- 2026年01月08日
建設DXとは?建設業の業務と経営を変える取り組みを解説
建設業に関する知識

建設業界において、昨今大きな注目を集めているのが「建設DX」です。しかし、「建設DX とは わかりやすく言うと何なのか?」「具体的に自社で何から始めればよいのか?」と疑問を抱いている経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、建設DXの定義や必要とされる背景、IT化との違い、そして成功への第一歩として原価管理が重要である理由について解説します。
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建設DXとは?
建設DX(デジタルトランスフォーメーション)の概要について、基本的な考え方から業界特有の定義までを解説します。DXの基本的な考え方
DXとは、単にITツールを導入することだけを指すのではありません。経済産業省の定義によれば、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革することを指します。さらに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することがDXの本質なのです。
言い換えれば、デジタルはあくまで「手段」であり、その先にある「ビジネスの変革」こそが「目的」です。
建設業におけるDXの定義
建設DXとは、AI(人工知能)、ICT、クラウド、IoTなどのデジタル技術を建設業のあらゆる業務プロセスに導入し、業界が長年抱えてきた課題を解決しながら、業務プロセスやビジネスモデルそのものに変革を起こすことです。具体的には、これまで紙や対面で行っていた図面管理、工事写真の整理、見積り作成などの事務業務をデジタル化し、さらにドローン測量やICT建機による自動施工、3次元モデル(BIM/CIM)の活用など、工事のプロセス全体を最適化する取り組みを指します。
DXが目指す姿
建設DXが目指すのは、デジタル化を通じて生産性を飛躍的に向上させ、魅力ある労働環境を構築することです。 具体的には、以下の3つの姿を目指します。- 生産性の向上:少ない人員でも高い成果を出せる体制の構築
- 働き方改革の促進:長時間労働の是正と、テレワークなどの柔軟な働き方の実現
- ナレッジの共有と継承:職人の熟練技術をデータ化して視える化し、若手への技術継承をスムーズにする体制
建設DXが求められる背景
なぜ今、建設業界でDXが急務となっているのでしょうか。そこには「このままでは業界が立ち行かなくなる」という深刻な背景があります。人手不足の深刻化
建設業の就業者数は近年急速に減少しています。2024年の調査では477万人まで落ち込んだというデータもあり、減少に歯止めがかかっていません。さらに深刻なのが「少子高齢化」です。建設業の就業者のうち55歳以上が約35〜37%(約175万人)を占める一方で、29歳以下の若手はわずか11〜12%(約56万人)程度です。
全産業平均と比較しても高齢化が著しく、ベテラン技能者の大量退職に伴う技術継承が大きな課題となっています。
業務の属人化
多くの現場では、熟練技能者の経験や勘に頼った「属人化」が根強く残っています。施工管理や品質管理の業務において、ノウハウが個人の頭の中にしかないため、担当者が不在になると状況がわからなくなる「ブラックボックス化」が起きています。
この属人化が、技術継承を妨げ、ミスや手戻りの原因にもなっています。
利益率の低下
「2024年問題」に伴う残業規制や、世界的な情勢による資材コスト・人件費の高騰により、経営状況が圧迫されています。また、建設業の労働生産性は全産業平均を下回っています。
全産業が5,788.7円/人・時間であるのに対し、建設業は2,872.9円/人・時間と、半分以下の水準です。効率的な管理を行い、無駄を徹底的に排除しなければ、利益を確保し続けることが難しくなっています。
経営環境の変化
2024年4月から、建設業でも働き方改革関連法に基づく時間外労働の上限規制が適用されました。これにより、これまでの「長時間労働で工期を間に合わせる」という手法は通用しなくなりました。さらに、デジタル庁が進める「アナログ規制」の撤廃や、国土交通省の「i-Construction」といった国の後押しもあり、デジタル技術の導入は「選べる選択肢」ではなく「生き残るための必須条件」となっています。
