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建設業の2024年問題とは?課題や対策を解説

  • 公開日:2023年12月07日
経営に役立つ知識
建設業の2024年問題とは?課題や対策を解説

建設業には、2024年問題と呼ばれる大きな課題が待ち受けています。2019年4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行され、企業は「働き方改革」に対応しなければなりません。

しかし、建設業界はこの法律によって大きな問題を抱えることになりました。建設業は労働環境の改善が困難なため、5年の猶予期間が与えられていますが、それでも対策が遅れているという現状があります。

これが「2024年問題」です。この記事では、建設業界の2024年問題と、働き方改革への取り組みについて解説します。

建設業が直面する「2024年問題」とは?

2024年問題とは、時間外労働の上限規制などの働き方改革関連法の施行に伴い、物流業界や建設業界で生じるさまざまな問題を示す言葉です。建設業界における2024年問題とは「働き方改革関連法」の猶予期間が終了する2024年までに、建設業が是正しなければならない労働環境の課題を指します。
 

働き方改革関連法の主な内容は、労働時間や賃金の是正、労働環境の改善などですが、とりわけ建設業は、時間外労働時間に上限が設定されることで大きな収益減が懸念されています。この問題を回避するためには、DX化の推進や、従業員の安定的な確保が必要です。
 

労働時間の上限規制が施行される

法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。
この時間を超えて労働する場合、労使間で協議のうえ特別条項付き36協定を結び、書面を労働基準監督署に提出しなければなりません。36協定の締結により、時間外労働時間の上限は原則月45時間以内かつ年360時間以内となります。
また、特別条項付き36協定を結ぶと労働基準法で定められた時間を延長して働けるという原則があります。
 

ただし、建設業は36協定による規制の適用を受けない業種であるため、これまでは制限なく残業しても問題視されない状態が続いていました。
この流れが変わったのが働き方改革関連法であり、2024年4月からは建設業界においても以下の規定が適用され、違反すると罰則があります。
 

・時間外労働の上限は法定休日労働を含まず年720時間以内
・2カ月~6カ月の休日労働を含む時間外労働の平均がいずれも80時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満
・時間外労働が月45時間を超過できる月は年6回が上限
 

参考:建設業における働き方改革-国土交通省
 

建設業を取り巻く課題

建設業の働き方改革を推進するには、建設業を取り巻くさまざまな課題を解決する必要があります。特に重要な課題として、労働時間・高齢化・人手不足・賃金水準・社会保険の加入率について解説します。
 

労働時間

建設業の労働時間は他産業に比べて長いといわれています。
以下の表は、厚生労働省が公表している「年間総実労働時間(事業所規模5人以上)」を抜粋したものですが、製造業や卸売・小売業と比較して長いことがわかります。
直近の2022年度の結果を見ると、全産業平均との比較で年間300時間以上もの長時間労働を行なっている状況です。業種別では、製造業よりも77時間、卸売・小売業に至っては389時間も多くなっています。
 

また、2007年から2022年の間で、産業全体の労働時間が174時間減っているのに対し、建設業は109時間と減少率が低く、業務の煩雑化や人材不足などが要因になっていると考えられます。
建設業 製造業 卸売・小売業 調査産業計
2007年度 2,065時間 1,993時間 1,689時間 1,807時間
2016年度 2,056時間 1,951時間 1,628時間 1,720時間
2022年度 1,956時間 1,879時間 1,567時間 1,633時間
 

参考:毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報-厚生労働省
建設業働き方改革加速化プログラム-国土交通省
統計調査結果 報道発表資料|第2表 月間実労働時間及び出勤日数-厚生労働省
毎月勤労統計調査 平成28年度分結果確報|第2表 月間実労働時間及び出勤日数-厚生労働省
 

高齢化

建設業は労働者の高齢化が問題視されている業種のひとつです。
65歳以上の労働者が最も多く、若年者ほど少ない傾向にあります。
2021年時点の調査では、55歳以上が全労働者の35.5%を占める一方で、29歳以下の労働者は12%という結果でした。若年労働者の雇用が進まない背景には、建設業全体に対するマイナスイメージが関係しています。
特に、危険な作業が多いことや労働時間が長いことは、業界の若者離れが深刻化する要因となっています。
 

参考:最近の建設業を巡る状況について-国土交通省
 

人手不足

建設業界における問題点として、人手不足や技術継承ができないことも挙げられます。
1997年には、建設業への就業者数が685万人いましたが、2010年には498万人、2021年には482万人と右肩下がりで減少している状況です。
また、2020年と2021年の1年間で55歳以上の労働者が6万人減少しましたが、29歳以下の労働者は増減がありませんでした。
労働力の減少によって1人あたりの作業量が増えることはもちろん、ベテラン技術者の技能が若手に受け継がれないことによる全体的な技術力低下も懸念されています。
 

