はじめに~ 職人から社長へ、数字に向き合う第一歩
独立して1〜3年目。日々の現場に追われながらも、「経営者」としての責任を少しずつ実感している頃ではないでしょうか。昔のように「今月はまあまあ忙しかったな」「今月は暇だった」で済まされなくなってきた──そんな実感、ありませんか?
特に「売上」は、経営の心臓部とも言える数字です。でも、「売上の記録って、請求書さえ出していれば自然に分かるでしょ」と思っていませんか? それだけでは足りません。実は、毎月きちんと売上を“記録すること”が、安定経営の第一歩なんです。
なぜ売上記録が必要なのか?
【1】感覚と実際のズレをなくすため
「今月は忙しかった=売上が多い」とは限りません。移動時間が多かったり、単価の低い仕事が重なったりすると、意外と利益が出ていないことも。記録がなければ、こうした“数字の真実”に気づけません。職人感覚だけに頼っていると、売上と実態のギャップに気づけず、経営の舵取りを誤るリスクが高まります。
【2】経営判断の材料になる
道具を買い替えるか、軽トラをリースにするか、新しいチラシを出すか──そんな判断をするとき、売上の推移が分かっていれば「今は投資していい時期かどうか」が判断できます。たとえば、春先に売上が落ちる傾向があると分かれば、秋に向けてどれくらい備えるべきか計画を立てやすくなります。逆に記録がないと、全部が“勘”になってしまいます。
【3】確定申告のときに慌てない
毎年2〜3月の確定申告シーズン。「あれ、去年の売上っていくらだったっけ?」と請求書を掘り返すのは非効率。月ごとに売上を記録しておけば、まとめ作業も一気に楽になります。税理士に頼んでいる場合も、自分で数字を把握しているだけで打ち合わせの時間が短縮され、コスト削減にもつながります。
【4】社員や家族に説明しやすくなる
たとえば従業員を雇っている場合、「今月は厳しいから残業を控えてほしい」と伝えるにも、売上の記録があれば説得力が違います。家族に経営の状況を説明する場面でも、数字を見せながら話すことで理解を得やすくなります。
どうやって売上を記録する?
ステップ1:月単位で請求書をまとめて確認
LINEで送ったPDFや手書きの伝票でもOK。まずは「その月に発行した請求書」がいくつあるかを数え、金額を一覧にします。小規模な工事店なら、月に5〜10件程度の請求書でも十分。最初はざっくりとした把握から始めましょう。
ステップ2:Excelやノートに書き出す
苦手でも大丈夫。まずは簡単な表でOKです。
月 | 売上合計 | 備考 |
---|---|---|
1月 | 1,200,000円 | マンション工事多め |
2月 | 950,000円 | 雨天で延期多し |
3月 | 1,500,000円 | リフォーム案件多数 |
紙のノートでもいいし、Googleスプレッドシートならスマホからも入力できます。アナログ派もデジタル派も、自分のスタイルで無理なく継続することが大事です。
ステップ3:月ごとの変化を見て気づきを得る
グラフにしてみると、「忙しいのに売上が伸びてない月」「暇だったけど利益率が高かった月」などが見えてきます。こうした気づきが、仕事の選び方や営業方針の見直しにつながります。
たとえば、繁忙期に無理して単価の低い仕事を詰め込むより、少し仕事を絞ってでも単価の高い案件を狙うという選択肢も出てきます。
実例コラム:「記録して気づいた単価の落とし穴」
ある30代後半の社長(独立2年目)は、毎月の売上を記録し始めたことで「去年より仕事量は増えているのに、売上が変わらない」ことに気づきました。詳しく見直してみると、単価の安い仕事を多く受けすぎていたことが原因。そこから単価の見直しを行い、結果として時間あたりの利益が向上しました。
また、売上記録をつけていたことで「高単価だが手間が多い仕事」と「中単価でスムーズに終わる仕事」のバランスを意識するようになり、全体の効率が改善されたそうです。記録があったからこそ、数字で判断できるようになったとのことです。
まとめ:社長業は「記録」から始まる
毎月の売上記録は、社長としての「視力検査表」のようなもの。数字が見えることで、次の一手が打ちやすくなります。難しく考える必要はありません。まずは「今月いくら請求したか」を毎月一度、振り返る習慣を作ることから始めましょう。
「記録はめんどう」と感じるかもしれませんが、実際にやってみると5〜10分程度。ちょっとした習慣が、1年後、3年後の経営に大きな差を生みます。
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