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  • 2026年01月14日

建設業の労務費とは?積算で使う労務費の基本を初心者向けに解説

案件管理
建設業の労務費とは?積算で使う労務費の基本を初心者向けに解説

建設業において、工事の費用を算出する積算業務は非常に重要です。
その中でも「労務費」は、工事原価の大部分を占めるため、正確な見積を作成する上で欠かせない要素です。
労務費とは、工事に従事する作業員の労働に対する対価として支払われる費用の総称を指します。

本記事では、労務費の基本的な概念から人件費との違い、具体的な計算方法まで、積算の初心者にも分かりやすく解説します。

コンテンツ

そもそも建設業における労務費とは?人件費との明確な違い

建設業における労務費とは、工事現場で作業に従事する従業員に支払われる給与や手当など、工事原価に含まれる費用のことです。
これに対して人件費は、役員報酬や本社の事務員、営業担当者など、工事に直接関与しない従業員の給与も含む、より広範な費用を指します。

会計上、労務費は「製造原価」や「売上原価」に計上されるのに対し、工事に直接関わらない従業員の給与は「販売費及び一般管理費」として扱われます。
このように、費用が工事に直接関連しているかどうかが、労務費と人件費を区別する重要なポイントです。

建設工事の積算で重要な2種類の労務費

建設工事の労務費は、その性質によって「直接労務費」と「間接労務費」の2種類に大別されます。
直接労務費は工事の施工に直接携わる職人への費用であり、間接労務費は現場監督など工事を間接的に支える人材への費用です。

正確な工事原価を把握し、適切な見積を作成するためには、この2つの労務費の違いを理解し、それぞれを正しく積算することが不可欠となります。

工事に直接携わる職人の費用「直接労務費」

直接労務費とは、建設工事の現場において、建物の建設や設備の設置といった施工に直接従事する職人や作業員に対して支払われる費用のことです。
具体的には、大工、左官、塗装工、とび職人など、実際に手を動かして作業を行う人々の賃金、給与、各種手当が該当します。

この費用は、どの工事のためにどれだけ発生したかを直接的に把握できるため、工事原価の中でも中心的な要素となります。
直接労務費を正確に算出することは、工事一件ごとの採算性を管理し、適正な見積価格を設定する上で極めて重要です。

現場監督や事務員の費用「間接労務費」

間接労務費とは、特定の建設工事に直接的に従事するわけではないものの、工事全体を円滑に進めるために必要な人材に支払われる費用を指します。
例えば、複数の工事現場を管理する現場監督や、現場事務所で働く事務員、建設機械のメンテナンス担当者などの給与や手当がこれにあたります。

間接労務費は、複数の工事に共通して発生することが多いため、直接労務費のように特定の工事に直接割り当てるのが困難です。
そのため、一定の基準に基づいて各工事に配分する計算方法が用いられます。

労務費として計上できる費用の具体的な内訳

労務費とは、単に基本給だけを指すものではありません。
従業員の労働に関連して会社が負担する様々な費用が含まれます。
具体的には、毎月の給与や残業代である「賃金・雑給」のほか、夏や冬に支払われる「賞与」、将来のための「退職給付金」、そして会社が負担する社会保険料である「法定福利費」などが該当します。

これらの内訳を正しく理解し、漏れなく計上することが、正確な労務費の把握につながります。

従業員へ支払う基本給や残業代などの「賃金・雑給」

労務費の最も中心的な項目が、従業員に支払われる賃金・雑給です。
これには、毎月定められた基本給のほか、労働基準法に基づいて支払われる時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金が含まれます。

建設業では、天候や工期の影響で時間外労働が発生しやすいため、この割増分を正確に計算することが重要です。
また、職務手当、資格手当、危険手当、通勤手当など、労働の対価として支払われる各種手当も賃金・雑給の一部として労務費に計上されます。
これらをすべて合算したものが、基本的な給与部分の労務費となります。

