- 2026年02月27日
工事見積り内訳の作り方とは?精度を高める実務手順を解説
建設業に関する知識

建設業を担う企業にとって、利益を確実に確保するための生命線となるのが正確な見積り作成です。適切に利益を生み出す「工事見積内訳の作り方」をマスターすることは、会社の存続と成長に直結する極めて重要な課題と言えます。
この記事では、見積書の透明性と信頼性を高め、無駄な価格交渉を減らしつつ適正な利益を確保するために、精度の高い見積り内訳を作成する実務手順を解説します。
コンテンツ
工事見積り内訳の基本構造
精度の高い見積り作成の第一歩は、工事にかかる費用がどのような要素で構成されているか、その基本構造を正しく理解することから始まります。ここでは、内訳の核となる5つの基本項目について解説します。
材料費
材料費とは、建物を建設したり設備を導入したりする際に行う個別の工事において、直接必要となる資材や部材の購入費用のことです。例えば、コンクリート、鉄筋、配管、ケーブル、タイルなどがあげられます。また、単にメインとなる資材だけでなく、それを取り付けるための接着剤やビス、金物などの副資材、さらには材料を工事現場まで届けるための運搬費も材料費に含まれます。
材料費は、海外からの輸入状況や為替の変動などによって価格が常に上下するため、最新の市場価格を刊行物などで定期的に確認し、適正な単価を見積書に反映させることが重要です。
労務費
労務費とは、工事現場で実際に手を動かす作業員や職人に対して支払う給料や賃金、各種手当などの人件費を指し、職人の日当や人工として計算されることが一般的です。この労務費には、基本給だけでなく賞与や法定福利費(社会保険料などの個人負担分)も含まれます。
近年は建設業界全体で人手不足が深刻化しており、需要と供給のバランスから労務費は上昇傾向にあるのが現実です。公共工事においては国土交通省が毎年「公共工事設計労務単価」を発表しており、民間工事の見積り作成においても、こうした公的な相場を参考にしながら適正な金額を計上することが求められます。
外注費
外注費とは、自社で施工を完結できない特定の専門工種や特殊な作業を、下請けの協力業者に委託する際に発生する費用のことです。建設工事は多岐にわたる専門技術の集合体であるため、すべての工程を自社の職人だけでまかなうことは難しく、左官、塗装、防水、特殊な設備工事などを外部の専門業者に依頼するケースが多々あります。
外注費を内訳に組み込む際は、協力業者から提出された見積書の内容を精査し、その金額が適正な市場価格に沿っているか、そして自社の管理費や利益を適切に上乗せできているかを確認する必要があります。
共通仮設費
共通仮設費とは、工事全体を進めるために必要不可欠ですが、工事完了後には形として残らない一時的な設備や施設にかかる費用のことです。具体的には、現場事務所や作業員の詰所、仮設トイレ、現場の周囲を囲うフェンス、仮設の電気代や水道代などが該当します。これらは建物の特定の部位を作るための直接的な費用(直接工事費)ではありませんが、現場を安全かつ円滑に運営するためには絶対に欠かせないコストです。
建設地の環境や建物の規模、工期の長さによって大きく変動するため、現場ごとの条件を正確に把握して見積りを作成する必要があります。
一般管理費
一般管理費とは、工事現場での直接的な作業に関わる費用ではなく、建設会社という企業全体を維持・運営していくためにかかる間接的な経費のことです。本社や営業所で働く事務員や営業担当者、役員の人件費をはじめ、本社の家賃、オフィスの水道光熱費、通信費、広告宣伝費、さらには税理士や弁護士への報酬などがこれに含まれます。
企業として工事を受注し、事業を継続していくためには、個別の現場の利益の中からこの一般管理費を回収しなければなりません。見積書においては、工事原価に対して一定の割合を乗じて算出・計上するのが一般的な手法です。
数量拾いの実践手順
見積り作成において、材料費や労務費の「単価」と並んで重要になるのが、どれだけの量が必要かを示す「数量」です。この数量を設計図面などから正確に算出する作業を「数量拾い」と呼びます。ここでは、正確な数量拾いを実践するための5つの手順を解説します。
図面の精査
数量拾いの最初のステップは、設計図面や仕様書を隅々まで読み込み、建物の形状や工事の全体像を正確に把握する「図面精査」です。建物の規模が大きくなると、壁の面積や配管の長さなどの数量は万単位に膨れ上がり、わずかな計測ミスが最終的な見積り金額に甚大な影響(数百万〜数千万円の誤差)を及ぼすことがあります。また、高層建築や特殊な平面計画など、建物の形状が複雑な場合は施工の手間が増え、必要な材料や足場などの仮設費用も割高になる傾向があります。
