- 2026年02月05日
建設業で原価がズレる原因とは? 見積りと実績が合わない本当の理由
建設業に関する知識

「一生懸命現場を回しているのに、なぜか手元に現金が残らない…」
「決算期になって初めて想定外の赤字工事が発覚した…」
もし、こんな悩みを抱えているのなら、それは原価管理で生じている「ズレ」が原因かもしれません。建設業において、見積りと実際の工事原価の実績が乖離することは、経営の根幹を揺るがす大きな問題です。
この記事では、建設業で原価のズレが発生する要因と、その解決策を解説します。
コンテンツ
建設業で原価ズレが起きやすい理由
はじめに、建設業で原価ズレが起きる理由を5点ご紹介します。工事ごとに条件が異なる
工場で規格品を大量生産する製造業とは異なり、建設業は「単品受注生産」が基本です。同じような建物の工事であっても、現場の立地条件、気候、発注者の細かな要望、周辺環境など、全く同じ現場は存在しません。例えば、資材の搬入経路が狭ければ小運搬の手間が増え、労務費が嵩みます。地盤が想定よりも緩ければ、補強工事が必要になります。このように、現場ごとに条件が異なるため、過去のデータをそのまま流用することが難しく、標準原価を設定しにくいのです。
現場判断に依存しやすい
建設現場は図面通りに進まないことが日常茶飯事で、その場での臨機応変な対応が求められます。現場監督や職長が、工期を守るために材料を追加発注したり、応援の人員を呼んだりすることがあるでしょう。そうした情報が即座に経理や経営層に伝わらなければ、現場判断で行われたコスト投下は、請求書が届くまで視える化されません。
現場代理人に権限が集中しすぎている体制では、経営者が知らないところで原価が膨らみ、後から修正不可能なズレとして顕在化するのです。
原価管理が後回しになりやすい
建設業の現場は常に多忙で、安全管理、工程管理、品質管理と、現場監督がやるべきことは山積みです。そのなかで、どうしても優先順位が下がってしまうのが「原価管理」です。「まずは工事を終わらせることが最優先」という意識が強いため、日報の作成や伝票の整理、原価の集計作業は「手が空いたときにやろう」と後回しにされがちです。しかし、後からまとめて処理しようとすると、細かな出費の記憶が曖昧になり、正確な原価がつかめなくなってしまいます。
結果として、見積り作成時に想定した利益と、完了後の利益に大きな開きが生じてしまうのです。
情報が分散している
多くの建設会社では、原価に関する情報が社内の次のような場所に散らばっています。- 見積書データ:営業担当のパソコンの中
- 実行予算書:工事部のファイルサーバー
- 発注書や請求書:経理のキャビネット
- 日報は現場:手書きメモ
また、現場から届く情報はバラバラのExcelや手書きのメモなど、統一されていません。経理担当者がそれらを集約し、会計システムへ手入力する頃には、すでに工事は進行し、対策を打つには手遅れとなってしまうのです。
全体を俯瞰する仕組みがない
最後は、前述したような状況を統合的に管理し、全体を俯瞰する「仕組み(システム)」の欠如です。中小規模の建設会社では、いまだにExcelや紙ベースでの管理が主流。Excelは手軽ですが、ファイルが増えれば管理が煩雑になり、計算式が壊れたり、最新版がどれかわからなくなったりするリスクがあります。
また、部門間でのデータ連携ができないため、営業部、工事部、経理部がそれぞれの数字を持っており、会社としての「正解」が見えなくなります。
「要 〜KANAME〜」のような一元管理システムがない環境では、経営者が全社の原価状況を俯瞰し、ズレを早期に発見することは極めて困難と言わざるを得ません。
原価ズレが発生しやすいタイミング
原価のズレは、工事のあらゆるフェーズで発生する可能性があります。ここでは、工事の流れに沿って、ズレが発生しやすい5つの局面を解説します。見積り作成時
全ての始まりである見積り作成の段階で、すでにズレの“種”が撒かれていることが少なくありません。競争入札や相見積りにおいて、受注したいがために利益を削ったギリギリの金額を提示したり、「これくらいでできるだろう」という根拠のない楽観的な予測で単価を設定したりすることが原因です。また、数量の拾い出しミスや、項目の計上漏れもこの段階で発生します。入り口である見積りの精度が低ければ、その後の工程でどれだけ厳密に管理しても、目標利益を達成することは不可能です。精度の高い見積書を作成することは、原価管理の第一歩なのです。
工事着工直後
いざ工事が始まると、着工直後に想定外の出費が発生しがちです。例えば、仮設工事において、図面では分からなかった地中の障害物が見つかったり、近隣への配慮から追加の養生が必要になったりするケースです。また、着工時は多くの資材を一気に発注するタイミングでもあります。
