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  • 2025年12月04日

解体工事の積算のやり方|建築業向けに積算方法や注意点を解説

建設業に関する知識
解体工事の積算のやり方|建築業向けに積算方法や注意点を解説

建築工事の一環である解体工事の費用算出において、積算は適正な利益を確保するための重要な工程です。
この積算業務には、専門的な知識と正確な手順が求められます。

本記事では、解体工事における積算の基本的な考え方から、具体的な手順、そして新築工事とは異なる特有の注意点までを網羅的に解説します。
正確な解体費用を算出するための実務的な知識として、ぜひ参考にしてください。

解体工事における積算とは?見積りとの違いも解説

解体工事における積算とは、工事にかかる費用を構成する材料費や労務費、機械経費などを一つひとつ積み上げて、工事全体の原価を算出する作業のことです。
設計図や仕様書をもとに必要な数量を拾い出し、単価を掛け合わせて費用を計算します。
公共工事では国土交通省の定める積算基準が用いられますが、民間工事でもこれを参考にすることが一般的です。

一方、見積りは積算で算出した工事原価に、会社の利益となる一般管理費などを加えた金額を指し、施主に提出する最終的な契約金額となります。

 

解体工事の積算で算出する費用の内訳

解体工事の積算では、工事費用を大きく3つの要素に分けて算出します。
まず、建物の取り壊しや廃材の処分に直接関わる「直接工事費」、次に現場の運営や管理に必要な「間接工事費(共通費)」、そして最後に会社の運営全体を支える「一般管理費」です。

これらの費用をそれぞれ正確に算出し、積み上げていくことで、工事全体の原価と最終的な見積金額が構成されます。
各費用の内訳を正しく理解することが、精度の高い積算の第一歩となります。

 

建物の解体や廃材処分にかかる「直接工事費」

直接工事費は、解体工事の施工に直接必要となる費用全般を指します。
具体的には、工事前の準備として足場や養生シートを設置する「仮設費」、重機や作業員による建物の取り壊し作業そのものにかかる「解体工事費」、そして解体によって生じたコンクリートがらや木くず、金属くずなどの廃棄物を処分場へ運搬し処理するための「廃棄物処理運搬費」などが含まれます。

このほか、重機を現場まで運ぶための回送費も直接工事費に計上される項目です。
工事原価の中心を占めるため、各項目を正確に拾い出し、積み上げていく作業が求められます。

 

現場管理や事務手続きに必要な「間接工事費(共通費)」

間接工事費(共通費)は、工事を円滑かつ安全に進めるために必要な、現場に直接関わらない経費を指します。
これは、複数の工事に共通して発生する可能性のある「共通仮設費」、その工事現場固有の管理に必要な「現場管理費」、そして企業全体の経営・維持に必要な「一般管理費」の3つに大別されます。

共通仮設費には、現場事務所の設置や水道光熱費(基本料金)、測量費用などが含まれます。
一方、現場管理費は、現場監督などの人件費や労務管理費、事務所の通信費、各種保険料(労災保険など)が該当します。
一般管理費は、本社機能の維持や経営管理に必要な費用であり、本社で勤務する従業員の給与、福利厚生費、事務所の家賃や水道光熱費、広告費などが含まれます。
これらの費用は、直接工事費に対して一定の率を掛けて算出されることが一般的です。

 

会社を運営するための「一般管理費」

一般管理費は、特定の工事現場で発生する費用ではなく、企業全体を維持・運営するために必要な経費を指します。
具体的には、本社や支店で働く役員や事務員の給与、事務所の家賃や水道光熱費、通信費、広告宣伝費、福利厚生費などがこれにあたります。

これらの費用は個別の工事原価には直接含まれませんが、企業が事業を継続し、利益を上げていくためには不可欠なコストです。
積算においては、工事価格(直接工事費と間接工事費の合計)に対して、定められた一定の率を掛けて算出され、最終的な見積金額に上乗せされます。

 

【3ステップ】解体工事の積算の具体的な手順

解体工事の積算は、大きく3つのステップに沿って進められます。
まず最初のステップは、設計図や仕様書、現地調査を通じて、対象となる建物の規模や構造、立地条件といった情報を正確に把握することです。
次に、それらの情報をもとに、各作業にかかる手間や機械経費を数値化した「歩掛」を用いて費用を算出します。

最後のステップとして、算出した工事費に諸経費や消費税を合算し、工事全体の総費用を確定させます。
この手順を丁寧に行うことが、精度の高い積算につながります。

 

ステップ1:解体する建物の情報を正確に把握する

積算作業の第一歩は、対象となる建物の情報を詳細かつ正確に把握することから始まります。
設計図書や仕様書を読み解き、建物の構造(木造、鉄骨造、RC造など)、延床面積、階数、使用されている建材の種類といった基礎的な情報を洗い出します。
この工程は、工事に必要な資材や人員、機械の量を算出する「数量積算」の土台となります。