図面の縮尺間違いによる計測ミスや、図面間の不整合がないかを慎重に確認することが求められます。
単位の確認
図面から拾い出した数値を、見積書に記載するための適切な単位に変換・統一する作業が「単位確認」です。工事の工種によって、使用する単位は「m(メートル)」「㎡(平米)」「㎥(立米)」「箇所」「個」「kg」「t(トン)」「人工」など多岐にわたります。
例えば、塗装工事やクロス張り工事であれば面積(㎡)で算出しますが、巾木や配管であれば長さ(m)、コンクリートであれば体積(㎥)で計算します。
図面上の寸法から見積り用の単位に変換する際の小数点の桁間違いは致命的なミスにつながるため、エクセル等の計算ソフトや見積り作成ソフトを使用する際も、単位の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
ロス率の設定
材料を現場で加工・施工する際には、必ず端材が出たり、切りくずとして捨てられたりする部分が発生します。図面上の正確な数量だけで材料を発注してしまうと、現場で材料が不足し、追加発注による工期の遅れや余計な運搬費の発生を招きます。これを防ぐために、あらかじめ一定の無駄を見込んで数量を増やすのが「ロス率設定」です。
ロス率は、材料の種類や施工の難易度、建物の形状によって異なります。例えばケーブルや配管の切り落とし、壁紙の柄合わせによるロスなどを考慮し、実施工に即した所要数量を算出することが、精度の高い見積り作成には不可欠です。
重複の防止
複雑な図面から数量を拾い出す際、特に注意すべきなのが同じ部位を二重に計上してしまう「重複(ダブルカウント)」の防止です。例えば、L字型に交差する壁の面積を計算する際、コーナー部分の厚みを両方の壁の長さから計算してしまうと、その分の材料や施工手間が過剰に計上されてしまいます。また、複数の担当者で手分けして数量拾いを行う場合、工種の境界部分で重複が発生しやすくなります。
マーカーで拾い終わった箇所を塗りつぶす、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを活用するなど、視覚的に重複を防ぐ工夫が必要です。
拾い漏れの対策
重複とは逆に、見積り金額を根底から揺るがし、深刻な赤字工事を引き起こす最大の要因が「拾い漏れ」です。図面に明記されていないものの、施工上どうしても必要になる副資材や、見えない部分の下地処理費用、運搬搬入費などが漏れやすい項目の代表例です。また、図面の変更や修正があった際に、古い図面のままで拾い作業を行ってしまうことも拾い漏れの原因となります。
これを防ぐためには、自社独自の「工種別チェックリスト」を作成し、作業工程の順序に従って頭の中で施工シミュレーションを行いながら拾い作業を進めることが非常に効果的です。
単価設定の根拠づくり
見積書の金額は「数量 × 単価」で決まります。数量が正確でも、設定した単価が不適切であれば適正な利益は確保できません。単価をどんぶり勘定や「なんとなくこのくらい」といった感覚で決めるのではなく、客観的なデータに基づいた明確な根拠を持たせることが、発注者との信頼関係構築や価格交渉において極めて重要です。
ここでは、説得力のある単価設定の根拠づくりについて解説します。
市場単価の調査
単価設定の基本となるのが、現在の市場で材料や労務費がいくらで取引されているかを把握する「市場単価調査」です。材料費や労務費の実勢価格は、マクロ経済の動向、海外情勢、さらには人手不足の状況などによって常に変動しています。
例えば、新興国のインフラ開発需要が高まれば鉄骨の価格が上昇しますし、国内で大規模な再開発が重なれば労務費が高騰します。建設物価調査会などが発行する刊行物や公表値などの最新データを定期的に確認し、現時点での工事費のトレンドを正確に見積書に反映させることが必要です。
過去実績の活用
市場単価の調査と併せて強力な根拠となるのが、自社が過去に施工した類似案件の「過去実績活用」です。公的な刊行物の単価はあくまで標準的な指標であり、自社の実際の仕入れ力や、自社の職人の施工スピード(歩掛)とはズレが生じる場合があります。
過去の実行予算と実際の発生原価を比較したデータを持っていれば、「この工種であれば、自社の職人ならこれくらいの時間で施工できる」「この材料はあの問屋からこの価格で仕入れられる」という、より現実的で競争力のある単価を設定することが可能になります。
原価率の算出
原価率とは、売上高に対する原価の割合を示す指標です。見積り作成の段階で、自社の経営目標から逆算して「この工事では原価率を何%以内に抑えるべきか」という目標原価率を算出しておくことが重要です。個別の材料単価や労務単価を積み上げていった結果、全体の原価率が目標を大幅に超えてしまう場合は、使用する材料の仕様変更を検討したり、施工方法を見直して人工を削減したりするなどの工夫が必要になります。原価率を常に意識することで、利益の出ない赤字工事の受注を未然に防ぐことができます。
