建設業界は人手不足や資材価格の高騰といった課題に直面しており、多くの企業にとって厳しい経営環境が続いています。
このような状況下で安定した経営を維持し、成長を続けるためには、戦略的な売上アップへの取り組みが不可欠です。
この記事では、業界の平均を上回る利益を確保し、持続可能な事業を築くための具体的な方法を多角的に解説します。
現状分析から実践的な戦略まで、売上向上に直結するポイントを紹介します。
建設業界の現状と売上アップが必要な理由
建設業界は、慢性的な人手不足やウッドショック以降続く資材価格の高騰など、多くの課題を抱えています。
こうした外部環境の変化は、企業の利益を直接的に圧迫し、経営の安定性を揺るがしかねません。
市場の需要も新築中心からリフォームやメンテナンスへとシフトしており、変化に対応できない企業は淘汰されるリスクに晒されています。
このような状況だからこそ、今がまさに売上構造を見直し、経営基盤を強化するべきタイミングといえます。
人手不足や資材高騰が経営に与える影響
建設業界では、職人の高齢化や若手入職者の減少による人手不足が深刻化し、人件費の上昇を招いています。
加えて、木材や金属といった建設資材の価格も世界的な需要増や円安の影響で高騰を続けており、企業の利益構造を大きく圧迫しています。
これまで通りの価格設定で受注を続けていては、売上高が横ばいでも利益は確実に減少してしまいます。
これらのコスト増加分を適切に価格転嫁できなければ、資金繰りの悪化や経営体力の低下は避けられず、事業の継続そのものが困難になる可能性があります。
変化する市場で勝ち残るための売上向上の重要性
市場のニーズが新築からリフォームや省エネ改修などへ多様化する中で、旧来のビジネスモデルのままでは競争力を維持することが難しくなっています。
単に受注件数を追い求めるだけでは、厳しい価格競争に巻き込まれ、十分な利益を確保できません。
これからの建設業経営では、売上総利益を意識し、付加価値の高いサービスを提供することが新たな基準となります。
自社の技術力やデザイン提案力といった強みを明確にし、顧客にその価値を伝えることで、適正な価格での受注が可能になる。
利益を伴った売上向上こそが、変化する市場で生き残るための鍵です。
まずは現状把握から!建設業の平均利益率と売上が伸び悩む原因
具体的な売上向上策を検討する前に、まずは自社の経営状況を客観的に把握することが重要です。
建設業界における平均的な利益率の数値を参考に、自社の収益性がどのレベルにあるのかを確認します。
同時に、多くの企業が陥りがちな売上が伸び悩む原因を照らし合わせることで、自社が抱える本質的な課題を浮き彫りにできます。
この現状分析が、効果的で的を射た改善策を立案するための第一歩となります。
建設業における利益率の目安はどれくらい?
建設業における利益率指標はいくつか存在します。工事の利益を示す売上高総利益率(粗利率)は、業種によって幅がありますが、平均的には約20%〜25%が目安とされています。 ただし、大手ゼネコンの粗利率は8%〜12%と、この目安よりも低い傾向にあります。 これは、大手ゼネコンが大規模な工事を下請け業者に依頼することが多く、それに伴い工事にかかる費用が高くなることが要因と考えられます。 一般的に、専門工事は比較的粗利率が高く、元請けとなる総合工事は低くなる傾向が見られます。
企業全体の収益力を示す営業利益率は、建設業全体で約3%〜4%が一般的な水準とされています。 東京商工リサーチの調査によると、上場ゼネコン53社の2024年3月期決算では営業利益率が3.1%に落ち込み、2019年3月期から6期連続で低下したと報告されていました。 しかし、同調査の2025年3月期決算では営業利益率が5.0%に回復しています。 一方、建設経済研究所の2025年3月期(2024年度)通期決算分析では、大手・準大手・中堅を総計した営業利益率は回復傾向にあり、総計で4.9%と報告されています。
経常利益率は、2020年度の建設業全体の平均が5.2%という情報があります。 建通新聞の2025年9月4日の記事では、2024年度の建設業全体の経常利益率が5.4%と発表され、過去最高を記録したと報じられました。 また、東京商工リサーチの調査では、上場ゼネコン53社の2025年3月期決算における経常利益率は5.4%と報告されており、2024年3月期は3.8%でした。 建設業全体と上場ゼネコン53社という異なる母集団の統計であるため、単純な比較はできません。
もし自社の数値がこれらの平均を下回っている場合、見積もり価格が適正でない、原価管理が不十分である、あるいは販売管理費を使いすぎているといった課題が潜んでいる可能性があります。 まずは決算書を確認し、これらの指標と比較して自社の立ち位置を正確に把握することが改善の出発点となります。
あなたの会社は大丈夫?売上が上がらない企業に共通する課題
売上が伸び悩んでいる建設会社には、いくつかの共通した課題が見受けられます。
代表的なものとして、新規顧客を開拓するための営業活動が不足しており、昔ながらの紹介や下請け案件に依存しているケースが挙げられます。
また、自社の強みや専門性を明確に打ち出せず、他社との差別化ができていないため、結果的に価格競争に陥りやすくなります。
さらに、見積書作成や顧客管理、工程管理といった業務においてIT化が遅れていることも、生産性を低下させ、売上停滞の一因です。
これらの非効率な業務プロセスが、本来注力すべき営業活動や現場管理の時間を奪ってしまいます。