夏と冬などに支払われる「賞与(ボーナス)」

賞与(ボーナス)も、従業員の労働対価の一部として労務費に含まれます。
一般的に夏と冬の年2回など、定例の給与とは別に支給される特別な賃金です。

会計処理上、賞与を実際に支払った月の費用として一度に計上すると、その月の原価が突出してしまいます。
そのため、工事原価を正確に期間按分するためには、年間の賞与支給見込額を算出し、それを12ヶ月で割るなどして毎月の費用として計上する方法が一般的です。
これにより、月ごとの原価の変動を平準化し、より正確な経営状況の把握が可能になります。

将来のために積み立てる「退職給付金」

従業員が退職する際に支払われる退職金や企業年金なども、退職給付金として労務費の一部を構成します。
これは、従業員が在籍期間中に提供した労働に対する後払いの賃金という性質を持つためです。

企業は、将来発生する退職金の支払いに備え、会計基準に基づき「退職給付引当金」を毎期計上する必要があります。
この引当金として計上される金額が、その期の労務費として原価計算に組み込まれます。
計画的に積み立てることで、将来の大きな支出に備えつつ、毎期の費用を適切に把握することができます。

会社が負担する社会保険料などの「法定福利費」

法定福利費は、法律によって事業主に負担が義務付けられている福利厚生費用のことで、労務費の重要な構成要素です。
具体的には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険といった社会保険料や労働保険料の会社負担分が該当します。

これらの保険料は、従業員の賃金総額に一定の保険料率を乗じて算出されます。
賃金支払いに付随して必ず発生するコストであり、従業員を雇用する上で不可欠な費用です。
この法定福利費も正確に計算し、労務費として工事原価に含める必要があります。

【実践】建設業の積算における労務費の計算方法

建設業の見積作成において、労務費の積算は利益を左右する重要なプロセスです。
労務費は、工事に直接関わる「直接労務費」と、間接的に関わる「間接労務費」に分けられ、それぞれで計算方法が異なります。
直接労務費は作業内容ごとに算出する一方、間接労務費は工事原価全体から算出するのが一般的です。

ここでは、それぞれの具体的な計算方法を解説します。

「労務単価 × 歩掛 × 施工数量」で求める直接労務費の積算

直接労務費は、主に「労務単価×歩掛×施工数量」という計算式で算出されます。
各要素は次の通りです。

「労務単価」は、職人一人が一日に作業した場合の賃金額を指します。
「歩掛」とは、ある単位の作業を完了させるために必要な作業員数や作業時間を数値化したもので、国土交通省が定める標準歩掛などが参考にされます。
そして「施工数量」は、壁の面積や配管の長さなど、工事の規模を示す具体的な量です。
これら三つの要素を掛け合わせることで、その作業に必要な直接労務費の総額を積算することができます。

工事原価に一定の比率を乗じて算出する間接労務費の積算

間接労務費は、特定の工事に直接割り当てることが難しいため、配賦という形で計算されます。
一般的な方法の一つは、工事原価に一定の比率を乗じて算出する方法です。

まず、過去の実績データなどから、直接工事費(直接労務費、材料費、直接経費の合計)に対する間接労務費の割合(間接労務費率)を算出しておきます。
そして、積算対象の工事で算出した直接工事費に、この間接労務費率を掛け合わせることで、間接労務費を求めます。
この比率は企業ごとに異なり、実態に合わせて設定することで、より精度の高い原価計算が可能になります。

公共工事の積算に必須の「公共工事設計労務単価」とは

公共工事の積算においては、「公共工事設計労務単価」という特別な基準が用いられます。
これは、国や地方公共団体が発注する工事の予定価格を算出するために、国土交通省などが毎年設定する労務単価です。

市場の実勢価格を反映したこの単価は、職種ごと・都道府県ごとに定められており、公共工事の品質確保と労働者の適正な賃金水準を保証する上で重要な役割を果たしています。

公共工事設計労務単価の概要と決定方法

公共工事設計労務単価とは、国や地方自治体などが発注する公共工事の予定価格を積算する際に使用される、労働者一人当たりの一日分の賃金の基準額です。
この単価は、適正な労働環境の確保や工事の品質維持を目的としています。