変動要素の考慮
工事は契約から着工、そして竣工までに数ヶ月から数年単位の長い時間がかかることが多く、その間にさまざまな条件が変動するリスクを孕んでいます。単価を設定する際には、こうした「変動要素考慮」が不可欠です。例えば、資材価格の高騰が見込まれる時期には、見積書に有効期限を設けたり、契約時に価格変動に関する特約を結んだりする対策が必要です。
また、工事現場の周辺道路が狭く大型車両が入れない場合は、小型車両での小運搬による手間が増え、作業効率の低下から労務費や運搬費が割高になります。時間外の夜間工事が指定されている場合なども、単価の割増しを的確に計上しなければなりません。
利益率の設定
見積り作成の最終段階において、算出した総原価に対して自社の利益をどれだけ上乗せするかを決めるのが「利益率設定」です。利益は会社を存続させ、従業員に還元し、次の設備投資を行うための源泉です。発注者からの厳しい価格交渉に直面した場合でも、内訳書によって「何にいくらかかっているか」の根拠が明確であれば、安易に利益を削るのではなく、「この仕様をダウングレードすれば安くできる」といった建設的な提案が可能になります。
自社の事業計画に基づいた適正な利益率を堂々と設定し、根拠を持ってそれを守り抜く姿勢が求められます。
内訳作成時のチェックポイント
各項目の数量を拾い出し、単価を設定して見積書の大枠が完成したとしても、そのまま提出してはいけません。エクセル等の手作業による見積り作成では、人的な入力ミスや計算間違いがどうしても発生しやすいためです。提出前に必ず複数人の目で確認する承認プロセスを設け、見積書の妥当性を多角的に検証することが不可欠です。
ここでは、内訳作成時の主要な5つのチェックポイントを解説します。
計算式の確認
最も基本的な、そして最も恐ろしいミスがエクセルなどの表計算ソフトにおける「計算式確認」の漏れです。行や列を挿入・削除した際に「SUM関数」の範囲指定がずれてしまい、特定の工種の金額が合計金額に反映されていないというトラブルは建設業界で後を絶ちません。また、「単価 × 数量」の掛け算のセル指定ミスや、消費税計算時の端数処理の違いによる数円の誤差も見逃せません。提出前には必ず、縦の合計と横の計算が合っているか、電卓や別のシステムを用いてダブルチェックを行うルールを徹底すべきです。
原価合計の確認
各工種(躯体工事、仕上工事、設備工事など)の金額を積み上げた「原価合計確認」も重要です。算出した総原価が、当初想定していた概算予算や類似の過去実績と比べて大きく乖離していないかを検証します。もし想定よりも原価が異常に高い、あるいは低い場合は、単価の設定ミス、数量の桁違い、あるいは特定の工種の計上漏れが発生している可能性が高いと判断できます。プロジェクトの規模に対する坪単価などのマクロな視点から、算出したミクロな積み上げ原価の妥当性を測るという双方向のチェックが有効です。
利益率の妥当性
原価合計に自社の利益を上乗せした最終的な見積り金額において、設定した「利益率妥当性」を再確認します。全体の利益率が社内の規定(例えば粗利率〇〇%以上など)を満たしているかを確認するとともに、工種別に見ても極端に赤字になっている項目がないかをチェックします。相見積もりなどで他社と競合している場合、受注を優先するあまり不当に利益を削っていないか、経営的な視点から冷静に判断する必要があります。値引きを要求された際にどこまでなら譲歩できるかという限界ラインを、この段階で事前に把握しておくことが交渉において有利に働きます。
外注費の妥当性
下請け業者から上がってきた見積書をそのまま右から左へ流すのではなく、「外注費妥当性」を自社で厳しく審査しなければなりません。外注業者の見積書が「工事一式」で提出されている場合は詳細な内訳の提出を求め、そこに含まれる材料費や労務費の単価が市場の実勢価格から逸脱していないかを検証します。
また、自社の見積り条件が外注業者の見積りに正しく反映されているか、仮設費などの項目で自社の手配分と外注業者の手配分が重複して計上されていないかを入念に確認します。
工種の整合性
見積書に記載されている工種が、実際の建物の仕様や発注者の要望と完全に一致しているかを確認する「工種整合性」のチェックも欠かせません。例えば、建築工事(躯体・仕上)と設備工事(電気・空調・給排水)の取り合い部分において、壁に配管を通すためのスリーブ工事やその後の穴埋め補修工事を、建築側と設備側のどちらの費用として計上するかが明確になっていないと、後々のトラブルや拾い漏れの原因となります。
