はじめに~ お金があるはずなのに、なぜか苦しい……その正体は?
「今月は現場も多かったし、請求書も出してる。でも、なぜか口座がカラッポ……」
そんな経験、ありませんか?
これは実は多くの独立したての社長がつまずく“資金繰り”の落とし穴。稼いでいるように見えても、現金が手元に残らなければ、会社は回りません。
資金繰りのトラブルは、黒字倒産にもつながる重大なリスクです。特に現場仕事で日中忙しく、経理まで手が回らない社長にとって、「いま現金がどれだけあるか」を把握しておくことは、最重要課題といっても過言ではありません。
今回は、キャッシュフローと資金繰りの基本を、職人あがりのあなたに向けて、図解なしでもスッと理解できるように解説していきます。
キャッシュフローと資金繰りは何が違う?
よく似た言葉ですが、意味は違います。
- キャッシュフロー:一定期間(例:1ヶ月や1年)に会社に入ってきたお金と出ていったお金の流れ。
- 資金繰り:日々の支払いや入金のタイミングを管理し、手元の現金を切らさないようにすること。
つまり、キャッシュフローは「収支の流れ全体」、資金繰りは「今日・明日のお金のやりくり」です。
キャッシュフローがプラスでも、支払のタイミングが先行してしまえば、手元の現金がなくなり、立ち行かなくなります。ですから、経営者はこの2つの違いをきちんと理解しておく必要があります。
なぜ資金繰りが苦しくなるのか?
独立直後はこんな状況になりがちです:
- 工事完了から入金までが1〜2ヶ月空く
- 外注費や材料費の支払いは即時
- 売上はあるけど現金がない
- 消費税・所得税などの納税が予想以上に重くのしかかる
- 急なトラブルや設備修理費が発生する
この「時間差」や「想定外の出費」が原因で、実際の手元資金が足りなくなるのです。
さらに、経理の知識が浅い状態で独立した場合、帳簿を付ける余裕もなく、毎月の入出金管理が感覚頼りになり、支払い予定を見落としてしまうこともあります。
解決策:社長がやるべき5つのこと
1. 「お金のカレンダー」を作る
入金予定と支払い予定を一覧化したカレンダーを作りましょう。 LINEのメモや手帳でもOK。大事なのは「いつ・いくら・何のため」が把握できること。
ExcelやGoogleカレンダーを使えば、週ごと・月ごとの現金の増減を見える化できます。
2. 請求と入金を早める
- 工事完了後は即日で見積りと請求書を送る
- 締日を意識して月初に請求を集中させる
- 現金払いを提案できる現場では前払い交渉も
- 顧客との契約時に支払サイトの短縮をあらかじめ交渉する
素早い請求と早期の入金が、資金ショートを防ぐ最大のカギになります。
3. 固定費の見直しと予備資金の確保
- 通信費、リース料、保険料など、見直せる経費は見直す
- 必要のないサブスク契約はすぐに解約する
- 売上の一部を「非常用資金」として毎月プールする
経費の見直しだけでも、月数万円の余裕が生まれるケースもあります。
4. 「支払リスト」をつくる
- 毎月の支払い先と金額を一覧にする
- 銀行口座の引き落とし日を把握する
- 手元資金がどの時点でいくら必要かを明確にする
紙でもスマホでもOK。「見える化」することで計画的なやりくりが可能になります。
5. 会計ソフトを使って現金管理をラクにする
最近の会計ソフトは初心者向けに設計されており、スマホから領収書の撮影や口座連携も可能です。
freee、マネーフォワードクラウドなど、現金残高をリアルタイムで把握できるツールを導入すると、管理の手間がぐっと減ります。
実例:「あの月のピンチを救った、3万円の積み立て」
ある職人社長は、毎月売上から3万円だけ「別口座にプール」していました。
ある月、予想外の修理費で10万円の出費が発生。 積み立てていた30万円の中から対応し、無事に乗り切れました。
このように、少額でも備えがあると心に余裕が生まれます。
また、毎月5,000円でも1年続ければ6万円の備えになります。「今は厳しいから貯められない」と思わずに、できる範囲で継続することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 入金が遅れることが多いのですが、どうすればいいですか?
A. 契約段階で支払い条件を明確にしましょう。工期終了時の全額後払いではなく、「着手金+中間金+完了時残金」といった分割払い方式を提案すると、資金繰りが改善されます。
Q2. クレジットカード払いを活用してもいいですか?
A. 賢く使えば有効です。例えば、カードの締日と引き落とし日を理解したうえで、支払いを先延ばしすることで一時的な資金繰りを楽にすることも可能です。ただし、リボ払いや借金に頼ることは避けましょう。
Q3. 外注先への支払いが先行して苦しいです……
A. 外注先との契約も「支払サイトの交渉」が可能です。信頼関係がある場合は、支払いを翌月末や翌々月にずらすよう相談してみると良いでしょう。
まとめ:稼ぐことと、残すことは別物
社長にとって大事なのは、「どれだけ稼いだか」よりも「今、いくら現金があるか」。
キャッシュフローと資金繰りを意識すれば、無駄な不安から解放され、次の一手を打つ余裕ができます。
現場仕事と両立しながら、できることから始めましょう。小さな習慣が、経営の安定と安心を支える力になります。
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