この時、見積り段階で想定していた仕入れ単価と、実際の発注単価に乖離があれば、スタート時点ですでに原価割れのリスクを背負うことになります。初期段階でのコスト変動を視える化し、即座に実行予算を修正できる体制が必要です。
仕様変更・追加工事時
建設業において、原価ズレの最大の要因とも言えるのが、工事途中での仕様変更や追加工事です。 施主様からの「ここを少し変更したい」「ついでにここも直してほしい」という要望に対し、現場監督が口頭で「わかりました、やっておきます」と安請け合いしてしまう…これが悲劇の始まりです。この追加分に対する見積書を提出し、金額の合意を得てから着手すれば問題ありません。
しかし、現場の忙しさにかまけて書面での契約を後回しにし、既成事実として工事を進めてしまうと、後から「サービスだと思っていた」「高すぎる」と言われてトラブルになり、費用を回収できなくなるケースが発生します。
追加工事にかかった原価だけが積み上がり、売上が立たないため、利益が大きく圧迫されるのです。
工期後半の追い込み時
工期が迫ってくると、現場は期日までに工事を終わらせるために、以下のようなことが頻発します。- 深夜・休日の突貫工事による割増賃金の発生
- 不足人員を補うための高額な応援要請
- 資材不足を防ぐための過剰な発注
完工後の精算時
工事が終わり、忘れた頃にやってくるのが「後から届く請求書」です。 完工後の精算時に、未計上だった外注費や材料費の請求書が経理に届き、初めて原価として認識されるケースです。また、建設業の会計には「未成工事支出金」から「完成工事原価」への振替という独特の処理があります。この振替処理や、現場管理費と一般管理費の配賦計算においてミスや漏れがあると、決算時の数値が大きく変動します。
「終わってみたら赤字だった」という事態を防ぐためには、完工を待たずに、工事進行基準のように進捗に合わせて原価を把握し続ける姿勢が不可欠です。
見積りと実績が合わなくなる主な原因
タイミングごとのリスクを理解したところで、次はより具体的な原因、つまり「なぜ数字が合わなくなるのか」という要因を5点解説します。見積り精度が属人的
多くの中小建設業では、見積り作成が特定のベテラン社員や社長の経験と勘に依存しています。「あのお客様ならこれくらいの単価で通る」「この規模なら人工はこのくらい」といった感覚値は、確かに貴重なノウハウです。しかし、それが個人の頭の中だけにある状態では、若手社員に継承されず、会社としての標準が育ちません。
また、担当者によって見積りの粒度や項目がバラバラであることも問題です。これでは、実績と比較しようにも、比較対象の基準が揃っていないため、どこでズレたのかを分析することすらできません。「要 〜KANAME〜」のようなツールを活用し、誰が作成しても一定の精度を保てる標準化された仕組みが必要です。
数量管理が曖昧
材料費のズレの多くは、単価ではなく「数量」の管理不足から生じます。 建設現場では、材料のロスが発生します。しかし、実行予算を作成する際、このロス率を適切に見込んでいない、あるいは実績入力時に使用数だけを見て在庫を管理していないといったケースが散見されます。現場に搬入された資材が、実際にどの工事のどの部分に使われたのか。余った資材は次の現場に回されたのか、廃棄されたのか。この「モノの流れ」を数量ベースで厳密に追跡できていないことが、原価の不透明さを招きます。
単価の見直し不足
近年、資材価格や労務費の高騰が続いています。しかし、社内の標準単価マスターが数年前のまま更新されていないということはありませんか?過去の単価データのまま見積書を作成してしまうと、受注した時点で採算が取れない工事になってしまいます。市場価格の変動を敏感に察知し、定期的に単価マスターを見直す仕組みが不可欠です。
また、外注費についても同様です。協力会社からの値上げ要請を無視し続けたり、逆に言い値で発注してしまったりと、適正な購買管理ができていないことも原価上昇の要因です。
原価入力・集計の遅れ
「原価ズレ」に気づけない最大の理由は、情報の鮮度にあります。現場で発生したコストが、会計システムや原価管理表に反映されるまでに1ヶ月以上のタイムラグがある会社は少なくありません。これは、現場から紙の日報や請求書が届き、それを経理担当者が一つひとつ手入力しているというアナログな業務フローが原因です。特に建設業では、「外注費」「材料費」「労務費」「経費」という4要素への分類や、共通費の配賦計算が非常に複雑で、手作業では限界があります。入力が遅れれば遅れるほど、現在の収支状況がブラックボックス化し、手を打つべきタイミングを逃してしまいます。
途中経過を見ていない
