- 2026年01月28日
鉄筋積算とは?初心者でも流れがわかる基本解説【図面の見方から考え方まで】

鉄筋積算とは、建築工事に必要な鉄筋の数量を設計図書から算出する作業のことです。
建物の骨格となる鉄筋コンクリート構造物の費用を正確に把握するために不可欠なプロセスであり、算出された数量に鉄筋の単価を掛けることで、工事全体の費用を見積もります。
この作業は、資材の発注から予算管理まで、プロジェクトの根幹を支える重要な役割を担っており、正確な積算方法の理解が求められます。
コンテンツ
鉄筋積算とは何か?
鉄筋積算は、建物の設計図書を基に、どの部位に、どの種類の鉄筋が、どれだけの量必要かを拾い出す作業です。この拾い方には一定のルールがあり、多くは公共建築工事積算基準などの公的な基準に準拠して行われます。
基礎、柱、梁、床、壁といった建物の構造を形作る各部位の鉄筋を正確に把握し、工事全体の鉄筋量を算出します。
鉄筋工が現場で作業するための材料数量を確定させる、いわば建物の骨組みの原価を算出する最初の工程です。
鉄筋積算の目的とは
鉄筋積算の最も主要な目的は、工事に必要な鉄筋の費用を正確に算出することです。設計図書から鉄筋の総量を割り出し、市場単価を乗じることで、精度の高い見積書を作成できます。
これにより、発注者は適切な予算計画を立てることが可能になります。
また、算出された数量は、実際に現場で使用する鉄筋材料を発注する際の根拠となります。
過不足なく材料を調達できるため、工事の遅延や無駄なコストの発生を防ぎます。
さらに、施工会社にとっては、実行予算の策定や原価管理の基礎データとなり、プロジェクト全体の採算性を管理する上で欠かせない情報です。
鉄筋積算はどの工事で使われるか
鉄筋積算は、主に鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の建築工事で用いられます。これらの構造形式は、マンション、オフィスビル、学校、病院、商業施設といった中高層の建物で広く採用されており、コンクリートと鉄筋を組み合わせて強度を確保しています。
具体的には、建物の基礎、柱、梁、床、壁などの構造部分に含まれる鉄筋の数量を算出します。
建築工事だけでなく、橋やトンネル、ダムといった社会インフラを構築する土木工事においても、コンクリート構造物が多用されるため、同様に鉄筋積算は不可欠な作業となっています。
鉄筋積算が「難しい」と感じやすい理由
鉄筋積算が初心者にとって難しいとされるのは、扱う情報の種類と量が多岐にわたるためです。建物の部位ごとに異なる多種多様な鉄筋を正確に分類し、複雑な配筋が描かれた図面から必要な情報を漏れなく読み解くスキルが求められます。
さらに、単に長さや本数を数えるだけでなく、最終的に重量へ換算する計算プロセスも、作業の難易度を上げる一因となっています。
鉄筋の種類・径が多い
鉄筋積算の難しさの一つは、鉄筋の種類と径(太さ)が非常に多いことにあります。鉄筋には、表面にリブや節と呼ばれる凹凸がある「異形鉄筋」と、表面が滑らかな「丸鋼」があり、それぞれに強度を示す規格が存在します。
さらに、径もD10(直径10mm)やD13(直径13mm)など、数ミリ単位で細かく分かれています。
建物の部位や求められる強度によって、これらの鉄筋が複雑に使い分けられているため、積算担当者は図面の指示を正確に読み取り、種類別・径別に間違いなく分類して集計しなければなりません。
この識別と分類作業の煩雑さが、ミスを誘発しやすく、作業を難しくさせています。
図面の情報量が多い
鉄筋積算で使用する構造図や配筋図には、膨大な情報が詰め込まれています。特に、建物を支える基礎部分は、独立基礎や布基礎といった形式に応じて、主筋、あばら筋、帯筋などの鉄筋が密集して配置されています。
図面では、これらの鉄筋が線や記号で表現され、本数、ピッチ(間隔)、定着や継手の長さなどが細かく指示されています。
初心者は、どの線がどの鉄筋を示しているのかを判読し、必要な情報を正確に拾い出すことに苦労します。
複数の図面を照合しながら、重複や拾い漏れがないように情報を整理するスキルが求められるため、経験が少ないうちは難しく感じやすいのです。
重量計算が必要になる
鉄筋の取引は、長さではなく重量(トン単位)で行われるのが一般的です。そのため、積算においても最終的な数量は重量で算出しなければなりません。