参考:最近の建設業を巡る状況について-国土交通省
 

賃金水準

建設業全体の賃金水準は、全産業の平均よりも高くなっているものの、現場で従事する労働者の賃金は決して高いとは言えません。
また、45歳~49歳で賃金のピークを迎え、その後はゆるやかに下がる傾向にあります。
ただし、賃金の上昇率は全産業のなかでも高い伸び率となっていることから、いかに現場作業員の賃金を上げられるかが人手不足解消の鍵を握っていると言えるでしょう。
 

参考:建設業働き方改革加速化プログラム-国土交通省
 

社会保険の加入率

建設業界の社会保険加入率は、一定程度は進んでいる状況です。
しかし、健康保険の加入率を見てみると、元請けに比べて下請けの加入率は下がっている傾向にあります。事業所の規模別では、1人親方の社会保険加入率が著しく低い状況も見て取れるため、もう一歩踏み込んだ対策が必要です。
 

参考:建設労働者の労働者別社会保険加入割合が上昇 - 国土交通省
 

建設業が働き方改革に対応するためにやるべきこと

働き方改革関連法が適用される2024年4月まで残り1年を切り、建設業界でも対応が求められます。そこで、具体的な対応策を解説します。
 

週休二日制の確保

国土交通省が公表している「建設業における働き方改革」のデータによると、建設工事全体の約64%が4週4休以下で働いていることがわかります。
そして、週休2日制を導入している企業は1割以下となっており、低水準にとどまっている状況です。
 

建設業界の週休2日制は、国土交通省も長時間労働を是正する観点から推奨しています。
すでに公共工事などでは原則として週休2日制を採用する方針ですし、民間工事でも週休2日制を導入する企業が増えてきました。
 

実際に週休2日制を採用するには、日給月給の労働者の給与が減ることによる離職や、工期が長くなってコストが増えるなどの問題もあります。
人材の流出や経費増は経営者にとって頭の痛い問題ですが、賃金体系の見直しやDX化を進めることで改善できます。働き方改革に対応するためにも、週休2日制の導入は積極的に検討する必要があるでしょう。
 

適正な工期設定

2024年問題に対応して働き方改革を実現するためには、建設現場の休日拡大や週休2日制の導入を推進する必要があります。
ただし、就業時間の減少が工期に影響を与える可能性があるため、発注側と受注側が協力して、適正な工期設定をすることが大切です。たとえば、工期のスケジュール的に完工が難しいと判断できるにもかかわらず、極端に短い請負契約を交わすケースがあります。
これは工期ダンピングと呼ばれるもので、長時間労働や工事中の事故につながるリスクがあるため建設業法で禁止されています。
 

工期設定を考える場合、建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議が2017年に策定した「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」が参考になります。
ガイドラインでは、適正な工期を設定することで週休2日制や長時間労働の是正につながり、働き方改革を実現できる旨がくわしく解説されています。
 

参考:建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン
 

キャリアアップシステムや評価制度の導入

建設業界では、人材不足が問題となっています。特に若手人材の不足が大きな課題となっている建設業界では、公正かつ公平な人事評価制度を確立し、良好な労使関係を築くことが大切です。
人材不足を解決するひとつの方策として、国土交通省が作成した「建設業働き方改革加速化プログラム」にもあるように、建設キャリアアップシステムの利用や、技能の高い人材を評価する制度の導入が挙げられます。
 

建設キャリアアップシステムとは、技能者の保有資格や就業履歴などの情報を登録するシステムです。登録された情報を確認することで技能者のスキルなどを客観的に評価しやすくなり、人材ごとに適切な給与で働いてもらえます。
また、システムを利用する事業者の施工能力が見える化されるので、働き方改革に前向きな事業者としてのアピールにもなります。
参考:建設キャリアアップシステム
 

技術者配置要件の合理化

「技術者配置要件の合理化」とは、建設業界において、現場技術者の配置に関する規制を緩和し、より効率的な人材活用を図ることを目的とした取り組みです。
たとえば、1人の監理技術者が複数の工事現場を兼務することを認める「現場技術者配置要件の合理化」が検討され、一部については合理化が認められています。また「専門工事共同施工制度(仮称)」も国土交通省が検討を進めています。
これは、下請けの上位企業が下位企業の主任技術者の業務範囲を賄うことにより、下位企業は主任技術者を配置する必要がなくなる仕組みです。
 