「工事が終わってから原価を集計する」というスタイルが、赤字を生む温床です。 多くの現場監督は、毎日の工事進捗には敏感ですが、毎日の「原価進捗」には鈍感になりがちです。「いくら使ったか」をリアルタイムで把握せず、予算残高を意識しないまま発注を続けていれば、予算オーバーになるのは必然です。マラソンで言えば、ペース配分を考えずに走り出し、ゴールしてからタイムを見るようなもの。本来あるべき姿は、5km地点、10km地点でラップタイムを確認し、ペースを調整することです。工事においても、中間地点で見積りと実績の乖離を確認し、軌道修正を行うプロセスが欠かせません。
原価ズレが経営に与える影響
たかが原価のズレ、と侮ってはいけません。一つひとつの現場での小さなズレは、積もり積もって会社全体の経営を蝕みます。ここでは、原価ズレがもたらす深刻な5つの悪影響について解説します。利益率の低下
最も直接的な影響は、当然ながら利益の減少です。建設業の利益率は決して高くありません。数%の利益を確保するために必死に働いているなかで、原価管理の甘さによる数%のコスト増は、その苦労をすべて水の泡にしてしまうかもしれません。売上高が大きくても、利益が残らなければ会社は存続できません。原価ズレは、企業の生命線である「利益」を直接削り取る問題なのです。
赤字工事の常態化
原価ズレの原因を突き止めて改善しない限り、同じ失敗が繰り返されます。 「あの現場は特殊だったから」と言い訳をして振り返りを行わなければ、次の現場でも同じように見積りが甘く、同じように追加工事で損をし、同じように赤字を出します。これが常態化すると、社内に「赤字でも仕方がない」「売上さえ作ればいい」という負の文化が根付き、黒字体質への転換が困難になります。
経営判断の遅れ
正確な原価が把握できていないということは、経営者が「自社の本当の姿」を知らないことを意味します。どの事業部が儲かっているのか、どの得意先が利益をもたらしているのか、どの工種が強みなのか。原価ズレが発生していると、数字というファクトに基づいた判断ができなくなります。結果として、撤退すべき分野に投資し続けたり、注力すべき分野を見逃したりと、経営判断のミスや遅れを招きます。変化の激しい現代において、判断の遅れは致命傷になりかねません。
資金繰りの悪化
建設業は、先行投資型のビジネスです。材料費や外注費の支払いが先に来て、入金はずっと後になります。 もし、原価が想定以上に膨らんでいれば、予定していた資金繰り計画が狂います。入金されるはずの利益が入ってこない、あるいは支払いが予想以上に多いとなれば、最悪の場合、黒字倒産やキャッシュショートのリスクに直面します。視える化されていない原価の膨張は、資金繰りという企業の血液循環を止めてしまう恐れがあるのです。
社員の疲弊
原価管理がずさんな会社では、そのしわ寄せは現場の社員に行きます。利益が出ないため、給与や賞与に還元できない。赤字を埋めるために、さらに多くの工事を受注しなければならず、長時間労働が常態化する。現場監督は「もっとコストを下げろ」と精神的に追い詰められる。このような悪循環は、社員のモチベーションを低下させ、離職率の上昇を招きます。人手不足が深刻な建設業界において、社員の疲弊は会社存続に関わる重大なリスクです。
原価ズレを防ぐための管理の考え方
では、どうすればこの負の連鎖を断ち切ることができるのでしょうか。経営の根幹に関わる「管理の考え方」を5点ご紹介します。現場別に原価を管理する
原価は「現場ごと」に紐づけて管理しなければなりません。材料費の請求書がまとめて届いたとしても、それを各現場に正しく配賦する。労務費も、誰がどの現場に何時間入ったかを記録し、現場別に集計する。いわゆる「個別原価計算」を徹底することです。
「どんぶり勘定」からの脱却は、全ての領収書や請求書に「現場名(工事番号)」を書くことから始まります。これを徹底するだけで、どの現場が足を引っ張っているのかが明確になります。
見積りと実績を常に比較する
見積書は、お客様に提出して終わりではありません。実行予算を組む際は、見積り内容をベースにし、工事が進むにつれて確定していく実績値と、当初の見積り(予算)を常に比較し続ける「予実管理」が必須です。「予算に対して、今いくら使ったか(消化率)」だけでなく、「あといくら掛かりそうか(見込み)」まで管理することが重要です。
途中段階で差異を把握する
前述の通り、工事の進捗率に合わせて、その時点での原価の消化状況を確認するチェックポイントを設けることが大切です。例えば、毎月末の締め日や、基礎工事完了時、上棟時など、区切りのタイミングで原価の棚卸しを行います。「進捗は50%なのに、予算の70%を使ってしまっている。なぜだ?」という異常値を早期に発見できれば、後半の工程で見直しを図ったり、発注方法を変えたりといったリカバリーが可能になります。
数字を経営判断に使う