特に木造家屋の場合でも、内装材や基礎の仕様によって作業内容が変わるため、図面だけでは判断できない部分は現地調査で補い、アスベストの有無や残置物の状況なども含めて、解体作業に影響するあらゆる要素をリストアップすることが重要です。

 

ステップ2:「歩掛(ぶがかり)」を用いて各作業の費用を算出する

建物の情報と必要な作業量を把握したら、次に各作業の費用を算出します。
この際に用いられるのが「歩掛(ぶがかり)」という指標です。
歩掛とは、一つの作業を完了させるために必要な作業員数や作業時間、機械の稼働時間などを数値で表したもので、国土交通省が公表する「公共建築工事標準単価積算基準」などが参考にされます。

ステップ1で算出した数量に、この歩掛と、あらかじめ設定した作業員や重機の単価を掛け合わせることで、各工程にかかる労務費や機械経費が計算されます。
過去の類似工事の実績データも、より現実に即した費用を算出するための重要な判断材料となります。

 

ステップ3:諸経費や消費税を合算して総費用を計算する

直接工事費の算出が完了したら、最終段階として諸経費を加えて総費用を計算します。
まず、算出した直接工事費に、現場管理費や共通仮設費といった間接工事費(共通費)を上乗せします。
これらの経費は、直接工事費に対して一定の料率を掛けて算出するのが一般的です。

続いて、工事価格(直接工事費と間接工事費の合計)に、本社の運営費用などに充当される一般管理費を加えます。
これも同様に、工事価格に対して一定の料率で計算されます。
最後に、これらすべての費用を合計した金額に消費税を加算することで、施主に提示する見積金額の基礎となる総工事費用が確定します。

 

通常の建築工事と違う!解体工事特有の積算項目

解体工事の積算は、新築などの建築工事とは異なり、特有の項目を考慮する必要があります。
それは、建物を「なくす」過程で発生する問題への対処費用です。
特に、人体に有害なアスベストの除去費用、分別して処理する必要がある産業廃棄物の処分費用、そして工事を進める中で発覚する地中埋設物の撤去費用は、積算の精度を大きく左右する重要な要素です。

これらの項目を見落とすと、後から大幅な追加費用が発生する原因となり得ます。

 

アスベスト除去にかかる費用

一定規模以上の解体工事では、アスベスト(石綿)含有建材の有無を調べる事前調査が法律で義務付けられています。
調査の結果、アスベストが発見された場合、その除去費用を別途積算しなければなりません。
費用は、アスベストの発じん性レベルによって大きく変動します。
レベル1(吹付け材など)やレベル2(保温材など)のように飛散リスクが高いものは、作業員の保護具や現場の厳重な隔離養生、特別な処理方法が求められるため、高額になります。

一方、レベル3(スレート屋根など)は比較的リスクが低いものの、湿潤化させて手作業で取り外すなど慎重な作業が必要です。
これらの対策費用や、特別管理産業廃棄物としての処分費用も積算に含める必要があります。

 

産業廃棄物の処理・運搬にかかる費用

解体工事で発生するコンクリートがら、木くず、金属くず、廃プラスチックなどは産業廃棄物として法律に基づき適正に処理しなければなりません。
積算においては、これらの廃棄物を種類ごとに分別し、それぞれの量と単価を基に処理費用を算出します。
廃棄物の処分単価は種類や地域によって異なるため、正確な情報収集が不可欠です。

また、処分場までの運搬費用も考慮する必要があり、これは現場から処分場までの距離や使用するトラックの台数・大きさによって変動します。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行手数料なども含め、廃棄物に関わる一連のコストを漏れなく計上することが重要です。

 

地中埋設物の撤去にかかる費用

建物の地上部分の解体が完了した後、基礎を撤去する際に地中から予期せぬ埋設物が発見されることがあります。
以前の建物の基礎や浄化槽、コンクリートがら、井戸などが代表例です。
これらは設計図面に記載されていないケースが多く、事前の現地調査でも確認が困難なため、追加工事として扱われるのが一般的です。

撤去作業には、重機による掘削やハツリ作業、廃材の搬出・処分が必要となり、土木工事に近い性質を持ちます。
積算段階でこのようなリスクを想定し、契約書に追加工事に関する条項を盛り込むか、ある程度の予備費を見込んでおくといった対策が、後のトラブルを避けるために求められます。

 

正確な積算のために!解体工事で見落としがちな3つの注意点

解体工事の積算精度を高めるためには、図面上の計算だけでは不十分です。
見落としがちなポイントを事前に押さえておくことが、赤字工事のリスクを回避し、適正な利益を確保する上で不可欠となります。