建設DXとIT化の違い
DXとIT化は混同されやすいですが、その違いについて正しく理解しておきましょう。ツール導入が目的ではない
IT化は、既存の業務をデジタルに置き換える「手段」です。例えば、紙の見積書をExcelで作るようにするのはIT化です。一方、DXはそのデータを使って、ビジネスモデルそのものを変革する「目的」を指します。見積り作成のデータを原価管理システムに連携させ、全社的な利益率をリアルタイムで視える化し、経営判断の精度を高めることがDXに当たります。
業務プロセスの見直し
DXにおいては、これまでのアナログな手順をそのままデジタル化するのではなく、デジタルを最大限活用するために業務プロセスそのものを最適化することが重要です。例えば、わざわざ事務所に戻って書類にハンコを押すという工程自体をなくし、現場からスマートフォンで承認を完結させるような「流れの変更」を伴うのがDXです。
データ活用の重要性
単に情報を電子化して保存するだけでなく、蓄積されたデータを分析し、未来の予測や意思決定にどう活かすことがDXの鍵となります。過去の工事データから正確な見積りの精度を上げたり、現場の進捗データから遅延リスクを早期に発見したりするなど、「攻めのデータ活用」が求められます。
経営改善への視点
DXは現場の作業効率化(部門最適)にとどまらず、最終的には「企業の競争上の優位性」を確立するための経営戦略です。社員の負担を減らして定着率を上げ、顧客に対してはデジタルを活用した透明性の高い報告や短工期での施工を提供することで、他社との差別化を図ります。
建設DXで変わる業務領域
DXを推進することで、具体的にどのような業務がどのように変化するのでしょうか。代表的な技術とともに解説します。現場管理
デジタル技術の導入により、現場の管理業務は劇的に変わります。- ドローン活用: 人手では数日かかる測量をわずか15分程度で完了させ、高精度の3次元データを取得します。
- AIカメラ: 現場の映像をAIで解析し、作業員の危険行動の検知や、進捗状況の自動判定を行います。
- 施工管理アプリ: 写真整理や日報作成を現場で完結させ、移動時間を大幅に削減します。
原価管理
これまでの「工事が終わってみないと利益がわからない」という状態を打破します。クラウド上で原価、労務費、外注費をリアルタイムに集計することで、赤字の兆候を早期に発見し、対策を講じることが可能になります。
特に、見積り段階での想定原価と、実際の実行予算を常に比較することで、利益の「視える化」を実現します。
経営判断
現場から上がってくるデータが一元管理されることで、経営者は正確な数値に基づいた迅速な判断ができるようになります。どの工種の利益率が高いのか、どの取引先との案件が効率的なのかといった分析が可能になり、根拠に基づいた経営戦略(エビデンス・ベースド・マネジメント)が実現します。
情報共有
クラウドやビジネスチャットの活用により、情報の分断が解消されます。- 最新の図面や工程表を全員が手元のタブレットで確認
- 遠隔臨場システムにより、監督が事務所にいながら現場の検査を実施
- 多重下請け構造における、元請・下請間のシームレスなコミュニケーションの構築
DXが進まない建設会社の課題
多くのメリットがある一方で、なぜ多くの企業でDXが進まないのでしょうか。そこには共通の壁が存在します。紙・Excel中心の業務
いまだに多くの現場では、手書きの書類、FAX、そして複雑な関数を組んだ属人的なExcelでの管理が中心です。これらはデータの転記や整理に多大な工数がかかるだけでなく、情報の共有スピードを著しく低下させます。
データが分断されている
現場ごとに管理方法が異なっていたり、見積りソフト、勤怠管理、会計ソフトなどがバラバラに導入されていたりするため、データが連携していません。この「情報のサイロ化」により、全体像を把握するためにわざわざデータを手入力で集計し直すという、本末転倒な作業が発生しています。
現場負担が増える不安