集めた原価データは、ただの記録ではありません。次の経営判断を行うための武器です。 蓄積された過去の原価実績データを分析すれば、自社の見積りの傾向が見えてきます。「当社の電気工事は利益率が良いが、管工事は苦戦している」「A社の外注費は他社より高い傾向がある」といった事実に基づき、営業戦略の見直しや、協力会社の選定、見積り作成基準の改定を行うこと。これが「データドリブンな経営」です。
再発防止を前提に考える
ミスやズレが起きたとき、担当者を責めるだけでは何も解決しません。重要なのは「なぜ起きたか」を分析し、「仕組み」で再発を防ぐことです。人が入力するからミスが起きるなら、自動で取り込む仕組みにする。伝達漏れが起きるなら、情報共有のプラットフォームを統一するなど、精神論ではなく、システムやフローの改善によって、誰がやっても同じ結果が出るような体制を構築することがポイントです。
原価ズレ対策を仕組み化する方法
ここまで、原価管理の重要性と考え方をお伝えしてきましたが、「言うは易く行うは難し」と感じられた方も多いでしょう。人力やExcelだけでこれらを完璧に行うには、膨大な手間と時間がかかります。そこで解決策となるのが、ITツールによる「仕組み化」です。特に注目すべきは、建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」の活用です。
「要 〜KANAME〜」で原価を視える化
プラスバイプラスが提供する建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」は、まさに建設業の「ドンブリ勘定」を打破し、利益を確保するために開発されたツールです。最大の特徴は、複雑な建設業の原価を、誰でも直感的に理解できる形で「視える化」することにあります。日々の受発注、日報、請求書データをシステムに入力するだけで、現場ごとの収支状況がリアルタイムにグラフや表として表示されます。「今、この現場は儲かっているのか?」が一目瞭然となり、経営者や現場責任者が瞬時に正しい判断を下せるようになります。
工事途中でも原価を把握
「要 〜KANAME〜」を導入すれば、月次決算を待つ必要はありません。日々の入力データが即座に反映されるため、工事の途中であっても、その時点での正確な原価と利益見込みを把握できます。 これにより、「このままでは赤字になる」というアラートを早期に察知し、工法変更やコスト削減策などの手を打つことが可能になります。進行基準での売上・原価管理にも対応しやすく、建設業会計の複雑な処理もスムーズに行えます。
現場と管理部門の情報統一
営業、工事、経理と、これまでバラバラだった部門間の情報が、「要 〜KANAME〜」を採用することで見積りデータがそのまま実行予算となり、現場が入力した発注データが経理の支払データと連動します。情報が分断されず、一本の線でつながることで、転記ミスや伝達漏れが激減されます。
原価ズレの早期発見
原価ズレを早期に発見する最も効率的な手段はシステム化です。「要 〜KANAME〜」を導入することで予算に対する実績の消化率を常にモニタリングできます。予算オーバーしそうな費目があればすぐに発見することが可能に。早期発見・早期治療こそが、原価ズレを防ぐポイントです。再発しない管理体制を構築
「要 〜KANAME〜」を使用して見積りを作成し、実行予算にフィードバックすることで、組織としての原価管理能力がスパイラルアップしていきます。属人化を排除し、システムにノウハウを蓄積することで、永続的に利益を生み出せる経営体質へと生まれ変わることができるのです。建設業の原価ズレについてよくある質問
Q1. Excelでの管理とシステムによる管理は何が違うのですか?
Excelは手軽ですが、データ連携やリアルタイム共有に弱く、ファイル破損や属人化のリスクがあります。「要 〜KANAME〜」を導入することで見積もりの視える化が実現でき、経営判断のスピードと精度が格段に向上します。
Q2. 「要 〜KANAME〜」はパソコンが苦手な職人でも使えますか?
はい、「要 〜KANAME〜」は現場での使いやすさを最優先に設計されています。スマホやタブレットから日報入力や発注業務が行えるため、現場の負担を最小限に抑えられます。直感的な操作性で、ITに不慣れな方でもスムーズに導入いただけます。
Q3. 「要 〜KANAME〜」は導入コスト以上の効果はありますか?
「要 〜KANAME〜」を導入することで原価のズレをなくし、赤字工事を未然に防ぐ効果は計り知れません。例えば、年間売上5億円、利益率2%の会社が、原価管理の徹底で利益率を1%改善できれば、それだけで500万円の利益増です。システムの導入コストは、ムダな原価を削減することで十分に回収可能です。まずは「利益の漏れ」を防ぐことから始めましょう。