具体的には、机上ではわからない現場の状況を把握するための現地調査、周辺環境が工事に与える影響の考慮、そして予測不可能な事態への備えという3つの注意点を常に意識することが重要です。
これらの点を軽視すると、後々のトラブルや追加費用の発生につながりかねません。

 

注意点1:必ず現地調査を行い建物の状態を確認する

設計図書や資料だけで積算を行うと、実際の現場状況との間に齟齬が生じるリスクがあります。
そのため、必ず現地調査を実施し、自身の目で建物の状態を確認することが不可欠です。
図面では読み取れない建物の老朽化の度合いや、内装・設備の残置物の量、アスベスト含有建材の目視確認など、コストに直結する情報を収集します。

また、隣接する建物との距離や境界ブロックの状況、前面道路の交通量なども重要な確認項目です。
これらの情報は、安全な作業計画や仮設計画を立てる上で欠かせないだけでなく、積算の精度を大きく左右する要因となります。

 

注意点2:構造や立地条件による費用の変動を考慮する

解体費用は、建物の構造や立地条件によって大きく変動するため、これらの要素を積算に正確に反映させることが重要です。
例えば、木造よりも鉄骨造、鉄骨造よりもRC(鉄筋コンクリート)造の方が、構造が強固なため解体に手間と時間がかかり、費用は高くなります。

また、現場前面の道路が狭く大型重機やトラックが進入できない場合は、小型機械を使用したり、手作業が増えたりするため、工期が延びてコストが上昇します。
さらに、住宅密集地では、騒音や粉じんを抑制するための防音・防じんシートの設置がより大規模になるなど、近隣環境への配慮も費用に影響を与える要素です。

 

注意点3:予期せぬ追加工事の可能性も想定しておく

解体工事は地中に隠れた基礎や浄化槽、壁内に含まれていたアスベストなど、着工後に初めて問題が発覚するケースが少なくありません。
こうした予期せぬ事態は追加工事を発生させ、当初の積算を大きく狂わせる原因となります。
そのため、積算の段階から、こうした不確定要素の存在を念頭に置いておくことがリスク管理上重要です。

過去の類似案件のデータを参考に、起こりうるトラブルを想定し、ある程度の予備費を計上しておくことも一つの方法です。
また、施主との契約時に、追加工事が発生した場合の費用負担や協議の方法について、あらかじめ明確に取り決めておくことが、後のトラブルを未然に防ぎます。

 

解体積算を効率化して見積作成を簡単に

解体工事の積算は、数量確認や産廃処理費の計算、歩掛の確認など細かい作業が多く、どうしても時間と手間がかかります。特に現場管理と事務作業を兼任している担当者にとって、毎回ゼロから見積書を作るのは大きな負担です。

もし「作業時間を短縮したい」「計算ミスを減らしたい」と考えているなら、建設業向け原価管理システム「要 〜KANAME〜」の導入が有効です。
図面管理、見積作成、原価管理を一元化できるため、属人化を防ぎつつ、誰でも正確で統一された見積書を作成できます。積算業務を効率化して作業の精度を高めたい方は、一度チェックしてみてください。

 

まとめ

解体工事の積算は、建物の構造や立地条件を正確に把握し、直接工事費から間接工事費、一般管理費までを細かく積み上げていく専門的な作業です。
特にアスベスト除去や産業廃棄物処理、地中埋設物の存在など、解体特有の項目を漏れなく計上することが、適正な工事原価を算出する上で欠かせません。
図面だけでなく必ず現地調査を行い、予期せぬ追加工事のリスクも想定しておくことが、積算の精度を高めます。

業務の複雑さや属人化が課題となる場合は、専用ソフトの導入や専門業者へのアウトソーシングを検討し、効率的で正確な積算体制を構築することが重要です。

 

解体工事の積算に関するよくある質問

Q1. 解体工事の積算と見積りは何が違うのですか?

A. 積算は「工事に必要な原価(直接工事費・間接工事費・一般管理費)を算出する工程」であり、見積りは「積算で算出した原価に会社の利益や諸費用を加えた施主への提示金額」です。
積算=原価算出、見積り=契約金額、と覚えると理解しやすいです。

 

Q2. 解体工事の積算で特に見落としやすい項目は何ですか?

A. アスベスト除去費用、産業廃棄物の処分・運搬費用、地中埋設物の撤去費用は見落とされやすい代表的な項目です。
これらは後から追加費用になりやすいので、現地調査での確認とリスク見込み(予備費の設定)が重要です。

 

Q3. 積算の精度を高めるために最も重要なポイントは何ですか?

A. 現地調査の徹底です。
図面だけでは分からない建物の老朽度、残置物、アスベストの可能性、道路幅・周辺環境などは、費用に直結します。
設計図書+現地調査の2軸で確認し、実際の施工条件を積算に反映させることが精度向上の鍵です。

 

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