【戦略編】建設業の売上を上げるための具体的な5つの方法
自社の現状と課題を把握できたら、次はいよいよ具体的な売上向上戦略を立てて実行する段階に移ります。
ここでは、多角的な視点から売上を伸ばすための5つの具体的な方法として、新規顧客の獲得、客単価の向上、リピート率の向上、既存顧客の離脱防止、商品単価の見直しについて解説します。
これらの戦略を自社の状況に合わせて組み合わせ、実践することが成功への道筋となります。
1.新規顧客の獲得
事業の安定的な成長を目指す上で、常に新しい顧客を獲得し続けるための仕組み作りが欠かせません。そのためには、まず自社の強みや得意とする工事内容を再確認し、どのような顧客層をターゲットにするかを明確に設定することが重要です。ターゲットを絞り込むことで、営業メッセージがより具体的になり、効率的なアプローチが可能になります。従来の紹介や訪問営業といった手法に加え、自社のWebサイトやSNSといったオンラインツールを積極的に活用し、幅広い潜在顧客に自社の存在を認知してもらう多角的な営業アプローチを展開することが求められます。
2. 客単価の向上
客単価の向上は、売上を効率的に伸ばす上で重要な戦略です。顧客一人あたりから得られる収益を増やすことで、新規顧客獲得にかかるコストを抑えながら、全体的な売上アップを実現できます。具体的には、顧客のニーズを深く理解し、それに応じた高付加価値なオプションやアップグレードを提案することが有効です。また、関連するサービスや商品を合わせて提供するクロスセルも、客単価向上に寄与します。顧客が本当に求める価値を提供することで、満足度を高めつつ、売上を最大化することが可能です。
3. リピート率の向上
新規顧客の獲得に多大なコストと労力を費やす一方、既存顧客からのリピート受注や紹介は、比較的少ない労力で安定した売上をもたらす貴重な収益源です。一度取引のあった顧客との良好な関係を維持・強化することで、将来的なメンテナンス、リフォーム、増改築といった新たな需要を確実に取り込むことができます。工事完了後も定期的な接点を持ち続けることが重要です。アフターフォローを徹底し、小さな不具合にも迅速に対応することで顧客満足度を高め、信頼関係を深化させることが、長期的な受注につながります。
4.既存顧客の離脱防止
既存顧客が他社に流出することを防ぐことは、安定した売上を維持するために不可欠です。長期的な顧客との関係を築くことで、安定した収益源を確保し、新規顧客獲得にかかるコストを削減できます。そのためには、顧客の満足度を常に高く保つ努力や、丁寧なアフターフォローが重要です。これらの取り組みによって顧客ロイヤルティを高め、顧客の離脱を防ぐための具体的な戦略を実行します。
5. 商品単価の見直し
商品単価の見直しは、受注件数を増やさずに売上と利益を伸ばせる有効な手段です。資材や人件費が高騰する中、以前の価格設定のままでは利益が確保できないため、原価と市場価格を基準に「適正価格」を再設定することが重要です。
値上げの際は、施工品質や提案力、アフター対応などの“提供価値”を言語化し、価格の根拠を示すことで顧客の納得を得やすくなります。また、一律の値上げではなく、利益率の低い工事項目を優先的に見直すことで、同じ受注数でも売上総利益を改善できます。
単価の適正化は、値下げ競争から脱却し、利益を残すための戦略的な取り組みです。
まとめ
建設業で売上を伸ばすには、案件数を追うだけではなく「利益が残る仕組みづくり」が欠かせません。まずは自社の強みを明確化し、その価値に見合う単価設定や原価管理を徹底することで、同じ受注量でも利益率を高めることができます。また、施工品質や提案力を磨くことは、リピート受注や紹介につながり、無理な値引き競争に巻き込まれずに済む重要なポイントです。
さらに、数字管理と現場力を両立することで、ムダを抑えながら確実に利益を積み上げられます。いきなり大きな改革ではなく、見積の精度向上や標準化など、小さな改善を積み重ねることが成果につながります。自社に必要な課題と優先順位を整理し、できるところから着実に実行していくことで、安定した売上成長と経営基盤の強化を実現できるでしょう。
よくある質問
Q1. 建設業で売上を上げるために、まず何から取り組むべきですか?
A. まずは現状把握が最優先です。自社の粗利率や営業利益率が業界平均と比べてどの位置にあるかを確認し、課題を明確にすることで、改善施策を的確に選べます。見積りの精度や原価管理、利益の出にくい工事項目など、数字に基づいた分析が最初の一歩になります。
Q2. 値上げをすると顧客が離れてしまわないか心配です。
A. 単なる値上げではなく「提供価値の言語化」が重要です。施工品質、提案力、アフター対応など、自社が提供できる価値を具体的に伝えることで「適正価格」として理解されやすくなります。また、一律の値上げではなく利益率の低い項目の調整から始めることで、顧客への影響を抑えながら利益を改善できます。
Q3. 新規顧客開拓が難しいのですが、紹介頼みから脱却できますか?
A. オンラインの活用が効果的です。自社サイトやSNSで施工事例や専門性、強みを発信することで、紹介以外の新しい顧客接点を作れます。ターゲット設定を明確にした上で情報発信や問い合わせ導線を整えることで、紹介頼みの営業から脱却し、安定的に問い合わせを獲得できます。
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