「新しいシステムの操作を覚える余裕がない」「現場の職人が使ってくれない」といった現場の抵抗感は非常に強いものです。 特に高齢の職人が多い現場では、使いにくい多機能なシステムを導入した結果、誰も使わずに放置されるという失敗例が多く見られます。導入効果が見えにくい
初期投資や月額費用に対するコストパフォーマンスが不明確なため、経営者が二の足を踏むケースが多く見られます。 DXは短期的な売上アップではなく、中長期的な「生産性向上」や「リスク回避」に効くものですが、その定量的な効果(ROI)を算出するのが難しい点が課題です。原価管理から始める建設DX
建設DXを成功させる秘訣は、いきなり高度なAIやロボットを導入することではなく、経営の根幹である「原価管理」をデジタル化することから始めるのが近道です。経営判断のスピード向上
原価管理をシステム化することで、日々の仕入れや外注費をリアルタイムに集計できます。「今、この現場はいくら儲かっているのか?」が瞬時にわかるようになれば、予算オーバーの兆候にすぐ気づき、追加工事の交渉や材料の見直しなどの対策を迅速に打てるようになります。
DXを現場に定着させる
現場にとって使いやすく、日々の事務負担を確実に減らせるツールから導入することが、DX定着の鉄則です。例えば、現場で写真を撮るだけで自動的に日報や見積りに反映されるような、直感的に使えるシステムを選ぶことで、現場の反対を最小限に抑えられます。
段階的にDXを進める
まずは、社内で最も手間がかかっている「見積り作成」や「入金管理」などの事務作業からデジタル化を始めます。次に、それらのデータを連携させて業務フロー全体を効率化し、最終的にそのデータを使って経営そのものを変革する(DX)というステップを踏むことが、失敗しないための「スモールスタート」の考え方です。
「要 〜KANAME〜」で原価を視える化
建設DXを「考え方」で終わらせず、実務レベルで形にしていくためには、原価管理を軸にした仕組みづくりが欠かせません。その一例として、建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」があります。
「要 〜KANAME〜」は、リフォーム・電気・空調・水道工事など、専門工事業の業務フローを前提に設計された原価管理システムです。
工事ごとの原価や支払い状況、見積り実績といった情報を一元管理することで、
- 利益の視える化:工事ごとの粗利をリアルタイムで把握
- 進捗の視える化:予算に対する支払いや発注の進捗を管理
- データの視える化:過去の見積り実績を検索し、精度の高い次回の見積り作成に活用
建設DXは、特別な技術を導入することではなく、「日々の業務で使っている数字を、経営判断に活かせる形に変えること」 から始まります。
その第一歩として、原価管理の仕組みを見直すことは、有効な選択肢のひとつと言えるでしょう。
建設DXについてよくある質問
Q1:建設DX とは わかりやすく言うと何ですか?
A:デジタル技術(スマホ、クラウド、AIなど)を使って、現場の作業や会社全体の経営をより効率的で、利益が出やすい形にアップデートすることです。単なるIT化と違い、仕事のやり方そのものを変えるのが特徴です。Q2:IT化とDXは何が違うのですか?
A:IT化は紙をデータにするなどの「手段」であり、DXはそのデータを使って「会社や働き方そのものを変革する」という経営レベルの「目的」を指します。Q3:小さな会社でもDXに取り組めますか?
A:はい、むしろリソースの限られた中小企業こそ、DXによる効率化の効果が大きいです。まずはplusCADのような使いやすいツールから、特定の業務をデジタル化することから始めましょう。
Q4:現場の職人がITツールを使ってくれるか不安です
A:多機能すぎるものではなく、現場にとって「楽になる」実感が得られるシンプルなツールを選ぶことが大切です。「要 〜KANAME〜」のように、サポート体制が充実した製品を選ぶのも一つの手です。
Q5:DXを導入すると、具体的にどんなメリットがありますか?
A:生産性の向上、人手不足の解消、長時間労働の是正、正確な利益管理、そして安全性の向上が期待できます。最終的には、他社に負けない強い経営体質を築くことができます。






