的な構成を学ぶ良い教材にもなります。
配線図面の作図効率化については「電気配線工事にCADソフトを活用しよう」で詳しく紹介しています。
電気設備の図面作成を効率化する「plusCAD電気α」
単線結線図や盤結線図を作成する際は、機器の配置や接続関係を整理するだけでなく、図記号の入力や修正にも手間がかかります。こうした電気設備の図面作成を効率化したい方におすすめなのが、電気工事業向けCADソフト「plusCAD電気α」です。
plusCAD電気αは、簡単な操作で電気工事に必要な図面を作成できるのが特徴です。盤結線図のテンプレートも複数登録されているため、作図する内容に合わせて活用することで、一から図面を作成する手間を減らせます。
図面作成にかかる時間を短縮し、日々の電気工事業務を効率化したい方は、ぜひplusCAD電気αの導入をご検討ください。
plusCAD電気αの機能を詳しく見る
まとめ
単線結線図は、電気設備の構成や機器同士の接続関係を1本の線で簡略的に表した図面です。電気設備の設計・施工だけでなく、点検や保守、改修など幅広い場面で活用されます。単線結線図を正確に作成するためには、図記号や基本的な読み方を理解したうえで、電源の種類や電圧、機器の接続順序、回路の分岐、負荷の構成などを事前に整理することが重要です。
作図する際は、電源側から負荷側へ順番に機器を配置し、接続関係を単線で表した後、電圧や容量、機器の定格など必要な情報を記入します。最後に設備の仕様と照合し、記載漏れや接続の間違いがないか確認しましょう。
また、作図作業を効率化したい場合は、テンプレートを活用できる電気工事向けCADソフトの導入もおすすめです。
今回紹介した基本的な書き方や注意点を参考に、正確で分かりやすい単線結線図の作成に役立ててください。
単線結線図の書き方についてよくある質問
単線結線図の作成に関して、初心者の方が抱きやすい疑問点をまとめました。作図の手順や記載すべき情報、複線図との違いなど、基本的な質問に簡潔に回答します。
単線結線図はどこから書き始めますか?
電源側(受電点)から書き始め、電気の流れに沿って負荷側(末端の機器)へ向かって描くのが基本です。図の上部から下部へ、システムの根幹から枝葉へと展開することで、系統の抜け漏れや論理的な矛盾を防ぎやすくなります。
単線結線図と複線結線図の違いは何ですか?
単線結線図は回路全体の接続構成を1本の線で簡略化して示す図です。一方、複線結線図は電線の本数や接続方法を実際の配線通りにすべて描きます。
単線図はシステム全体の把握、複線図は具体的な結線作業の指示が目的です。
単線結線図にはどのような情報を記載しますか?
機器の図記号、名称、接続関係に加え、電圧、容量、定格電流などの機器スペック、電線の種類・太さ、保護方式などを記載します。設備の仕様を第三者に正確に伝え、図面としての機能を果たすために不可欠な情報です。
単線結線図はExcelでも作成できますか?
Excelの図形描画機能を使えば作成可能ですが、推奨はされません。専用CADソフトに比べて図記号の作成や修正に手間がかかり、非効率です。
ごく簡単な構成の図面や、アイデアをまとめる下書き程度の利用にとどめるのが賢明です。
単線結線図の図記号はどの規格を参考にすればよいですか?
JISC0617(旧JISC0301)「電気用図記号」が基本の規格となります。また、実務では日本電機工業会規格(JEM)で定められた記号も併用されます。
これらの標準規格に準拠することで、誰が見ても理解できる図面になります。