見積書の条件書や特記仕様書と照らし合わせ、施工範囲の境界線(別途工事扱いにするのか自社施工にするのか)が明確に定義されているかを検証します。
精度向上のための改善策
個人のスキルや経験則だけに依存した見積り作成では、担当者によって精度にバラつきが生じ、組織としての成長に限界が訪れます。会社全体で見積りの精度を継続的に向上させ、安定した利益を生み出す体質を作るためには、業務プロセスの標準化と組織的な改善策の実行が不可欠です。ここでは、属人化を脱却し、企業としての見積り力を高めるための5つの改善策を解説します。
テンプレートの統一
第一の改善策は、社内で使用する見積書や内訳書のフォーマットを標準化する「テンプレート統一」です。国土交通省が公開している「公共建築工事見積標準書式」などを参考に、大項目(直接工事費、共通仮設費など)から中項目(工種別)、小項目(材料費、労務費など)への階層構造をあらかじめ定義した共通テンプレートを作成します。
フォーマットが統一されることで、担当者ごとの項目の抜け漏れを防ぐことができるだけでなく、社内でのチェックや引き継ぎが劇的にスムーズになり、再見積りの際の手間も大幅に削減されます。
標準原価の整備
会社として基準となる単価や歩掛をデータベース化した「標準原価整備」を行うことも重要です。各材料の基本となる仕入単価や、特定の作業を行うために必要な標準的な作業時間を社内規定として定めておきます。これにより、経験の浅い若手社員であっても、標準原価を参照することで一定水準以上の適正な見積り作成が可能になります。もちろん、現場の特殊事情や最新の市場価格の変動に応じて調整を加える必要はありますが、ベースとなる確固たる基準を持つことが、見積り業務の効率化と精度向上に直結します。
承認フロー
見積書を発注者に提出する前に、必ず上位者や専門部署による多重チェックを行う「承認フロー」を社内に構築します。作成者本人ではどうしても思い込みによるミス(単位の間違いや計算式のズレなど)に気づきにくいため、第三者の客観的な視点によるレビューが不可欠です。金額の規模に応じて「〇〇万円以下は課長承認、〇〇万円以上は社長承認」といった明確な決裁権限ルールを設けることで、組織としてのガバナンスを効かせ、不用意な安値受注や赤字工事のリスクを組織全体で防ぐ体制を整備します。
データの蓄積
過去の見積書や内訳のデータを、単なる紙のファイルや個人のパソコンの中ではなく、社内の共有サーバーやクラウド上に保存・管理する「データ蓄積」の仕組み化が必要です。過去の類似物件の見積りデータをいつでも瞬時に検索・参照できる状態にしておけば、ゼロから数量拾いや単価調査を行う手間が省け、見積り作成のスピードと精度が飛躍的に向上します。
また、過去のミスや拾い漏れの事例も「教訓データ」として組織内で共有することで、同じ失敗を繰り返さない強い組織づくりにつながります。
差異の分析
見積りの精度を極限まで高めるための最も重要なプロセスが、工事完了後に実施する「差異分析(予実管理)」です。着工前に作成した実行予算と、工事完了後に実際に発生した確定原価とを突き合わせ、どこでどれだけのズレが生じたのかを詳細に分析します。
「想定以上に材料のロスが多かった」「天候不良で労務費が超過した」といった差異の根本原因を特定し、その反省を次の見積り作成における単価や歩掛の調整にフィードバックすることで、見積りの精度は向上していきます。
システム活用による内訳管理高度化
ここまでに解説した「計算ミスの防止」や「データの蓄積」「差異分析」といった高度な管理を、エクセルなどの手作業だけで完璧にこなすには限界があります。膨大な時間と労力がかかり、本来現場の管理や営業活動に割くべき貴重なリソースが奪われてしまいます。そこで現代の建設業に不可欠なのが、ITツールや専用システムを活用した内訳管理の高度化です。システムを導入することで、見積り業務はどのように進化するのかを解説します。
見積りデータ保存
専用の見積りソフトや原価管理システムを導入することで、過去から現在に至るすべての「見積りデータ保存」がクラウド上で一元化され、安全かつ体系的に管理されます。これにより、「あの時の見積書はどこにいった?」と過去のファイルを探し回る無駄な時間がゼロになります。また、材料の単価や歩掛のマスターデータがシステム内に登録されているため、項目を選んで数量を入力するだけで正確な金額が自動計算され、属人化を排除したスピーディーな見積り作成が実現します。CADソフトである「plusCAD」などの作図データと連動できるシステムであれば、図面からの数量拾い作業すらも自動化・半自動化させることが可能です。