決定方法としては、国土交通省や農林水産省が毎年、全国の公共事業に従事する建設労働者を対象とした大規模な賃金実態調査(公共事業労務費調査)を実施します。
その調査結果に基づき、全国51の職種ごと、および都道府県や主要都市圏ごとに単価が設定され、毎年改定されています。

労務単価に含まれる費用と含まれない費用の違い

公共工事設計労務単価には、労働者に支払われる日額の費用が含まれていますが、その内訳を理解することが重要です。
この単価には、基本給、賞与や各種手当などの所定内労働時間に対する賃金相当額に加え、事業主が負担する法定福利費、労働者の有給休暇取得に要する費用が含まれています。

一方で、時間外や休日、深夜労働における割増賃金、通勤交通費(会社から現場まで)、作業に必要な安全管理費や福利厚生に関する費用は含まれていません。
これらの含まれない費用は、労務費とは別に直接経費や共通仮設費として別途計上する必要があります。

建設業で労務費の管理が重要視される3つの理由

建設業において労務費の管理は、単なるコスト計算以上の重要な意味を持ちます。
工事原価の大きな割合を占める労務費を正確に把握・管理することは、企業の利益確保に直結するだけでなく、経営全体の健全性や従業員の労働環境にも大きな影響を与えます。

ここでは、労務費管理が重要視される3つの具体的な理由について解説します。

利益を確保するための正確な見積作成につながる

労務費の正確な管理は、適正な利益を確保するための見積作成に不可欠です。
建設工事の見積金額において、労務費は材料費と並んで大きな割合を占めます。
もし労務費の予測が甘く、実際にかかった費用が見積額を上回ってしまえば、その工事は赤字となってしまいます。

逆に、労務費を過大に見積もれば、価格競争力が低下し、受注の機会を失うことになりかねません。
過去の工事データを基に労務費を正確に把握し、それを次の見積に反映させることで、適切な利益を確保しつつ、競争力のある価格提示が可能となります。

会社の経営状況を健全に保つため

労務費を適切に管理することは、工事ごとの原価を正確に把握し、会社全体の経営状況を健全に保つ上で極めて重要です。
各工事で発生している労務費をリアルタイムで把握できれば、プロジェクトの採算性を常に監視し、万が一不採算になりそうな場合でも早期に対策を講じることが可能です。

また、正確な原価データは、将来の事業計画や資金繰り計画を立てる際の信頼性の高い基礎情報となります。
このように、日々の労務費管理が、経営判断の精度を高め、企業の財務基盤を安定させることにつながります。

従業員の労働環境を改善できる

適切な労務費管理は、従業員の労働環境を改善する上でも重要な役割を果たします。
従業員一人ひとりの労働時間を正確に把握することで、長時間労働の是正やサービス残業の防止につながり、コンプライアンスを遵守した健全な企業体制を築くことができます。

また、工事の利益を正確に把握し、それを原資として適正な賃金や手当を従業員に支払うことは、モチベーションの向上や離職率の低下に貢献します。
人手不足が課題となる建設業界において、働きやすい環境を整備することは、人材の確保・定着という観点からも不可欠です。

煩雑な労務費管理を効率化する具体的な方法

労務費の管理は重要ですが、日々の勤怠記録の集計や給与計算、工事ごとの費用振り分けなど、その業務は非常に煩雑で時間を要します。
特に、複数の現場が同時に動く建設業では、手作業での管理には限界があります。

この手間のかかる労務費管理を効率化するためには、ツールの活用が有効です。
ここでは、手軽に始められる方法から本格的なシステム導入まで、具体的な効率化の方法を2つ紹介します。

表計算ソフト(Excelなど)を活用して管理する

多くの企業で導入されているExcelなどの表計算ソフトは、労務費管理を始める上で手軽なツールです。
従業員名や工事名、出勤日、労働時間などを入力するシートを作成し、日々の勤怠データを記録していくことで労務費の集計が可能です。
関数やピボットテーブル機能を使えば、従業員別や工事別の費用を自動で集計することもできます。

