はじめに~ 職人から社長へ、変わるべき「お客様との向き合い方」
独立して社長になったばかりのあなたへ。
これまで「いい仕事をすることが一番の営業だ」と考えて、腕一本で勝負してきたかもしれません。もちろん、その姿勢は素晴らしいことです。しかし、事業を営む立場になった今、求められるのは技術だけではありません。
お客様との関係づくり、信頼の構築が、事業の安定と成長に直結します。
「仕事は人からもらうもの」──そう意識することが、職人から経営者へと成長する第一歩です。
本記事では、信頼される経営者になるために欠かせない「お客様との付き合い方」の心得と具体的な実践方法について、事例も交えて解説していきます。
読んだその日から実践できるポイントばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
お客様は「友達」ではなく「パートナー」
仕事での人間関係には、適切な距離感が必要です。
「気さくで親しみやすい」と「馴れ馴れしい」は紙一重。特に、長年の付き合いや地域のつながりで距離が近くなりやすい現場では、関係が崩れるリスクも潜んでいます。
例えば、打ち合わせの際にタメ口になってしまったり、LINEでのやり取りが雑になってしまうなど、無意識のうちに信頼を損ねる行動をしている場合もあります。
また、飲みに誘ったり、プライベートなことに踏み込みすぎるような関係性になると、信頼よりも違和感を与える結果となることもあるでしょう。
お客様とは「信頼し合うビジネスパートナー」であり、互いに尊重し合う関係を築くことが何より大切です。
敬語を使う、服装を整える、時間を守るといった基本的な礼節の積み重ねが、信頼につながります。
「聴く力」を養う ~お客様の「本音」を引き出すコツ
よくあるのが「お客様が何を求めているか分からなかった」という失敗。
その原因の多くは、「聞いたつもり」になっていることです。
お客様の話には、表面的な要望と、背景にある本当のニーズの2層があります。たとえば、「照明を明るくしたい」という要望の裏には、「高齢の親が安心して暮らせるようにしたい」といった想いがあるかもしれません。
相手の話に耳を傾けながら、
- なぜその工事を希望されるのか
- どんな不安を抱えているのか
- どのような生活を送りたいのか
といった深層に意識を向けて質問すると、信頼感がぐっと増します。
メモを取りながら話を聞き、要望を言葉にして確認する「復唱」も有効なテクニックです。
さらに、話の内容だけでなく、相手の表情やトーン、沈黙の間などにも注意を払うことで、「本音」に近づくことができます。
感謝の気持ちを伝える ~「ありがとう」は最強の営業ツール
どんなに丁寧な仕事をしても、「感じのいい人だな」と思われなければ、次の依頼や紹介にはつながりません。
だからこそ、「感謝を伝える姿勢」が重要です。
特に効果的なのは、工事完了後の手書きのメッセージカードや、電話での一言のお礼。
「この度は大切なお仕事を任せていただき、ありがとうございました。今後も何かお困りごとがあれば、お気軽にご連絡ください。」
こうした言葉が、お客様の心に残ります。
また、紹介を受けた場合も、紹介者へのお礼を忘れずに。「○○様をご紹介いただき、誠にありがとうございます。ご期待に応えられるよう尽力いたします」といったひと言が、信頼の輪を広げていきます。
現場での対応だけでなく、「関係性を大切にする姿勢」が伝わると、お客様の満足度は一段と高まります。
トラブル時の対応 ~信頼を「深める」チャンスにする
トラブルが起きたときこそ、対応次第でお客様からの評価が大きく変わります。
例えば、施工ミスが発覚したときに、言い訳をしたり、黙ってやり過ごそうとすると、後々取り返しのつかないトラブルに発展します。
反対に、「こちらの確認不足でご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありません。すぐに修正に伺います」と迅速・誠実に対応すれば、かえって信頼を深めることができます。
大切なのは、「お客様の立場に立って考える」こと。
不安や怒りを感じているお客様に対し、先回りして誠意ある対応をする姿勢が、長期的な関係性を支えます。
また、トラブル後のフォローも重要です。
「その後、問題はございませんか?」「ご不便な点があればすぐにご連絡ください」といった声かけは、小さな気遣いですが大きな安心感につながります。
継続的な関係を築く ~「一度きり」で終わらせないために
お客様との関係は、工事が終わったら終了、ではありません。
そこからが次のステップの始まりです。
たとえば、年に1回の「感謝ハガキ」や、「近況報告のお電話」、「季節ごとのメンテナンス案内」など、小さな接点を持ち続けることで、お客様の記憶に残り続けることができます。
実際に、5年前に施工したお客様から「またお願いしたい」と連絡が来た、という事例も少なくありません。これは、関係を大事にし続けたからこその結果です。
「売り込み」ではなく「思い出してもらう工夫」が、次の仕事につながる秘訣です。
さらに、地域密着型の工事店だからこそ、年賀状や地域イベントへの協賛などを通じて、自然に顔を思い出してもらえる機会をつくるのも有効です。
まとめ:信頼は日々の積み重ね。経営者としての姿勢が問われる
お客様との信頼関係は、地道な積み重ねによって築かれます。
技術力や価格競争力ももちろん大事ですが、それだけでは生き残れない時代になっています。
選ばれる理由の多くは、「この人なら安心して任せられる」「相談しやすい」「誠実そう」といった、人間的な信頼感によるものです。
日々の挨拶、丁寧な対応、感謝の気持ち──そうした一つひとつの行動が、やがて会社の評判となり、次の仕事を生む礎になります。
社長として、そして経営者としての「信頼される力」を意識して、お客様との付き合いを見直してみましょう。
独立って何から始めればいい?経営者になるための教科書公開中
「とりあえず独立したけど、営業や経営は初めてで手探り状態…」
そんな独立1〜3年目の水道工事業の社長に向けて、仕事を安定させる前段階から役立つ情報をまとめたページをご用意しました。
このページでは、
- まず何を準備すればいいか
- お客様をどう見つけ、どう信頼を得るか
- 少しずつ仕事を増やしていく方法
など、職人から経営者へとステップアップするための具体的なヒントを解説しています。
独立したてで「これからどう動けばいいか」に悩んでいる方はぜひご覧ください。
\【スイポ】サイトへのご意見募集してます/ 「こんなこと知りたい」、「ここが使いにくい」などの貴重なご意見を募集しております。