実績との比較
システム活用の大きなメリットは、見積りデータと実際の経費データをシームレスに連携させ、「実績との比較」を容易に行える点にあります。日々現場で発生する材料の仕入れ伝票や、作業員の日報に基づく労務費データをシステムに入力するだけで、当初作成した見積り原価に対して現在どれだけのコストが発生しているかをリアルタイムで比較・確認することができます。これにより、工事が終わってから「実は赤字だった」と気づく手遅れの状態を防ぐことができます。
原価の視える化
システムを通じてリアルタイムのコスト発生状況を把握することは、すなわち「原価の視える化」を実現することに他なりません。経営者や現場監督が直感的なダッシュボードを通じて「どの現場の、どの工種で、原価が超過しそうか」というアラートを視覚的に素早く察知できるようになります。原価の視える化が組織内に定着すれば、現場担当者も日々のコスト意識が高まり、「無駄な端材を出さない」「適切な人員配置を行う」といった自発的な原価低減活動が自然と促されるようになります。
工事別の損益管理
原価の視える化が進むことで、企業全体のどんぶり勘定から脱却し、一つの現場ごとの利益を厳密にトラッキングする「工事別損益管理」が可能になります。どの顧客の案件が利益率が高いのか、どのパターンの工事で赤字が出やすいのかといった傾向がデータとして蓄積されます。こうした詳細な損益データを経営戦略に活かすことで、「利益の出やすい得意な工事に営業リソースを集中する」あるいは「赤字になりやすい工事の受注単価を見直す」といった、データドリブンな力強い経営判断を下すことができるようになります。
「要 〜KANAME〜」の活用
精度の高い見積り作成から、実行予算の管理、日々の原価の視える化、そして確実な利益の確保まで、工事業の複雑なプロセスをワンストップで劇的に改善できる強力なツールが、建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」です。「要 〜KANAME〜」を活用すれば、見積書の作成時に発生しがちな計算ミスを防ぐだけでなく、受注後の現場の進捗と原価の消化状況をリアルタイムで「視える化」することができます。
エクセルでの管理に限界を感じている方、赤字工事を根絶し適正な利益を残したい経営者の方は、「要 〜KANAME〜」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
工事見積り内訳の作り方についてよくある質問
Q1. 「工事一式」でまとめた見積書を出すのはなぜNGなのでしょうか?
内訳を明示せず「工事一式〇〇円」という見積書を出してしまうと、発注者側は「なぜその金額になるのか」「何にどれだけの費用がかかっているのか」が判断できず、不信感や疑念を抱く原因となります。その結果、単なる総額に対する「もっと安くならないか」という漠然とした値引き要求を受けやすくなります。
逆に、材料費、労務費、共通仮設費など、工種ごとに細かく内訳を記載しておくことで、「この材料が高騰している」「安全対策のためにこの仮設費が必要」といった明確な根拠を示すことができ、理不尽な値下げ要求を防ぎ、適正な価格での契約に結びつけることができます。
Q2. 材料費や労務費の価格変動には、どのように対応して見積り作成を行えばよいですか?
建設資材や人件費は、国内外の経済状況や人手不足の影響で常に変動しています。見積り作成時には、建設物価などの最新の刊行物や公表値を確認し、現時点での実勢価格を正確に把握して反映させることが基本です。さらに重要な対策として、見積書に「見積りの有効期限」を明確に記載することをおすすめします。
もし工事の着工が数ヶ月先になる場合は、契約時に「材料価格が著しく変動した場合は協議の上で金額を見直す」というスライド条項を取り決めておくなど、自社が一方的に価格上昇のリスクを被らないための防衛策を講じることが重要です。
Q3. 数量の拾い漏れや計算ミスといった人的エラーをなくすには、どうすればいいですか?
エクセルなどを使用した手作業での見積り作成では、どうしても数式のズレや転記ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすくなります。これを防ぐためには、まず社内での「承認フロー」を設け、提出前に必ず第三者の目でダブルチェックを行う体制を作ることが不可欠です。
そして根本的な解決策としては、専用の見積りソフトや「要 〜KANAME〜」のような原価管理システムを導入することです。
システムを活用すれば、複雑な掛け算や歩掛の計算が自動化され、ミスが物理的に起こりにくい環境を構築できます。