導入コストがほとんどかからない点が大きなメリットですが、手入力によるミスが発生しやすい、複数人での同時編集が難しい、データの属人化が進みやすいといったデメリットも存在します。

建設業に特化した専用システムを導入する

より正確かつ効率的に労務費を管理するためには、建設業に特化した勤怠管理システムや原価管理システムを導入するのが効果的です。

これらのシステムでは、スマートフォンやタブレットから簡単に出退勤の打刻ができ、データは自動で集計されます。
GPS機能で現場の位置情報を記録したり、どの工事の作業かを紐づけて打刻したりすることも可能です。
これにより、勤怠データの収集や集計にかかる手間が大幅に削減され、入力ミスも防げます。
リアルタイムで労務費の発生状況を把握できるため、迅速な経営判断にも役立ちます。

労務費は工事原価の大部分を占める一方で、現場が増えるほど「工事ごとの労務費が見えない」「集計に時間がかかる」「原価が締まってから赤字に気づく」といった悩みが起きがちです。
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まとめ

本記事では、建設業の積算における労務費の基本について解説しました。
労務費は工事原価の主要な要素であり、「直接労務費」と「間接労務費」に大別されます。
その内訳は基本給だけでなく、賞与や法定福利費なども含まれます。
正確な労務費の積算は、適正な見積作成と利益確保に直結します。

公共工事では「公共工事設計労務単価」が基準となります。
労務費の管理は、健全な経営維持や従業員の労働環境改善にもつながる重要な業務です。
Excelや建設業特化型のシステムなどを活用し、自社の規模や状況に合わせた効率的な管理体制を構築することが求められます。

 

建設業の労務費についてよくある質問

Q1. 労務費と人件費はどう違うのですか?

A. 労務費は、工事現場で実際に施工に関わる作業員や職人にかかる費用を指し、工事原価の一部として扱われます。一方、人件費は本社の事務員や営業担当者、役員報酬など、工事に直接関わらない人の給与も含めた、より広い意味の費用です。
「工事に直接関係しているかどうか」が、労務費と人件費を分ける大きなポイントになります。

Q2. 直接労務費と間接労務費はどう分けて考えるべきですか?

A. 直接労務費は、大工や左官、とび職人など、実際に工事を行う職人・作業員にかかる費用です。どの工事にいくらかかったかを比較的把握しやすいのが特徴です。
一方、間接労務費は現場監督や現場事務員など、工事全体を支える人材の費用で、複数の工事にまたがって発生します。そのため、一定の基準を設けて各工事に配分して管理するのが一般的です。

Q3. 労務費には賞与や法定福利費(社会保険料の会社負担分)も含まれますか?

A. はい、一般的には含まれます。労務費は基本給や残業代などの賃金だけでなく、賞与(ボーナス)、退職給付金、社会保険料などの法定福利費といった、従業員を雇用することで発生する費用も含めて考えます。
これらを漏れなく計上することで、工事原価をより正確に把握することができます。

Q4. 公共工事設計労務単価は、民間工事の積算にも使えますか?

A. 公共工事設計労務単価は、公共工事の予定価格を算出するための基準です。民間工事でも相場感を把握する参考として使われることはありますが、そのまま適用できるとは限りません。
民間工事では、地域性や工事条件、協力会社との契約内容などによって実際の労務費が変わるため、自社の過去実績とあわせて判断することが重要です。

Q5. 労務費を工事ごとに管理するには、まず何から始めればよいですか?

A. まずは「誰が・どの工事で・どれくらい働いたか」を正確に記録することから始めましょう。日報や勤怠データを工事ごとに整理するだけでも、労務費の見え方は大きく変わります。
Excelで管理する方法もありますが、現場数が増えると集計や管理が煩雑になりがちです。工事台帳と連動して管理できる仕組みを整えることで、労務費の把握と原価管理がよりスムーズになります。

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