いずれも技術者不足や旧態依然として続く枠組みの解消、働き方改革の推進などが背景にあります。
特に土木工事の監理技術者は将来的に減少や高齢化が進むと予測されていることから、配置要件の合理化が進むと人材配置を効率化でき、経営において大きなメリットを得られます。
 

参考:現場技術者配置要件の合理化について-国土交通省
資料3-国土交通省
技術者制度について-内閣府
 

現場管理システムの導入

建設業において働き方改革を推進するには、長時間労働の是正が重要です。
そのためには、職種ごとに業務を遅延させる要因となる課題を見つけたうえで、作業の効率化を進める必要があります。特に管理業務の効率化を図ることは、本部と現場の業務効率化につながります。
たとえば、作業員のスケジュール管理、工事の受発注管理、見積書・請求書の管理など、管理業務は多岐に渡るため効率化が大切です。
 

そこでおすすめしたいのが現場管理ソフトの「要 〜KANAME〜」です。
工事台帳を基にした現場管理ソフトで、業務効率化・利益の見える化・シンプルな経営判断を可能にしています。
たとえば、過去・現在・見込みの案件をすべて管理したり、見積書から注文書・請求書を簡単に作成できたりします。現場ごとの作業員や車両のスケジュール管理も簡単です。PCやスマホから簡単に日報を入力できるので、現場の作業負担も大幅に軽減できるでしょう。
さらに、利益や経費を素早く把握できるので、迷いのない経営判断ができます。働き方改革への対応は待ったなしの状況ですから、オンラインでソフトのデモ体験もできる「要 〜KANAME〜」の導入を前向きに検討することをおすすめします。
 

まとめ

建設業界も2024年4月から働き方改革関連法が適用され、時間外労働の上限を守らなければ罰則の対象となります。
いわゆる2024年問題は、建設業界の在り方そのものを根本から変えるかもしれない問題です。建設業界においては、労働環境の見直しや長時間労働の是正をはじめ、評価制度の導入などやるべきことが山積しています。
とはいえ、2024年問題への取り組みは事業の継続と発展に直結するため、働き方改革への対応を進めていきましょう。
 

2024年問題についてよくある質問

Q:2024年問題とは何ですか?
A:建設業における2024年問題とは、建設業界が直面している労働環境問題のことで、解決するためには「働き方改革関連法」が適用される2024年4月までに対策を講じる必要があります。
「働き方改革関連法」は、労働者の働き方や生活をより良くするために、残業時間の上限や休日の確保などの規制を定めています。 大企業では2019年4月1日から、中小企業では2020年4月1日から順次適用されていますが、建設業においては、一部の規制について5年間の猶予期間が設けられています。
猶予期間が設けられた理由は、建設業界における労働環境問題が深刻であるためです。問題を短期間で解決するのは難しいと考えられるため、建設業では働き方改革関連法の適用が2024年4月まで延期されています。
 

Q:なぜ建設業界の働き方改革が進まないのですか?
A:建設業界の働き方改革が進まない理由には、主に2つの要因があります。
まず、工事の工期や工程に関する問題です。天候や緊急事態などによって、工事のスケジュールが変更されることが多く、休日出勤や残業が発生しやすい傾向にあります。また、そもそも工期が短い場合も労働時間が長くなるケースが多くなります。
もうひとつは、人材不足や高齢化に関する問題です。建設業界は若者の人材確保ができず、人手が足りない状況が続いています。そのため人材の平均年齢が高止まっている状況にあり、効率的な作業を妨げています。
建設業界の働き方改革を進めるには、これらの問題を解決することが大切です。
 

Q:働き方改革に対応するためにやるべきことを教えてください。
A:建設業の働き方改革に対応するためにやるべきことは、労働時間の管理と削減・人材の確保と育成・生産性の向上と効率化です。労働時間の管理と削減には、時間外労働の上限規制に合わせて、工期や工程の適正な設定や調整、休日出勤や残業の削減、労働時間の記録や報告などが必要です。
人材の確保と育成には、若者や女性などの新規採用、技能者やベテラン社員の定着、教育や研修の充実などが挙げられます。生産性の向上と効率化には、ICTやAI技術の導入、標準化や共通化などの工法改善、協力会社や発注者との連携強化などが必要です。
 

Q:業務効率の改善を進めるにはどのようにしたら良いですか?
A:現場管理システムの導入をおすすめします。建設業で働き方改革を成功させるには、管理業務の効率化が必須です。
プラスバイプラスの現場管理ソフト「要 〜KANAME〜」は、工事台帳を基にした現場管理ソフトで、業務効率化・利益の見える化・シンプルな経営判断をサポートします。工事ごとの利益率や予算対比率も一目で分かるので、効率的に原価管理ができます。
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