はじめに~ 忙しいのに、なぜか儲からない?
「とにかく仕事を取らないと食っていけない」 独立したての頃、誰もがそう思いますよね。 頼まれれば遠方でも行くし、夜間や休日の工事も引き受ける。無理な納期も頑張って間に合わせる。値切られても「今は我慢」と自分に言い聞かせる。
でも、ふと気づくとこんな状態になっていませんか?
- 毎日バタバタ働いているのに、通帳の残高は増えない
- 現場が終わるたびにクタクタ。気力も体力も限界
- 数ヶ月経っても売上が安定しない
それ、実は「お客様の選び方」が間違っているのかもしれません。
「全方位営業」は一見効率的に見えますが、実はリスクも大きい。目の前の売上に飛びつくあまり、「利益」や「効率」、「将来性」といった本当に大事な視点を見失ってしまうのです。
なぜ“お客様を選ぶ”必要があるのか?
独立して間もない時期は、とにかく仕事を受けるのが正解に見えます。でも、どんな仕事でも「利益が出る」わけじゃない。
例えばこんなケース、ありませんか?
- 値段をしつこく交渉してくるお客さん
- 何度も仕様変更が入る施主
- LINEで細かい指示をしてくるのに、最終的に支払いは遅れる
こういう案件は、一見売上になるようで、実は大赤字の原因になっています。精神的にも疲れるし、段取りが狂えば他の現場にも悪影響。
さらに、こうしたお客様は紹介やリピートにもつながりにくい。つまり、一度きりの低利益案件を延々と続けていくことになり、体力も会社も持ちません。
だからこそ、最初の「見積り依頼が来た段階」で“選ぶ目”を持つことが、社長としての第一歩なんです。
選ぶべきは「自社にとって都合の良いお客様」
「都合の良い」というと、少し身勝手に聞こえるかもしれませんが、ここで言うのは“自社にとって効率よく利益が出せるお客様”という意味です。
例えば、以下のような特徴を持つお客様は理想的です:
- 単価が相場通り、もしくはそれ以上でも納得してくれる
- 打ち合わせや仕様が明確で、後からの変更が少ない
- 見積り提出後の返答が早い
- 支払いサイトが早い、または現金払い
- 「あとはお任せします」と職人を信頼してくれる
- コミュニケーションがスムーズで、不安や疑問を早めに共有してくれる
- リピート発注や、知人紹介など“つながり”を持ってくれる
逆に、避けたほうがいいのは:
- 値切りが前提
- 見積りだけ取って音信不通
- 「他社の方が安い」と他社比較を持ち出す
- 打ち合わせで細かく指示しすぎる
- 明文化されていない追加要求が多い
- 納期や時間にルーズ、連絡がつきにくい
こういったお客様をあらかじめフィルターにかけていくことで、工事そのものに集中でき、品質も上がり、結果的にリピートや紹介にもつながります。
つまり「お客様を選ぶ=仕事の質と効率を上げる」行為なのです。
あるあるエピソード:埼玉の職人Aさんの転機
Aさん(38歳)は、独立後の1年目、とにかく断らずに仕事を受けまくっていました。埼玉から神奈川の現場まで毎日通い、朝から晩まで汗だく。でも毎月の利益はほぼゼロ。
そんなとき、ふと昔の元請けからの紹介で地元の店舗改装案件を引き受けたところ、
- 現場は自宅から車で15分
- 打ち合わせは一度だけ、あとは全部お任せ
- 見積りは一発OK、支払いは現金
という超優良案件でした。実働は3日、材料込みで約50万円の工事で、利益は20万円。
Aさんはこの経験をきっかけに「近場」「リピート」「信頼関係あり」をキーワードに仕事を選ぶようになり、3年目にはほぼ紹介だけで月商150万円を安定して稼げるようになりました。
現在では「自分から見積りを出さない」スタイルを確立し、案件の8割以上が元請け・施主からの依頼。結果として移動時間も減り、休日も家族と過ごせるようになりました。
今すぐできる5つのアクション
- 「過去の案件」を一覧化し、利益率と手間のバランスをチェックする
- 日報や請求書を元に、「儲かった仕事」と「苦労した割に残らなかった仕事」を分類してみましょう。
- 「NG客リスト」を作っておき、迷ったら見直す
- 過去に問題があった客層や業種、対応に疲れた相手をメモしておくことで、判断基準が明確になります。
- 「この条件なら断る」という基準を明文化する(例:片道1時間以上の現場はNGなど)
- 移動距離や作業時間、単価など、あなたの体力や収支に合わない条件は最初から除外しましょう。
- 見積り提出時に「仕様変更は追加費用」と明記する
- 曖昧な取り決めはトラブルの元です。「あとから変更できますか?」への対応もスムーズになります。
- 案件ごとに簡単な評価メモを残し、次回の判断材料にする
- 工事が終わった後に「やってよかったかどうか」を一言でも書いておくと、経験が資産になります。
まとめ:選ぶ勇気が、社長を育てる
最初のうちは「断るなんてもったいない」と思うかもしれません。でも、仕事は“数”ではなく“質”です。
あなたが気持ちよく働けて、きちんと利益が残る現場。それこそが、次の仕事につながる種になります。
会社を育てるのは、案件の“数”ではなく“質と継続性”。だからこそ「自分に合わない仕事を断る」ことは、立派な経営判断です。
「とりあえずやってみる」から「自分で選ぶ」へ。 一歩踏み出せば、あなたの会社はもっと強く、もっと豊かになりますよ。
独立って何から始めればいい?経営者になるための教科書公開中
「とりあえず独立したけど、営業や経営は初めてで手探り状態…」
そんな独立1〜3年目の水道工事業の社長に向けて、仕事を安定させる前段階から役立つ情報をまとめたページをご用意しました。
このページでは、
- まず何を準備すればいいか
- お客様をどう見つけ、どう信頼を得るか
- 少しずつ仕事を増やしていく方法
など、職人から経営者へとステップアップするための具体的なヒントを解説しています。
独立したてで「これからどう動けばいいか」に悩んでいる方はぜひご覧ください。
\【スイポ】サイトへのご意見募集してます/ 「こんなこと知りたい」、「ここが使いにくい」などの貴重なご意見を募集しております。