作業の流れとしては、まず図面から鉄筋の径ごとに本数と長さを拾い出し、全長を求めます。
次に、その全長に対して、鉄筋の径ごとに定められた「単位重量(kg/m)」を掛け合わせることで、総重量を算出します。
この「長さから重量への換算」という一手間が、積算作業をより複雑にしています。
特に、扱う鉄筋の径の種類が多いほど計算は煩雑になり、計算ミスが起こりやすいポイントでもあります。
鉄筋積算で使う図面の基本
鉄筋積算を正確に行うためには、設計図書の中から必要な図面を見つけ出し、そこに記載された情報を正しく読み解く能力が不可欠です。特に初心者にとっては、数ある図面の中からどこに注目すれば良いのかを把握することが、効率的な作業への第一歩となります。
ここでは、積算で主に使用する図面の種類と、チェックすべき具体的なポイントを解説します。
鉄筋積算で主に見る図面
鉄筋積算で主に使用するのは、構造図と総称される図面群です。建物の骨組み全体を把握するために伏図や軸組図を確認します。
これらで柱や梁の配置、符号を理解した上で、より詳細な配筋図を読み解きます。
配筋図には、各部位の鉄筋の種類、径、本数、配置間隔といった積算に必要な情報が具体的に示されています。
また、鉄筋の切断長や曲げ加工の形状を指示する加工帳や、鉄筋に関する共通ルールが記載された構造特記仕様書も、正確な数量を算出するために必ず参照すべき重要な資料です。
図面のどこをチェックするのか
図面をチェックする際は、まず「構造特記仕様書」で、鉄筋の材質(SD295Aなど)、かぶり厚さ、継手や定着の長さに関する基本ルールを確認します。次に、各部位の「配筋図」に移り、具体的な情報を拾い出します。
特に重要なのは、鉄筋の「径(D10など)」「本数」「ピッチ(@200など)」の3つの情報です。
これらは柱、梁、スラブといった部位ごとに細かく指定されているため、見落としがないように注意深く確認します。
また、梁の主筋のように部材を貫通する鉄筋については、その長さ(スパン)を「伏図」などから正確に読み取る必要があります。
これらの情報を部位ごと、鉄筋の径ごとに整理していくことが積算の基本です。
初心者が最初に見るべきポイント
初心者が鉄筋積算を始める際は、まず「構造特記仕様書」に目を通し、そのプロジェクトにおける鉄筋工事の全体的なルールを把握することから始めましょう。ここには、使用する鉄筋の種類、定着・継手の長さの計算方法、かぶり厚さといった、積算の前提となる重要な情報がまとめられています。
次に、いきなり複雑な梁やスラブから始めるのではなく、比較的構造が単純な「基礎」や「柱」の配筋図から拾い出し作業に着手するのがおすすめです。
単純な部位で図面の記号や表記方法に慣れることで、徐々に図面読解のスキルが向上し、自信を持って複雑な部位の積算に進めるようになります。
鉄筋積算の全体の流れ【5ステップで理解】
鉄筋積算は、一見すると複雑でどこから手をつければよいか分かりにくい作業ですが、一連の流れをステップごとに分解して捉えることで、体系的に理解できます。ここでは、積算作業の開始から完了までを5つの具体的なステップに分けて解説します。
この手順に沿って進めることで、初心者でも迷うことなく、正確な積算業務を遂行することが可能になります。
積算対象の部位を整理する
最初のステップは、積算を行う対象範囲を明確にすることです。構造図(伏図など)を見て、建物を構成する部位をすべてリストアップします。
具体的には、「基礎」「柱」「梁」「床(スラブ)」「壁」「階段」といった単位で分割します。
大規模な建物であれば、さらに「1階柱」「2階梁」のように階数で分けたり、エリアごとに区切ったりすると管理しやすくなります。
この作業により、どの部分の積算が完了し、どの部分が残っているのかが一目でわかるようになり、拾い漏れや二重計上といったミスを防ぎます。
作業の全体像を把握し、計画的に進めるための重要な準備段階です。
鉄筋の種類・径を把握する
次に、設計図書(構造特記仕様書や配筋図)を確認し、その工事で使用される鉄筋の種類と径をすべて洗い出します。鉄筋の種類(SD295A、SD345など)と、径(D10、D13、D16など)をリストアップし、一覧表を作成しておくと後の集計作業が格段に楽になります。
各部位の配筋図を見て、どの部分にどの径の鉄筋が使われているかを事前に確認することで、頭の中が整理され、拾い出し作業をスムーズに進めることができます。
