無電柱化の推進にともなう電気工事事業者の特例措置とは?

  • 公開日:2018年12月07日
電気工事に関する知識
無電柱化の推進にともなう電気工事事業者の特例措置とは?

2020年に開催が決定した東京オリンピック・パラリンピックに向けて東京を中心に無電柱化を推進する計画が進められています。日本では1986年から無電柱化には取り組んできましたが、欧米に比べると実現している割合はまだほんのわずかです。コスト面の問題などさまざまな事情から遅れをとっている無電柱化を進めるために法改正も一部されています。電気事業者に向けた特例措置や無電柱化の整備手法などについて解説します。

無電柱化の目的と主な手法は?

2017年の国土交通省の資料によると日本の無電柱化の割合は東京で7%、大阪で5%という非常に低い数値が出ています。これに対してロンドン、パリ、そして香港は100%、台北は95%でシンガポールが93%という高い割合です。数字を見ただけで日本がいかに遅れを取っているかが分かります。このように日本の無電柱化が遅れている理由のひとつとして高いコストに問題があるといわれています。
無電柱化の目的は電柱や電線を視界から排除することで美しい景観が実現できることです。特に観光地では電線があることでせっかくの風景が台なしになってしまうことが考えられます。もちろん景観以外にも理由はあるでしょう。まず歩道を広く使えることで歩行者の通行がスムーズになること、そして緊急車両の侵入を妨げないことです。災害時に電柱の倒壊や電線の切断といった事故も解消できるでしょう。
無電柱化の主な整備手法は「電線類地中化」と「電線類地中化以外の無電柱化」に大きく分けられています。「電線類の地中化」とは道路の地下空間を利用して「電線共同溝」を設けるという手法です。「電線共同溝」に通信線や電力線などを収容し一般の家庭住宅や施設へは地下から引き込むことで電力の供給を行います。「電線類地中化以外の無電柱化」は主に2種類あります。1つ目は「軒下配線方式と言い、主要道路の脇道などの電柱を設置して建物の軒下または軒先を利用して引き込みをします。2つ目は「裏配線方式」というものです。これは主要道路の裏側の道路だけに電柱を設置し、そこから主要道路の沿道にある建物まで引き込みます。この方法で主要道路だけを無電柱化します。

 

無電柱化推進にともなう特例+K6措置とは?

無電柱化は美しい景観の実現や防災を考えたうえでも重要です。少しでも無電柱化を進めるために関連業者に向けて特例措置が実施されています。緊急輸送道路で無電柱化を行うことを目的に新しく取得した電線などに対する固定資産税の特例措置です。特例が受けられるのは電気通信事業者や一般電気事業者、有線放送事業者などが対象になっています。
特例措置が実施される期間は2016~2018年の3年間です。電柱の占用が禁止されている道路の区域の場合は4年間2分の1で、それ以外の区域では4年間3分の2という措置が設けられています。その他、PFI手法による無電柱化に対しては国庫債務負担行為を拡充するなどの措置が図られています。こうした特例措置をうまく活用することで円滑な電気工事や安全な電力の供給を図ることにつなげていくことも可能です。

 

無電柱化推進に向けた法改定とは?

無電柱化の推進のために特例措置の他さまざまな取り組みがされています。一部法改定もそのひとつです。2016年4月1日には「電線等の埋設に関する設置基準」が緩和され、従来の基準より浅い位置での埋設が可能になりました。路面からの距離と電線の頂部までの距離は、これまでは80cmという決まりがありました。しかし一般生活道路のような交通量の少ない道路でなおかつ舗装の厚みが50cmの場合であれば路面からの距離を35cmまで浅くしても良いとされています。
大きな課題となっている工事にかかるコストに関しては今後もまだ検討は必要といえます。しかし、こうした法改正によって工事の条件が少しでも緩和されていくことでコスト面の問題にも反映されていくのではないでしょうか。

 

無電柱化事業に参入する事業者も

無電柱化が進めば景観や災害時の問題だけでなく多くの人の暮らしが快適になります。今までは見えにくかった信号の視認性が良くなれば交通事故も減少するかもしれません。また自然災害で電線が断線するということもなくなるため常に安定した電力の供給が可能です。歩道が広くなれば車椅子やベビーカーなどの利用もしやすくなるでしょう。
1986年から進められてきた無電柱化ですが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの決定を受けてさまざまな取り組みが検討されています。東京の現在の割合を見るとロンドンやパリのように100%達成までは、まだまだ膨大な時間を要するでしょう。しかし無電柱化事業に参入する事業者も増えてきています。そして今後ますます無電柱化に向けて参入しやすい措置や法改定は期待できるのではないでしょうか。人びとの暮らしを快適にするためにも無電柱化事業への参入を検討するのもいいかもしれません。
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