この段階で、プロジェクト全体で使用される鉄筋のスペックを完全に把握しておくことが、後の工程の精度を高めることにつながります。
本数・長さを拾い出す
ここが積算作業の中心となる「拾い出し」の工程です。ステップ1で整理した部位ごと、ステップ2で把握した鉄筋の径ごとに、図面から具体的な情報を読み取ります。
配筋図に描かれた鉄筋の本数を数え、1本あたりの長さを計算します。
この際、まっすぐな鉄筋だけでなく、フックや曲げ加工部分の長さ、コンクリートに埋め込むための「定着長さ」や、鉄筋同士をつなぐための「継手長さ」も図面の指示や仕様書に基づいて加算する必要があります。
算出した数値は、どの部位の、どの径の鉄筋かを明確にしながら、拾い出し集計表に正確に記録していきます。
重量に換算する
拾い出し作業で算出した鉄筋の径ごとの全長を、重量に変換します。鉄筋は径によって1メートルあたりの重量(単位重量)が規格で決まっています。
例えば、D10は0.560kg/m、D13は0.995kg/m、D16は1.56kg/mです。
この単位重量を、拾い出した径ごとの全長に乗じることで、重量を算出できます。
この計算を、使用されているすべての鉄筋径について行います。
電卓や表計算ソフトを活用して、計算ミスがないように慎重に進めることが重要です。
このステップを経て、初めて見積もりや発注に使用できる具体的な数値が得られます。
集計して積算数量をまとめる
最後のステップとして、径別に算出したすべての重量を合計し、工事全体で必要となる鉄筋の総重量を確定させます。このとき、鉄筋を加工・運搬する過程で発生する端材や損失分(ロス)を見込んで、算出した重量に一定の「割増率(ロス率)」を加算することが一般的です。
国土交通省の「公共建築数量積算基準」では、鉄筋の所要数量を算出する際に、設計数量に対し4%の割増を標準としていますが、プロジェクトの仕様によって異なる場合があるため確認が必要です。
最終的に、部位別・径別の集計表と、割増を含んだ総重量を記載した積算書を作成し、作業は完了となります。
鉄筋積算で最低限知っておきたい基本用語
鉄筋積算の図面や仕様書には、専門用語が多く登場します。これらの用語の意味を正しく理解していなければ、図面の指示を読み間違え、積算ミスにつながる可能性があります。
ここでは、初心者がまず押さえておくべき最低限の基本用語を3つピックアップして解説します。
これらの知識は、円滑な積算業務の遂行に不可欠です。
鉄筋径(D10・D13など)とは
「鉄筋径」とは、鉄筋の太さ(直径)を表すものです。図面では「D10」や「D13」といった記号で表記されます。
「D」は"Deformedbar"の頭文字で、表面に凹凸のある「異形鉄筋」を意味します。
続く数字は、鉄筋の「呼び名」であり、公称の直径をミリメートル単位で示しています。
つまり、D10は直径10mmの異形鉄筋を指します。
鉄筋径は構造物の強度を左右する非常に重要な要素であり、積算では径ごとに数量を正確に分類して集計することが求められます。
径が太くなるほど、1メートルあたりの重量も重くなります。
ピッチとは何か
「ピッチ」とは、鉄筋の配置される間隔を指す言葉です。図面では、アットマークを用いて「@200」や「@150」のように表記されます。
これは、鉄筋の中心から隣り合う鉄筋の中心までの距離が200mmや150mmであることを意味しています。
主に、床や壁に格子状に配置される鉄筋や、柱の帯筋(フープ)、梁のあばら筋(スターラップ)の間隔を示すのに使われます。
積算では、このピッチの数値を用いて、特定の範囲(例えば、梁の長さ1メートルあたり)に何本の鉄筋が必要になるかを計算するために使用します。
定尺・加工という考え方
「定尺(ていじゃく)」とは、鉄筋メーカーが製造・販売する際の標準的な長さのことで、一般的には5.5mから12.0mまで0.5m刻みで数種類あります。一方、「加工」とは、この定尺の鉄筋を、設計図に示された寸法に合わせて切断したり、L字型やコの字型に曲げたりする作業を指します。
実際の建設現場では、様々な長さや形状に加工された鉄筋が使われます。
積算においては、定尺材から無駄なく加工材を切り出す(材料の歩留まりを考える)という視点が必要です。
この切断時に発生する端材が「ロス」となり、積算数量に割増率を考慮する理由の一つです。
鉄筋積算は手作業とソフト、どちらが良い?
鉄筋積算の進め方には、主に図面を見ながら電卓と手で計算する「手作業(手拾い)」と、専用の「積算ソフト」を利用する方法の2つがあります。どちらの方法にもメリット・デメリットが存在し、一概にどちらが優れているとは言えません。
プロジェクトの規模や複雑さ、作業者の習熟度、さらには非破壊での鉄筋探査結果の反映など、状況に応じて最適な方法を選択することが求められます。
手作業(手拾い)の特徴
手作業による鉄筋積算は、専用ソフトなどの初期投資が不要で、紙の図面と電卓、筆記用具さえあれば始められる点が最大の特徴です。自分の手で一本一本鉄筋を拾い、計算していく過程で、図面を深く読み解く力が養われ、建物の構造や配筋のルールについての理解が自然と深まります。
これは技術者としての基礎体力をつける上で大きなメリットです。
しかしその反面、作業に非常に時間がかかり、特に大規模な物件では膨大な工数を要します。
また、計算ミスや拾い漏れ、集計ミスといったヒューマンエラーが発生するリスクが高いというデメリットもあります。
積算ソフトを使う場合の考え方
積算ソフトを利用する最大のメリットは、作業の圧倒的な効率化と正確性の向上です。ソフトによっては、CADデータから直接鉄筋の情報を読み込み、数量を自動で算出できるため、手作業に比べて作業時間を大幅に短縮できます。
また、計算はコンピュータが行うため、ヒューマンエラーによる計算ミスを根本的に防ぐことが可能です。
設計変更があった際の修正も容易に行えます。
一方で、ソフトの導入には初期費用や月額利用料といったコストが発生します。
また、ソフトの操作方法を習得する必要があり、計算ロジックを理解していないと、算出された数値が正しいかどうかの検証ができないという側面も持ち合わせています。
初心者がまずやるべき選択
鉄筋積算の初心者は、まず手作業で小規模な物件の積算を経験することをおすすめします。時間はかかりますが、自らの手で計算することで、積算の基本的な流れ、計算の根拠、図面の読み方といった基礎を体に覚え込ませることができます。
この基礎知識がないままソフトを使い始めると、出力された数値を鵜呑みにするだけで、その妥当性を判断できません。
基礎を固めた上で、Excelで自作の集計表を作成したり、スマートフォンで使える簡易的な計算アプリを利用したりして、徐々にツールの活用に移行するのが良いでしょう。
基礎力があれば、将来的に高機能な積算ソフトを導入した際にも、その能力を最大限に引き出すことができます。
積算後の業務をどうつなぐかが重要になる
ここまで鉄筋積算の流れや考え方を解説してきましたが、「理解はできたものの、実際の業務として毎回手作業で管理するのは大変そうだ」
と感じた方も多いのではないでしょうか。
鉄筋積算は、数量を出して終わりではなく、見積・原価・工事台帳・日報など、他の業務と密接につながっています。これらがバラバラに管理されていると、数字の転記ミスや確認作業に時間を取られ、せっかくの積算結果を十分に活かせません。
こうした積算後の管理まで含めて業務全体をスムーズにつなぐための仕組みが、株式会社プラスバイプラスの建設業向け業務管理システム「要 ~KANAME~」です。
積算で把握した数字を、その後の業務にどう活かすかまで考えたい方は、一度チェックしてみる価値があります。
まとめ|鉄筋積算は「流れ」を理解すれば見えてくる
鉄筋積算は、扱う鉄筋の種類が多く、図面の情報も複雑なため、初心者にとっては難解な作業に感じられるかもしれません。しかし、その目的と一連の作業フローを正しく理解することが、スキル習得への第一歩です。
「①積算対象の部位を整理する」「②鉄筋の種類・径を把握する」「③本数・長さを拾い出す」「④重量に換算する」「⑤集計して積算数量をまとめる」という5つのステップを意識することで、闇雲に作業するのではなく、体系的に業務を進めることが可能になります。
基本用語や図面の見方といった基礎をしっかりと学び、まずは手作業で一連の流れを経験することが、正確で効率的な積算能力を身につけるための確実な道筋です。
鉄筋積算のよくある質問
Q1. 鉄筋積算は「本数」だけ拾えば良いですか?
いいえ。最終的には重量(kg・t)での集計が必要になることが多いため、図面から本数と1本あたりの長さを拾い、径ごとの全長→重量換算まで行うのが基本です。Q2. 鉄筋径ごとの単位重量(kg/m)はどこで確認できますか?
一般的には、鉄筋の規格表や積算基準、社内の標準資料などに記載されています。実務では、径別の単位重量を一覧化しておくと、換算ミスや手戻りを減らせます。Q3. ロス率(割増率)は一律で決めていいのでしょうか?
一律ではなく、物件規模・配筋の複雑さ・加工条件・現場の運用で変動し得ます。公的基準を目安にしつつ、社内ルールや過去実績がある場合はそれに合わせるのが安全です。Q4. 図面の拾い漏れを防ぐコツはありますか?
コツは「部位別×径別」でチェックリスト化することです。例:基礎→柱→梁→スラブ→壁→階段の順に、各部位でD10/D13…を確認し、拾ったらチェック。これだけでも二重計上・拾い漏れの確率が下がります。





